スーパー店員からインテル・アップルを経て起業へ|英語と技術でキャリアを切り開いた株式会社WeLearn 山口社長に聞く「悔しさの使い方」

毎日スーパーや接客の現場で働きながら、「この給料で家族を守れるのか」「このまま一生ここなのか」と不安を抱えている20代は少なくありません。

くたくたになりながら真面目に働いていても、学歴や肩書きだけで雑に扱われてしまい、悔しさを飲み込んでいる人もいるはずです。

その悔しさを、英語と技術の勉強に変えて道を切り開いてきたのが、WeLearn株式会社の山口社長です。

新卒でスーパー店員からキャリアをスタートさせ、インテル、アップルを経て起業に至るまで、どんなふうに「自分の武器」を決めてきたのか。今回は、当時の自分と同じように悩む20代に向けて、そのリアルなプロセスを伺いました。

お話を伺った人

WeLearn株式会社

代表取締役 CEO 山口 寛太

埼玉県上尾市出身。法政大学経済学部卒。スーパー店員としてキャリアを始め、その後Intel、Apple、Symantecなど外資IT企業で約25年間勤務。海外本社勤務やCFO職を経験したのち、Apple時代のストックオプションを原資に、2019年にWeLearn株式会社を創業。外資系企業の役員室を出て一人のエンジニアとして現場に立ち、日本のエンジニアを尊重できる職場・社会づくりを目指している。現在も大手製薬会社の大型システム海外展開を直接支援。

目次

スーパー店員から「このままでは家族を守れない」と気づくまで

編集部

山口社長はインテルやアップルなどの大手企業を経験されてきたとのことで、ご経歴にとても興味があります。キャリアのスタートは、一体どんな感じだったのでしょうか?

山口社長

最初はスーパーです。大手だったので、売り場で店員もやりつつ、本社側の仕事もあるという形でした。

編集部

スーパーの店員からスタートしたのは、ちょっと意外でした…!

山口社長

本社採用ではありましたが、現場にも普通に立っていましたね。

編集部

実は、スーパーや接客の仕事をされている方で、給料面で不安を感じて弊社にキャリア相談に来る…といったケースがとても多いんです。当時の山口社長も、やはり将来が心配だったりしましたか?

山口社長

そうですね。初任給は18万とか19万とか、そのくらいの時代でした。私自身はすでに結婚もしていたので、「このままスーパーの店員として働き続けて、家族を食べさせていけるのか」という不安は、正直ずっとありました。

編集部

家族を養っていく責任もある中で、その金額だと不安になりますよね…。ちなみに、職場の人間関係や評価はどうでしたか?

山口社長

本社には、いわゆるエリートと呼ばれる先輩が多かったんです。私は法政大学出身だったのですが、もっと「いい大学」を出た人が中心で、扱いとしてはかなり雑でした。挨拶の角度がどうだとか、理由がよくわからないことで怒られたりして、「大学名だけで人を判断するんだな」と感じることも多かったです。

編集部

学歴だけで判断されるのはつらいですね。そうした不安や悔しさが続く中で、「このままではまずい」と感じ始めたのでしょうか。

山口社長

そうですね。新入社員のころは、いじめに近いこともありましたし、正直「ここにいても、ずっとナメられたままなんだろうな」と思いました。給料の不安と、人としての扱われ方の両方が重なって、「このまま会社や上司に不満を言っていても何も変わらない。自分の側を変えないと」と考えるようになりました。

編集部

「不安や悔しさを、そのまま我慢だけで終わらせない」という視点は大事ですね。今の会社に違和感があっても、自分の武器を決めて動けば、働き方や評価は変えられるはずだと思うんです。

悔しさを英語と技術の勉強に変えた新人時代

編集部

ここから実際に、山口社長がどうやって自分を変えていったのかを聞いていきたいです。「自分を変えよう」と決めたあと、最初にどこから手をつけたのでしょうか?

