毎日の食を“当たり前”に届ける仕事に誇りを。|学校給食とお弁当を手がける株式会社ロワール・四ツ井社長が語る“食を支える仕事”

「給食って、出て当たり前」
多くの人がそう思っています。でも、その1食を支える裏側には、暑い調理室で汗を流し、誰かの健康のために動き続ける人たちがいます。
埼玉・深谷で学校給食や介護施設向けの食事提供を手がける株式会社ロワール・四ツ井貴博社長は、その“当たり前”の裏にある努力と誇りを知る一人です。
食を提供することは、人の生活と健康を支える大切な仕事。そう語る社長は、働く人の環境づくりや若手採用にも全力で向き合っています。
この記事では、四ツ井社長が歩んできたキャリア、給食現場のリアル、そして未経験の20代に伝えたい「まず一歩踏み出す大切さ」を伺いました。
株式会社ロワール
四ツ井 貴博 代表取締役
父が始めたカレーショップを起点に、給食事業へ広がった家業に戻り、現場で経験を積みながら事業拡大を牽引。現在はM&Aを経て形成されたグループ5社の中心となるロワールを率いる。学校給食・介護施設向け給食・企業向け弁当を展開し、現場環境の改善や若手採用にも注力。真空パックを使った新しい食事提供モデルにも取り組んでいる。
カレー店から給食の世界へ飛び込んだ理由

編集部ご経歴について伺いたいのですが、四ツ井社長はもともとはカレー屋さんからスタートされたんですよね。



はい。始まりは父が立ち上げたカレーショップです。そこから「埼北給食センター」という共同組合を引き継ぎ、給食の仕事に広がっていきました。



最初から給食一本の会社だったわけではないんですね。



そうなんです。私が入社した頃は、まだお弁当がメインでした。そこから少しずつ、学校や介護施設の給食を任せてもらうようになっていきました。



社長ご自身は、最初から家業を継ぐつもりだったのでしょうか。



いえ、まったくです。大学を出て、そのまま別の会社に就職しました。兄が先に会社に入っていたので、自分は普通に働いていくつもりでした。



そこから、どんなきっかけで今のポジションに…?



会社が忙しくなってきたころに、兄から「入社してくれ」と言われたんです。最初は断ったのですが、翌年も言われて、2回目を言ってくるのは余程大変なんだなと思い、入社を決めました。



大きな決断ですね。



はい。覚悟を決めて戻ってからは、現場で働きながら仕事を覚える毎日でした。今はM&Aも重ねて会社が5つになっていて、その中の本体となる会社を私が引き継いでいます。



20代で会社員として働いている読者も多いのですが、「思い描いた道と違う選択」を迫られることもあると思います。



そうですね。自分の理想と違うと感じても、その場で全力を出すと見える景色が変わります。私も給食の世界に興味があったわけではありません。でも続ける中で、「人の健康や生活を支える仕事なんだ」と気づいていきました。
「当たり前」と言われる給食の悔しさと学び





御社のサイトには「大切な人が健康で明るく一日を過ごせるお弁当を届けたい」という言葉がありましたね。この想いの背景についても伺いたいです。



うちはお弁当からスタートしましたが、今は介護施設や学校の給食が大きな割合を占めています。特に介護施設では、利用者さんは朝昼晩と一日中、当社が作る食事を食べています。食事が、生活の楽しみそのものなんですね。



わかります。まさに、毎日の楽しみですよね。



そうなんです。でも給食って、褒められることが本当に少ないんですよ。決まった時間に、安心安全なものを出して当たり前。少しでも遅れたり、何か問題があると大きく取り上げられます。



たしかに、ニュースで、給食が遅れたとか、品数が減ったという話題を見たことがあります。



そうですね。でもその裏で、毎日同じ時間に同じクオリティを出し続けることがどれだけ大変かは、なかなか伝わりません。私は給食を「生活を支える水や電気のようなもの」だと思っています。ないと困るのに、あるのが当たり前と思われている。そこが少し悔しいですね。



働く側からすると、評価されにくいのはつらいですね…。



だからこそ、社内ではなるべく「ありがとう」を伝えるようにしています。現場の人たちも、自分たちの仕事が誰かの生活を支えていると実感できないと、続けるのが苦しくなりますから。



たしかに、四ツ井社長から「ありがとう」を言われると、自分のやっていることの価値に気づきやすくなりそうです。お話を聞いていると、現場の方を本当に大切にしているのが伝わってきます。
子どもから高齢者まで届けるメニューづくりの工夫


写真:介護施設|敬老の日の給食



御社は、幼稚園から一般企業、介護施設まで、本当に幅広い現場に食事を届けていらっしゃいますよね。メニュー作りはかなり大変そうです。



そうですね。需要がまったく違います。今はお弁当が売上の3割くらいで、残りの7割が給食委託です。幼稚園、介護施設、一般企業、全部別物です。



たとえば、子どもの給食と介護施設の食事では、どんな点が違いますか?



幼稚園だと0〜2歳の子どももいます。アレルギーの問題がとても難しいですし、「食育」という面も大切です。たとえば、うちの給食で初めてひじきを食べる子もいるのですが、「お家でもひじきを食べれるようになりました」と保護者の方から聞くと、やっていて良かったなと思います。



自分たちの給食が、家庭の食卓にも影響しているんですね。



はい。一方で、現場仕事の多い一般企業さん向けのお弁当では「お腹がちゃんと満たされるか」が大事です。栄養バランスも考えますが、まずはボリューム。介護施設では、飲み込みやすさや塩分の調整がポイントになります。



誰が食べるかによって、意識するポイントがまったく違いますね…!



