「誰もやっていないなら、僕が最初に火をつける」株式会社ベルタ 森谷取締役による“挑戦を形にするキャリアのつくり方”

新しいことを始めるとき、最初の一歩が一番重たい。

その最初の火をつけ続けてきたのが、ベルタの森谷取締役です。

ビジョンも仕組みもこれからつくる段階だった株式会社ベルタに飛び込み、声を拾い、事業と組織の形をゼロから整えてきました。さらに、挑戦と感謝を日常に落とし込み、仲間が動きやすい土台までつくってきたといいます。

挑戦を恐れない背中は、これからキャリアをつくる20代にこそ刺さるはずです。小さな一歩が大きな道につながる…。そんな実感を与えてくれるお話を聞いてきました。

お話を伺った人

株式会社ベルタ

取締役 森谷 悠平

営業・人事・マーケティングと領域を横断して経験したのち、2021年に株式会社ベルタへ。“誰より最初に火をつける”役割として事業と組織の基盤づくりを牽引。女性のライフステージに寄り添うブランド「BELTA」では、妊活・妊娠・産後・育児などの声を事業に反映し続け、累計150万人以上の女性を支援している。

目次

まだ形づく途中の組織で「火付け役」になった理由

編集部

森谷取締役は、営業から人事、マーケティングまで、いろいろな領域を横断してこられたとお聞きしました。まずは、そのキャリアの歩き方と、ベルタに入られた背景を教えてください。

森谷取締役

はい。ベルタには、2021年9月に中途で入社しました。それまでは約15年、人材業界で働いていました。

編集部

15年の中で、複数の部門を渡り歩いてこられたんですね。

森谷取締役

そうですね。最初は営業、そのあとスタッフィングやマーケティングにも挑戦しました。最後は、グループ全体の理念や文化をどう広げていくかを考えるチームを立ち上げていました。

編集部

組織づくりの核心に近いところですね。その経験が、今につながっていると。

森谷取締役

ええ。大手で長く働く中で、「世の中には、これからもっと良くなっていく途中の組織がたくさんある」と感じたんです。それで、すでに整った会社で守りに回るより、これから形づくっていく環境に入って、自分の力で動かしていくほうがやりがいがあると思うようになりました。

編集部

そこで、ベルタと出会われたと。

森谷取締役

共通の知人から、今の代表を紹介してもらったのがきっかけです。ベルタは2020年12月に分社したばかりで、ビジョンや理念もこれから固めていく段階でした。入社後は、まず会社としての方向性を言葉にしていくところから始めましたね。

編集部

まさに「火付け役」としてのジョインですね。

森谷取締役

そうですね。火をつける場所が本当にたくさんあって、「つけざるを得ない状況」だったというほうが近いかもしれません。

編集部

整った環境を選ぶ人も多い中で、これから伸びていく途中の組織を選んだのがとても印象的です。どんな場所なら自分の力を発揮できるのか…。20代が転職を考える上で大きなヒントになりそうです。

D2Cで集まる「声」が、次の事業アイデアになる

編集部

ベルタのビジネスモデルについても伺いたいです。女性のライフステージに寄り添うというコンセプトには、どんな背景があるのでしょうか。

森谷取締役

元々、ベルタは、ビーボという会社の中の事業でした。代表は、当初は「女性のために何か」というより、会社員を卒業して起業しよう、というところからスタートしたそうです。

編集部

なるほど、最初から今の形だったわけではないんですね。

森谷取締役

はい。アルバイト2人と「何しようか」と話しながら始めて、最初はコンタクトレンズの転売をしていたそうです。ただ、仕入れて売るだけで、これは自分たちのやるべき仕事なのか、と疑問が出てきた…。そこから「自分たちのプロダクトを生み出そう」と考え、コーティングなど、オリジナル商品を出していったと聞いています。

編集部

おぉ…!自分たちの「商品」を持つ方向に舵を切ったと。

森谷取締役

はい。そして今の大きな特徴が、D2C、いわゆるダイレクトトゥコンシューマーのモデルです。スーパーやドラッグストアを通さず、オンラインで直接お客様に商品をお届けしています。

編集部

間にお店を挟まないぶん、お客様の声がダイレクトに届くイメージです。

森谷取締役

まさにそこが一番の価値だと思っています。「置き換えダイエットで酵素ドリンクを飲んでました」といった声だけでなく、「3年付き合っている人がいて、そろそろ結婚したい」「妊活を始めたい」といった、次のライフステージの悩みも届きます。

