「コンフォートゾーンにいても成長はしない。」株式会社シャコウ 太田翔葵社長が語る、複利で積み上げるキャリア論

将来のために資格もスキルも大事だとわかっているけれど、「そもそも自分はどこを目指して動けばいいのか」がわからない…。
そんなお悩みを抱えたまま、気づけばコンフォートゾーンから出られていない20代も多いのではないでしょうか。
19歳で「社長と自分ほぼ2人だけ」の立ち上げ1か月目ベンチャーにインターンとして飛び込み、その後、事業責任者・フリーランスを経て株式会社シャコウを立ち上げた太田翔葵さんは、「発射角度」と「複利」をキーワードにキャリアを積み重ねてきた経営者です。
今回はそんな太田社長に、初めての仕事や次の転職先をどう選べば5年後・10年後にちゃんと積み上がっていくのか、給料や楽さだけで選ばずにあえて少ししんどい環境を取りにいく判断軸などについて伺いました。
株式会社シャコウ
代表取締役 太田 翔葵
明治大学を中退後、19歳で創業まもないベンチャーに飛び込み、Webメディア事業やBtoBtoCマッチング事業の立ち上げ・事業責任者を経験。2022年に、BtoB事業に特化した伴走型グロースカンパニー・株式会社シャコウを設立し代表取締役に就任。スタートアップから大企業まで、企業価値の向上をゴールに、マーケティングと営業を一気通貫で支援している。
大学受験の挫折から、19歳で“社長と2人だけ”のインターンへ

編集部太田社長は、19歳のときにベンチャーに飛び込んで、事業責任者やフリーランスも経験されてきたと伺いました。そこに至るまでのご経歴や、どうして今の事業につながったのかを教えていただけますか?



もともと大阪出身で、関西の大学を第一志望にしていました。でも受験はうまくいかなくて…、滑り止めで受けていた東京の私立に進学することになりました。入学したときに、「このまま普通に4年間過ごしても、大企業や有名ベンチャーには行けないだろうな」とうっすら感じていました。でも資格を取るとか、英語をやるとか、いろいろ考えてみた結果、一番早いのは「社会に出てしまうこと」かなと。



そこで、インターンを選んだんですね。



はい。大学1年の終わりくらいからインターンを探して、いくつか受けて、たまたま受かったのが、創業1か月くらいの超初期ベンチャーでした。社長と僕、ほぼ2人だけの会社です。



大学1年でインターンをされたのも驚きですが、なかなかパンチのある環境ですね。



当時19歳で、社長が30歳前後。そこでやっていたのがSEOメディア事業です。検索から人を集めて、広告やアフィリエイトで収益を出すモデルでした。当時は流行っていたやり方なんですけど、会社としては本当にギリギリで。



赤字スタート、みたいな。



そうです。3ヶ月後にはキャッシュアウトの可能性もあるかもという話も出ていました。僕は大学に通いながらフルタイムで週40時間働いていて、終電や始発で会社に行く生活です。そうなると、だんだん大学に行かなくなって、休学して、インターンにどっぷりという流れになりました。



もう学生というより、ほぼ社員ですね。



感覚的にはそうでしたね。結果的にその会社は別のホールディングスに買収されて、事業としての一区切りを迎えました。大学1〜2年のあいだで、創業期のカオスや、会社が売却されるときの空気感まで一気に経験したのは、今振り返ると大きかったなと思います。



ベンチャー社長と二人三脚で走り続け、10代のうちに「会社の裏側」まで見たわけですね。
3年走り抜けた新規事業と、うまくいかなかった現実





買収のあと、一度エンジニアを目指された時期もあったとうかがいました。



はい。メディア事業だけずっとやっていたので、「一度ちゃんとエンジニアをやってみよう」と思ったんです。インターンで稼いだお金を全部プログラミングスクールにつぎ込んで、2か月コースを2週間くらいで終わらせて。そのあと個人開発やお手伝いをしながら、エンジニアとして就職しようとしていました。



聞けば聞くほど、太田社長ってバイタリティがありますよね…!実際、有名ベンチャーから内定も出ていたらしいですね。



そうです。ちょうどそのタイミングで、以前いた会社を買収したホールディングスから「新規事業を立ち上げてみないか」と声をかけてもらいました。「エンジニアとして生きるか、事業責任者として生きるか」の分岐点でしたね。



迷いますね…。どう決めたんでしょう?



