車の部品を売るだけじゃない。人を喜ばせて「沼らせる」仕事がしたい。|横浜商工株式会社・岩﨑社長のセカンドキャリア論

自分で選択してその仕事に就いたけれど、「この先10年同じように働くイメージが持てない」と感じてキャリア相談に来る20代の求職者がいます。

仕事内容そのものよりも、ノルマや人間関係とのギャップに悩み、セカンドキャリアを真剣に考え始める声も、私たちのもとに届いています。

そうした迷いに向き合い、自らも野球一筋から自動車部品の卸売という道を選び、「人を喜ばせること」を軸にキャリアを築いてきたのが、横浜商工株式会社 代表取締役社長の岩﨑智史さんです。

今回はそんな岩﨑社長に、カーライフパートナーとしてお客様を「沼らせる」仕事の向き合い方や、キャリア迷子から抜け出す一歩の踏み出し方を伺いました。

お話を伺った人

横浜商工株式会社

代表取締役社長 岩﨑 智史

神奈川を拠点に、自動車部品・機械工具の卸売・小売を行う横浜商工株式会社を率いる。創業は昭和20年。「お客様のニーズに応えたい」「お困りごとを解消したい」という想いのもと、三方良しの考えで課題解決に取り組み、社会と共に成長し続けている。自身も野球一筋の道からセカンドキャリアに踏み出した経験を持ち、「人を喜ばせること」を軸にカーライフパートナーとしてお客様を“沼らせる”関係づくりと、社員一人ひとりの挑戦を後押ししている。

目次

野球一筋からセカンドキャリアへ踏み出した理由

編集部

岩﨑社長は、今は横浜商工さんで自動車部品の卸売事業をされていますが、ここにたどり着くまでにどんな道のりがあったのでしょうか。

岩﨑社長

学生時代はずっと野球に打ち込んでいて、「自分は野球で生きていくんだ」と本気で思っていました。

編集部

まさに、野球一筋の青春だったんですね。

岩﨑社長

そうですね。ただ、現実は甘くなくて。ケガもありましたし、実力の差も感じて、「このまま野球だけでは食べていけないな」と痛感したんです。そこから一度、自分の将来が真っ白になりました。

編集部

それは、かなり大きなショックですよね…。

岩﨑社長

はい。でも、落ち込んでいるだけでは前に進めません。そんな時に、ご縁があって今の会社を紹介してもらいました。車の部品の卸売なんて、正直イメージもつかなかったです。ただ、「生活に欠かせない車を支える仕事」という説明を聞いて、興味がわいてきたんですね。

編集部

最初から「ここでやっていこう」と決めていたわけではないんですね。

岩﨑社長

ええ。いきなり腹をくくれたわけではないですが、「自分に何ができるか」を一つひとつ確かめてみようと思いました。野球で培った体力や粘り強さ、人とチームで動く力は、どの仕事でも武器になるはずだと。

編集部

一度身についた力はどんな仕事でも生かせる、ということですね。仕事って「この会社に入るかどうか」ではなく、「自分の力をどこでどう使うか」で、そこに気づくと、セカンドキャリアも前向きに選べるようになりそうだと感じました。

理想と現実のギャップで折れそうな時の考え方

編集部

私たちのところにも、「学生時代から憧れていた業界に入ったけれど、現実がきつくて辞めたい」という相談がたくさん届くんです。社長も、野球の道をあきらめる時には似た感覚があったのではないでしょうか。

岩﨑社長

ありましたよ。「こんなはずじゃなかった」「もっとやれるはずだった」と、かなり引きずりました。頭では切り替えなきゃと思っても、心が追いつかないんですよね。

編集部

そうですよね…。そこから、どうやって気持ちを切り替えていかれたんでしょう。

岩﨑社長

僕の場合は、一人で静かに自分と向き合う時間をつくったのが大きかったです。いきなり答えを出そうとするのではなく、「自分は何をしている時に一番うれしいのか」「どんなことが好きで、得意なのか」を、何度も自分に聞きました

編集部

その問いを重ねる中で、見えてきたものはありますか?

