挑戦は小さな「壁」から始まる。株式会社デイズヌーヴェル・有坂社長が語る、”止まらない人”の考え方

「できない」と感じた瞬間、前へ進む歩みが思わず止まりそうになることがあります。そんなとき、株式会社デイズヌーヴェルの有坂社長はこう言います。

 できない、で止めない」。

営業から始まり、デザイン、映像、イベント、空間づくりへと領域を広げてきたその歩みは、一つの正解を追いかけるのではなく、「小さな壁を越え続ける」ことで形づくられてきました。なぜ幅を広げられたのか。どうやって“できるかもしれない”を増やしてきたのか。その思考と選択には、これから挑戦する人の背中を押すヒントが詰まっています。

お話を伺った人

株式会社デイズヌーヴェル

代表取締役 有坂 隆一

新卒で採用関連の営業職と並行してデザインの仕事にも関わり始める。営業とクリエイティブを並行しながら活動を続け、前衛的なパフォーマンスで海外公演を行うなど、幅広く表現の世界に挑戦。国際的な数々の舞台経験を行う最中、イベントやデザインなど一貫したクリエイティブ制作の依頼が増えたことを機に、株式会社デイズヌーヴェルを設立。クライアントと並走しながら、ブランディング・WEB・映像・グラフィック・イベント・展示会ブースの企画制作まで、多角的なクリエイティブを手がけている。

目次

社会人初期、学生時代の演劇経験が、営業×デザインの二刀流を支えた

編集部

有坂社長は今、WEBや映像、展示会の空間デザインまで一貫して手がける事業をされていますが、社会人の最初はどんな立ち位置だったんですか?

有坂社長

大学卒業後は、新卒採用のPRに関わる会社入社しました。採用媒体を提案する営業ですね。成績もそれなりに成果を出していました。

編集部

営業としては、順調なスタートだったんですね。

有坂社長

やはり営業は数字で評価される仕事でしたので、やればやるだけ結果は出やすかったです。

編集部

その一方で、裏でデザインの仕事もされていたと。

有坂社長

はい。ご縁があって、大手のビール会社の関連ポスターの案件を受けたんです。

編集部

社会人になりたてで、いきなりポスター制作って、なかなかないですよね。

有坂社長

たしかにそうですね。学生時代にデザインを専門で学んでいたわけでもないですし…。

編集部

それでも引き受けたのは、すごい決断だなと思います。正直、不安はなかったですか?

有坂社長

むしろ怖さよりも面白さの方が勝ちましたね。学生時代から演劇活動を行なっていて、自ら集団を率いて公演の演出・出演、それにチラシやポスター制作はしていました。作ったチラシが雑誌で掲載されたこともありました。だから「完璧じゃなくても、形にはできる」という自信はありました。

編集部

なるほど。過去の経験を通して得た感覚が、別の場所で生きたんですね。20代の仕事にも効きそうな話です。最初の数年で「できるかも」を増やしておくと、選べる仕事が増えますよね。

多数のメディア掲載と海外60公演が、人生の方向を変えた

有坂社長

営業職の仕事をやりつつ、オフには当時、演劇活動をやり続けていました。その中で、少しずつ反応が変わってきた感覚があって。

編集部

反応というと…?

有坂社長

時には異常とも言える小空間で、時には大空間で上演する機会が増えたんです。雑誌や新聞にも取り上げられるようになって、ある作品では1作品で数えたら30本以上掲載される機会もありました。

編集部

30本…!すごいです…!

有坂社長

そうなると、このまま会社員を続けながらやるのか、それとも一度きちんと表現活動と向き合うのか…判断しないといけない段階に来たなと思い、ちょうどその時期に、結婚も重なりまして。

編集部

一度、立ち止まって考えるタイミングですね。

有坂社長

そうですね。結婚が理由というより、判断を先延ばしにできなくなった、という感覚で。中途半端な状態を続けるより、一回区切りをつけようと思いました。仕事の向き合い方と同時に、表現の向き合い方にも大きな変化が生まれ、従来の演劇から、言葉を使わない身体表現=パフォーマンスと次第に移行していきました。当時はコンテンポラリーダンスのカテゴリーに分類されながらも、その前衛性ゆえに、既存の枠には収まりきらない表現として扱われていました。

編集部

言葉を使わないパフォーマンスですか…?

有坂社長

コンセプト・スクリプトはあるものの、セリフは使わず、身体の動きや間、空間構成、観客の使い方も考えた表現です。言語って便利ですけど、国や文化で分断も生むので、それを最初から外したらどうなるかを試してみたかったんです。それが、最初に海外上演の場所に選んだフランスでは大きな反響がありました。そこで初めて、勤めていた会社を離れてパフォーマンス一本で海外に挑戦する決断をしました。

編集部

そこで決意を固められたんですね。

有坂社長

ええ。結果的に、フランスの国際ダンスビエンナーレでの上演も踏まえ、年間5〜60公演くらいやりました。ドイツやイギリス、ポーランド、スイス、韓国にも招聘してもって。そうやって海外で活動して、日本に戻ると、今度は「イベントをやってくれないか」「デザインをお願いできないか」と、以前の仕事の延長のような依頼がまた入ってくるようになったんです。

編集部

すごい…。だいぶ規模が変わってきましたね。

有坂社長

ただ、個人のままでは受けきれない規模の案件も増えてきて、「会社じゃないと難しいですね」と言われることが重なりました。それで、じゃあ作ろうかと。立派な理由があったわけではないですけど、必要に迫られて会社を作り…、それが結果的に、今の事業につながっています。

「受注して依頼する」から「並走して導く」へ

編集部

会社としては、WEBからパンフ、映像、空間デザインまで、クリエイティブを一貫している印象です。ここまで広げたのには、どういった理由があるんでしょう?

