チーム生産性を最大化するための緩衝材役に徹する|株式会社プロフェース・システムズ 総務&採用担当 越智さんが語る”サポーターとしての生き方”

仕事をしていると、「自分の成果が目に見えない」「このままで評価されるのかな」と不安になる瞬間があります。特に20代で仕事の土台をつくっている時期は、正解も見えにくく、まわりのスピードにも焦りやすいものです。
そんななかで、周囲の変化に振り回されず、静かに現場を支え続けてきた人がいます。株式会社プロフェース・システムズで総務と採用を担う越智さんです。派手さはなくても、誰かの“やり残し”を拾い、困った人の前にそっと立つ。そんな働き方を20年以上続けてきました。
「評価は数字だけじゃない。続ける理由を一つ持てば、働き方は変わる。」と語る越智さん。若い人が明日から一歩動けるヒントを伺いました。
株式会社プロフェース・システムズ
総務・採用担当 越智 比呂志
長年事務系業務に携わり、人事・総務からコンプライアンスまで幅広い経験を持つ。現在は総務全般と採用を担い、引き継ぎが不足する環境でも土台を整え、働きやすい職場づくりを支える。社員や求職者にとって「安心できる最初の窓口」であることを大切にしている。
総務ひと筋の越智さんが会社に残り続ける理由

編集部越智さんは、周りのメンバーが変わってもずっと現場を支えてこられたそうですね。その原点を知りたくて…。まず、この仕事に関わったきっかけを聞かせてもらえますか?



僕はもともと、ずっと事務系の仕事をやってきたんです。人事や総務に加えて、コンプライアンスや情報保護の仕組みづくりもやっていました。



いわゆる、会社の裏側を支える仕事ですね。



そうですね。人事や総務がメインで、そのついでに「これもやってね」と言われる感じというか(笑)。コンプラ担当って何かの“おまけ”になりがちなんですけど、僕は、その地味さが嫌いじゃなかったんですよ。今は、採用から総務、社内の段取りまで、管理まわりを見ています。



おまけでも地味でもないですよ。立派な、縁の下の力持ちじゃないですか!



いやいやいや…(笑)。



本当ですって(笑)!



小さい会社なので、人の入れ替わりもあります。途中まで誰かが整えてくれても、その人が辞めるとまた中途半端に戻る。それをまた拾って整えるのが、僕の役目かなと思っています。



越智さんって、なんというか、すごく謙虚な方ですね…!



めちゃくちゃ条件がいいわけではないけど、すごく悪いわけでもない。でも、踏ん張りながらも、なんとか20年くらい続いてきた会社なんです。いろんな会社の色が混ざって、ちょっと濁った感じもあるけれど、ここからきれいな色にしていきたいな、という気持ちはありますね。



会社の「色」を整えるところまで見届けたいと。



そうです。どこまでできるかはわからないですけどね。せめて、「人が定着して、ようやく軌道に乗ってきたなぁ」と思えるところまでは見たいです。定年も近いですけど、そこまでは踏ん張りたいなと。



この記事を読む若い読者にとっては、「会社の色を整える」なんて、まだ意識しづらいかもしれませんね。



でもね、若いうちから「自分はこの職場で、どんな色を足しているのか」を少し意識すると、評価のされ方は変わります。仕事がうまく回るように一歩動ける人は、どんな現場でも重宝されますから。まずは、「誰かのやり残しを一つだけ引き取ってみる」ことですよね。コピー用紙を補充するとか、散らかった共有フォルダを少し整えるとか。それだけでも、周りの仕事が進みやすくなるんですよ。
引き継ぎゼロの現場で気づいた「土台を整える」仕事の価値





さきほど、人の入れ替わりが多いというお話もありました。引き継ぎは、やはり大変ですか?



大変というか…。うちの会社だけじゃないかもしれませんが、そもそも、ちゃんとした引き継ぎがないこともありますね。辞めると決めた人は、気持ちももう次に向かっているので。そういうときは残された資料だけ見て、「あぁ、この人はここまでやってくれていたんだな」と、感謝をしながら自分で読み解くのが、だいたい通例です。



時間を使って、丁寧に教えてもらえないこともあるわけですね。



そうですね。前の会社でも似たようなことはありました。きれいに整った状態からスタートできないことにストレスを感じたこともないわけではありませんが、「じゃあ、自分が土台を整えよう」と考えるようになりました。



土台を整える、ですか…。具体的には、どんなことを意識されて取り組んでいるのでしょうか?



