「キャリアに正解はない。“選んだ道を正解にする力”がすべて」プラスシーブイ株式会社 横溝社長が語るメソッド

キャリアに迷ったとき、多くの人がこう考えます。
この選択は正しいのか?
別の道を選んだほうがよかったのでは?
もしかして今のあなたも、そんな風に立ち止まっていたりしませんか?
でも、選ぶ前から正解がわかることなんてありません。結局は、選んだあとにどう生きるかがすべて。
その考えを体現しているのが、25歳でバンドマンから未経験でWeb業界に飛び込み、コピーライター、Webディレクター、マーケティングコンサルタントを経て起業した、プラスシーブイ株式会社代表の横溝 裕一(よこみぞ ひろかず)さんです。
13年以上にわたり企業のWebを支えてきた横溝社長が大切にしているのは、「自分が選んだ道は、RPGの主人公のように最終的には自分で正解にするしかない」という思考。そして、与え続けながらも消耗し過ぎないギバーとしての生き方です。
「なぜその考えにたどり着いたのか?」
「どうすれば実践できるのか?」
横溝社長の考えを聞いてみました。
プラスシーブイ株式会社
横溝 裕一 代表取締役
国士舘大学法学部卒業後、携帯電話法人営業を経てWeb業界へ。Webライターとして300サイト以上に携わり、ディレクター・コンサルタントとして中小企業から大手まで幅広く支援。2020年にプラスシーブイ株式会社を設立し、SEOやWeb集客を中心に企業の成長を支え続けている。
「正解」なんてない。主人公として道を選び、自分で「正解」にする。
編集部横溝社長にぜひお聞きしたいのは、キャリアの「正解」についてです。「本当に今、会社を辞めるべきか?」とか、「事務職に転職したいけど、未経験だし大丈夫かな?」など、弊社の転職エージェントには、自分の進路に不安な方の声がよく寄せられるんですよ。



なるほど、「転職したい!」というよりも「転職をしたいけど、その進路は間違っているんじゃないか」みたいな相談もくるわけですね。



そうなんです。やっぱり転職って大きな決断ですからね。いざ転職したものの、仕事についていけなかったとか、給料が思った以上に上がらないとか、あとになって「うわー、選択ミスったー><」って後悔するの、誰だって嫌じゃないですか。せっかくのキャリアチェンジ、失敗しないためのアドバイスを伺いたいなと。



うーん、それでいくとボクは、最初から正解なんかないと思ってるんですよ。



正解はない、というと…?



たとえば、RPGでいうと、最初の街にずっといても物語は進まなくて、街を移動して自分が動くから、景色が変わっていきますよね。それで、遭遇したキャラの質問に「はい/いいえ」と答えていって、その積み重ねが道になる。選んだ瞬間はただの選択ですけど、動いて検証して修正していくうちに、レベルアップしたり、仲間ができたり、最終的に勇者はラスボスを倒すことができる。こんな風にね、ボクはどんな選択の場面でも、「自分で正解にする」という前提で動きます。



自力で正解にしちゃうってことですね。その考え、アグレッシブですね!



主人公であるのは自分。選択したのも自分。何があっても、環境や他人などの外部要因のせいにせず、「このルートを選んで良かった」と最終的に思えるような生き方をすればいいと思っていて。



その「主人公思考」って、何だか「自責思考」の派生形みたいですね。一体、いつそのスイッチが入ったんですか?



20代前半かな、高校のときからやっていたバンドで人間関係のすれ違いが起きて。それまでは「バンドでプロデビューする」と意気込んで、バンド活動優先で契約社員で働いてきたんですけど、そのバンドを辞めるってなって、「ここからは自分の物語を自分で創る!」ってスイッチが入ったのを覚えています。
「いい人」では終わらない。消耗しない「ギバー」になるには?





