元・人見知り社長が教える「笑顔と一言の力」|株式会社モチベーション&コミュニケーション 桐生社長の【仕事に活かせる会話術】

人と話すのが苦手で、上司ともどう距離を取ったらいいかわからない。

雑談もうまく続かず、会議で発言するたびに「今の、大丈夫だったかな」と振り返ってしまう…。

そう感じながらも、「迷惑をかけたくない」「自信をもって話したい」と一人で抱え込んで働いている20代の方は、多いのではないでしょうか。

そんなモヤモヤに向き合い、全国でコミュニケーションスクールを展開しているのが、株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役・桐生稔さんです。

かつては人と話すことが苦手だった経験から「話し方はトレーニングできる」と気づいた桐生さんに、明日から少しだけ心が軽くなるコミュニケーションの始め方を伺いました。

お話を伺った人

株式会社モチベーション&コミュニケーション

代表取締役 桐生 稔

1978年新潟県十日町市生まれ。極度の人見知りで対人関係が苦手だったが、心理学や大脳生理学を学びながらコミュニケーションを研究。ボイストレーニングスクールでは350名の講師をマネジメントし、「話し方はトレーニングできる」と確信。2017年に株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立し、全国40都道府県で年間約2,000回のセミナーを開催している。著書に『雑談の一流、二流、三流』など。現在は「相手の頭の中を想像する」「素の自分で分かち合う」をテーマに、誰もが一歩踏み出せる場づくりに取り組んでいる。

目次

内向的だった自分が、コミュニケーションスクールを作るまで

編集部

桐生社長がコミュニケーションの事業を始める前職は、音楽スクールでのお仕事だったそうですね。

桐生社長

そうなんです。もともと音楽スクールで、受付や運営スタッフをしていました。ボイストレーニングの受講生が多くて、「高い声が出ない」「リズムが取れない」という歌の悩みなんかも聞いていましたね。でも…。

編集部

でも?

桐生社長

実際に悩み相談の中で多かったのは「会議で話すのが苦手…」「朝礼の1分スピーチで緊張する…」「端的に説明することができない…」といった職場のコミュニケーションでした。

編集部

歌よりも「人間関係」の悩みが多かったんですね。ちょっと意外です。

桐生社長

はい。「こんなに、人と話すことで困っている人がいるのか」と驚きました。でも共感できる部分もすごくあって…。自分自身も、もともと社交的ではなくて、実は大きなコミュニティに入ってワイワイするのも得意じゃなかったものですから。

編集部

え、本当ですか?今の桐生社長の雰囲気はとっても外向的なので、全然想像もつかないです…。

桐生社長

そうなんです(笑)。家族とは仲良いけれど、外に出て「こんにちは」と話しかけていくタイプではない人…って結構いますよね?自分もまさに、そうでした。だからこそ、「話し方や会話をトレーニングできる場が、世の中に必要なんじゃないか」と思うようになったんです。

編集部

そこで「自分でやろう」と決めたわけですね。

桐生社長

はい。大変お世話になった音楽スクールを卒業させていただき、自分でビジネススクールを立ち上げました。

編集部

ご自身の苦手意識と、現場で見た悩みの多さが重なって、今の事業になったんですね。

「互いを分かち合う」がコミュ力の正体だった

編集部

桐生社長のところには、今もコミュニケーションで悩む社会人がたくさん来られますよね。そもそも、御社では「コミュニケーション」をどう定義しているのでしょうか?

桐生社長

おっ、いい質問ですね。当社では、コミュニケーションとは「互いを分かち合うこと」と定義しています。自分の考えを相手に伝える。相手の考えもきちんと聞く。互いの価値観を共有する。それがコミュニケーションです。状態ですね。

編集部

一方通行ではなく、お互いのことをちゃんと知っていくイメージですね。

桐生社長

そうです。たとえば「私、最近これにハマっているんですが、〇〇さんは何かハマっていることはありますか?」と質問する。自分のことも話す。相手も教えてくれる。アンパンマンが顔を分け合うみたいに、それぞれの一部を出し合う感じです。

編集部

なるほど…。アンパンマンの例え、わかりやすいです。では逆に、コミュニケーションがうまくいっていない状態とは?