編集部

商品そのものだけでなく、その後の人生の相談まで来るんですね。

森谷取締役

はい。だからこそ、「それならこういう商品やサービスで支えられるのではないか」と、次のアイデアが生まれます。妊活・妊娠・産後・育児といったライフステージごとに、お客様の声から事業が広がってきました。

編集部

声をしっかり拾う仕組みも、かなり工夫されていると伺いました。

森谷取締役

カスタマーサクセスのチームが中心になって、いい声も改善が必要な声も、すべてチャットワークなどで即座に共有しています。

編集部

専門家相談の窓口もあるんですよね。

森谷取締役

そうですね。薬剤師や助産師などの専門家に相談できる窓口があり、その相談内容も、社員であればいつでも見られる状態です。電話やLINEの対応後にはショートメッセージを送り、解決度合いやオペレーターへの評価もいただいています。

編集部

現場の声を、会社全体で見にいく文化なんですね。これはどんな仕事でも、「ユーザーの声を知っている人」が評価される時代に、20代が身につけておきたい感覚だと感じました。

「挑戦」と「感謝」を、日常の仕組みに落とし込む

編集部

社内の雰囲気についても伺いたいです。お話を聞いていると、女性の声がすごく届きやすい環境なのかなと感じました。

森谷取締役

ベルタの文化を一言で表すと、「挑戦と感謝」です。

編集部

かっこいい言葉です。どんな意味が込められているのでしょうか?

森谷取締役

「挑戦」は、自己満足の挑戦ではなく、お客様の価値をどれだけ増やせたか、という視点です。売上や利益だけでなく、「お客様に届いた価値の総量」が結果として数字になる、という考え方を浸透させています。

編集部

そのうえで、数字もきちんと見ると。

森谷取締役

はい。オンライン通販は法律のルールも多く、簡単な世界ではありません。その中で結果を出すには、やはり数字から逃げられない。評価制度でも、前期に比べてどれくらい数字を伸ばせたのか、目標にどれだけ挑戦し、どれだけ近づけたかを明確にしています。給与レンジも全社に公開しています。

編集部

やるべき基準がはっきりしているからこそ、挑戦しやすいんですね。もうひとつの「感謝」については、いかがですか?

森谷取締役

最近は、感謝の朝礼という場を週1回、グループ会社も含めて行っているんですよ。

編集部

感謝の朝礼、気になります。

森谷取締役

毎週、曜日ごとに10名強のメンバーがラウンジと呼ばれる社員休憩スペースに集まり、最近の感謝を共有する時間を設けています。感謝の対象は物、人、出来事なんでもOKな場です。

編集部

素敵な機会ですね…!どんなエピソードが印象に残っていますか?

森谷取締役

今日出ていたのは、エンジニアの男性が「アンパンマンに感謝しています」と話していて。

編集部

アンパンマン、ですか?

森谷取締役

小さいお子さんが、お母さんばかりに甘えてしまうそうなんです。でも「一緒にアンパンマン見よう」と言うと、自分のところにも来てくれる。それで「自分だけではダメだけど、アンパンマンの力を借りれば距離が縮まる」と感謝していました。

編集部

ほっこりしますね…。

森谷取締役

ほかにも、ふるさと納税を担当しているメンバーが、「お肉や野菜ではなく、ベルタの商品を選んでもらえたことがすごくうれしい」と話していたり。最大2時間の時間を設定していますので、笑いや新たな気づき、感動など毎日学びが多いです。

編集部

数字だけでなく、「感謝の言葉」が会社の空気に乗っている感じがします。こうした場に慣れておくと、20代のうちから「人に伝わる言葉でフィードバックする力」が自然と鍛えられそうですよね。

デジタルの仕事でも、リアルの温度を確かめ続ける

編集部

ベルタさんは国内だけでなく、海外にも挑戦されてきたと伺いました。

森谷取締役

そうですね。これまでにフィリピンで拠点運営にも取り組みましたし、今は国内からの越境ECでシンガポールやマレーシアに届けたり、卸売の形で展開したりと、形を変えながら前に進めているところです。

