今後も絶対にAIに奪われない武器は「人間力」|漫画家・髙橋さんに聞くAI時代のサバイバル術

AIの進化が加速し、「仕事がなくなるのでは」と不安を口にする人は少なくありません。しかしその一方で、AIを活かして新しい表現や働き方を模索している人もいます。

漫画家・LPデザイナーである髙橋のり子さんは、役者としての表現活動、WEBデザイン、母としての葛藤、そしてAI漫画との出会い…多彩なキャリアを歩み、その転換の中で「AIの可能性」と「人間にしか残らないもの」の両方を見つめ続けてきました。

髙橋さんいわく、どれだけ技術が進化しても絶対に価値が薄れないのは、愛嬌や共感力など、その人の「人間力」だということ。

これから、AIとどう向き合えばいいのか。
そしてAI時代に最後まで残る、人間力とは具体的に何か。

髙橋さんの歩んできたキャリアと経験を通じて、今後のAI時代を生き抜くためのヒントを探っていきます。

お話を伺った人

漫画家・LPデザイナー

髙橋 のり子 さん

18歳で上京し役者として活動後、表現の道を原点に32歳でデザインへ転身。職業訓練校でWebデザイン・コーディングを学び、出産後は在宅でフリーランスを経て制作会社勤務へ。二人目の妊娠を機に佐世保へUターンし、現在は地元企業のWeb担当として働きつつ、副業で制作も継続。幼少期から描き続けてきた漫画とAI技術を掛け合わせ、オリジナルLP制作という独自のスタイルを確立。確かなデザイン技術と20年以上の漫画表現を活かし、サービスや商品の魅力を「わかりやすく」「親しみやすく」届けている。

目次

AIとの出会いは「怖い」より「面白い」が勝った

編集部

髙橋さんは今、Web制作やデザインに加えて「AI漫画」というユニークな取り組みもされていますよね。何でも、髙橋さんは役者時代から趣味でずーっと漫画を描いていて、その経験をもとに、漫画の構成やシナリオをご自身で作る→アウトプットはAIが行うのだとか。いやぁ、なんだかすごい時代になりました。

髙橋のり子さん

そうですね、AIによってイラストを描くという作業自体はだいぶ早くなりました。ただ、キャラクターの表情やセリフの言い回しにさらに人間味を持たせるとか、最終的にはやっぱり人間の手による作業が必要ですね。

編集部

確かに、髙橋さんが生み出すAI漫画を拝見して「漫画的なデフォルメをされているんだけど、自然な人間感があるな」と感じました。例えばこの一コマの、真ん中の女性の表情ですけど…。

(髙橋のり子さんのポートフォリオより引用)

編集部

このギョッと驚く表情を、目の揺れや三角の口で表現する感じ…。人間の表情が漫画テイストに誇張されているんだけど、それが不自然ではなく逆に人間らしさを感じるというか。ここまで細やかにAIは表現しないんじゃないかなぁって。人間ならではの表現だと思いました。

髙橋のり子さん

はい、まさにそこは私がこだわりを持って手を入れた部分ですね!

編集部

このようにあえて漫画ならではの表現に修正することで、AI生成の漫画だけれど、違和感のない従来の漫画として自然に読めるというか。

髙橋のり子さん

そこまで言語化されるとちょっと恥ずかしいですけど、でも私がこだわった部分に気づいていただけて嬉しいです(笑)。

編集部

最終的に髙橋さんが手を加えてナチュラルさを際立たせるにしても、漫画テイストなものが一発ドカンで生成されるって、やっぱり凄い時代になりましたよね。ちなみに髙橋さんが最初にAIに触れたときって、どんな印象を持ちましたか?

髙橋のり子さん

最初は正直、不安のほうが大きかったです。勉強すればするほど、「あ、これは自分の仕事がいつかなくなるな…」って。でも同時に、あれこれと試してみたら「面白い!」という気持ちが強くなったんです。

編集部

怖さよりも「面白い」という感覚が勝ったんですね。

髙橋のり子さん

はい。いろんな作業にAIを組み合わせてみましたけど、特に漫画と組み合わせたときに「これだ」と思いましたね。AIが一気にコマ割りや構図を提案してくれる。絵そのものも大枠を出してくれる。それを私がこのようにひと手間を加えることで、自分の色やこだわりを残しながらもスピーディーに作品が仕上がるんです。

