月収250万円を手放して見えた働く意味|株式会社REAL JAPAN 高崎圭悟社長の「使命の仕事」

頑張って結果を出しても、なぜか心が追いつかない。周りからは「すごい」と言われるのに、自分の中ではずっと違和感が残る。20代で一度は、そんなズレにぶつかる瞬間があるのかもしれません。

群馬で「お金がない」環境から這い上がり、大企業で成果を積み、さらにネットワークビジネスでは月収250万円まで到達した高崎圭悟さん。それでも満たされず、収入も肩書きも手放して「使命で生きる」と決めた、と語ります。

いまは株式会社REAL JAPANとして、政治や社会をわかる言葉に変え、若い世代が日本のために動ける場づくりに挑んでいます。そんな高崎社長に、今回は「お金」と「使命」の間で揺れた時間と、そこから見えた働き方の軸についてお話を伺いました。

お話を伺った人

株式会社REAL JAPAN

代表取締役 高崎 圭悟

群馬県高崎市出身。幼少期に「お金がない」環境を経験し、選択肢を狭めない生き方を志して国公立大学へ進学。卒業後は大手グループ企業に入社し、開発領域で成果を重ねる。20代で年功序列の壁に直面したことをきっかけに、努力が正当に評価される環境を求めて独立。ネットワークビジネスで月収250万円規模まで到達する一方、構造的に苦しむ人を目の当たりにし、収入と肩書きを手放す決断を下す。以降は「お金より使命」を軸に、オンライン研修事業を立ち上げる。現在は株式会社REAL JAPAN代表として、AIやSNSを活用し、政治・社会をわかる言葉に変えて届ける発信と、市民団体「4 Japan」を通じた場づくりに取り組む。著書:ミッションドリブン : ~お金に生きるか、使命に生きるか。~

目次

お金がない環境で育ち、努力で大企業へ。そして、24歳で見えた限界

編集部

高崎社長は今でこそ様々なメディアに出たり、インフルエンサーとしてもかなりの影響力をお持ちですが、今のお仕事に至るまでの経緯や、その原点から伺わせてください。

高崎社長

僕は群馬県高崎市の生まれで、幼少期から「うちはお金がないぞ」と言われながら育ったんです。親からは「大学も卒業まで進ませられないかも」と言われたくらいで、けっこうギリギリな生活でしたね…。そのときに、「お金がないことで人生の選択肢が狭まるのは嫌だ」と強く思ったんです。将来自分に子どもができたら、同じ思いはさせたくない。そのあたりから「上に行きたい」という上昇志向が生まれました。

編集部

そこから勉強を頑張って、国公立大学に行かれたと。

高崎社長

はい。「私立は無理。国公立しかダメ」と言われていたので、必死でした。結果として信州大学に入り、なんとか卒業もできて、長野県にある富士通の子会社に就職したんです。

編集部

大企業ですよね。世間的には“勝ちルート”に見えます。

高崎社長

当時は「最年少課長間違いなし」と言われていましたし、2年目でソフトウェアの特許を6件ほど出願して、「なんだこの新人は」と言われるくらいには頑張っていましたね。それで、あるとき上司に思い切って「最年少課長になるには、いつなれますか?」と聞いてみたんです。そしたら「30歳になるまでは無理」「上のポストが空かないとね」と言われて…。年齢って、努力では急げないじゃないですか。

編集部

年功序列の壁ですね…。

高崎社長

自分の努力では変えられない部分で決まっていく。だったら、いくら頑張ってもワクワクしないなと思って、急にやる気を失ってしまったんです。…あ、会社自体は本当に良い会社なんですよ。ただ、僕の性格とは合わなかった。刺激が欲しいし、自分の頑張りでどんどん上に行ける世界で勝負したくて

編集部

20代でキャリアに悩む人も、同じ「努力では変えられない壁」にぶつかることが多いです。そこで一度立ち止まって、自分が何にワクワクするのか改めて考えるのは、とても大事なことですよね。

ネットワークビジネスで月収250万円。それでも満たされなかった

編集部

そこから、どうやって次のキャリアに進んだのでしょうか?