桐生社長

自分のことを全く話さない。相手の話も聞こうとしない。どちらか一方でも欠けていると、「分かち合い」が起きません。会社でも孤立しやすくなりますし、いざ協力してほしいときに誰も助けてくれない、ということが起こります。

編集部

本来は「相互理解」なのに、どちらかだけが理解しようとしている状態、ということですね。

桐生社長

そうですね。だから僕らは、話し方のテクニックだけでなく、「相手のことを知ろう」「自分のことも出してみよう」というマインドから整えていきます。

編集部

仕事でも、評価される人って「自分の意見を伝える」「相手の意図をくみ取る」の両方ができていますよね。ビジネスの場においても「分かち合う」という視点を持てると、人間関係の土台がかなり変わりそうだな、と思いました。

「面白いやつ」より、笑顔とリアクションが職場を変える

編集部

実は以前、20代の方からこんなキャリア相談があったんです。「面倒な仕事を振られたくないから上司に過剰な期待はされたくない。でも、嫌われたくもないから、面白いやつだと思われたい」というお話で…。

桐生社長

ああ、なるほど。期待はされたくないけど、コミュニティから外されたくない、という気持ちですね。

編集部

そうです。ただ個人的には、そのままだと一生「本当の意味で面白いやつ」にはなれない気もして…。そもそも、仕事で「面白い人」であることは、どれくらい大事だと思われますか?

桐生社長

僕は「面白さ」はとても大事だと思っています。ただし、お笑い芸人さんのように爆笑を取る必要はありません。「この人と話していると、なんだか笑顔になる」「楽しくなる」というレベルでいいんです。

編集部

たしかに、一緒にいて笑顔になれる人とは、また話したくなります。

桐生社長

人は相手の笑顔を見るだけで、気持ちが少し軽くなります。逆に、いつも無表情で、反応が少ない人とは、どうしても会話が続きにくいですよね。

編集部

本当にそのとおりですね…。桐生社長は、言葉に抑揚があって、表情やリアクションが豊かでとっても話しやすいですし、私も楽しくて「もっと話したい」と思えるので、仰っていることがとてもよくわかります。

桐生社長

はは、ありがとうございます(笑)。

編集部

ちなみに、その20代の方が「面白い存在」に近づくために、コミュニケーションの観点からできることって何でしょう?

桐生社長

すごくシンプルで、「自分から笑顔で話しかけること」「相手の話にしっかりとリアクションを取ること」です。まず自分がニコっとする。誰かが話してくれたら、「え!そうなんですか!」「それ、面白いですね!」と、ちゃんと反応する。

編集部

たしかに、意識的にやってみると、きっと周囲からの見られ方って全然違いますよね。

桐生社長

ええ、たとえば複数人でご飯に行ったとき、ずっとスマホをいじっている人もいれば、みんなの話に耳を傾けて、雰囲気全体を見ながら会話を振る人もいますよね。好感度が高いのは、だいたい後者です。

編集部

わかります。場を回している感じの人ですね。

桐生社長

そうです。無理に自分がたくさんしゃべらなくてもいい。笑顔で、全体を見ながら反応しているだけで、「この人は感じがいい」と受け取られます。リアクションがいい「人見知り」は、僕は見たことがないです。

編集部

その言葉、刺さる人多いと思います…。

桐生社長

ただ、最初は疲れます。自分の細胞が入れ替わるくらいの気持ちで、3か月くらいは意識して続けてみてほしいです。ジムも最初の3か月が一番きついですよね。でも、その期間を越えると、やらないと気持ち悪いくらいになります。

編集部

なるほど。たしかにジムの話、しっくりきました。…さっきから思っていたんですが、桐生社長って例え話もすごくお上手ですよね。”言葉を受け取った相手”が、その言葉をイメージしやすいように、わかりやすく伝えることを意識されているのでしょうか。こういった優しさを持てる人が、結局は人からも優しさで返してもらえるんでしょうね…

オンライン時代でも、コミュニケーションがしっかり取れる仕組み化

編集部

ここからは、桐生社長ご自身の働き方についても伺いたいです。御社のスクールの講師の方のリストを見たら、全国津々浦々にお名前が出ていて驚きました。それだけ多くの講師の方と、ふだんのコミュニケーションはどのように取っているのでしょうか?

桐生社長

現地の講師は、それぞれの地域で受講生とセッションをしています。本部は西新宿にありますが、本部と講師とのやり取りは、基本的にすべてオンラインですね。

編集部

まさに今の時代の働き方だと感じます。一方で、コロナ前は社長ご自身が全国を回られていたと伺いました。

桐生社長

そうなんですよ。コロナ前は僕、全国出張していたんです。年間200日くらい、ほとんど東京にいることはなくて。

編集部

年間200日もですか…。かなりハードな移動ですね。

桐生社長

札幌の講師と対面でお話をして、そこから青森、秋田、山形、宮城と回っていく、という形で、いろいろなところで直接講師の方とお話させていただきながら広げていきましたね。