お弁当、介護施設、幼稚園、それぞれ専門の栄養士がいます。メニューの工夫や季節の食材の使い方を考えながら、利用する方の声も取り入れています。



利用者さんの声は、どのように集めているのでしょう?



介護施設では、毎日「検食」という味見チェックがあります。「今日は味が濃い」「おいしかった」などを記録してもらって、毎月の給食会議で振り返ります。「来月は魚を増やそう」「肉を少し減らそう」といった話し合いもそこでします。



現場の声をもとに、メニューを育てていくイメージですね。



そうですね。子どもたちにとっては「給食=思い出」でもあります。ソフト麺や揚げパンみたいに、大人になっても覚えているメニューを作りたいですね。



たしかに、給食のソフト麺、あまったものをじゃんけんで勝ち取った記憶があります(笑)。それくらい美味しくて、大人になった今も記憶に残っています。
暑い現場を支えるチームづくりとオンラインの使い方





給食の現場は、環境面での課題も大きいと伺いましたが、実際はいかがでしょう?



そうですね。学校の給食室には、まだ冷房が入っていないところも多いです。ガスをたくさん使うので、室内の温度は外よりかなり高くなります。



それは相当きつい環境ですね…。



はい。その環境の中で「安心安全な給食を、時間通りに出しなさい」「衛生管理を完璧にしなさい」と言われるので、正直、現場はかなり厳しいです。本当は空調を入れてほしいのですが、予算の関係でなかなか進みません…。



行政側も事情はあると思いますが、働く人の安全が置き去りになってしまっている面もありそうです。



そう感じますね。だから私たちとしては、OS-1を用意したり、洗浄の時間だけは白衣を脱いでいいようにしたりと、できる範囲の工夫をしています。



一人ひとりの体調を守る工夫ですね。



はい。それと同じくらい大事にしているのが「チームの雰囲気」です。給食の現場は女性の職員が多いですし、1つの職場に5〜6人と少人数です。雰囲気が悪くなると、一気に働きにくくなります。



そこをどう支えているのでしょうか。



社員は比較的若い人が多いので、私も含めてオンラインでのミーティングを活用しています。定期的にZoomで全体ミーティングをして、「今後はこんな方向でやっていこう」「やりづらい仕組みはないか。何か変えてほしいことはあるか」と直接話しをするようにしています。



現場はリアル、コミュニケーションはオンラインも使うという形なんですね。



そうですね。現場の仕事はどうしてもアナログですが、情報共有はデジタルを使ったほうが速くて正確です。両方をうまく組み合わせることが、これからの働き方には大切だと思います。



20代の読者の中には、「自分は現場型だからデジタルは苦手」と感じている方もいそうです。でも両方を少しずつ使えるようになると、仕事の幅も評価も広がりますよね。
未経験でも一歩踏み出す20代へ伝えたいこと





採用のお話も伺いたいです。四ツ井社長は、応募者の面接をすべてご自身でされているとか。



はい。書類が通った方の面接には、基本的に全員私が入ります。社員が同席することもありますが、話すのはほとんど私ですね。



そこまでされている理由は何でしょうか?



スタートでいき違いがあると、全てがうまくいきません。大前提として、当社と合うかどうか、この二択から入ります。面接では分からないことは多いですが、「人」が一番の財産なので、やっぱり一番最初に話したいですね。同じ給食の仕事でも、職場ごとに色があります。5〜6人のチームの雰囲気を守るために、実際にコミュニケーションをとりたいという気持ちもあります。



たしかに、少数精鋭チームだと相性は大事ですね。



「この人はこの現場の雰囲気に合うかな」「ここに入ると人間関係がきつくなりそうだな」といったことを、話しながら考えています。仕事ができるかどうかだけではなく、人としての空気感を見ていますね。



先ほど、22歳の方が即決で採用されたと伺いました。



そうなんです。調理師として応募してくれた方だったんですが、話していて「この子は前線に立てる」と感じたので、営業として採用したいと伝えました。本人も「頑張りたいです」と言ってくれて、その場で決まりました。感覚の部分もありますが、「一緒に働きたい」と思えるかどうかが大きいですね。



読者の中には、「自分には特別なスキルがない」と不安な方も多いです。その点はいかがですか。



特別な技術を持っている人なんて、そう多くはいませんし、いたらきっと自分で商売をしていると思います。うちも、即戦力の技術者だけを求めているわけではありません。それよりも、「ここで頑張りたい」という気持ちがあるかどうかです。まずは勇気を持って応募してみてほしい。面接を受けるって、すごく勇気のいることですが、会社側からすると、そこまでハードルが高いものではありません。「とりあえず一歩踏み出してみた」人のほうが、何も動かない人よりもずっと前に進んでいます。



たしかに、動いた人にしか見えない景色がありますよね。



そう思います。みんな「将来はこうなっていたい」と思うことがあると思いますが、それを叶えている人は必ず何か行動しています。応募でも勉強でも、小さな一歩からです。



20代のうちは、完璧な準備よりも「まず動くこと」が大事なのかもしれません。明日できることとして、気になる会社を一社だけ、真剣に調べてみる。そのくらいの一歩から、キャリアは動き出しそうです。今日は、四ツ井社長の「当たり前の1食を支える」「勇気を持って一歩踏み出す大切さ」という言葉が印象に残りました。四ツ井社長、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
リンク:株式会社ロワール_採用ページ