編集部

現地で得た学びを踏まえて、やり方を組み替えているイメージですね。

森谷取締役

はい。「やめる」のではなく、どこを整えれば次の挑戦につながるかを考えるフェーズだと思っています。海外は特に、国ごとに制度や文化が違うので、柔軟にアップデートし続けることが大事だと感じています。

編集部

国内でも、「目的商材ならではの特徴」があると伺いました。

森谷取締役

そうなんです。妊活・妊娠・産後のお客様が中心なので、妊活が進んだり、妊娠・出産を迎えたりすると、次のステージのケアに切り替わるケースが多いんですね。

編集部

ライフステージの変化に合わせて、必要な商材やサービスも移り変わっていきますよね。

森谷取締役

はい。だからこそ、その先まで支えられる事業づくりが必要だと考えています。今は、ベビー用品のレンタル、知育玩具のサブスク、産後ケアの事業などをグループに持ち、分社独立も進めています。

編集部

ライフステージが進むほど、グループとして支援の幅が広がるような構造ですね。

森谷取締役

妊活の悩み、子育ての教育やお金、住宅、老後など、悩みは変化し続けます。その変化に合わせて寄り添える商品やサービスを増やし、最終的には生活の基盤を支える存在に近づけたら…と思っています。

編集部

オンライン中心のD2Cでも、奥にはリアルな暮らしがありますよね。

森谷取締役

そうですね。僕たちの仕事は、画面の向こうにある「生活の温度」を常に想像することだと思っています。データだけではなく、生身の声にも触れ、現場の空気を思い浮かべる。その二つを行き来できる人は、これからどんな仕事でも強いと思います。

「キャリアは結果論」目の前の仕事から道をつくる

編集部

最後に、キャリアに悩む20代へメッセージをいただきたいです。学歴やスキルに自信が持てず、踏み出せない方も多くて。

森谷取締役

キャリアは結果論だと思っています。

編集部

結果論、ですか。

森谷取締役

よく「キャリアビジョンを描こう」と言われますが、思い描いた通りに進む人は多くないですよね。それよりも大事なのは、目の前の仕事にどう向き合うかだと思います。

編集部

日々の姿勢が次につながる、と。

森谷取締役

はい。やり抜く姿勢が信頼をつくり、その信頼が次の仕事や人を連れてきます。あとから振り返ったときに、それがキャリアになっている感覚です。

編集部

まずは今の仕事で、何をやり切るかを決めることですね。

森谷取締役

そう思います。「年収を上げたい」などの目標も大事ですが、結局は日々の積み重ねですから。

編集部

では、そのご意見も踏まえて、今後どんな若い方と働きたいと感じますか?

森谷取締役

ベルタは、どちらかというと「考える前に行動する」タイプの会社です。1週間悩んでから出すアウトプットより、1日目に「こんな感じでどうですか」と見せて、フィードバックをもらいながらブラッシュアップしていくほうが、圧倒的に成長できます。

編集部

わかります。とはいえ、「完璧じゃないと出しちゃいけない」と思ってしまう人も多そうです。

森谷取締役

「できていないと思われたくない」という気持ちはわかります。でも、隠すほど自分が困ります。早く出して、一緒に改善したほうが信頼も得られます。

編集部

森谷さんご自身も、チームに助けられる瞬間はありますか?

森谷取締役

たくさんあります。経営と社員って、やっぱり同じ目線でいるわけではないんですよね。僕が「こういうことをやりたい」と思っても、すぐには伝わらない…。そんなときに、マネージャーやリーダーが間に立ってくれます。

編集部

通訳のような存在ですね。

森谷取締役

はい。直接ではなくても、噛み砕いてメンバーに伝えてくれたり、僕の知らないところで動いてくれたり。「今、現場でこういうことが起きています」と教えてくれたり。そういう人たちがいるからこそ、会社は前に進める。最近は特に、その存在に感謝しています。

編集部

今日は「これから形づくる組織に飛び込んで火をつける」「挑戦と感謝を仕組みにする」「キャリアは結果論」という考え方が特に印象的でした。上から指示するのではなく、「一緒に変えていこう」と動いてくれる人がそばにいる環境なら、20代でも安心して挑戦できますよね。明日からは、完璧を待つよりもまずひとつアウトプットを出してみること。そして1日の終わりに「感謝したいこと」を言葉にすること。そんな小さな積み重ねが、きっと数年後のキャリアを大きく変えてくれるはずです。

リンク:株式会社ベルタ_採用ページ

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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