編集部

まさに「会いに行く」スタイルで、全国に広げてこられたんですね。

桐生社長

そうですね…でもコロナ以降はオンラインが普通になって、どこに行かなくても全国の講師と話せるようになりましたからね。このあとも沖縄の講師とオンラインでしゃべるんですが、うーん、少し寂しいくらいですね(笑)。

編集部

でも、リモートワークで上司や先輩と離れて働くビジネスマンにとっても、「物理的な距離があっても一緒に仕事ができる」イメージがつきやすいお話だと感じます。

桐生社長

ちなみに受講生の方の声も、オンラインで集めています。セミナーは全国合わせて月に150本くらいあるんですが、セミナー終了後にアンケートを記載いただき、、その日のセミナーの満足度や、具体的にどんなことが仕事に活かせそうかなどを回答してもらっています。その結果がすべてリアルタイムで本部に集計されるようになっていて、講師ごとの評価もすぐにわかる仕組みなんですよ。

編集部

なるほど。現地の空気や受講生の変化を、アンケートという形で本部が受け取り、すぐ講師の方にもフィードバックできるわけですね。離れた場所で働いていても、数字やコメントを通じてお互いの状況がわかる仕組みを作っておくと、「今どこを直せばいいか」がはっきりして、日々のコミュニケーションも具体的な相談や次の一手の話に変えていきやすくなりそうですね。

“素の自分”で分かち合う一歩を。

編集部

ここまでお話を伺って、仕組みや環境を整えることの大切さがよくわかりました。最後に、今まさにコミュニケーションで悩んでいるビジネスパーソンに向けて、毎日のコミュニケーションで意識してほしいことなど、メッセージをいただけますか?

桐生社長

そうですね。僕は、コミュニケーションのベースは「相手の頭の中を想像すること」だと思っているんです。どんな表情をしたら喜んでくれるか、どんな反応や質問なら話しやすいか。そうやってお互いに想像していくことで、関係性が積み上がっていきます。

編集部

桐生社長とお話ししていて、それを意識されていることがとてもよくわかります。

桐生社長

はい。例えば「今日はあの人、晩ご飯は何がいいかな」と考える感覚です。「カレーかな、いや前にカレーは飽きたって言ってたから親子丼かな」とか。そんなふうに、目の前の人のことを一度思い浮かべてみるだけでもいいと思います。

編集部

その「晩ご飯のイメージ」を、仕事相手や上司、お客さんにも当てはめてみるイメージですね。今日からすぐに真似できそうです。

桐生社長

そうですね。想像することは、誰でも自由にできることですから。まずはそこから始めてもらえたらうれしいです。

編集部

もう一つ、印象に残っているのが「素の自分」という言葉です。社長は、毎年のテーマにこの一文字を選んでいると伺いました。

桐生社長

そうですね。ここ10年くらい、毎年の一文字はずっと「素」なんです。素の自分でいたい、という意味ですね。赤ちゃんのときはみんな素の状態で生まれてきますけど、大人になるにつれて、いろんな鎧を身にまとっていきます。自分を守るために、メッキを貼ったり、社交辞令を覚えたり。でも本当は、ありのままでいられる自分に戻りたいなと思っていて、「素の自分とは何か」「そのために何をすべきか」をずっと考え続けています。

編集部

たしかに、仕事でも無意識のうちに鎧を身にまとう瞬間って多いですよね。素の自分で話せる場が増えると、働き方もだいぶ楽になりそうです。

桐生社長

そう思います。だからこそ、社外メンターや参謀のような存在は、絶対に持ったほうがいいと考えているんです。会社の外で、自分の話を聞いてくれる人。仕事のことを本音で相談できる人。そういう人が一人いるだけでも、気持ちはだいぶ変わります。僕らの事業も、そうした社外メンターや参謀を増やしていきたいという思いでやっています。

編集部

職場の人だけで抱え込まず、外側にも「素の自分で話せる相手」を持つということですね。

桐生社長

はい。最初から完璧な話し方を目指す必要はありません。相手のことを一度想像してみること。そして、自分の本音を話せる人との時間を少しずつ増やしていくこと。その積み重ねが、コミュニケーションを育てていく一番の近道だと思います。

編集部

今日は「相手の頭の中を想像する」「素の自分で話せる場を持つ」というお話がとても印象的でした。明日は職場で相手の立場を一度イメージしてから声をかけてみる、仕事の帰りに本音を話せる相手に一つだけ相談してみるなど、そうした行動からキャリアはポジティブに変わっていくのだと思います。桐生社長、本日はコミュニケーションのあり方をもう一度考えるきっかけを与えていただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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