世界で使われるサービスを目指して|大学中退から22歳で起業した株式会社Kiva 野尻社長の挑戦

22歳で会社を立ち上げ、数年で業務自動化AIエージェント「SamuraiAI」をつくり、ローンチ初日からフランスの展示会に出した20代の経営者。株式会社Kiva代表取締役社長・野尻航太さんです。

札幌で育ち、大学を1年で中退して東京に出た野尻社長は、「世界で使われるサービスを自分でつくる」と決めてKivaを立ち上げました。

大学中退から起業までのリアルな決断のしかたや、日本と世界をどう見ているのか、AI時代に20代が何に時間を使うべきか。自分の仕事の選び方を考えるヒントを、野尻社長に聞いてみました。

お話を伺った人

株式会社Kiva

代表取締役社長 野尻 航太

北海道札幌市出身。大学を1年次で中退後、上京してウリドキ株式会社に入社し、新規事業まわりの業務を経験。2020年12月に株式会社Kivaを設立し、自社プロダクト「proteger」などのサービスを展開。現在は、業務自動化AIエージェント「SamuraiAI」の開発・提供に注力。「300年後も残る会社をつくる」というビジョンを掲げ、海外視察や顧客ヒアリングを通じて、現場の課題解決につながるプロダクト開発を進めている。

目次

大学中退して22歳で起業。世界で使われるサービスを目指して

編集部

野尻社長は22歳で起業されたとのことで…。若くしてかなりチャレンジングな選択だと思います。そこまでして会社をつくろうと思えた「なぜ?」の部分を聞かせてください。

野尻社長

僕は北海道の札幌で生まれ育って、大学には一度進学したんですけど、1年生のときに中退して東京に出てきました。東京では「ウリドキ株式会社」という会社に入り、新規事業まわりの仕事を経験させてもらっていく中で、「世界で使われるサービスを自分でつくりたい」と思うようになったんです。そこで、22歳のタイミングで起業しました。

編集部

22歳で起業って、正直かなり攻めた選択だと思うんです。野尻社長がそこで「やろう」と腹をくくれたのは、どんな理由があったからなんでしょう。

野尻社長

昔から、ギャップがある状況を見ると「やってみよう」と火がつくタイプだったんです。卓球をやっていたころから、うまくいかないときほど燃えるというか。満たされない感じがずっとあって、その延長線上に起業があった感じですね。

編集部

なるほど…、ハングリー精神が土台にあったんですね。

野尻社長

そうですね。それに、孫さんやイーロン・マスクの本を読んだことも大きいです。ただ、誰か一人を「絶対的な憧れ」にしないようにもしていました。

編集部

絶対的な憧れにしないというのは…?

野尻社長

背中だけ追いかけていると、一生その人を超えられない気がしていて。なので「この人のここがいいな」と思う部分を、いろんな人から少しずつもらうイメージです。そのうえで、今の自分の状況でできることをやる、というか。

編集部

一人のヒーローを真似するのではなく、自分なりに組み合わせていくイメージですね。

野尻社長

はい。全部を目指そうとすると苦しくなるので、「考え方を一つ借りて試す」といった感じですかね。

編集部

たしかに、そのスタート地点なら、今の自分からでも動き出せそうです。キャリアに悩む今の20代も、「完璧なロールモデル探し」ではなく、「考え方を一つ借りる」ところから少しずつ動いてみると、気持ちがラクになりそうですね。

海外を歩いて気づいた、日本と世界のギャップとチャンス

編集部

野尻社長は、海外にもよく視察に行かれていると伺いました。

野尻社長

そうですね。アメリカのサンフランシスコとかにも行きましたし、この前ローンチした次世代ワークフロー型AIエージェント「SamuraiAI」のときは、フランスの展示会にも出展しました。

編集部

ローンチしたばかりで海外の展示会に出すって、なかなか攻めてますよね。

野尻社長

日本の人口って約1億3千万人ですけど、それだけの市場でしか勝負しないのは、もったいないと思っていて。どうせやるなら、最初から世界のネット人口に届く前提で考えたいなと。

編集部

実際に海外を回ってみて、「日本とここが違うな」と感じたポイントってどこでした?