エンジニアは、極端に言えばまた1年後でもなれる。でも新規事業の責任者は、ポジション自体がそうそう空かない。経験としてレアだなと思って、事業責任者の道を選びましたね。



その新規事業が、いわゆる「終活領域のプラットフォーム事業」だったんですね。



はい。お寺や霊園と、おじいちゃんおばあちゃんをマッチングするプラットフォームです。BtoBtoCのモデルで、サイトをつくるプロダクト部分と、お寺さんへ営業して掲載してもらう部分、そして利用者を集めるマーケティング部分。最初はほぼ1人で全部やっていました。



テレアポして、訪問して、サイトの開発も見て、広告も打って…。かなりハードだったんですね。



そうですね。業界自体がかなりアナログなので、足で稼ぐ営業もかなりやりましたし、同時にSEOやリスティング広告も高いレベルで回さないといけない。3年くらい、本当に濃い時間でした。でも最終的には、事業を撤退しました。事業責任者としてPL(損益)の責任は持っていたんですけど、どれくらい攻めるか、どこまで投資するかといった判断は、最終的には経営側=株主が決めます。そこにズレがあった感覚は、当時からずっとありました。



自分はもっと攻めたいのに、ブレーキがかかるような感覚でしょうか。



そうですね。でも会社って、株主の論理で動くものです。お金の出し手が最終決定権を持つ。それ自体は正しい。だからこそ、「自分の考えるスピードで勝負したいなら、自分が株主の会社でやるしかないな」と腹落ちしました。



そこで初めて、「いつかは起業しよう」と考えたわけですね。



はい。ただその時点では、すぐ起業というより、一回外に出て落ち着こうくらいの感じでした。とはいえ、3年走り切って撤退した経験は、今振り返ると大きな財産です。



そうですね。すごくポジティブなことだと思います。若いうちにハードな経験やうまくいかないことなんかを経験しておくと、「なぜダメだったか」を言語化できて、次の仕事にそのまま生かせそうな気がしますね…!
フリーランスから法人化へ。BtoBマーケに絞った理由





そこからすぐに、今の株式会社シャコウにつながるわけではないんですよね。



そうですね。いきなり会社を作るのは怖かったので、まずはフリーランスになりました。さっきの新規事業でナンバー2だった同い年のメンバーと2人で、「フリーランス同士のチーム」みたいな形で動き始めたのが、今の会社の前身です。



最初から今のようなBtoBマーケ支援だったんですか?



そうですね。1期目は大企業の案件が多かったんですけど、売上の8〜9割は大手代理店さんの下請けでした。代理店が請け負ったBtoBマーケの案件で、ホワイトペーパーやSEOの企画制作を社員の体(テイ)でやる感じです。



営業コストはかからないけど、関係としては少し不安定なポジションですよね。



まさにそこです。リソースが足りなくなったら切られるし、代理店が自前で人を採用すれば仕事はなくなる。だから1〜2年目はそれをやりながら、「どうやって一次受けになっていくか」「自分たちのポジションをどう作るか」を考え続けました。



そこで出てきたのが、「BtoBマーケに特化する」という戦略だったと。



そうです。1期目に関わった案件のほとんどがBtoBで、ホワイトペーパーの制作がとても多かったんです。これって、BtoBマーケットの中でしか出てこない話で、BtoC中心の広告会社さんだと、そもそも経験が多くない領域なんですよね。



