「プラスチックと共に生きる仕事」を選ぶ理由|株式会社esa 管理部・小松さんが語るスタートアップの舞台裏

環境の仕事に興味はあるけれど、「何から手をつければいいのか」「そもそもどんな仕事なのか」がわからず、踏み出せない方は多いものです。
そんな思いを持ちながら、プラスチックを“減らす”のではなく“どう共存するか”を軸に事業を進めている企業に飛び込んだのが、株式会社esaの小松さんです。
かつては環境に関心がなかった彼女が、なぜ全く違う分野からこの世界に飛び込んだのか。
スタートアップの管理部として、まだ整っていない環境を一つずつ支えていく日々で何を感じているのか。その理由と、現場で見えた働き方のヒントを伺いました。
株式会社esa
管理部/採用担当 小松 浩美
約30年にわたりバックオフィス業務に携わり、前職ではプリント事業会社の管理部で経理や総務を担当。2025年1月に株式会社esaへ入社し、環境分野の未経験からスタートアップの管理部へ挑戦。現在は、入出金管理や勤怠・保険手続き、請求・支払い対応、イベント準備など、社内業務を幅広く支える役割を担う。プラスチックと「どう共存するか」を軸にしたesaの事業に共感し、組織の基盤づくりを日々支えている。
環境に無関心だった私がesaに転職した理由

編集部御社の「プラスチックと共に生きる」という考え方と、小松さんのキャリアの歩みを中心に伺っていきたいです。環境の仕事に興味がある20代の方にも、仕事選びのヒントになりそうですよね。まず、これまでのご経歴から教えていただけますか?



私は社会人になってから、もう30年ほど経っています。去年までは、まったく別の業界で、プリント事業会社の管理部にいました。いわゆるバックオフィスで、経理や総務の仕事をしてきました。



長く事務・管理のお仕事をされてきたんですね。そこから、今年の1月に御社に転職されたと伺いました。大きな決断だと思うのですが、きっかけは何だったのでしょう?



ご縁があって、弊社の代表からお話を聞く機会があり、取り組んでおられる事業の内容を聞いて、「すごいなあ、すごい事をされているんだなあ」と思いました。



環境分野への取り組みについてですよね。それまでもこういった分野に関心があったんですか?



正直に言うと、ほとんどなかったです。でも、「次の世代にどんな環境を渡せるのか」は、もう他人事ではないと思いました。



自分のこれからの働き方を考え直すタイミングでもあったわけですね。



そうですね。「プラスチックは環境に良くないものだから減らそう」ではなく、「便利だからこそ、技術でプラスチックを資源として循環させる、という考え方に、とても共感したんです。



まさに、御社の「withプラ」というキーワードですね。プラスチックと共に、という。



はい。焼却や埋立で終わらせず、もう一度活かす。その軸がはっきりしていたので、「この会社を支える仕事をしてみたい」と思いました。



環境に詳しくなくても、「考え方」に共感できるかどうかは、仕事選びの大事なポイントですね。若い求職者の方も、「自分が心から応援できる考え方かどうか」で会社を見ると、後悔の少ない選択ができそうです。
独自の技術に出会って気づいた「プラスチックとの向き合い方」



仕事を通じて、プラスチックに対する見方はどう変わりましたか?



一番大きいのは、「プラスチックは悪者ではない」ということを、実感として理解できたことです。ニュースでもプラスチック問題はよく取り上げられますが、「減らそう」「やめよう」という話が多いですよね。



レジ袋やストローの話題は、ニュースなんかでもよく出ていましたね。



そうですね。でも、プラスチックって本当に便利で、生活にも仕事にも欠かせない素材なんです。弊社の行っているのは、「どう活かすか」、つまり、これまで焼却や埋立しか選択肢がなかった混ざったプラスチックを、独自の技術で再び製品に活用できる原料にする「資源循環」です。