編集部

なるほど。完全にAIに任せきりではなく、自分の表現をのせる余地があるからこそ、逆に面白いんですね。

髙橋のり子さん

そうです。もし最初から完璧なものがAIから出てきたら、逆に私はやらないかもしれません。自分が介在するから楽しいんです。

AI時代に求められるのは、人間力。愛嬌・不完全さ・共感力・傾聴力。

髙橋のり子さん

昔は、漫画を描くにしても、下書きをしてペン入れをして、背景を描いてトーンを貼って…。Webサイトのデザインを作るにも、ソフトを開いてレイアウトを組んで…。数時間はかかりましたよね。でも今は、AIに「こんなイメージ」と伝えると一瞬でそれっぽいものが出てくる。これはすごい進化だと思います。

編集部

確かに。昔は専門的なスキルを持った人だけが作れたものが、今では一瞬で生成できてしまう。そうなると「人間がやる意味」ってどこにあるんでしょう?とか思っちゃいますよね。

髙橋のり子さん

まさにそこですよね。私は「AIの進化が怖い」と思ったときに、それでも残るのは人間力だと気づいたんです。

編集部

人間力…?深いですね。

髙橋のり子さん

そうです。技術やツールは誰でも手に入れられる時代になったけれど、AIは何を作るかを補助できても、誰がそれを届けるかは人にしかできないと思うんです。相手が何を求めてるかを想像して、できるだけ手間をかけさせない工夫をする…そんな共感力とか傾聴力とか。

編集部

確かに、おっしゃるとおりですね!

髙橋のり子さん

役者時代、チャキチャキな先輩がいて…。その先輩は、いろいろどうしようもない人ではあったのですが、今思うとまわりからは愛されていました(笑)。ごはんに誘ってくれたり、気にかけてくれたり、完璧じゃない人間臭さがあって、腹を割って話してくれて…。

編集部

なるほど。不完全さをいい塩梅でさらけ出せるのって、AIじゃなくて人間だからこそなのかも…?

髙橋のり子さん

はい。どれだけAIが進んでも、そこは置き換わらないところだと思います。

編集部

AIで効率化できる部分はどんどん効率化していくけれど、最後に選ばれるのは、この人と一緒にやりたいと思わせる力ってことですね。

髙橋のり子さん

そう思います。だから私は、技術を磨きつつも、人としての関わり方や表現にすごく意識を向けています。例えばWeb制作でも、ただ見た目を整えるだけじゃなくて「どうすれば見る人が笑顔になれるか」を考える。AIが進んでも、そこに人間の存在意義があると思っていますから。

編集部

武器としてのスキルと、人間力としての愛嬌。その掛け算がAI時代の生き残り方なんですね。

髙橋のり子さん

そう思います。AIは確かに脅威にも見えるけど、逆に「人間らしさ」の価値を照らし出す存在でもある。だからこそ、AIに振り回されるよりも、自分の武器と人間力をセットで磨いていけば、むしろ可能性は広がっていくと思っています。

学びを止めない人が、AI時代に強い理由

編集部

髙橋さんのキャリアを振り返ると、役者からデザイン、Web制作、さらにAI漫画まで…ずっと新しいことに挑戦されていますよね。これって普通の人からしたら「すごいジャンプだな」って思うんですが、ご本人はどんな感覚なんですか?

髙橋のり子さん

確かに振り返ると大きな転換のように見えるかもしれません。でも私の中では、表現するのが好きという軸は変わっていないんです。役者のころは身体や声で表現していたのが、結婚後にデザインやWeb制作に移り、AI漫画という新しい形に発展していっただけで。

編集部

なるほど。表現の手段は変わっても、「表現したい」という根っこはずっと同じだと。

髙橋のり子さん

はい。だからこそ、新しいツールや技術が出てきたら「これで自分の表現がもっと広がるかもしれない」と思って試してみるんです。最初から完璧にできるわけじゃないし、むしろわからないことだらけなんですけど、学んでいく過程も楽しい

編集部

AIもまさにそうですよね。髙橋さんは、最初は怖さより面白さが勝ったっておっしゃってましたけど、それってやっぱり学ぶ姿勢があるからこそだと思います

髙橋のり子さん

そうですね。学ぶことを止めない限り、どんな変化がきてもチャンスに変えられる。だから私は子育てに関しても、「子育てが忙しいからできない」じゃなくて、「子育てしてても学べる方法を探す」というスタンスでいます。そして、まわりの方にもこの姿勢を見てもらうことで、前例としていい影響を与えられるんじゃないかって。