たしかに、専門でやっている会社はそこまで多くない印象です。



しかもコロナで展示会や訪問営業が止まり、BtoBでもデジタルでリードを取らないといけない状況になった。市場の需要に対して、「BtoBマーケだけやります」という会社はまだ少ない。ここなら、自分たちの経験を生かしつつ、勝負できると思いました。



そこから、マーケだけではなく営業の部分まで支援を広げていったんですね。



はい。BtoBって、マーケがどれだけリードを取っても、商談につながらなければ意味がありません。一方で、営業だけ強くても、母数となるリードがなければ動けない。マーケ会社は営業をやりたがらないし、営業会社はマーケをやらない。その間にすごく大きなギャップがあると感じていました。



だったら「マーケとセールスを一気通貫でやる会社になろう」と。



そうです。ホワイトペーパーもウェビナーも広告も、その後のインサイドセールスも含めて、全部を一つのチームで見る。BtoBの現場では、そこまでできるパートナーはまだ多くないので、僕らの強みになっていると思います。



すごい…。20代でこの領域に入ると、「売上をつくる流れ」を前工程から後ろまで丸ごと学べるので、どこに行っても通用する力がつきそうですね。
スキルより視座。複利で積み上げるキャリアの作り方





ここまで伺っていると、太田社長は「かなりのハードワーカー」という印象があるのですが、ご自身ではどう感じていますか?



周りから見るとそうかもしれませんが、根っこにあるのは知的好奇心だと思っています。仕事というフィルターを通して、世の中の構造を解きたいだけなんです。



構造、ですか。



今起きていることが、なぜこうなっているのか。流行っているものの裏側には、どんな仕組みがあるのか。そういうことを考えるのが好きなんです。逆に、自分が納得していないことに対しては、全然頑張れないタイプで。



カオスな状況でもインターンは頑張れた、というお話とつながりますね。



そうですね。大学に受かることはゴールではなく、あくまで手段でしかない。でもその先のイメージを持てていなかったので、「これ、本当に意味あるのかな」と5分に一回くらい考えてしまう。一方で、最初のベンチャーは「これをやらないと会社が死ぬ」という、本当に必要な仕事しかない環境でしたから。



無駄なルールに耐えるのが苦手なタイプだったりしますか?



うーん、どうでしょう。普通の会社だと、最初はどうしても「会社のルールを覚える時間」が多くなりますよね。それに耐えられる人もいるけど、僕はそういう人間ではないような気もします。ただ、その分、自分で考えるクセはかなり身についたと思います。



考える力、という意味では、前職の経営者の影響も大きかったそうですね。



そうですね。前職のホールディングス時代の代表は、今でもメンターのような存在です。その人から学んだのは、「スキルより視座が大事」ということでした。正直、その人自身は特定の職種のスキルがあるわけではない。でも視点が高いからこそ、優秀なエンジニアやメンバーが集まってくるんです。



若い人ほど「まずはスキル」と考えがちですが…。



もちろんスキルは必要です。ただ、「何のためにやるのか」「誰のためにやるのか」を考えずにスキルだけを追いかけると、かえって視点が低くなってしまう危険もあると思っています。



ゴールや前提を考えずに、目の前の技術だけを磨いてしまうイメージですね。



そうです。僕はいつも「複利で生きたい」と言っています。5年10年と積み上がっていくことだけに、できるだけ時間を使いたい。1回だけ勝てるものではなく、経験や信用、人とのつながりが積み上がるものを選びたい。



たしかに、仕事の評価も信用も、全部足し算ではなく掛け算になっていきますよね。



ただ、複利って指数関数的に増えるので、増え始めるまでが長くて、多くの人は、その前に諦めてしまう…。だからまず「世の中の構造がそうなっている」と理解するところから始めたほうがいいと思っています。



たしかに、20代のうちにこの感覚を持てると、同じ努力でも後半の伸びがまったく変わりそうですよね。ちなみに、シャコウさんの社内はフルリモートのメンバーも多いと聞きました。どんな人が合いそうでしょう。



