研究業界を支える営業&CS|株式会社Inner Resource 藪田さん×間野さんの「日本の研究を加速させる」生き方

ニュースで名前が出るのは、新しい薬や技術を生み出した研究者ばかりです。もちろん、その成果を出すこと自体は、とても名誉で価値のある仕事です。
でも、その同じ研究者たちは、実験に使うビーカーや薬品を選んで発注したり、ノートや表で在庫を数えたりと、「研究以外の作業」にも多くの時間を取られています。
そうした研究室の発注や在庫管理を、紙やノートからクラウドの仕組みに置き換えるサービス「reprua(リプルア)」を提供しているのが、株式会社Inner Resourceです。
今回は、営業18年から研究支援の世界に飛び込んだ藪田さんと、介護で一度キャリアを中断しながらCSリーダーとして戻ってきた間野さんに、研究現場の“影の立役者”として働くリアルと、未経験からこの仕事に挑戦するためのヒントを伺いました。
株式会社Inner Resource
セールス担当 藪田 亮(やぶた あきら)
広告代理店の営業、製薬会社のMRなど、約18年間セールス一筋でキャリアを重ねる。新薬の開発スピード低下をきっかけに「研究の現場を元気にしたい」と感じ、研究室向けクラウドサービスを提供するInner Resourceへ転身。入社5年目の営業マネージャーとして、研究者の“見えない事務仕事”を軽くする提案に取り組んでいる。
CS担当 間野 恵実(まの えみ)
別業界での経験を経て入社した、Inner Resourceカスタマーサクセスチームのリーダー。一度フルタイム勤務を離れるも、「また熱量をもって働きたい」という思いから同社にジョイン。問い合わせ対応から機能改善の要望の吸い上げまで、お客様と開発をつなぐハブとして、研究者が本来の研究に集中できる環境づくりを支えている。
研究業界を支える仕事にたどり着くまで

編集部藪田さんと間野さん、お二人のこれまでのキャリアについて伺いたいのですが、お二人とも、新卒で入社したわけではなく、もともと別の業界にいらしたんですよね?



そうですね。僕は社会人になってから、ずっとセールス職でやってきました。広告代理店での営業から始まって、その後は製薬会社でMRをしていて、業界は変えつつも、18年くらい営業一本ですね。Inner Resourceには、入社して、もう5年近くになります。会社の中ではかなり古株の方で、今はセールスチームのマネージャーをしつつ、自分自身もプレイヤーとして営業をしています。いわゆるプレイングマネージャーですね。



MRから研究業界向けITサービスへの転職って、けっこう大きな決断ですよね。きっかけは何だったのでしょう?



MRって、薬の情報をお医者さんにお届けして、その薬を患者さんに処方してもらう役割なんです。患者さんに直接会うことはなかったんですけど、「薬を変えてもらって本当によかったです」と、お医者さんを通じて、新しい薬を提案した私宛てのお手紙をもらったことがあって。あのとき、社会の役に立っている仕事だなと強く感じました。一方で、新しい薬が出てくるスピードが少し落ちてきている感覚もあったんです。だったら、研究業界そのものを元気にする方が、結果的に新しい薬や技術が増えて、もっと多くの患者さんが救われるんじゃないかと考えるようになって。そこで「研究業界を支援するITサービス」に興味を持って、Inner Resourceに入りました。



患者さんへの思いが、研究を支える側への転身につながったんですね。20代で業界を変えたい人にとっても、「社会への貢献」を軸に仕事を選ぶ発想は参考になりそうです。では、間野さんはいかがでしょう?



私はInner Resourceに入社して3年目になります。CSのリーダーとして、導入後のお客様対応を担当しています。前職は別の会社で働いていたんですが、家庭の事情で、実家にいる祖母の介護を手伝うことになりまして。一度フルタイムの仕事を辞めました。その後、介護が一段落して、「もう一度フルで働こう」と思ったタイミングで出会ったのがInner Resourceです。



なるほど。その際の会社選びの軸は、どんなところにあったんでしょうか?



これまでの人生で、何においても熱量をもって励むことが自分も楽しくなるし、物事も好転することが多くありました。なので、転職活動では、「熱量をもって働くことを良しとする」「同じミッションに向かって一緒に進める」組織を探していました。そんな中で、対話を重ねるうちに「Inner Resourceいいじゃん」と思えたんです。研究室の世界は全然知らなかったんですけど、「今後のキャリアをかけてもいいかも」と感じて、入社を決めました。



大企業ではなく、あえて少数精鋭の、自分の行動のインパクトが大きい環境を選んだお二人。キャリアを考える際、「自分の仕事が組織にどう響くか」を大事にすると、働き方の満足度もぐっと変わりそうです。
研究者の「見えない事務仕事」とアナログな現場



お二人がサポートしているのは研究者の方だと伺ったのですが、そもそもの話、研究者の方って研究と並行して道具や材料の在庫管理なんかもやっているってことですか?



