辞めない組織はこう作る|株式会社エスラボ・中山社長が徹底する「教育と評価を仕組みにした会社経営」

「社員が辞めない会社なんて、理想でしかない。」

そう思う人も多いかもしれません。しかし、株式会社エスラボの中山社長は、それを設計で実現できることとして語ります。

未経験から育てる教育制度、成果を正当に返す評価の仕組み、そして人が無理なく続けられる環境づくり。9年で75名規模へと成長した背景には、「続ける人を増やす」ための確かな方法がありました。

お話を伺った人

株式会社エスラボ

中山 裕輝 代表取締役

ソフトウェア専攻を卒業後、IBMおよび国内IT企業で約20年エンジニアとして経験を積む。2016年に株式会社エスラボを設立。SES事業・受託開発・自社製品開発を展開し、独自の教育制度「エスラボカレッジ」で未経験からの人材育成を推進。現在はMBAでも学びながら、育成×評価×自動化による「辞めない組織づくり」を実践している。

目次

エンジニアとしての原点と、創業の決断

編集部

中山社長はもともとエンジニアとして長く現場に立たれていたと伺いました。その経験が、今の経営にもつながっているそうですね。

中山社長

そうですね。大学ではソフトウェアを専攻し、卒業後はIBMでエンジニアとして働いていました。Web企業でおよそ10年間、開発やシステム設計、プロジェクト管理、コンサルに携わりました。

編集部

ITの最前線に長くいらっしゃったんですね。

中山社長

はい。さまざまな現場を経験するなかで、技術以上に人が辞めてしまうことに課題を感じました。せっかく育った人が、様々な原因で離れてしまう…。個人と組織双方を重ねて価値を作り出そうという考えで、2016年に株式会社エスラボを立ち上げました。

編集部

たしかに、エンジニアの世界は三次受け・四次受けのように構造が複雑で、現場が過酷だと言われますがが、そんな中で、「どうすれば人が続けられるのか?」という発想から生まれた会社なんですね。ちなみに、社名の「エスラボ」にはどんな意味があるんですか?

中山社長

スカラビリティ(Scalability)という言葉の略ですね。IT用語で「拡張性」や「変化への強さ」を意味します。会社も人も、変化に対応できる形で成長していくことが大事だと考えています。変化が激しい時代だからこそ、組織も個人も「学び続ける力(継続学習のケイパビリティ)」がますます求められていると思います。

編集部

まさに、今の時代にぴったりの考え方ですね…!

中山社長

社員は現在75名で、SES事業、ITスクール、受託開発、自社製品開発の4本柱で運営しています。創業時から「続ける人が力を発揮できる組織」をつくることを一番に考えてきました。

編集部

たしかに、続けられる環境ってありそうで難しいですよね。続ける人が報われるようにする、その視点が印象的です。

中山社長

そうです。続けられる環境があって、初めて成長が見えてくる。働きやすさや評価の仕組みも、そのための手段なんです。組織母体としては、個人が継続的に成長できる価値を提供しないといけない。辞めないようにする、以上の使命感があります。

市場の変化で見えた課題と、数字から学んだこと

編集部

その「続けられる環境」をつくるには、外の環境にも左右されますよね。たとえばコロナ以降、開発案件の減少などでSES業界全体の流れも変わったと聞きます。エスラボさんではどんな影響があったのでしょうか?

中山社長

はい、2020年から2025年のあいだに、SES業界は「売り手市場」から「買い手市場」へとすっかり流れが変わりました。その影響で、案件よりも人のほうが多い状態が続いたんです。

編集部

そうなんですか…。業界全体でそんなに大きな変化があったんですね。

中山社長

何が起きているのかを正確に知るために、私はこの5年間で営業メールをおよそ380万通分析しました。データを見てみると、業界全体の需給の流れがようやく見えてきたという感じですね。

編集部

380万通…すごい量を分析されたんですね。

中山社長

はい、2024年には案件と人材の比率が完全に逆転していました。2025年は技術変化により、人材入れ替え・再度配置、エンジニアにとって「AI元年」となり、数字だけ見れば、どの会社も厳しい状況だったと思います。でもそんな中でも、うちは「待機ゼロ」を守り切ることができました。

編集部

どの会社も苦しい中で、それを維持できたのは、一体なぜなんでしょうか?

中山社長

これは偶然ではなくて、教育とメンタルケアの仕組みをきちんと作った結果なんです。現場に出られない時期でも、学びを止めなかった。その積み重ねが、こういう危機の年にこそ力を発揮しました。

編集部

教育とメンタルケアの仕組み、ですか…?

中山社長

ええ。社会人として現場で評価される本質って、結局ソフトスキルなんですよね。現場に出られない期間でも学び続けられるように、社内でカリキュラムを整えたんです。具体的には、あらゆる社員が、オンラインで基礎から学べるようにしました。たとえばAWSやJavaの研修を100日単位で設けて、動画教材やメンターのサポートもつけています。単なる座学ではなく、実際の現場を想定した内容なので、次の配属にすぐ活かせるんですよ。

編集部

社員が止まらずに成長し続けられる仕組みを作ったというわけですね。

中山社長

そうですね。数字を追うだけでなく、読む力が大切だと改めて感じました。

教育と評価を仕組みにした、辞めない会社のつくり方

編集部

先ほどのカリキュラムの話にもつながりますが、中山社長は冒頭でも仰っていたように「人が辞めない会社づくり」に本気で取り組んでらっしゃいますよね。教育や評価の仕組みをどのように整えているのか、もう少し具体的にお伺いできますか?

