人の縁が会社を動かす|株式会社エンジン 常盤社長が語る「AI時代でも、人を信じる」理由

AIの進化とともに、「この先、自分の仕事はどうなるんだろう」と不安を感じる人が増えています。そんな時代に、人のつながりを軸に会社を伸ばしているのが、株式会社エンジンの常盤亮太 代表取締役です。
学生結婚を経て、アルバイト先の社長に声をかけてもらい、10年間の修行を経て独立。社名の「エンジン」には、「縁」「仁義」「原動力」という3つの想いが込められています。
AIの波を前に、それでも「人が原動力だ」と言い切る常盤社長。その言葉の背景を聞きました。
株式会社エンジン
代表取締役 常盤 亮太
1983年、埼玉県生まれ。東洋大学在学中に株式会社サウザンドクレイン(現:アップセルテクノロジィーズ株式会社)へアルバイト入社。学生結婚を機に、卒業を待たずに正社員として営業の道へ。7年で取締役に就任し、2016年に株式会社エンジンを設立。「縁」「仁義」「原動力」を掲げ、人の温度を大切にしたテレマーケティング・BPO事業を展開している。
拾ってくれた人がいたから、いまの自分がある

編集部常盤社長は、今でこそ会社を率いる立場ですが、そもそも最初はまったく違う環境からキャリアを始められたんですよね。どういうきっかけで、社会に出ることになったんでしょうか?



私はもともと埼玉の出身で、大学は東洋大学でした。特別な夢があったわけじゃなくて、ただ一人暮らしがしたくて東京に出たんです。それで近くでアルバイトを探して、たまたま入った会社が最初の職場でした。



それが、そのまま就職につながったと。



はい。大学4年のときに、単位が足りなくなってしまい…。しかもその時すでに結婚して、子どももいて…。



おぉ…、ご家庭があったんですね。



そうなんです。家族のためを考えると、留年はできないし…。これと言って、就活もしていなかったんです。そんなときに、アルバイト先の社長が「うちにおいで」と言ってくれたんです。



それは、ありがたいお話でしたね…!



ほんと、拾ってもらったようなものです。



まさに、縁ですね。



そう思います。私はあのとき声をかけてもらったから今がある。それから10年、営業の現場で数字と向き合って、組織づくりも任せてもらって。気づけば、会社のなかで「人と向き合う」ことばかりやっていました。 だから今でも、仕事を選ぶ基準は、人なんです。条件じゃなくて、誰と一緒にやるか。
次のステージで、自分の「恩」を形にしたかった





10年勤めた会社から、独立を決めた理由は何だったのでしょう?



当時、上場を目指して全員で走っていたんですが、ある時期に一段落ついたんです。その瞬間、「自分はこの先、どこに向かうんだろう」と考えるようになって。私の中では、「ここまで学ばせてもらったことを外で試したい」という気持ちが強くなりました。



恩を持って出る、という感覚ですか。



まさにそうです。前職の社長には、今でも感謝しています。あのとき拾ってもらった恩を、自分が誰かに返していけるような会社をつくりたい…。それが、独立の一番の動機でした。



その思いが、「エンジン」という社名にもつながっているんですね。



はい。「エンジン」は「世の中の原動力になる」という意味でつけたんですが、同時に「縁」と「仁義の円」という意味もあります。



素敵で、かっこいいです!



人とのつながりを大事にして、仁義を尽くす。そして、みんなで円陣を組めるような会社にしたい。そんな願いを込めています。
仕事を楽しめる人は、強い。





株式会社エンジンの採用ページを見ると、「つらい」「きつい」「つまらない」をなくす、とありますよね。このメッセージの背景も聞いてみたいです。



はい。前職で10年働いていて感じたのは、どんなに優秀な人でも、楽しむ気持ちをなくした瞬間にパフォーマンスが落ちるということです。やっぱり、仕事の原動力は義務感じゃなく熱なんですよね。



私も、そう思います!言語化はちょっと難しいですけど…、なんか、理屈じゃないんですよね。



そう、頑張れと言われて動くより、自分が楽しいと思えるときの方が、何倍も集中できる。



たしかに。義務感で走ると、息切れしちゃいますしね。



そうなんです。だから弊社では、毎週月曜の全社会議で全員が顔を出して話します。オンラインでもいい。とにかく「声を掛け合う時間」を絶やさないようにしているんです。



すっごく大事なことですよね!



