現場作業員から学生就職支援の社長へ|NexusLink株式会社・初見社長と考える「今の職場で光るか、環境を変えるか」

「このまま今の仕事を続けていて、10年後の自分はどうなっているんだろう」。
現場で体を動かす仕事でも、オフィスワークでも、目の前の業務はこなしているけれど、将来のイメージがはっきりしない。そんな不安を、言葉にできないまま抱えている20代も多いはずです。
今回は、中卒で現場作業員として働き始め、大検を経て大学に進学し、大黒屋を経て、スマ婚を運営する株式会社メイションでビジネスを学んだNexusLink株式会社・初見社長にお話を伺いました。現在は、学生のファーストキャリア支援に向き合っていらっしゃいます。
社長の歩みや考え方に触れることで、「今の場所で踏ん張る」or「次の場所へ踏み出す」をどう選ぶか、自分なりの軸を考えるヒントが見えてきます。
NexusLink株式会社
代表取締役 初見 慎哉
中学卒業後に現場作業員としてキャリアをスタートし、大検取得を経て神奈川大学へ進学。卒業後は大黒屋に新卒入社、その後、株式会社メイションでビジネスの基礎を学び、現在は大学生の就職支援事業に取り組む。ミスマッチのない就職活動を目指し、企業と連携して全国の学生をオンラインで支えつつ、若者の可能性を信じて等身大の言葉でキャリアの一歩を後押ししている。
中卒で現場に飛び込んだ少年が、大学に行くまで

編集部初見さんのこれまでのご経歴から伺いたいです。今は学生のファーストキャリア支援といった事業をされていますが、ここに辿り着くまではどのような経緯があったのでしょうか?



実は、僕は中卒なんです。正直、中学もあまり行っていなくて。



そうだったんですね。ちょっと意外ですが…。



キャリアのはじめのうちは、現場作業員として働き始めました。親が商売をしていたこともあって、「いつかは自分もビジネスで大きいことをやりたい」という気持ちはあったのですが、中卒で現場にいる自分には、できることに限りがあるなとも感じていて。



学歴で見られるつらさも、きっとありましたよね。



そうですね。僕自身は学歴にこだわりはないんですが、社会の側から見た時に、どうしても「進めるコース」が限られてしまう感覚はありました。そこで、途中で大検を取って、地元の神奈川大学に進学したんです。



えっ、現場で働きながら大学に行かれたんですか?



そうです。大学入学が21歳だったので、周りの4年生と同い年なのに、自分は1年生という状態でしたね。けれど「自分の選択肢を広げたい」という思いが強かったので、とにかくやってみようと。



それから、どういった道に進まれたのでしょう?



やはりもともと自分で商売をしたい気持ちがあったので、最初から独立を見据えてスキルを身につけられる環境を選びました。卒業後に新卒で入ったのは、大黒屋さんというリユース系の会社です。



有名な企業さんですね…!



当時、リユースやC2Cの市場がこれから来ると感じていて、将来海外の商売もやってみたいと思ったのが理由ですね。



なるほど。新卒で「どの会社に入るか」は、将来の選択肢をかなり左右しますよね…!
転職ビジネスの違和感から「ミスマッチのない就活」へ



大黒屋では、独立を見据えてまず現場で必要なスキルや商売の感覚を身につけました。その後、ブライダルの世界にも関わり、株式会社メイション(スマ婚の運営)でビジネスの学びを深めたうえで、2018年から今の事業を始めました。それで最初は、第二新卒や未経験の方の転職支援をしていたんですよ。まさに「ビギナーズリンク」の読者さんど真ん中の層ですね。



同じ20代支援でも、当時は転職が中心だったんですね。



そうですね。人材育成自体は得意な分野でしたが…、いつしか人材紹介というビジネスモデルに違和感が出てきまして…。



違和感…というと?