高崎社長

東京出張のときに、BMWの7シリーズに乗っている28歳くらいの「若き成功者」に会ったんです。いわゆるネットワークビジネスのトップで、「ここならポジションの枠も決まってないし、やった分だけ上に行ける」と言われました。その言葉が刺さって、その場で「自分を弟子にしてください」と頼み、キャリーバッグ1つで東京に出てきました。キャリアという意味では2社目ですが、実際にはフリーランスのSEをしながら、ネットワークビジネスをやる二刀流でしたね。

編集部

かなり思い切った決断ですね…!ちなみにその後、成果は出たのでしょうか。

高崎社長

ありがたいことに、結果だけ見るとうまくいきました。5ヶ月で新しいタイトルを達成して、東京ドームの表彰台に立ちました。その後も組織を広げて、最大で月収250万円くらい。いわゆる、カフェで3人でお茶するやつとかを月に300件とかやっていました。

編集部

すごい…。寝る間もないハードワークですね。

高崎社長

本当に「寝るために帰るだけ」みたいな生活でした。でも、その頑張りの結果、権利収入が残るようになって、10年ほどその世界でやっていました。

編集部

一般的には「成功」と呼ばれる状態ですよね。

高崎社長

そうですね。6000人の中からMVPに選ばれて、スポットライトを浴びてスピーチして…。「お金、時間、健康、人脈という豊かさの4つの指標」が全部満タンになった状態でした。でも…、たしかに外から見れば成功なんですけど、内側は全然満たされていなかった。特にネットワークビジネスの仕組み上、自分の周りでも、うまくいかず赤字を抱える人が一定数いて…。

編集部

たしかに、トップに立てるのは一握りで、一方で組織の下のほうで成果が出ず、苦しくなる人もいる、という話は聞いたことがあります。

高崎社長

そうなんです…。「自己責任だから」と言い聞かせてきましたが、だんだん罪悪感が強くなってきて。お金はある。肩書きもある。でも、心がずっと痛い。「こんな状態で、これから先の人生を生きていくのか」と考えたとき、これは違うなと思って。

編集部

「周りからは褒められるけれど、心は喜んでいない」瞬間ってありますよね。そこで違和感にフタをするか、ちゃんと向き合うかが、後の大きな分かれ道になりそうです。

高崎社長

本当にそう思います。僕はその違和感をごまかしきれなくなって、「お金のために生きる人生をやめよう」と決めました

収入を捨ててでも「使命で生きる」と決めた日

編集部

そこから、ネットワークビジネスを「やめる」という決断につながっていくんですね。

高崎社長

はい。やめるということは、それまで築いてきた権利収入を捨てるということです。それでも、「もうこのお金を受け取りたくない」と思うくらい、心が限界でした。

編集部

正直、怖くはなかったですか?収入がゼロになるリスクもありますよね…。

高崎社長

もちろん怖さはありました。でも、ちょうどそのタイミングで、クリスチャンのメンバーが通う教会の牧師さんに出会ったんです。初対面で「あなたは成功しているつもりかもしれないけれど、神様から見たら、どれだけ罪を犯しているか」と言われました。かなりショックでしたが、自分の罪悪感とも重なって、「たしかにそうだ」と思ったんです。

編集部

そこから、これまでの自分を振り返る時間が始まったんですね。

高崎社長

はい。クリスチャンになるというのは、いい意味で「これまでの自分を一度終わらせる」感覚なんです。過去の人生を全部正当化するのではなく、「あれは欲望でやってしまった」「人を傷つけてしまった」と認める。そのうえで、「これからは使命に生きよう」と決め直す。

編集部

過去をリセットするというより、向き合い直す感じですね。

高崎社長

そうですね。ネットワークビジネスで身につけたスキルや経験自体は、今も役に立っています。でも、それをこれからは「欲望のため」ではなく、「人のため」「社会のため」に使おう…って。そこが、考えとしては大きく変わりました。

編集部

なるほど…。それでネットワークをやめた直後は、どんな仕事をされていたんですか?