バンドマンから未経験で広告やWebの世界に飛び込んで、キャリアを積み上げていったのって、まさに主人公として動き続けた結果ですよね。でも横溝社長って、人のために動く「ギバー」という一面も強い気がします。どちらかというと、主人公の勇者の後ろでひたすら全体回復魔法を使ってる、みたいな(笑)。



そうですね、ボクは昔から人をサポートするのが好きなんです。でも最初のころは「とにかく役に立ちたい」と思いすぎて、かえって自分が消耗することも多かったんですよ。



あぁ…わかります。気づいたら頼られすぎて疲れてるみたいな。



そうそう(笑)。なんでも引き受ける=いい人、ではあるけど、それはギバーじゃない。自己犠牲のギブは、”他人が主人公”の人生に合わせてしまうことで自分が消耗してしまって…、本来の力も出せずに、結局誰も救わないんです。



では、横溝社長が考えるギブとは?



ボクが大事にしているのは、「線引き」です。初回は相手の曖昧な要望を受け止めたとして、同じように丸投げが続くならすぐ交渉する。紹介案件も必ず自分で吟味する。ルールは明文化して合意をとる。丸投げされたら、その人が意思決定できるように構造を返す。そうすると、相手も「自分で決める」意識を持つようになる。結果的にお互いにとってプラスなんです。



なるほど。線引きすることで、逆に相手も成長するんですね。



線引きって、ゆとりを作るために必要なんですよ。相手も仕事を進めやすくなるだけじゃなくて、ボク自身も請け負い過ぎないことで余白を確保できるし、その余白があるからまた新しいことを学んで、それを次のギブにつなげられる。ギブが循環するんです。そして、どんどん自分の求めるゴール=正解に近づいていく。
AI時代こそ、主人公思考が求められている



線引きをすることで、相手も成長し、自分にも余白ができる。それがまた他者に良い作用を与えて自分に返ってくるんですね。ただ、今の時代ってAIの進化や環境の変化がものすごく早いじゃないですか。境界線を引いたと思ったら、すぐに景色が変わってしまう。そういう時代に「主人公として選んだ道を正解にする」って、なかなか難しい気もしていて。



AIは「最高のギルドメンバー」だと思います。文章やデザインのたたき台を一瞬でつくってくれるし、情報も爆速で集めてくれる。でも大事なのは「どうやるか」じゃなくて「何をやるか」を決めること。つまり、目的と方向性を持つのが人の役割なんです。



でも、AIに頼りすぎて逆に迷走しちゃう人も増えそうですよね。



そうなんです。AIに曖昧な指示を投げても、正解は返ってきません。結局、自分がどうしたいのかという主人公としての意思がないと、AIに振り回されるだけなんです。逆に、仮説や意図を明確に持ってプロンプトを投げれば、AIはその答えに近づくための強力なサポーターになります。つまり、「自分が選んだ方向性を正解にしていく」という主人公思考があってこそ、AIを味方にできるんです。



なるほど…AIの進化に伴って人間が二極化していくなか、主人公思考を持てるかどうかで、AIを自分のパーティーで活躍させられるのかどうか、明暗が分かれるかもしれないですね。



そうだと思います。失敗を恐れずに小さな学びをすぐ試して発信できる人、課題を分解してAIに渡せる人、成果物じゃなくプロセスを共有できる人。このあたりは間違いなく強い。AIが当たり前になる時代ほど、「自分で正解にする力」が試されると思います。



確かに。AIが加速してくれるのは、あくまでも意思を持った人の行動ってことですね。



そのとおりです。ボクはAIの進化をポジティブに捉えていて、人が本来やるべき「上流」に集中できるチャンスだと思っています。だからこそ、これからは「主人公思考」と「ギバースタイル」をかけ合わせて、周りを巻き込みながら、今歩んでいる自分の道を自発的に正解にしていくスタンスが求められると思うんです。
余白があるから、人に手をさしのべられる。



ここまでお話を伺ってきて、「主人公思考」と「ギバースタイル」をかけ合わせれば、どんな道も正解にできるし、何ならAI時代の波も乗りこなせる、というイメージがついてきました。でも正直、どんな状況下でも速い変化に合わせてずっと動き続けるって、しんどくないですか?