人材紹介は「人が転職して初めてお金を頂く」商売なので、どうしても「転職してもらうこと」がゴールになりやすいんです。本当にその人のためかどうかより、動いてもらうことが優先されてしまう危うさがある。



たしかに、求職者側に立つとモヤっとするポイントですね。



先ほど、ブライダルの事業も経験したとお話ししましたが、あの業界って良くも悪くもきれいごとで成り立っていて。だからこそ「目の前の人と、本当にいいマッチングをしたい」という気持ちが強くなったんです。つまり、なんでもかんでも転職を促すより、最初の就職でミスマッチを減らしたい、と。



そこで、大学生向けの支援に舵を切られたわけですね。



はい。コロナの時期を挟みながら、大学生向けの就活カリキュラムを作り、今は企業さんとパートナーを組みながら、就活トレーニングや選考対策をオンラインコミュニティとして全国の大学生に提供しています。



就活生の段階で「自分を知る」「合う会社と出会う」を支えるわけですね。



そうですね。若いうちから「自分の得意・好き」を言語化しておくと、その後のセカンドキャリア、サードキャリアでも迷いにくくなるんです。だからこそ私たちは、対話とトレーニングを通じて、その言語化を一緒に手伝っていきたいと思っています。
同じ時代を生きる“仲間”として若者と向き合うこと



お話を聞いていると、初見社長は若い世代への熱量がとても大きいと感じます。根本的なところではありますけど、なぜそこまで、若者のキャリアに向き合えるのでしょう…?ご自身の学歴が関係していたりするのでしょうか…?



うーん。よく「中卒で苦労したから、若い人を支援しているんですか」と言われるんですけど、実は逆なんですよ。僕は全然苦労してないし、常に恵まれてきたと思っていて。周りの人たちが、いつも「お前ならできるでしょ」って信じてくれたし、応援してくれたし。「それ無理でしょ」ってあまり言われたことがなくて。そういう環境にいられたことは、本当に感謝しています。



応援してくれる大人に囲まれていたからこそ、今度は自分がその役割を引き受けている感じなんですね。



そうですね。僕がお世話になった人たちへの恩返しとして、自分にできることをやりたいと思っています。未来のある若者たちに、僕が言ってもらったように応援してあげるとか、まだ自分の可能性を知らない子たちに、その存在を伝えてあげるとか。そういうことが、自分の役割かなと。



「自分もしてもらったから、次は自分がやる番」という発想は、素敵ですね。職場に一人でもそういう先輩がいると、空気が全然違います。



うちの社員も、そういう思いを持ったメンバーが集まってくれています。みんな情熱的でいい子たちばかりで、うちのビジョンに共感して入ってきてくれた人たちですね。



ビジョンに共感して集まった仲間に、現場を任せているわけですね。



そうですね。肩書き上は社長という立場で座っていますけど、現場のプレーヤーの部分は社員に任せていて。それができるくらい、みんな優秀です。めちゃくちゃきれいごとで集まっている会社かもしれないですけど、そのきれいごとに共感してくれる人たちと一緒にやりたいと思っています。



同じ価値観でつながった仲間と働くこと自体が、若者にとっても一つのロールモデルになりそうです。



もっと広い意味合いで言うと、今この時代に、一緒に日本で生きてる仲間なわけじゃないですか、皆さん。だから、本当に後世に胸を張って、今を楽しみながら、いい世の中を作る一員として頑張ってほしいなと思います。
背伸びせずに今の現場で光るという戦い方



私たちのメディアには、「社会に出たけれど、うまくいかなくてしんどい」という20代からの悩みも多く届きます。初見さんなら、そういう方にどんな初手をすすめますか?