野尻社長

AIそのものは、向こうのほうが進んでいる部分も多いです。ただ、企業の中でどう使うかっていう意味では、どこの国もまだ手探りだなと感じました。日本だけが大きく遅れている、というより、みんな模索している途中という印象に近いですね。

編集部

「日本はもう負けている」とか、「全部海外発に持っていかれる」と悲観する声もよく聞きますが、野尻社長の感覚は少し違うんですね。

野尻社長

そうですね。「もう負けた」というより、「まだ決着はついていない」という感覚です。ビッグテックが勝つのか、新しいプレイヤーが出てくるのかもわからない。むしろ、これからゲームチェンジが起きる可能性もあると思っています。

編集部

その「まだ勝負はこれから」という見方は、働く若手にとっても救いになります。

野尻社長

日本は人口減少とか、ニュースだけ見るとネガティブな話が多いですけど、見方を変えればチャンスにもなります。国内だけでは限界があるなら、最初から海外も前提にして動けばいい、みたいな考え方もできますし。

編集部

状況を嘆くのではなく、「じゃあどう動くか」に意識を向けるわけですね。

野尻社長

そうですね。僕自身も、日本の人口減少を見て「じゃあ海外もちゃんと見に行こう」と思ったタイプなので。

編集部

20代のうちから、SNSやニュースだけじゃなくて、自分で現地を見に行ったり、海外のサービスを実際に触ってみたりすると、「日本と世界のギャップ」も「自分が狙えるチャンス」も見えやすくなりそうですね。仕事のフィールドを日本だけに決めつけない、という発想はかなり大きな武器になりそうです。

「SamuraiAI」で「作業」を任せる。人は本来やるべきことに集中する

編集部

そのSamuraiAIについて、もう少し詳しく聞かせてください。具体的には、どんなことができるのでしょうか?

野尻社長

SamuraiAIは、業務自動化のAIエージェントで、人がやっていた一連の仕事を、丸ごとAIに任せられるようにするサービスです。特徴の一つは、自然な日本語で業務フローをつくれることです。たとえば「このカレンダーから空いている日程を取ってきて、相手に候補を送って」と書くだけで、AIが動いてくれます。

編集部

さきほど画面も見せていただきましたが、日程調整が自動で進んでいて驚きました。

野尻社長

Googleカレンダーから空いている時間を取ってきて、候補を出すところまでやります。社内会議なら、複数人の予定を見て調整することもできます。

編集部

日程調整って、地味に時間がかかるんですよね。

野尻社長

そうなんです。本来は、打ち合わせの中身を考えるほうに時間を使いたいはずなのに、その前の作業でけっこう消耗してしまう。そこをAIに任せるイメージです。

編集部

他には、どんな使い方がありますか?

野尻社長

SNSの投稿や評判を自動で集めて分析したり、業界や企業ごとのルールに沿ったメルマガを自動で作成したりしています。人材系では、スプレッドシートのデータからパワーポイント形式の資料を作る業務もAIが代わりに行っています。

編集部

かなり幅広いですね…!

野尻社長

共通しているのは、「人がやりたいけれど、時間が足りない部分」をAIが支えることです。クライアントさんから「何を減らしたいか」「どこに時間を使いたいか」をヒアリングして、それをワークフローに落とし込んでいきます。

編集部

今あるシステムとの連携も、柔軟ですよね。

野尻社長

はい。いまは多くの会社さんが、すでに何かしらのSaaSやクラウドツールを使っています。SamuraiAIはブラウザを横断して操作できるので、新しく全部つなぎ直さなくても、今の仕組みを生かしたままデータを取ってこれます

編集部

それは、現場としても導入しやすそうです。

野尻社長

仕事って、本当は「データを集めること」が目的ではないですよね。集めたデータを見て、考えて、打ち手を決めていくところが本番です。その手前の作業は、AIにどんどん任せていいと思います。