中山社長

まず、いちばん大事にしているのは、頑張りがきちんと報われることです。学び続ける人が評価されるように、年に2回の昇給チャンスを設けています。

編集部

半年ごとに昇給の機会があるんですね。

中山社長

はい。360度評価を導入していて、スキルや成果だけでなく姿勢や貢献度も見ています。上司だけでなく同僚やメンターの声も反映するので、納得感があるんです。

編集部

評価が見える形になっているんですね。

中山社長

そうですね。内容や基準は社内ポータルで共有しています。ルールが明確だと、安心して挑戦できます。制度は社員を信じる仕組みでもあると思っています。

編集部

なるほど。信頼があるから挑戦できる、と。

中山社長

そうです。資格試験の費用は会社が全額負担ですし、貢献度に応じてポイントが貯まる制度もあります。1ポイント1円で、食事やレジャーに使えるんですよ。

編集部

えー!それはとても画期的ですし、嬉しいですね。社員の満足度も高そうです。

中山社長

実際、社内アンケートでは満足度4〜5がほとんどでした。制度とは、辞めない仕組みというより、成長を続けられる環境をつくるためのものなんです。

仕組みで時間を取り戻す。自社製品と働き方の進化

編集部

ここまでのお話でも、一貫して「仕組みで人を支える」という姿勢が印象的でした。その考え方は、御社の自社プロダクトにも通じていますよね。

中山社長

はい。現在は営業支援ツールの「wisefocus」と、EC構築支援サービス「StoreMark」の2つを展開しています。どちらも現場の課題から生まれたものです。

編集部

「wisefocus」はどんなツールなんでしょうか?

中山社長

SES業界の営業を効率化するためのシステムです。AIマッチング、顧客と人材の一元管理、勤怠・経費の申請などをすべてまとめて管理できます。営業メールも自動分析できるので、どんな人材がどの企業に求められているか、データで見えるようになりました。

編集部

人の勘や経験に頼らず、数字で判断できるんですね。

中山社長

そうです。定量定性で感覚に頼るよりも、データで動いた方が早くて正確です。もう一つの「StoreMark」は、ECサイトの構築からマーケティング、運用・保守までを一気通貫でサポートするサービスです。企業の課題を最初から最後まで伴走して解決できるのが強みです。

編集部

現場から生まれた発想だからこそ、実用性が高いわけですね。自動化の取り組みは、社員の働き方にも影響していますか?

中山社長

はい。オペレーションコスト削減改善を実施し、営業やバックオフィスを自動化したことで、残業がほとんどなくなりました。社内のコア部隊は定時退社が基本です。限られた時間の中で成果を出す文化ができました。

編集部

まさに「仕組みで時間を取り戻す」ということですね。

中山社長

そうですね。反復作業は機械が担い、人は提案や判断に集中する。それが一番生産性を上げる方法です。仕事の質も上がります。

編集部

作業を自動化して浮いた時間で、人はもっと創造的なことに取り組めるということですね。

中山社長

はい。 エンジニアも営業も、「自分の時間をどう使うか」を意識するようになりました。時間の使い方は、そのままキャリアの使い方です。

「辞めない人」を増やすために、今できること

編集部

中山社長の、仕組みで時間を取り戻す、というお話がとても印象的でした。限られた時間のなかで成果を出すには、やはり日々の意識が大事ですよね。若手社員の方にもそうした考え方を伝えているのでしょうか?

中山社長

はい。私自身、20代のころから「時間の使い方」で差がつくと感じていました。才能の差はあります。でも、習慣は誰でもつくれます。続ける人が、最後に強くなるんです。

編集部

続ける力、ですね。では、若い方が日々の仕事で意識しておくといいことは何でしょうか?

中山社長

数字を追うだけでなく、「読む」ことですね。 現実をきちんと見て、自分がどこに立っているのかを理解する。思い込みではなく、事実を見ながら動ける人は、どんな環境でも伸びます。

編集部

確かに、数字を見るだけで終わってしまう人は多いかもしれませんね。

中山社長

そうなんです。大事なのは、続ける仕組みと考え方を自分で持つこと。 完璧を目指さず、まずは小さく続ける。三か月続ければ、職場の見え方が変わります。

編集部

エスラボの「辞めない組織」は、そうした続ける人を支える仕組みでできているんですね。

中山社長

そうです。会社も人も、変化の中で成長し続けられるように設計する。それが私の仕事です。

編集部

今日は、数字で現実を見る・仕組みで支える・続ける人が伸びるという言葉が印象的でした。中山社長のお話を通じて、強さとは特別な才能ではなく、続ける仕組みを自分の中につくることだと感じました。明日は、いつもより5分だけ早く机に向かって、今日できたことを一つ振り返ってみようと思います。その小さな積み重ねが、未来を変えていくはずです。中山社長、本日は貴重なお話をありがとうございました!

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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