山口社長

一番最初は英語でした。もともと英語は好きだったのですが、本気でやろうと決めたのは、さっき話したような扱われ方がきっかけです。いじめられたり、理不尽に怒られたりする中で、「見返してやりたい」という気持ちも強くなりました。そこで「英語をとことん伸ばして、外資系に行こう」と腹をくくりました。

編集部

好きだった英語を「武器」に変えていったわけですね。具体的にはどのように勉強を進めていったのでしょうか。

山口社長

スーパーで働きながら、かなりがむしゃらに勉強しましたね。相当、根を詰めてやって…最終的には英検一級まで取りました。TOEICは960点ですね。

編集部

英検一級にTOEIC960点…!!フルタイムで働きながら、そこまで勉強を続けるのは本当にすごいですね…!その英語と並行して、パソコンや会計も学ばれていたと伺いましたが、そこにはどういう意図があったのでしょうか。

山口社長

パソコンはもともと大好きで、自分でプログラミングを書いたり、パソコンを組み立てたりしていたんです。スーパー時代も、金銭関係の業務を任されていて、現場ではそのあたりで重宝されていたと思います。一方で本社では、さっき話したように学歴だけで扱いが決まるような感覚があり、そのギャップが大きかったんですよ。だから、「英語に加えて、技術や数字のスキルもあれば、どこに行っても通用するはずだ」と考えるようにもなったんです。

編集部

現場では頼りにされているのに、本社からは評価されない。そのギャップが、「技術をきちんと形にしよう」という意識につながったわけですね。

山口社長

そうですね。いろいろ試しましたが、結果的には「やっぱり技術があった方がいい」という感覚を強く持つようになりました。人間力という言葉もありますが、それは評価する側によって変わります。技術やスキルであれば、もっとわかりやすく仕事につながるので、そこを自分の軸にしようと思いました。

編集部

会社や上司に不満をぶつけるより、「市場価値を上げる」「技術で評価される自分になる」と決めたのが大きな転換点ですね。今の職場がしんどいと感じる人ほど、同じように「悔しさを勉強に変えて、自分は何を武器にするか」を一度決めてみると、次のキャリアの選択肢が広がっていきそうです。

インテルとアップルで実感した「技術と英語で戦う」キャリアの手応え

編集部

英語と技術を磨いた結果、外資系への転職につながっていくわけですね。

山口社長

はい。最初の転職先は、大好きだったパソコンの会社、インテルです。英語もパソコンも大好きだったので、その組み合わせで採用してもらえたような感覚です。先ほど触れた英検一級も含めて、英語力はかなり評価されたと思います。

編集部

インテルでのお仕事って、どんな感じだったんですか?

山口社長

もともとExcelが得意だったので、そこで結構目立っていましたかね。プログラミングやパソコンの知識も活かせましたし、英語もさらに磨き続ける中で、アメリカのインテル本社で仕事をする機会も得ました。スーパー時代にコツコツやってきたことが、ようやくつながった感覚がありました。

編集部

国内だけでなく、本社でも経験を積むことができたんですね。その後、アップルへ転職されたとのことですが…、インテルで順風満帆だった印象ですが、なぜまた転職に至ったんでしょうか?

山口社長

その時の転職のきっかけは、家族です。子どもが生まれるタイミングで、妻が先に日本へ戻ることになり、私もそれを追いかける形で日本に戻りました。そのときに選んだ会社がアップルだったんです。

編集部

アップル…今でこそ超ビッグ企業ですけど、当時のアップルは、今とはだいぶ違う状況だったと伺いました。

山口社長

そうですね。まだiPhoneが出る前で、アップルの株価はインテルの5分の1くらいでしたね。インテルの同期からは「大企業から子会社に出向するみたいだね」と笑われましたが、私はもともとスティーブ・ジョブズが好きだったので、「ここでやってみたい」と思って転職しました。

編集部

結果的に、その選択が独立への道にもつながったわけですね。

山口社長

ええ。アップルではストックオプションをもらえました。当時は正直「そんなに価値はないだろう」と思っていましたが、結果的にはかなりの額になり、その一部が独立の資金になりました。2006年末から2007年の頭くらいに、今の会社のもとになる事業をスタートしています。

編集部

スーパーでの悔しさから始まった英語と技術の勉強が、インテル、アップル、そして起業へとつながっていったわけですね…!なんだか、一冊のキャリアの物語を読んでいるみたいです…!

フルリモート組織とオンライン教育から見えた、これからの働き方

編集部

独立をして今のWeLearnを立ち上げられたわけですが、現在の働き方についても聞いてみたいです。みなさんは、普段どんなスタイルで仕事をしているんですか?