編集部

その姿勢、めちゃくちゃ素晴らしいですね。まさに人間力。キャリアに迷っている人ほど「新しいことを学ぶのが怖い」って思いがちだけど、髙橋さんのように面白がるマインドがあるだけで未来の広がり方が変わるんですね。

髙橋のり子さん

そう思います。小さな一歩でも、新しい知識やスキルを身につけたら必ずどこかでつながる。AIが進化している時代だからこそ、学び続けること自体が大きな武器になると思っています。

人間力を磨きながら「見える世界」を広げていこう

編集部

周りに、コーディングやデザインを頑張るお母さんたちも多いとか。

髙橋のり子さん

はい。独学やコミュニティで学んでるけど、仕事がないと悩む声はすごく多いです。子どもがいると働き方の制約もありますしね。

編集部

確かに、「学んでスキルは少しずつ身についたけど、そこからお金をいただくまでが遠い」と感じる方は多そうです。そんな方に、最初の一歩として勧めたいことはありますか?

髙橋のり子さん

まずはやっぱり、学ぶ姿勢を大切にしながら人間力を磨きつつの人付き合いだと思います。小さくてもいいのでコミュニティに入って、作ったものをアウトプットとして見せてみる。恥ずかしくても、反応をもらう。そこで「あ、この人と一緒にやりたいな」と思ってもらえる愛嬌や温度感が伝われば、意外と声がかかりやすくなるかもしれません。

編集部

技術が完璧じゃなくても、人との接点が仕事の入り口になるんですね。

髙橋のり子さん

技術は、続ける前提でいいんです。それよりも、人に届けられる自分でありながら、人に届く場を先につくるのが近道。私自身も最初は、知り合いのつながりでお仕事をいただいていました。会社規模で大きくやるよりも、まずは目の届く範囲で困っている人を助ける。そういう半径での挑戦から始めても十分価値があると思いますよ。

編集部

なるほど。ゼロから大きな案件を狙うよりも、目の前の「ありがとう」を積み重ねていくイメージですね。

髙橋のり子さん

そうです。その積み重ねで「実績」や「信頼」が自然とついてくる。しかも、子育て中はどうしてもフルスピードで走れない時期もあるので、無理なく続けられるやり方を見つけるほうが大事です。だからこそ、まずは小さなコミュニティや身近な人間関係から世界を広げていくのをおすすめしたいですね。

これからも「AI×表現」を、自分と誰かのために続けていく

編集部

髙橋さんは、今後もAIを活用しながら漫画やデザインやコンテンツをアウトプットしていくことを続けていかれるのかなと思うのですけど、これを続けていく先に、髙橋さんご自身はどんな未来を見据えているんですか?

髙橋のり子さん

私にとって一番大きいのは、やっぱり「世のお母さんの先駆けになりたい」という気持ちなんです。子育てをしていると「自分には無理」と思う瞬間がたくさんある。でも実際は、工夫すればできるし、AIのようなツールをうまく取り入れればもっと自由に働ける。そういうことを自分の姿で示したいんですよね。

編集部

なるほど。仕事の成果だけじゃなくて、自分らしく働ける姿を見せることで同じ立場の方に勇気を与えたい、と。

髙橋のり子さん

そうです。私は役者からデザイン、Web制作、AI漫画とキャリアを歩んできましたけど、その全部が今の糧になっています。だから「キャリアにブランクがある」「未経験だから無理」と思い込まずに、まず一歩やってみてほしいんです。誰よりも自分が苦労したからこそ、「大丈夫、できるよ」って伝えられると思うんです。

編集部

その言葉は、まさにこれから挑戦したいママたちに刺さると思います。

髙橋のり子さん

そうだと嬉しいです。AIが進化しても、人間らしさや愛嬌は絶対に残る。そのうえでツールを味方にすれば、誰だって可能性を広げられるんです。AIがどれだけ進化しても、人間の価値はなくなったりしない。私はこれからも、自分の表現を楽しみながら、世のお母さんたちに「先にやってみたよ!」と背中を見せ続けたいですね。

編集部

改めて、人間力って大事ですよねぇ。私自身、髙橋さんとお話しをしていて、世のため人のために在りたいという気持ち…その人間力に感銘を受けて、ハマッてしまいました。「髙橋さんのような人にお仕事をお願いしたい」「髙橋さんと一緒にお仕事をしたい」ってすごく思いましたもん。

髙橋のり子さん

わぁ、ありがとうございます(笑)。

編集部

髙橋さん、本日はAIの進化や人間力について考えさせられる、それでいてとっても楽しいお時間、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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