まず見学、次は週2日から。未経験から明るい福祉職場になじむまで|株式会社アスキー採用担当 栗田さんの転職成功ストーリー

新しい仕事に挑戦したい気持ちはあるけれど、「未経験で知らない職場に飛び込んで、人間関係になじめるかな…」と不安になる人は多いはずです。
とくに福祉や就労支援の仕事は、「自分にはむずかしそう」と一歩を踏み出しにくいイメージもあります。
そんなモヤモヤを抱えたまま、イベント業界から全くの未経験で福祉業界に飛び込み、今は就労継続支援B型事業所で採用と支援の両方を担っているのが、株式会社アスキーの採用担当、栗田悠加さんです。
明るい職場に転職して、実際に現場で働き続けている経験から、未経験でも新しい環境で気持ちよく働き始めるヒントを伺いました。
株式会社アスキー
採用担当 栗田 悠加
前職はイベント出展の会社に勤め、会場での接客や運営を担当。案件ごとに収入が変わる働き方に不安を感じ、「手に職を」と福祉に関心を持つ。知人の紹介で就労継続支援B型事業所を見学し、週2日のサポートからスタート。約1年後に正社員となり、現在は支援員として利用者の就労準備を支えつつ、職員採用も兼務している。35歳・最年少職員として、明るい職場づくりと一人ひとりに合う支援を心がけている。
イベントの世界から福祉へ。安定を求めて選んだ「全くの未経験」
編集部栗田さんは、前職は福祉とは全く別の業界だったそうですね。具体的にどんなお仕事をされていたんですか?



イベントに出展する会社で、会場に行ってブースを出すような仕事です。自分には合っていると思っていましたし、実は転職せずにずっと続けるつもりでした。



聞いていると、とても楽しそうなお仕事です。それでも転職を考えたのは、どんな理由からだったのでしょうか。



一番大きかったのは、収入の不安定さです。イベントって毎日あるわけではないので、仕事がある月とない月の差が大きくて。年齢を重ねるほど、「このままでいいのかな」という不安が強くなりました。そこで、ちゃんと手に職をつけて働きたいと考えるようになったんです。



そこで福祉業界を選ばれた、と。



いえ、自分から福祉を選んだわけではなくて、知人から声をかけてもらったのがきっかけです。就労継続支援B型の事業所で、「お手伝いでもいいから一緒に働いてみない?」と誘われました。



そのお話を聞いたときの、率直なお気持ちはどうでしたか?



もう、「私で大丈夫?」が一番でした。福祉の知識も経験もゼロですし、身内に障害のある人がいるわけでもない。就労継続支援という言葉も知らなくて、「何それ?」という状態でした。正直、最初は断ろうかと思っていました。



そこから、一歩踏み出せた決め手は何だったのでしょう。



「とりあえず一回見においで」と言われたんです。かたい感じではなく、本当に軽い見学のつもりで事業所に行ってみました。それで、入った瞬間にイメージがガラッと変わりました。利用者さんたちが、大きな声で「こんにちは」とあいさつしてくれて。勝手に「暗くて静かで、あまり話さない人が多い場所」を想像していたので、本当にびっくりしました。利用者さん同士もわきあいあいと話していて、「あ、ここなら自分も一緒にいられるかも」と感じたんです。



不安だらけだったのが、数時間で「ここで働いてみたい」に変わっていったわけですね。



はい。行くまでは不安しかなかったんですけど、帰る頃には「やってみたい」に変わっていました。そこから、最初は週2日だけお手伝いとして入ることになりました。



前のお仕事とは、しばらく掛け持ちされていたんですよね。



そうです。イベントの仕事があるときはそちらにも行きながら、決めた曜日に事業所に入っていました。そのうち、福祉の仕事のほうをメインでやってみたいという気持ちが強くなっていきました。



そこから、正社員として今の仕事に就かれたと。



はい。1年ほど続けて、利用者さんとも仲良くなって、ある程度コミュニケーションも取れるようになった頃に、正社員として働かせてもらうことになりました。



全くの未経験でも、「一度自分の目で見てから決めてみる」ことで、新しいキャリアの道が開けることがあるわけですね。今の仕事にモヤモヤしている20代の方も、まずは小さな一歩から始めるヒントになりそうです。
就労継続支援B型で働いてみてわかったリアルな毎日



実際に就労継続支援B型の仕事を始めてみて、毎日の働き方はどんな感じでしたか?