岩﨑社長

野球そのものよりも、「自分が活躍して、人が喜んでくれる瞬間」が好きだったんだと気づいたんです。ホームランを打って仲間や観客が喜んでくれる。あの感覚が忘れられなかった。つまり、僕の原点は「人を喜ばせること」だったんですね。

編集部

競技じゃなくて、「人を喜ばせたい」という感情が軸だったわけですね。

岩﨑社長

そうです。そう考えると、「別に野球じゃなくてもいいじゃないか」と思えるようになりました。お客様に喜んでもらえるなら、車の部品でも、全然かまわない。むしろ、もっと長く続けられるフィールドが見つかったという感覚でした。

編集部

たとえば、憧れの仕事を辞めたばかりの20代が、この話を聞いたらどう行動すると良いでしょう。

岩﨑社長

まずはショックを否定しないで、ちゃんと落ち込んでいいと思います。そのうえで、「あの仕事の何が好きだったのか」「どんな瞬間にワクワクしたのか」を紙に書き出してみる。肩書きではなく、感情に注目することです。

編集部

確かに、それなら今の仕事選びや転職活動にもつなげやすそうです。そうやって自分の原点が言葉になってくると、「同じ感覚を味わえそうな仕事」が見えてきますよね。理想と現実のギャップにやられそうな時こそ、自分の「好きの原点」を整理することが、キャリアを立て直す第一歩になりそうです。

「部品を売る」だけではない。「課題を解決していく」ということ

編集部

ここからは、横浜商工さんの事業について伺いたいです。御社は創業以来、単なる部品販売ではなく、「カーライフパートナー」を目指されているとお聞きしました。

岩﨑社長

そうですね。私たちは、部品を右から左へ流すだけの商社にはなりたくないと思っています。お客様である整備工場の現場、メカニックの方々が安心して仕事できるように、横で支える存在でありたいんです。

編集部

具体的には、どんな支え方をされているのでしょうか。

岩﨑社長

わかりやすいのは、在庫管理システムや委託在庫の仕組みですね。「必要な時に必要な部品がない」というのは、現場にとって大きなストレスです。そこを一緒に設計して、在庫のムダや欠品を減らすお手伝いをしています。

編集部

単に「売る」ではなく、「一緒に仕組みをつくる」というイメージですね。

岩﨑社長

はい。そこに僕らの「寄り添い力」や、人間力が必要になります。数字だけ見ていても、お客様の本当の困りごとは見えてきません。現場で話を聞いて、「このやり方だとスタッフさんが疲れてしまうな」とか、「このお客様にはこういう提案の方が合うな」と想像することが大事です。

編集部

社内の雰囲気も、そうしたスタイルに合う形なんでしょうか。

岩﨑社長

そうですね。体育会系のメンバーもいて、「とりあえずやってみよう」と一歩を踏み出す雰囲気があります。サークルや部活で本気で汗を流してきた人は、やっぱり強いと感じます。

編集部

とりあえずやってみて、そこからまた改善していくスタイルですね。

岩﨑社長

そうです。お客様の課題って、一発で正解が出るものばかりではありません。でも、「一緒に考えてくれている」と感じてもらえれば、信頼は少しずつ深まっていきます。

編集部

営業職やサービス職を目指している人にとって、「なにかを売るだけ」ではなく「課題を一緒に解く」というスタンスは、そのまま仕事の評価にもつながりそうですね。

変わり続ける自動車業界で、人にしかできない仕事

編集部

自動車業界は、ここ数年で大きく変化していると感じます。岩﨑社長は実際に事業をされていて、どんな変化を肌で感じていますか?