あまり背伸びをしないことかなと思っています。今いる環境の中でまず輝く。そこからスタートするのが大事です。



いきなり理想の場所を目指さなくていい、と。



はい。お話ししたように、僕も最初は現場作業員でした。特殊な仕事で、コンクリートを図面どおりに削って整える職種です。粉じんまみれで、体力的にもきつい仕事でした。



想像しただけで大変そうです。



大変なんですけど、逆に良かったのは、周りのレベルが低かったことなんです(笑)。図面が読めない、人と会話が噛み合わない人も多くて。だから、普通に図面が理解できて、当たり前の段取りができるだけで「お前すごいな」と評価してもらえたんですよ。



なるほど…。その環境だからこそ、頭一つ抜けられたわけですね。



そうです。力があるからではなく、「普通にコミュニケーションできる」というだけで職長も任せてもらえました。その経験で「自分はやればできる」というセルフイメージがぐっと上がったんです。



背伸びしてレベルの高すぎる場所に行くより、まずは今のレイヤーで抜ける存在になる。



そう。いきなりキラキラした世界に飛び込んだら、僕は評価されずにいじけていたと思います。今いる場所で頼られる人になる。その上で、次の選択肢を広げていくイメージですね。



たとえば、今フリーターで飲食バイトをしている人なら、目の前の店で「とことんやり切る」ところから、という感じでしょうか。



まさにそうです。たとえば焼肉屋さんで働いているなら、接客だけでなく、採用や広告、数字の管理など、手を挙げれば触れられることが色々出てきます。本気でやってみて「もっとこの領域を深めたい」と思えたら、そこで初めて専門職に移ればいい。



今の職場での小さなチャレンジが、次のキャリアにつながるんですね。



そう思います。仕事で評価される実感を持てれば、自信もつきます。20代のうちに「どこかの現場で本気でやり切った経験」をつくることは、将来の武器になると思いますよ。
一度は「理不尽も含めて鍛えられる時期」を通るという選択





ここまで伺ってきて、初見社長は「楽ではないチャレンジの時期」も必要だと考えていらっしゃるように感じました。若い人には、そのような時期をどのくらい意識してほしいとお考えですか?



もちろん、心や体を壊すような環境はおすすめしません。ただ、若いうちにどこかで本気で働いて、「理不尽も含めて鍛えられる」時期は必要だと思っています。



実際、私自身も若い頃にアルバイト先でボコボコに怒られた経験があって…。今思うと、あれがあって良かったなと感じています。



そういう経験って、後から効いてきますよね。今はすぐにハラスメントだと言われる時代ですが、だからといって全てを避けていると、30代・40代で苦しくなる可能性は高いというか…。20代でがむしゃらに頑張るルートを選んだ人と、楽なルートを選んだ人では、後の成果や周りからの見られ方が違ってくるのは自然なことだと思うんですよ。



私も同感です。とはいえ、今まさにしんどくて、「ここからどうしよう」と固まっている人も多いと思います。最後に、そんなセカンド・サードキャリア世代へ一言いただけますか?



やっぱり「今置かれている環境で輝け」です。それがどうしても無理なら、さっさと環境を変えればいい。辛い、合わないと文句だけ言って動かないのが一番もったいないです。



そうですよね。肉体的にも、一番動けるのが今なわけですし。



そりゃあ、変わるのは怖いですよ。でも、自分のセルフイメージを少し高く持ってほしいんです。「自分はもっとできるはずだ」と信じられるなら、そのイメージに追いつくように今やることを決めていく。僕も「商売で世の中にインパクトを出したい」というイメージがあったから、大検を取って大学に行きましたし、キャリアの選択を変えてきました。



周りから「お前ならできるでしょ」と信じてもらえる環境も、大きそうですね。



本当にそうです。僕にはいつも「お前ならできる」と応援してくれる人がいた。それに応えようとしてきた結果が、今につながっています。だから今苦しんでいる人には、「自分を信じてくれる人がいる環境」に一歩踏み出してほしいですね。



今日は「背伸びせず今いる場所で光ること」と「若いうちに本気で働く時期をつくること」が強く印象に残りました。明日、今の職場で役割を一つ増やすのか、信頼できる人に環境の相談をするのか。その一つ一つの選択が、時間をかけて今後の働き方をかたどっていくのだと思いました。初見社長、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。