混ざったプラスチックって、普通は溶けないんですよね?そこを技術でなんとかしている、と。



はい。私も入社してから知ったことが多いのですが、プラスチックは種類によって性質が全然違います。本来は、一種類ごとに分けて処理しないといけない。結果として、焼却・埋立として処理されて、CO₂排出や生態系への影響を引き起こしています。



そこをどうにかしないと、ずっと「埋め立てるしかない」が続いてしまう。



そうなんです。日本のプラスチックリサイクルの現状として、7割が「燃やす・埋める」で処理されていて、“リサイクル”とは言えないんです。だからこそ、「もう一度資源として使えるようにする」という技術には、すごく可能性を感じました。



レジ袋をやめるかどうか、という議論だけでなく、「どう循環させるか」に目を向ける。そこで、企業の役割が出てくるわけですね。



はい。実際に自然環境を守る活動をされている大学生の方から物品協賛のお問い合わせをいただき、その際に再生原料HDゴミ袋を提供させていただきました。ご丁寧なお礼の連絡をいただいて、「少しでもお役に立てたんだな」とうれしくなりました。



自分の事務の仕事が、そうした活動の一部を支えていると思うと、仕事の意味が変わってきますよね…!
スタートアップの管理部で走りながら整える毎日



実際の「1日の仕事」のお話も伺いたいです。今は管理部として、どんな業務を担当されているのでしょうか。



私は管理部に所属していて、同じ部署には部長と村田さんという女性と、3人がいます。スタートアップなので、「誰が何をやる」と細かく決まっているわけではなくて、経理・総務・庶務・またどれにも分類されない業務を分担している形です。



走りながら仕事を作っていくフェーズですね。



はい。具体的には、入出金管理や給与計算、保険や勤怠の手続き、支払い・請求の処理などです。それに加えて、会社の認知を広げるためのイベントの事務作業もあります。



環境問題をテーマにしたイベントを、定期的に開催されているんですよね。



そうです。3カ月に1度くらいのペースで、環境について考えるイベントを開いています。イベントの担当者は別にいますが、準備やアンケートの対応など、裏側の仕事を管理部でサポートしています。



スタートアップだと、「自分の担当はここまで」と線を引きにくい一方で、会社全体を支えている実感も得やすそうですね。



本当に、細かいことを挙げたらキリがないくらい、いろいろなことをやっています。でも、会社が少しずつ世の中に知ってもらえて、賞をいただいたり、問い合わせが増えたりすると、「あのときの準備も、ちゃんと役に立っていたんだな」と思えて、すごくうれしくなります。



経営陣の方々も、バックオフィスへの感謝を言葉にしてくださると伺いました。



はい。「いつもありがとう」と言ってもらえることが多いです。私たちは表に出るわけではありませんが、「陰ながら支えることが好き」という方には、とても向いている環境だと思います。



20代の方の中には、「華やかな仕事じゃないと評価されないのでは」と不安に思う人もいます。でも、こうした土台づくりの仕事があるから、事業は前に進むんですよね。
場所に縛られない働き方でチームの距離を縮める



御社は、働き方もかなり柔軟だと伺いましたが、本社と工場の稼働体制についても教えていただけますか?



拠点は2つあって、本社が大手町、工場が茨城県の結城市にあります。工場は製造の現場なので、全員出社です。本社は、管理部の私と村田さんはほぼ出社ですが、他のメンバーは営業などで外に出ていることが多く、オフィスに一日中いる人は少ないですね。



たしかに、営業や経営メンバーは外部の方と会うことが多そうです。



代表は、分刻みのスケジュールでいろいろな方と会っています。他のメンバーも、弊社の取り組みを知っていただくために外に出ていることが多いです。なので、物理的には、みんなバラバラな場所にいる時間が長いですね。



その中で、どのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか。



社内のやり取りは、もともとはSlackで、今はGoogleチャットが中心です。何かあれば、すぐにオンライン会議を立ち上げて、全員が外から参加することもよくあります。