ポイントは三つです。一つ目は、「足りなくなりそうなものを先に見つける」こと。備品や書類だけじゃなく、人の手も含めてです。二つ目は、「困ったときにすぐ出せる四次元ポケットを作る」こと。マニュアルやテンプレを少しずつ貯めておくんです。三つ目は、「誰が見てもわかる形にする」ことですね。



す、すごい…!まさに、現場のインフラですね。



でも管理部門って、売上を直接生むわけじゃないので、「お金を使う部署」と見られがちです。評価もしにくい。やって当たり前、目立たないのが普通です。



たしかに、売上をいくら上げたといったような定量評価とは違いますもんね。それでも、越智さんがずっと続けていられるのは、なぜでしょう。



誰かが楽になったり、困らなくなったりするのを見ると、それだけで嬉しいんですよ。「踏み台」と言うと聞こえが悪いですけど、僕を踏み台にしてくれていいから、若い人にどんどん前に出てほしいと思っています。



越智さん、そんな風に考えているんですね…!なんか、すごく感動しました…。



いやいや…(笑)。



表に出る仕事だけじゃなく、誰かが気持ちよく動けるように整える視点を持てる人は、どの職場でも信頼されると思います。特に若いうちは、派手な成果よりも、コツコツと積み重ねていくほうが、あとで効いてきそうだな、とも思うんですよね…!
怒られ役でもいい。緩衝材として若手を守りながら動く



お話を聞いていると、越智さんは「自分より他人を優先する」ことが当たり前になっているように感じます。それは、昔からですか?



そうですね。自分だけが得をするような動きをしても、あまり嬉しくないんです。結果として褒めてもらえるのはありがたいですけど、「俺が俺が」でいくタイプではなくて。



それでいて、評価は数字になりづらい。



そうなんです。やるべきことをやって、数字はずっと横ばい。でも、それでいいかなとも思っています。誰かが困っているところに先に立つ役回りって、やる人が限られるんですよ。だからこそ、「ここは穴場だな」とも思っていて。



穴場、ですか。



誰もやらないなら、自分がやればいいかな…と。社長とも、社員とも、ちょっと距離を取りながら間に入ることを意識しています。そういう立ち回りをしていると、何か困りごとが起きたとき、だいたいは僕のところに話が来ます。



なるほど…!社内のお困りごとは、まず越智さんに届くイメージですね。



うちは日本人と中国人の社員が一緒に働いていて、中国のスタッフは中国語が話せる管理メンバーに相談することも多いです。その人経由で、最終的にこっちに来る相談もありますね。管理部は今二人だけっていうこともあって、まず僕の耳に入ることが多いですかね。



若い社員から見ても、話しやすい存在なんだろうなと感じます。



どうなんでしょうね。前の会社で、「あなたは介護施設とかで、おじいちゃんおばあちゃんと話しているほうが向いてるかもしれないね」と言われたことがあります(笑)。強く命令するのは苦手なので、「一緒にやろうよ」というスタイルになりがちです。



新卒の方との関わり方も、まさにそのスタイルですよね。



そうですね。初めて新卒採用をしたとき、中国出身の女性が入ってきてくれました。その方は、入社前から「会社を見学したい」と積極的に連絡をくれたので、せっかくならちゃんと説明しようと思って。入社手続きや会社のルールも、時間をかけて説明するようにしました。



その丁寧さが、安心につながったのかもしれません。



うーん、そうだといいですね。もう一人、新卒で入ってくれた男性も、「こうしてほしい」と伝えるとちゃんとやってくれる子でした。二人とも、すごくいい方たちです。
SNSで若い感覚を学び直す。年代を超え、理解する姿勢





越智さんは、若い世代の価値観を知るために、X(旧Twitter)も活用されていると伺いました。



そうなんです。正直、今の若い人の言葉や考え方って、放っておくと全然わからなくなります。ちょっと前に流行った言葉が、もう古いと言われたりしますからね(笑)。



わかります…私もついていけないときがあります(笑)。



なので、Xで若い人の投稿を見ながら、「今はこういうことを言うと喜ばれるんだな」「ここは触れちゃいけないんだな」と勉強しています。会社名も出して使っているので、余計に気をつけないといけませんね。



会社のアカウントも、最初は越智さんが運用されていたとか。



そうですね。最初は「こんにちは」と一言だけ投稿して、しばらく止まっていましたけど。



そこから、どう続けていったんですか?