高崎社長

しばらくは本当に収入ゼロに近い状態でしたが、10年ほどネットワークビジネスと「研修」の世界にいたので、その経験を活かしてオンライン研修の事業を始めました。自分の体験から、「お金ではなく使命で生きる」ことを伝えるプログラムです。

編集部

現在の御社の主事業ですよね。

高崎社長

はい。僕自身は完全に使命で生きることを選んだんですが、不思議なことに、収入を手放したあとも、必要なときに必要なお金が入ってくる体験が何度もあって、「使命を全うしようとすると、お金は後からついてくるんだな」と感じるようになりました。

SNSやオンライン配信を軸に、政治・社会をわかる言葉に変えて届ける発信

編集部

現在は株式会社REAL JAPANとして、先ほどのお話にもあった研修の事業以外だと、どんな活動に一番力を入れているのでしょうか?

高崎社長

今一番ホットなのは、「4 Japan(フォー・ジャパン)」という市民団体の活動です。名前の通り、「日本のために」動く人を増やすためのプラットフォームですね。

編集部

「政党」ではなく、市民団体という形にしているのが印象的です。

高崎社長

以前、実際に新党を立ち上げたこともあるんです。でも、政党という形だと、どうしても「分裂の論理」が働きやすい。日本を良くしたい保守系の人たちをまとめたくて始めたのに、逆に割れてしまう可能性を感じたんです。

編集部

同じ方向を向いているのに、組織の形が原因で割れてしまうのはもったいないですね…。

高崎社長

はい。その反省から、「政党単位で応援するのではなく、個々の議員を評価して応援する」という仕組みに視点を変えました。

編集部

おぉ…!それは理にかなっていますね…!

高崎社長

海外には、グラスルート(草の根)団体が議員を教育したり、法案に働きかけたりして、増税を食い止めた事例もあります。日本でも、似た仕組みは作れるはずだと考えています。

編集部

そのために、AIやSNSも積極的に活用されているんですよね。

高崎社長

はい。僕が得意なのは「難しいことを簡単に伝えること」です。政治や経済の話って、専門用語が多くてわかりにくいじゃないですか。そこを、SNSやオンライン配信を使って、20代でもわかるレベルまでかみ砕いて伝えています。

編集部

議会中継も、正直最後まで見る人は少ないですしね…。

高崎社長

だからこそ、「議会で何が話し合われているか」をAIで要約し、中学生でもわかる言葉に変えるようなシステムを作ろうとしています。さらに、市民が議員にワンクリックで意見を届けられるような仕組みも開発中です。

編集部

テクノロジーとリアルで政治の橋渡しをしている感じですね。

高崎社長

そうですね。AIやSNSはあくまで道具です。大事なのは、「その道具を使って、現実の社会をどう良くするか」という視点です。

自分という”器”を、どう使うか。何に活かすか。

編集部

ここまでのお話の中で、「使命」という言葉が何度も出てきましたよね。今の高崎社長にとって、使命とは具体的にどういうものなのでしょうか?

高崎社長

一般的には「やりたいこと=使命」と言われることが多いですよね。でも、僕が言っている使命は少し違います。

編集部

と言うと…。

高崎社長

陶芸で例えるとわかりやすいです。陶芸家が器を作るとき、「これはお茶用」「これは料理用」と目的を持って作りますよね。器は、自分で自分の使い道を決めているわけではないんです。

編集部

作り手が、最初から目的を決めていると。

高崎社長

そうです。同じように、人にも「創り主」がいて、目的がある。それが使命だと僕は考えています。だから、「やりたいかどうか」とは別なんです。正直、僕は政治の世界なんて入りたくなかったですから。

編集部

それでも、「あなたの使命は政治家だ」と複数の方から言われたんですよね。

高崎社長

ええ。最初は「いや、絶対イヤです」って(笑)。でも、一歩踏み出してみたら、扉が次々と開いていったんです。そこで、「これは自分のわがままではなく、与えられた役割なんだ」と腹をくくりました。

編集部

なるほど…。ちなみに、その使命はどうやって見つけていけばいいのでしょうか?