山口社長

基本的にはフルリモートですね。エンジニアも教育事業のメンバーも、全員がリモートで働いています。年に二回くらい、バーベキューなどのオフラインイベントがありますが、頻繁に集まるわけではありません。

編集部

なるほど。それだと日常の業務の中でのコミュニケーションは、どのように取っているのでしょうか。

山口社長

普段はSlackなどのオンラインツールでやり取りしています。月に一回、任意参加の社内ミーティングを就業時間中に開いていますが、参加するのはだいたい半分くらいです。飲み会の強制参加のような文化はなく、それぞれのペースで仕事に集中できる環境にしています。

編集部

今の世代のエンジニアや若いビジネスパーソンにとっては、かなり働きやすいスタイルですよね。事業の柱についても教えてください。

山口社長

一つは、セールスフォースの導入支援などを行うエンジニアリング事業です。もう一つが教育事業で、英語や日本語を教えています。英語は毎週日曜日にボランティアでレッスンをしていて、日本語は有料のクラスとして運営しています。

編集部

どちらも、山口社長ご自身の「得意分野」がそのまま形になった事業ですよね。エンジニアリングと語学の二本柱で、仕事と学びがつながっているのが印象的です。そんな中で、教える側の人材を採用するときには、どのような点を重視しているのでしょうか。

山口社長

人に教えるのが嫌ではないかどうか」は、見るようにしています。エンジニアリングでも教育でも、最終的には人に何かを伝える場面が多いので、そこに抵抗がない人を選ぶようにしている、といった感じですね。

編集部

場所に縛られず働きながら、人に教える場も自分たちでつくっているのが印象的です。会社の売上だけでなく、「学びの場をどれだけ増やせるか」を大事にしているんですね。

未経験者の第一歩は、英語か技術のどちらか一つから

編集部

ここまでのお話を聞いて、「技術が大事なのはわかるけれど、今の自分には何もない」と感じる未経験の20代も多いと思います。そういう人は、まず何から始めると良いでしょうか?

山口社長

私の考えでは、選択肢は大きく二つです。一つは、英語のような汎用性の高いスキルを身につけること。もう一つは、エンジニアリングのような技術に振り切ることです。どちらかと言えば、最初の一歩としては英語をおすすめします。

編集部

まずは英語からなんですね。その理由を教えてください。

山口社長

使える場面が多いからですね。多くの仕事で英語が使えれば、基本的には損をしません。私自身も、英語が好きで得意だったので伸ばしましたし、その結果として外資系への道が開けました。最初から完璧を目指す必要はなく、「これだけは頑張っている」と自分で言えるものをつくることが大切だと思います。

編集部

なるほど…。実際に採用する立場として、未経験の方を見たときには、どんな点が気になりますか?

山口社長

経験も技術もまだない段階で、年収やワークライフバランスなど条件だけを強く求める人は多いです。その前に、「自分は他人からどう見えるか」を一度立ち止まって考えてほしいとは思います。履歴書や職務経歴書に何が書けるのか、面接で何を語れるのか。そのあたりを整理してもらえると、お互いにとって話がしやすくなります。

編集部

たしかに、「自分を俯瞰して見る力」があるかどうかは、大きな差になりそうです。

山口社長

そうですね。たとえば、高校や大学を中退していても、TOEICで高い点数を取っている人がいたら、採用側は一瞬手を止めます。「集団行動は苦手なのかもしれないけれど、何か一つは本気でやってきたんだな」とわかるからです。技術でも資格でも、「これだけは続けた」とわかるものがあれば、学歴以上に説得力があると思いますよ。

編集部

環境だけ変えても、自分が変わらなければ同じ悩みにぶつかるということですね。

山口社長

その通りです。職場だけ変えても、スキルや考え方が同じなら、また同じ不満が出てきます。だからこそ、まずは英語でも技術でもいいので、一つの分野で努力してみてほしいです。難しく考えすぎず、今の職場で感じている悔しさを、その勉強に変えていくイメージですね。「何か一つに集中してきた自分」ができれば、それだけで数年後の選択肢は確実に広がると、経験から感じています。

編集部

スーパーの裏方からインテル、アップル、そして起業まで、悔しさを飲み込まずに静かに噛み砕いて、自分の力に変えてきた人の言葉には、正直ちょっと怖いくらいの説得力がありました。今の自分の立ち位置と、何を武器にしていくのかを、取材を終えたあともしばらく考え込んでしまう時間でした。山口社長、とても貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

リンク:WeLearn株式会社_採用ページ

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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