編集部

たしかに、「AIに振れる作業はどこか」を意識すると、本来の仕事に集中しやすくなりそうです。いやぁ…それにしても本当にすごい時代になりました。

仕組みとチームで走る。エンジニアと営業が混ざり合う現場づくり

編集部

Kivaさんは「3か月で事業を立ち上げる」ようなスピード感も大事にされていると伺いました。その速さは、どこから生まれているのでしょうか。

野尻社長

一つは、エンジニアチームの力ですね。機械学習をずっと研究してきたメンバーが集まっていて、SamuraiAIもすべて自社で開発しています。

編集部

皆さん、開発だけでなく、ビジネスの目線も強い印象です。

野尻社長

そうですね。単に「すごい技術を作る」のではなく、「クライアントさんの課題をどう解くか」から逆算して考えるメンバーが多いです。

編集部

だからこそ、延長保証サービスprotegerのような既存プロダクトと、SamuraiAIのような新しい領域でも、強みが生きているんですね。

野尻社長

はい。もう一つ意識しているのは、部門を分けすぎないことです。製品チームと営業チームが分断されるのではなく、なるべくミックスして動くようにしています。

編集部

おぉ…現場の声が、ちゃんとプロダクトに届いている感じがします。

野尻社長

営業が、お客様の経営課題を聞いてくる。エンジニアは、それをどう機能に落とし込むかを考える。いらない機能は作らないし、本当に求められているものには優先順位をつけて、先に作っていきます

編集部

そのやりとりが、日常的に行われているんですね。

野尻社長

そうですね。タスク一つとっても、期限を決めて依頼するようにしています。そうしないと、やることが多い中で埋もれてしまうので。数字やスケジュールで管理する習慣は、すごく大事だと思います。

編集部

なるほど。そんな風に「締め切りを自分で決める」だけでも、仕事の進み方が変わりそうですね。

野尻社長

はい。完璧な計画よりも、「小さく決めて、早く動いて、直す」のほうが学びが多いと思います。

「やらされ仕事」から抜け出す。20代に伝えたい具体アクション

編集部

ここまでお話を聞いていると、野尻社長は「ずっと仕事モード」な印象もあります。どうやって私生活とのバランスをとっているのでしょうか?

野尻社長

よく聞かれるんですけど、あまり趣味がないタイプなんです。よくある「ゴルフでリフレッシュ」とかもなくて。家に帰ってからも、結局、他の会社さんの本を読んだり、どうやって伸ばしてきたのかを調べたりしています。ドン・キホーテさんのように、お金がない時代から工夫してきた会社の話は、特に参考になりますね。

編集部

休みの日も、考えることがそのまま「気分転換」になっている感じでしょうか。

野尻社長

そうかもしれません。逆に何も考えないほうが、そわそわしてしまいます。

編集部

今の20代のビジネスパーソンの中には、「仕事をやらされている」と感じて、しんどくなっている人もいます。そういう人たちには、どんなことを伝えたいですか?

野尻社長

まず、「自分がしたいからやっている」という前提に少しずつ近づけていってほしいです。いきなり全部は難しくても、一つのタスクだけでも「自分で選んだ」と思えると、かなり変わりますから。

編集部

たしかに、「やらされている」と思うか、「自分で選んだ」と思うかで、同じ仕事でも疲れ方が違いますよね。

野尻社長

それと、年上の人を敬う気持ちは持っていたほうがいいと思います。そのうえで、若い人にしか出せない価値もあります。たとえばスピードです。経験がない分、質ではまだ負けるかもしれません。でも、まずは早く動いてトライしていくことで、成長のペースは上げられると思います。

編集部

待っている時間を短くして、手を動かしてみるわけですね。

野尻社長

はい。20代のうちは、「完璧な正解」を探して止まるより、「まず一歩踏み出してみる」ほうがいいと思います。

編集部

今日この記事を読んでいる方も、明日一つだけ、「自分で決めた締め切りで、早めにアウトプットしてみる」ことから始められそうです。

野尻社長

そうやって小さく挑戦していると、気づいたら「やらされている仕事」から、「自分で選んでやる仕事」に変わっていくはずです。

編集部

今日は、「世界で使われるサービスを目指す」「AIに作業を任せて、人は考えることに集中する」「逆境もチャンスとして捉える」という野尻社長の視点が印象的でした。AIが当たり前になるほど、「何を任せて、何に自分の時間を使うか」を決める力が、20代の仕事の差をはっきり分けていきそうです。野尻社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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