岩﨑社長

まず、車そのものがどんどん高度になっています。安全装置が増えたり、自動運転に近い機能がついたり。技術も法律も、かなり速いスピードで変わっていますね。

編集部

そうなると、整備工場さんなどのニーズも変わっていきますよね。

岩﨑社長

おっしゃる通りです。「今まで通りのやり方」だけでは通用しない場面が増えています。だからこそ、情報のアップデートや、新しい設備機器や工具の提案が求められる。私たちは、そうした変化をキャッチして、お客様にわかりやすく届ける役割を担っています。

編集部

DXや自動化も広がっていますよね。

岩﨑社長

そうですね。できるところは、どんどんDXや自動化に任せた方がいいと思っています。発注や在庫の管理など、機械の方が正確で速いところは、システムに任せる。それによって、人が「話を聞く」「関係をつくる」時間を確保するのが理想です。

編集部

人がやるべき仕事に集中するためのDX、という考え方ですね。

岩﨑社長

そうですね。AIやシステムは便利ですが、「このお客様は本当は何に困っているのか」を感じ取るのは、まだ人間の仕事です。表情や声のトーン、ちょっとした沈黙。そういうところから本音をくみ取れる人は、これからますます価値が上がるのではないかと思います。

編集部

まさに、「リアルな現場での感覚」を持っている人が強くなっていく時代ですね。デジタルの勉強も大事だけれど、「現場で汗をかく経験」はそれ以上に大事なのかもしれないですね…!

「お客様を沼らせる」には…

編集部

ここまでのお話を伺って、岩﨑社長がセカンドキャリアでも「人を喜ばせること」を軸にされているのがよくわかりました。この考え方は、キャリア迷子になりがちな20代にも大事な視点だと思います。最後に、そんな20代にどんなメッセージを届けたいですか?

岩﨑社長

そうですね。一番伝えたいのは、「一歩踏み出す勇気を大事にしてほしい」ということです。完璧な答えが出るまで止まっていても、状況はあまり変わりません。小さくても動いてみることで、見える景色が変わります。

編集部

たとえば、どんな一歩から始められそうでしょう。

岩﨑社長

今日からできることなら、「身近な誰か一人を喜ばせる」ことをやってみてほしいです。家族でも友人でも、職場の先輩でもいい。「この人が少し楽になるように」と考えて、行動してみる。

編集部

シンプルですが、すぐ実行できそうです。

岩﨑社長

仕事も同じで、「自分のため」だけだと、どこかで折れやすいんです。でも、「あのお客様のためにもう一歩頑張ろう」と思えると、踏ん張りがきく。僕はそれを、「お客様を沼らせる」と言っています。

編集部

沼らせる、ですか。なかなか印象的なキーワードですね。

岩﨑社長

はい。いい意味で、「この人に頼みたい」「この会社と付き合いたい」と思っていただける状態をつくる。約束を守るのはもちろん、想像以上の提案やフォローを続けていく。そうすると、お客様はだんだんファンになってくれます。

編集部

若い世代にも、「自分のファンを増やす」という感覚は刺さりそうです。

岩﨑社長

ファンを増やそうとすると、自然と勉強もしますし、行動も変わります。専門知識を身につけるのも大事ですが、「この人のために動きたい」と思える相手を一人見つけるだけでも、仕事の見え方はガラッと変わりますよ。

編集部

それなら、明日からの働き方も少し楽しみになりそうです。

岩﨑社長

完璧なキャリアプランがなくても大丈夫です。まずは、一歩踏み出す勇気と、「人を喜ばせたい」という気持ち。それさえあれば、セカンドキャリアはいくらでもつくっていけます。

編集部

お話を伺って、とくに「人を喜ばせる感情に立ち返ること」と、「小さくても一歩踏み出す勇気」というキーワードが印象的でした。身近な誰か一人を喜ばせて、沼らせる…。それを意識して行動していくことが、これからのキャリアの形成につながるかもしれません。岩﨑社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

リンク:横浜商工株式会社_採用ページ

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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