もうそれが普通なので、なんともないですよ(笑)。考えたことはなかったんですけど、仕事に追われていては新しい情報もキャッチアップできなくなるからこそ、ボクはさっきも伝えたように余白を意識的にとっているともいえるかもしれません。



余白を、意識的にとるとは…!



ボクは、人のためにも自分のためにも「楽(らく)」っていうことを大事にしていて。そのために余白はめちゃくちゃ重要なんです。働くの語源は、傍(はた)を楽(らく)にするという説もあるように、忙しさから解放していくためにボクたちは働いているような気がします。ワーカホリックのように働きすぎて、自分に余裕がなくなったら、人にも余裕を持った対応なんてできないですからね。



常にフットワークが軽い自分でいられるように、余裕を持たせておくってことですよね?意識的に設計するという点について、もう少し詳しく教えていただけますか?



そうですね。余白を意識的に設計する方法は、大きく分けると3つです。
・時間の余白:ルーティンは自動化や廃止、会議は目的から逆算して最小限にする。
・収入の余白:労働集約ばかりに頼らず、少しずつストック型の収益を積み増していく。
・心の余白:仕事の意味を定期的に点検して、「誰かの役に立てた」という実感を持てるようにする。
意識してアクションを起こすことで、自然と余白が生まれるんですよ。





なるほど。気合いと根性で詰め込んで休日を作る人もいますけど、こうやって賢く仕組み化して余白を確保するって、特に自分のためにも人のためにも全力で動きたい主人公が消耗してしまわないために、とっても重要ですね。



そうなんです。余白があるから、また次の挑戦ができるし、人にもギブできる。そうやって正解に近づいていく環境を作っていくんです。



横溝社長の仰る余白の理解が、さらに深まりました!「自分で選んだ道は自分で正解にする」に、絶対に欠けてはならない要素ですね。
目指した瞬間からあなたは「正解」の一歩を踏み出している。





横溝社長のお話を聞いていて、「正解は待ったり探したりするものじゃなく、自分で切り拓くもの」っていうのがすごく腑に落ちました。



そうですね。ボクも20代のころは「この選択って合ってるのかな…?」って迷ったことが何度もありました。でも、選んだ瞬間ってただの「はい/いいえ」にすぎないんです。がむしゃらだけど消耗し過ぎず、積極的に動いてときどき立ち止まって検証して軌道修正する。その積み重ねが、振り返ったときに「あの選択は正解だった」と言える未来を呼び込むんです。



なるほど…。正解は選んだときには存在しない。だからこそ、今は正解に向かっている道中だという意識で動き続けることが大事なんですね。



そうです。そこで立ち止まったまま悩み続けても、ただ時間が過ぎるだけ。でも一歩踏み出せば仲間ができたり、もう一歩踏み出せばスキルが身についたり、思ってもみなかった景色が広がる。そうやって正解に近づいていけるんです。



今日のお話を通じて、「主人公思考」で動き、「線引きのあるギブ」で人と関わり、AIを良きパートナーにしながら、意識的に「余白」を設計する。このメソッドで、どんな選択も後から正解にできるとわかりました。



ええ。だから、「正解かどうか」で迷うよりも、まずは動くことです。不安のまま止まっている時間より、自分で動いて培った経験のほうが、確実に自分を前に進められますからね。



はい、何だか私も、自分の人生は自分が主人公なんだという意識が芽生えてきました。理想の未来に向けたゲームメイク、これからも楽しんでいきたいと思います!今、キャリアに迷う人にとっても、今日の横溝社長のお話はきっと転機につながるはずだと思いました。貴重なお話をありがとうございました!