コロナ以降、「出社しない働き方」が一気に広がりましたが、御社はかなり早くからツールを使いこなしている印象です。



私はまだ、慣れないところもあって、たまに「どこから入るんだっけ」とまごまごしてしまうんですけど…(笑)。他のメンバーは本当に早くて、あっという間にオンラインに集まって、さっと決めて、さっと仕事に戻っていきます。横で見ていて、「すごいな」と思っています。



場所は離れていても、距離は近い。そんな感じですね。



まさにそうです。代表から最初に言われたのが、「場所を理由に、コミュニケーションをあきらめないでね」という言葉でした。距離を言い訳にせず、いつでも声をかけ合える関係でいよう、という考え方です。



それって、とっても素敵な言葉ですね…。デジタルツールが当たり前になった今、「場所を言い訳にしない」姿勢は、20代のキャリアにも直結すると思います。チャットやオンライン会議を自分から活用して、「わからないままにしない」「一人で抱え込まない」ことが、信頼される働き方につながっていきますね。
20代へ。一緒に未来を作りませんか?



お話を伺っていると、esaさんは「人」と「技術」と「環境」を丁寧につないでいる会社だと感じます。場所に縛られない働き方が根づいているのも、同じ方向を向いているからこそですよね。そうなると、これからの姿も気になります。事業の広がりとともに仲間も増えていくはずですが…、小松さんはどんな未来を思い描いていますか?



そうですね、人数は今後どんどん増やしていきたいと考えています。今は結城市の工場が1カ所ですが、いずれは他の地域にも広げていきたいという展望もありますし、再生したプラスチックを使った商品の開発も視野に入れています。



商品の開発まで見据えているんですね!事業の広がりとともに、関わる人も増えていくイメージですね。



はい。ただ、スタートアップなので、採用は「数を集めればいい」という考え方ではありません。同じ思いを持って、一緒に考えて、一緒に作り上げることを楽しんでくれる方に来ていただきたいと思っています。



未経験の方でも、入社のチャンスはありますかね?



正直、今は組織基盤を固めるため経験のある方にも協力をお願いしていますが、将来的には、若い方にもどんどん来ていただきたいです。若い方には経験よりも、「環境のことを自分ごととして考えたい」「スタートアップでゼロから仕組みを作ることを楽しみたい」という気持ちを大事にしたいですね。



環境の知識がなくても、大丈夫でしょうか?



大丈夫です。私もそうでしたが、入ってから学ぶことがたくさんあります。プラスチックひとつ取っても、「こんなに種類があるんだ」「こんな技術で再生できるんだ」と、毎日発見があります。だから、「知らないことを知るのが好き」という方には、きっと合うと思います。



なるほど。経験より、一緒に考えたい気持ちを大事にしているんですね。環境の知識がなくても大丈夫というお話を聞くと、「自分にできることは何だろう」と考える方もいそうです。



そうですね。まずは、自分の身の回りにあるプラスチックに、少しだけ目を向けてみてほしいです。仕事で使うファイルや容器、家の中の道具など、「なかったら困るもの」がたくさんあると思います。それを「なくす」のではなく、「どうやって長く使うか」「どうやって循環させるか」を考えてみる。その視点を持つだけでも、仕事の選び方や、ニュースの見方が変わってくるはずです。



仕事選びに迷ったとき、「自分がどんな未来を次の世代に渡したいか」を考えるのも、一つの軸になりそうですね。環境に限らず、「誰かの暮らしや働きやすさにつながる仕事かどうか」で会社を見ると、日々のモチベーションも変わっていきます。



はい。私自身も、次の世代のことを考えるようになって、この仕事を選びました。年齢に関係なく、「社会のためにできることを考えたい」と思っている方と、一緒に働けたらうれしいです。



今日は、小松さんがまったくの未経験から環境の仕事に踏み出した理由と、その背景にある考え方を伺うことができました。「プラスチックをなくすのではなく、どう活かすか」という視点は、仕事にも通じるものだと感じます。与えられた環境を嘆くより、どう扱うかを考えてみる。そんな小さな工夫が、20代のキャリアの土台にもつながっていくはずです。小松さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。
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