就労継続支援B型は、ざっくり言うと「働く前の準備をする場所」です。一人ひとりのペースに合わせて、働くための土台を一緒に整えていく仕事をしています。体調がいい日もあれば、しんどい日もあるので、その日の様子を見ながら、通所や作業のペースを考えていくイメージです。



具体的には、どんなところからサポートしていくのでしょうか?



まずは生活リズムですね。寝る時間や起きる時間がバラバラで、朝どうしても起きられない方も多いです。そういうときは、いきなり「毎日来ましょう」ではなくて、睡眠リズムを整えるところから一緒に考えます。



少しずつ安定してきたら、次のステップに進んでいく感じですね。



はい。毎日事業所に来られるようになったら、今度は作業に集中できる時間を少しずつ伸ばしていきます。うちの事業所では、内職や手作りの商品づくりなど、いくつかの作業があります。その中から、その人に合いそうなものを一緒に探していく流れですね。



「この仕事おもしろいな」と感じるのはどんな瞬間でしょう?



利用者さんと一緒に考えたやり方が、その人にハマったときです。「この順番で作業したほうが集中しやすいかも」と提案して、実際にやってみて「こっちのほうがやりやすい」となったときは、すごくうれしいです。



卒業して一般就労に進む方もいらっしゃいますよね。



はい。卒業して一般企業に就職される方もいます。ただ、私は「卒業できたかどうか」だけがゴールだとは思っていません。1か月前にはできなかったことが、今できるようになっている。それだけでも、その人にとっては大きな前進ですし、その変化を一緒に喜べるのがやりがいですね。



成果だけでなく、「土台が整っていくプロセス」を一緒に見る仕事なんですね。



そうだと思います。生活リズムや体調が少し落ち着いてきたり、あいさつが自然にできるようになったり。そういう日常の変化を近くで見られるのは、この仕事ならではだと感じています。
未経験で飛び込んだからこそ悩んだ、“寄り添い方”のちょうどいい距離



栗田さんは未経験でこの世界に入られたわけですが、現場で働く中で「これは勉強になったな」と感じた出来事はありますか?



あります。利用者さんと早く仲良くなりたくて、自分から話しかけすぎたことですね。気持ちは前向きだったんですけど、あとから振り返ると、相手には負担だったと思います。



良かれと思って動いたけれど、少し距離を詰めすぎてしまったわけですね。



そうです。私たちでも、付き合いの浅い人から急にぐっと距離を詰められたら戸惑いますよね。それと同じで、「今はこのくらいの距離がちょうどいいかな」と考えながら接することが大事なんだと、そこで気づきました。



そこから、接し方はどんなふうに変えていったのでしょうか?



まず、自分のペースで一気に仲良くなろうとするのをやめました。あいさつや、ちょっとした声かけから始めて、相手の表情や反応を見ながら、少しずつ会話を増やすようにしました。



事業所としての支援の方針とも、つながっている考え方なんでしょうか。



そうですね。うちの事業所は、「全員を同じルールでしばらない」という方針なんです。一人ひとりに合った支援を目指していて、完璧なかたちを押しつけるより、その人にとってちょうどいい形を一緒に探したい、という考え方です。



その考え方を知ってから、「自分のやり方を押しつけていないかな」と立ち止まるようになったわけですね。



はい。「今はそっと見守ってほしそうだな」と感じたら、あえて話しかける回数を減らすこともあります。逆に、目がよく合うようになってきた方には、こちらから簡単な相談をしてみたりします。こちらの都合ではなく、「相手のサインを見て決める」ことを意識しています。



距離感をつかむのは、どんな仕事でもむずかしいテーマですよね。



本当にそう思います。福祉の現場に限らず、空気を読まずに一気に距離を詰めると、お互いしんどくなります。相手のペースを尊重しながら、一歩ずつ近づいていくことが大事だと感じています。
楽しいだけじゃ終わらせない。明るさとフラットさを両立させるチーム



今のお話を聞いていると、現場の空気もとても大事にされているのが伝わってきます。一緒に働いている職員の皆さんは、どんなメンバーが多いのでしょうか?