あるとき、「完璧な情報じゃなくても、自分の目線で書けばいい」と思い直したんです。それで、電車がすごく混んでいたとか、採用の準備でこんなことがあったとか、日常のことを少しずつ書くようにしました。すると、SNSに詳しい人が「こういう発信のほうが伝わるよ」と教えてくれるようになったんです。



おぉ…!



若い人からのフィードバックが、すごく勉強になって。それから、書店でSNSの本を2〜3冊読んで、投稿の時間帯や内容も研究しました。



年代を超えて学び直すって、実は一番むずかしいところですよね。でも越智さんは、若い感覚をちゃんと取りに行っているのがすごいです。若い方を含め、多くの方が越智さんのところにヘルプを出すのも、納得ですね…!



正直、今の若い人たちの価値観は、僕も全部はわかりません。会社も完璧じゃないし、うちの社長にも良いクセがあります。でも、その中で「人をちゃんと見ている人」が一人いるだけで、職場の居心地は変わると思うんです。



たしかに、そのとおりですよね…。



それともう一つ、採用を担当する立場として大事にしていることがあります。僕はこれまでの会社で、良い採用担当者にも、正直あまり良くない担当者にも出会ってきました。採用って、入社前の“一番最初の接点”ですよね。そこで「この人でよかった」と感じてもらえるかどうかで、その後の働きやすさも変わると思うんです。だからこそ、うちを受ける人には慎重に会社を選んでほしいし、入社したあとに「ここにしてよかった」と思ってもらえるように、できるだけ丁寧に向き合いたいんです。
“続ける理由”を、一つだけでもいいから持って働いてほしい



越智さんのお話を聞いていると、「人をちゃんと見ている人が一人いるだけで職場は変わる」という言葉が、とても重みがあります。



本当にそう思うんです。会社って、仕組みよりも“人”で回っているところが大きいので。完璧じゃなくても、誰かの味方でいようとする人が一人いれば、全体の空気はぜんぜん違ってきます。



就活や転職の会社選びのときも、そこは重要な視点になりそうですね。



そうですね。もし働く場所を選ぶなら、「裏方の人が疲れ切っていないか」を見てみるといいですよ。総務でも現場のリーダーでも、その人が笑顔で動いている会社は、まだ伸びしろがあります。



たしかにそうですよね。ちなみに、働き始めてから、若い方にはどんなふうにいてほしいですか?



最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。わからないことは「一緒にやってください」と頼めばいい。逃げずに続けていくうちに、少しずつ任される範囲が広がっていきますから。



続けること自体が、力になる。



はい。僕自身、定年はもう近いですけど、先ほどお話ししたように「人が定着して、会社の色が整っていくところを見たい」という気持ちがあるから、もう少し踏ん張れるんです。若い人も、自分なりの“踏ん張りたい理由”を一つだけ持っておくと、続けやすくなると思います。



その“理由”は、小さくてもいいんでしょうか。



もちろんです。「この先輩の力になりたい」とか、「このチームが好きだから」とか。どんな理由でも、自分の背中を少し押してくれる理由なら、なんでもいいんです。



越智さんが言うと、本当にしみます…。



そんな大層なことは言ってないですよ(笑)。でも、そうやって積み重ねてきた人は、最後にちゃんと信頼を勝ち取りますから。



今日は「緩衝材として人を守る」「土台を整える」という言葉が、特に心に残りました。たとえ派手さはなくても、縁の下の力持ちでいてくれる、そうして自分のことをしっかり見てくれる人がいるだけで、職場の流れは穏やかに変わっていくと思います。越智さんの姿勢から、“静かに支える力”の大切さをあらためて感じました。本日は貴重なお話、ありがとうございました。