案件ごとにチームを組んで、リモートでコミュニケーションを取りながら動いていきますが、ガチガチに管理しないと動けない人は、そもそも採用しないですね。もちろん仕事量は多いですが、やっている仕事の中身が「事業を前に進めること」に近いので、そこを楽しめる人なら合うと思います。



コンテンツ制作やインサイドセールスは、未経験でも挑戦できると。



はい。むしろ、大量のSEO記事をひたすら納品してきた人より、「お客さんの顔をちゃんと想像できる人」のほうが活躍していたりします。いい文章というより、「誰にどう届くか」を考えられるかどうか。ここは未経験からでも十分伸ばせる部分だと思います。
いつまでコンフォートゾーンにいる?





弊社のエージェントにはたくさんの転職・就職に関するご相談をいただくのですが、今まさに方向性に迷っている方に向けて、太田社長から一言メッセージをいただけますか?



そうですね。まず、「やりたいことを考えても、そう簡単には出てこない」と思ったほうがいいです。どんな仕事でも最初は下積みから始まるので、「これは本当にやりたいことか」と考えすぎると、何も始まりません。



たしかに、「まず1回やってみる」ステップを飛ばしてしまいがちですよね。



その上で大事なのが、環境選びです。たとえば東大に行く人って、中学受験からスタートしているケースが多い。でもそれは、子どもの選択というより、親の環境づくりの結果だったりする。



たしかに、自分で選べない環境もあります。



僕はずっと公立で、高校生になってから「京大行こうかな」と思っても、もう遅かったんですよね(笑)。でも、社会に出てからの環境は、自分で選べます。ここが大きな違いです。



働く場所を選ぶことは、自分の将来の「発射角度」を決める行為でもありますよね。



そう思います。給料が高くて楽そうな仕事を選ぶのか、3年はしんどいけれど経験としての価値が高い仕事を選ぶのか。どちらを取るかで、5年後10年後の見える景色は変わります。



とはいえ、「しんどい環境を選べ」と言われると、少し怖さもあります。



別に、ブラックな環境に行けという話ではないです。ただ、自分の基準から見て「ちょっと背伸びしないといけないな」「ここなら成長せざるをえないな」と感じる場所を選んだほうがいい、ということですね。コンフォートゾーンにいても、基本的に成長はしません。



コンフォートゾーンから半歩外に出る、くらいのイメージですね。



はい。大事なのは、「ベクトルだけは間違えないこと」だと思っています。10年後の自分をピンポイントで言い当てるのは難しい。でも、「明らかに違う方向だけは避ける」ことはできるはずです。



たとえば、「将来は事業をつくる側に回りたい」のに、ずっと単純作業だけを繰り返してしまうような。



そうです。5年頑張ったのに、なりたい姿から見てほとんど積み上がっていない。これが一番もったいないパターンだと思います。だからこそ、少し苦しいけれど、自分の将来像に近づきそうな環境を選ぶ。そこで愚直にやり切る。この繰り返しが、結果的に一番の近道になるのかなと。



怖さや不安はあって当たり前。その上で、一歩踏み出すかどうか。そこが分かれ目になりそうです。



不安があるのは、ちゃんと考えている証拠だと思います。大事なのは、不安を理由に立ち止まるのではなく、「じゃあどう一歩動くか」を決めること。19歳でインターンに飛び込んだときも、正直怖かったです。でも、あの一歩がなければ今の自分はいない。そう思うと、まずは小さく動いてみる価値は、十分あるんじゃないかなと思います。



今日は「早く飛び込むこと」「環境選びで発射角度を決めること」「複利で積み上がる仕事を選ぶこと」という考え方が、とても印象的でした。今の環境がコンフォートゾーンになっていないか見直してみたり、気になる会社のインターンや副業を1社だけ調べてみたりするところからでも、キャリアの景色は少しずつ変わっていきそうです。太田社長、今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!とってもエネルギーをもらえた時間になりました。
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