私は35歳で一番下です。上は60代までいて、その間に30代と50代がいる感じですね。年齢の幅は広いんですけど、あまり年の差を意識せずに話せています。かといって、友達同士みたいにダラダラする感じでもないです。仕事はきちんとしながら、ちょっとした世間話もできる。ほどよく力が抜けた、居心地のいい雰囲気だと思います。



未経験で入る人にとって、そういう空気はかなり安心材料になりそうです。



そうだと思います。見学に来られる方も、最初に見るのはやっぱり職場の明るさや、話しかけやすさだと思います。



その明るさは、社長の考え方ともつながっているのでしょうか。



はい。社長がよく「楽しくて明るい会社をつくりたい」と話すんです。「他の事業所と比べて、ここは明るいね」と言ってもらえる場所にしたい、という思いですね。その考えに共感した人たちが集まって、今のチームになっている感じがします。



それだけ雰囲気がいいと、「友達も連れてきたくなる職場」になりそうです。実際、知り合いを誘いたいなと思うこともありますか?



あります。「この人だったら、うちに合いそうやな」と感じる友達もいて。ただ、知り合いばかりで固めるのは、正直むずかしさもあると思っていて…。身内同士だと、いい意味で言いやすい分、周りからえこひいきに見えてしまうこともあると思うんです。「あの人にはこうなのに、この人には…」みたいな不公平感につながることもあり得ますよね。そこは気をつけたいなと感じています。



たしかに、「仲良しグループの中に後から入る」イメージだと、新しく来た人は入りづらいですよね。



そうなんです。知り合いを誘うこと自体は悪いことではないと思います。でも、それだけに頼ってしまうと、外から来た人が入りにくくなってしまうので。求人を見て来てくれた方でも、最初から輪の中に入りやすいような職場でありたいと思っています。



年齢もバックグラウンドも違うメンバーがいるからこそ、利用者さんにとっても安心感のあるチームになりますね。



そうですね。同じタイプの人だけで固まるより、いろんな年齢や性格の人がいたほうが、利用者さんも話しやすいと思います。「この人にはこう話したほうが伝わりやすいかも」とか、職員同士で補い合えるところもあるので、そこは今のチームの良さだと感じています。
未経験の20代へ。「まず見学」と「当たり前の連絡」から始めてみる





「自分も福祉の仕事に興味が出てきた」という20代の方もいると思います。栗田さんのように未経験の方が応募するとき、どんなところを意識するとよいでしょうか?



まず、「未経験でも大丈夫かな」と心配しなくて大丈夫です。私自身、知識ゼロからのスタートでしたし、最初はみんな未経験ですから。



たしかにそうですよね。そのうえで、「ここだけは押さえてほしい」というポイントはありますか?



経験や資格よりも、人としての部分を大事にされると良いかなと思います。約束を守る、時間を守る、連絡をちゃんとする。利用者さんのことを一番に考えながら、職員ともきちんとコミュニケーションを取れるかどうかですね。



面接の場では、そのあたりはどんなところから伝わってくるものなのでしょうか。



難しい質問ですけど、やっぱり会話の中での態度や、言葉の選び方から伝わってきます。「やる気あります」「コミュニケーション得意です」と口で言うだけでなく、こちらの話をきちんと聞いて、落ち着いて返してくれる人は、現場でもうまくやれそうだなと感じます。



逆に、「もったいないな」と感じるのはどんなときでしょう?



せっかくチャンスがあるのに、連絡一つで信頼を落としてしまうときですね。面接の時間を過ぎても来ない、こちらから連絡しても返ってこない。内容以前に、「基本的なところが整っていない」と感じてしまいます。



退職代行なども話題になる時代ですが、「言いづらいから何も言わない」という選択は、長い目で見ると自分の首をしめてしまいますよね。



そう思います。言いづらいことを伝えるのは勇気がいりますが、その一歩が信頼につながります。



最後に、これからの目標についても教えてください。



私個人としては、立派な目標というより、「今目の前にいる利用者さん一人ひとりに向き合い続けたい」という気持ちが強いです。でも、事業所としては、将来的に事業所の数や形を増やして、いろんな人を受けとめられる場所をつくっていけたらいいなと思っています。もしこのお仕事に興味を持たれた方は、お問い合わせをお待ちしています。



ありがとうございます。「気になったらまず見てみる」「最初は週2から少しずつ経験してみる」「当たり前の連絡を大事にする」というお話が印象的でした。自分の仕事を変えたいと感じている方こそ、たとえ気になる業種が未経験だとしても、栗田さんのようにチャレンジングな一歩を踏み出してみてほしいです。栗田さん、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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