有坂社長

最初に採用系の営業の仕事をしていた時、自分が受注して制作部に依頼するだけの形が多かったんです。でもそのとき、クライアントと並走すれば、もっとビジネスは広がると思ったんですよね。

編集部

並走、というと…?

有坂社長

ディレクションも含めてクライアントと一緒に考えることです。そうすると関係が深くなって、別案件の紹介にも繋がりますし。

編集部

たしかに、信頼が増える動きだと思います。

有坂社長

あと正直に言うと、仕上がってくる制作物に「自分でもできるのに、このレベルか」と思うこともありました。

編集部

自分でやれるからこそ、気になる部分があったわけですね。

有坂社長

そうです。終始自分が関わった方が、クオリティも上がるし、相手の課題解決に深く踏み込める。そう思ったんです。

編集部

その延長で、ディスプレイやデジタルサイネージも扱うようになったんですね。

有坂社長

そうです。展示会って、その場だけきれいに見せても意味がなくて。来る前の情報の出し方から、当日の体験、その後どう印象が残るかまで、全部つながっていないと効果が出ないと思っていて。

編集部

前後も含めて、設計するということですね。

有坂社長

そうです。だからサイネージも、機材を置いて終わりじゃなくて、映像の中身や、当日のオペレーションまで一緒に考える。そこまでやらないと、伝えたいことは届かないと思っています。

「壁を作る人」が強い。二刀流三刀流の発想

編集部

営業とクリエイティブを同時にやってこられたお話や、やったことがないことにも着手されてきたお話を聞くと、有坂社長のひとつの形にとらわれない姿勢がとっても印象的です。そうした柔軟さを持つために、何か意識していることってあるんでしょうか?

有坂社長

そうですね。「できない」と思って行動に移さないのが一番の問題です。できない方向に心が向いた瞬間に、すべてが止まってしまいますから。ですから、行こうとする方向の反対も考えることです。右に行くなら左も意識する。前に行くなら後ろも意識する。常に両側を見る感覚というか。さらに、自分を一歩引いた位置から捉える、第三者の視点を持つことが大切だと感じます。

編集部

物事を俯瞰して捉える力、ということですね。

有坂社長

そうです。そうすると「できない」は「まだ手順がない」に変わります。やり方がないなら、自分で作ればいい。

編集部

なるほど…!まず決めつけで入らないこと。これが大事ですね。

有坂社長

ええ。それに加えて、「あえて自ら壁を作ることが大事」だと考えています。

編集部

壁、ですか?

有坂社長

人は遅かれ早かれ、必ず何らかの壁に直面します。であれば、最初から自分で乗り越えられる壁を設定し、越える訓練を重ねていく方がいい。もちろん、現実離れした高すぎる壁では意味がありません。しかし、少し背伸びをすれば届く壁であれば、人は確実に力を蓄えることができます。

編集部

やってみたことがないことでも、いきなり全部は難しいけどここまでならやれそう、を見つけてチャレンジしていく、みたいな感覚ですね。

有坂社長

そう。二刀流三刀流で仕事もプライベートも一生懸命でいい。切り分けすぎず、いろんな軸で動いた方が人生は面白いと思います。挑戦して、直して、また壁を越える。その繰り返しが成長だと思うんですよ。

明日からできるのは、「アンテナ」と「接点」を増やすこと

編集部

これまでのお話を聞いていると、有坂社長も最初から明確な道があったわけではなく、試行錯誤を重ねながら、ご自身の形を作ってこられた印象です。そうした経験を踏まえて、これから挑戦していく20代の人に伝えたいことはありますか?

有坂社長

まずは、感受性のアンテナを広く張ることですね。たとえば街のサイネージやポスターやコピー。表現の設計や言葉の温度には必ず違いがあります。そういう違いを意識して見るだけで、感性が動きます

編集部

たしかに…。例えば電車の中吊り広告を見て「なんでこのフォントはこの色なんだろう」とか考えるだけでも、少し世界が広がりますよね。

有坂社長

ええ。「これは心に響く」「これは違和感がある」と整理して構わない。とにかくアンテナを張って多様なものに触れ、感じ取ることです。そうして蓄積された感覚を起点に、少し先の領域へ踏み出してみるのがいいと思うんです。たとえばWEBに携わっているなら、映像や空間表現へと視野を伸ばしてみる。近接する領域から段階的に広げていけば、成長は現実的なものになります。

編集部

「できない」と線を引くよりも、「どうすればできるか」を考えるほうが、前に進めますね。

有坂社長

その通りです。接点を増やすと、チャンスも増える。私自身もそうやって多くの仕事に繋がり広げ続けてきましたから。それと一つでいいので、毎日「なぜだろう」を増やしてみてください。問いを立てることで、思考は鍛えられていきます。

編集部

その問いや思考が、自分で壁を作る力・壁を乗り越える力にもつながりそうですよね。

有坂社長

そうです。小さな壁を置き、それを越える。越えたら、また次の壁に向かう。その反復が、やがて揺るぎない強さになります。

編集部

今日は「できない」で止めず、越えられる壁を自分で置くという話が印象的でした。  営業からクリエイティブ、そして海外まで挑戦を続けてきた有坂社長の言葉には、仕事を越えて生き方そのもののヒントがありました。貴重なお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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