高崎社長

僕の研修では、「インサイドクラス」「アウトサイドクラス」「アップサイドクラス」という3つの器のワークをやっています。

編集部

3つのクラス…?詳しく聞かせてください。

高崎社長

まずインサイドクラスは、自分の内側を整えるクラスです。過去を振り返って、「何に感謝できるか」を書き出したり、自分の強みや癖を見つめ直したりします。家族、友達、先生、食べ物、空気、水…。当たり前に思っていたことが、どれだけ自分を支えてきたかを確認するところから始めるんです。

編集部

一旦、自分の中身をまっさらにするフェーズですね。

高崎社長

そうですね。次のアウトサイドクラスは、社会情勢を知るクラスです。メディアだけではわからない世界の動きや、政治・経済の構造を学ぶ場ですね。実際の研修では、いろいろなゲストを招いて、「社会のどんな部分に課題があるか」を知っていきます。

編集部

自分の外側に広がる世界を知る段階…。

高崎社長

はい。そしてアップサイドクラスが、もっと上の視点です。目に見えない価値観や、生き方の土台になる部分を学びます。自分の人生を、少し上から眺めてみる感じですね。

編集部

たしかに、自分の内側・社会・上からの視点の3つがそろうと、「どこでどう働くか」の考え方も変わりそうです。

高崎社長

この3つのクラスを通して、「自分という器を、社会のどこにどう置くのか」を考えていくイメージなんです。やりたいことがわからなくても、「どんな器なのか」「どんな社会に置かれているのか」「上から見たときにどう生きたいのか」を順番に見ていくと、少しずつ輪郭が出てきます。

編集部

器の話、すごくしっくりきました。たとえばキャリアに迷ったとき、「やりたいことがわからない」で止まってしまう人はすごく多いですが、「自分という器」「社会」「上の視点」の3つを順番に眺めてみると、仕事とのつながり方がだいぶ変わりそうですね。

器を活かす第一歩は、今ある”当たり前”に対する感謝から。

編集部

弊社の転職エージェントには、20代でキャリアに悩む方から「今の仕事が嫌だから辞めたい」というご相談を頻繁にいただくんです。高崎社長は、「お金よりも使命で生きる」とか「自分という器を社会にどう置くか」という視点がずっと一貫しているなと感じたのですが、そんな高崎社長の立場から、こういった若いキャリア迷子の方に伝えたいメッセージって、何かありますか?

高崎社長

そうですね…。仕事を辞めたくなるときって、意識が全部「自分だけ」に向いているときが多いのかなって思うんです。実際、僕もそうでした。でも、少し視点を外に向けて、「自分は誰のおかげでここにいるのか」「自分の器を誰の役に立てたいのか」を考えると、見える世界が変わります

編集部

とはいえ、「じゃあ明日からどうすればいいの?」という率直な疑問も出てきそうです。

高崎社長

いきなり大きな決断をする必要はないと思います。さっきのインサイドクラスの話ともつながるんですが、まずは「感謝を書き出すこと」から始めてほしいです。

編集部

感謝を書き出す…。具体的にはどうやるんでしょうか?

高崎社長

ノートでもスマホでもいいので、今の自分がありがたいと思えることを、とにかく箇条書きにしていきます。家族や友達、これまでお世話になった人たちでもいいですし、「今日もご飯が食べられた」「雨に濡れずに通勤できた」みたいな小さなことでも大丈夫です。数は決めなくていいので、思いつく限り書いてみてください。

編集部

自分の中だけでグルグルしていた意識が、周りの人や環境にも広がっていく感じですね。

高崎社長

そうですね。「あ、自分はけっこう守られてきたんだな」とか、「生かされてるんだな」という感覚が少しずつ出てきます。そこまで行くと、さっきの器の話でいう「この器は、誰に何を注ぐためにあるんだろう」という問いも、自然と出てきやすくなるんです。

編集部

視点が自分の内側に閉じてしまうと、支えてくれているものが見えにくくなりますよね。

高崎社長

そうなんです。辞めたい気持ち自体が悪いわけではなくて、それだけ自我がフルマックスになっている状態なんだと思います。でも、感謝の視点を持って、自分の器を上から見る感覚を少しずつ育てていくと、「この仕事を通して誰に役立てるかな」とか、「もしかしたら別の場所に器を移した方がいいのかな」とか、選択の質が変わっていきます

編集部

転職するかどうかの前に、「今の仕事を、自分という器を磨く場所」として捉え直してみるのも一つかもしれませんね。お金のためだけではなく、「誰の役に立つ器になりたいのか」という視点を持てると、仕事の意味づけもかなり変わってくるのかなと思いました。高崎社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。日本で働く20代の方々が、少しでも自分の器を生かしやすい社会になるように…私たちもキャリア支援の現場から伴走していければと思います。

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