数字やKPIも大事ですけど、結局、現場を動かすのは空気なんですよ。ひとりの「おはようございます!」で、オフィス全体が明るくなることってあるじゃないですか。そういう小さな波を大事にしたいんです。



その空気づくり、働く人のモチベーションにもつながりますよね。



はい。楽しめる人は、やっぱり強いです。楽しんでるときって、たいてい誰かの役に立ててる実感がある瞬間なんですよ。自分の仕事で「ありがとう」って言われた経験がある人は、少しの壁じゃ折れません。



それ、すごくわかる気がします…!



しんどくても「この先に誰かの笑顔がある」って思えるから、ちゃんと続けられる。だから、どんな仕事でも、楽しもうとする人が一番伸びる。そう信じています。



常盤社長の言葉には、人を原動力にする会社の姿勢そのものがにじんでいますね…!すごく刺さります…!
AIが進化しても、「人の熱量」は代わりにならない



常盤社長のお話を聞いていると、人の熱量が会社を動かしているということが十分に伝わってきます。でも最近は、AIや自動化の話題も増えていますよね。そうした中で、これからの働き方をどう見ていますか?



3年後には、仕事の形がかなり変わっていると思います。想像しているよりも速いスピードで、世の中が変わるはずです。ただ、全部が全部AIに置き換わるわけではない。人間にしかできない領域は必ず残ると私は思っています。



人にしかできない領域、というと?



弊社の事業でいえば、BPOや営業支援の仕事は、リアルとかアナログとか、人の部分に価値を見出しているんです。だからこそ、そういう人の力を最大化していく方向で考えています。



AIと人、それぞれの得意分野を見極めるということですね。



そうですね。AIと人では、置き換わったほうがいい部分と、置き換わらないほうがいい部分があると思っています。これからの時代は、AIと人の両方をマネジメントできる人間が、価値を持つようになるはずです。



なるほど。AIの活用が進む中でも、人にしかできないことが絶対にある。



はい。AIを上手く活かすためにも、人間がもっと人らしさを磨くことが大事だと思います。リアルの強みや、コミュニケーションの価値をどう高めていくか。そこに、会社としての存在意義があると思っています。
「感謝を言葉にできる人」が、最後に信頼される





AIの話を聞いていても、常盤社長は一貫して、人の力を信じていらっしゃいますよね。



やっぱり、最後は人と人なんですよね。どんなにテクノロジーが進んでも、信頼も成果も結局そこに行き着くと思います。



たしかに…。そうした中で、これから社会に出ていく20代の方には、どんなことを伝えたいですか?



まず、仕事で大事なのは、どう人と向き合うかだと思います。何をやるかよりも、誰とどう関わるかで、仕事の見え方も結果も変わる。 人との関係を大切にできる人は、どんな環境に行っても折れません。



それは、働き方が変化していく時代でも変わらない本質ですね。



ええ。もうひとつ大事なのは、感謝を言葉にすることです。僕は小さい頃から、母に「人に優しくしなさい」「人のためになることをしなさい」と言われて育ちました。その言葉が、今もずっと自分の中に残っていて。



素敵なお母さまですね…!



だから、どんな場面でも「ありがとう」を伝えるようにしています。それがあるかないかで、人との関係も、仕事の結果もまったく違ってくるんですよ。



お母さまの言葉が、今の経営にも生きているんですね。



はい。私自身も、拾ってもらって今があります。だから次は、自分が誰かのエンジンになれるように、ちゃんと動き続けたい。AIの時代になっても、信頼はデータじゃなく人の気持ちでつながっていくと思うんです。



シンプルだけど、いちばん大事なことですね。 明日、私も同僚や上司や家族に改めて「ありがとう」を伝えてみます。その一言が、きっと私自身や、私の周りのエンジンを回すトリガーになるはずだと思うので…。常盤社長、本日は貴重なお話を、ありがとうございました!
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