そうなんです。研究って聞くと、新しい薬や技術を生み出すイメージだと思うんですけど、その前に「実験するための準備」の仕事がたくさんあります。たとえば、ビーカーや試薬を買うのは研究室の人たちです。どれをどれだけ使うかを考えて、自分たちで選んで、発注して、在庫を見て、足りなくなったらまた補充して…というところまで、ぜんぶお仕事の中に含まれるんです。



そこまで研究者の方がやっているとは、正直イメージしていませんでした…。



しかも、そのやり方がすごくアナログなんです。たとえば、ある大学だと「欲しいものノート」を置いておいて、研究者の方が手書きで「これを買ってください」と書きます。それを業者さんがわざわざ見に来て、内容を確認して受注して…という流れが、今の時代でも普通に行われています。



AI全盛の世の中なのに、紙、ですか…。



そうなんです。皆さんが名前を知っているような大学や企業の研究部門でも、同じようなことが起きています。そこで私たちのシステムでは、発注、在庫管理、設備のメンテナンス管理などを、クラウドで一括管理できるようにしています。研究者の方が紙のメモやノートに時間を使うのではなく、本来の「研究」に集中できるようにしたい。そのためのITサービスという位置づけですね。





真っ先にデジタルツールを取り入れているイメージがありました。でも、実際はかなりギャップがあるんですね。



そうですね。学生さんからベテランの先生まで、年齢層も幅広いので、ITとの距離感も人それぞれです。



なるほど。だからこそ、「誰でも使える」設計が重要になってくるわけですね…!
研究者の声から生まれたプロダクトと改善の回し方





全てクラウドで一括管理できるシステムって、まだ世の中にはあまりないのかな、と思うんですが、このシステムをつくるうえで「ここだけは妥協しなかった」というポイントはありますか?



一番大事にしたのは、「研究者の生の声を徹底的に集める時間を最初にちゃんと取る」ということです。創業当時、社内には元研究者がいなかったので、外から見ただけではわからない部分が多かったんですね。そこで、はじめは無料でたくさんの研究者の方にシステムを使っていただいて、とにかくヒアリングを重ねました。「どこが使いにくいか」「何に時間がかかっているか」などを細かく聞いて、皆さんにとって本当に役に立つ形を一緒に考えていった時間は、とても大きかったと思います。



いきなり「こういう機能がいいはず」と決めるのではなく、現場から出てきた声をベースに作り込んでいったんですね。



今ある基本機能も、ほとんどが「お客様の声」が元になっています。「これだけが、お客様の声でできました」と言い切れるものを挙げるのが難しいくらい、全部がそうですね。



一方で、一部のお客様の要望が強くなりすぎてしまうと、全体の使いやすさとのバランスが難しくなりそうです。



そこは本当に悩ましいところです。会社が育ってくると、どうしても大きなお客様の声が目立つようになります。「これをやってほしい」と言われると、「やりたいな」と思ってしまう。でも、その機能は他のお客様にとって本当に必要な機能なのか、という視点を忘れてはいけないですね。



「皆さんにとってプラスになるか」を冷静に考えて、開発の優先順位を決めるようにしています。そこは、社内でも何度も話し合っている部分ですね。



私のCSチームでも、「使いやすさ」を一番の軸にしています。とくに、誰でも直感的に使えるかどうかを大事にしていて。過去につくった機能も、「こっちの方がわかりやすい」とお客様から教えていただいて、ブラッシュアップしたこともあります。完成して終わりではなく、使いやすさを重視して細かく改善し続ける、という感覚ですね。



なるほど。CSとしては、どんな流れでお客様の声を拾って、社内に届けているんでしょう?



私たちCSの一日の軸は「問い合わせ対応」でもあるのですが、チャットやメールで、「ここがわからない」「こんな機能はないか」といったご相談が随時入ってくるので、それを最優先で対応しながら、お客様の声を吸い上げていきます。そうして「よく出てくるお困りごと」を整理して、社内に共有するための資料をつくったり、「こんな便利な機能がありますよ」と、既存のお客様にご案内したりもしますね。



問い合わせを中心にしながら、改善の種をまとめていくといった流れになるんですね。「現場の声をどう事業に生かすか」を意識して働けると、どんな職種でも重宝されそうです…!
リモートでも「言いたいことを言い合える」営業とCSの働き方





お二人ともすごく明るく楽しそうにお話ししてくれるので、実際の職場の雰囲気も明るそうだなと想像したのですが、実際のところ、どんな感じなんでしょう?



うちは基本、リモートワークなんですよ。ただ、仲は良いかなと。オフィスに近い場所に住んでいるメンバーは、週に1回とか2週に1回くらい集まることもあります。それと、東京・大阪・福岡に拠点があるんですが、2,3ヶ月に1度くらいは、みんなで東京に集まってランチをしていますね。



遠方からもメンバーが来てくれて、すごく良い関係値であることが想像できます。でも、営業職でも、リモートで完結できるんですね。営業=足で対面で、みたいなイメージが強かったです。



うちのサービスはインターネット上で使うシステムなので、商談もほとんどオンラインです。物理的な商品を持ち歩いて見せるわけではないので、営業でもリモートと相性がいいですね。実際、まだ一度も対面でお会いしていないのに、お客様になってくださるケースもよくあります。



なるほど。チーム内のコミュニケーションは、どうやってとっているんでしょう?



Slackも使っていますし、バーチャルオフィス的なツールもあります。でも、営業同士だと、結局電話が一番多いですね。「チャットで書くより、電話をかけた方が早い」という感じです。



営業チームの雰囲気を、一言で表すとどんな感じでしょうか?



良い意味で「言いたいことをストレートに言い合えるチーム」です。古くからいるメンバーほどそうですし、新しく入ったメンバーも、だんだん遠慮なく言えるようになってきています。もちろん、わざわざキツイ言い方はしません。でも、回りくどい言い訳をせずに、「これはダメだった、ごめん」と素直に言える。そういうやり取りが、テンポよくできる雰囲気です。



リモートでも腹を割って話せる関係って、なかなか作るのが難しいですよね。CSチームはどんな雰囲気でしょうか?



CSは「支え合う」と「顧客第一」をモットーにしているチームです。お客様のために何がいいかを軸に考えながら、メンバー同士で助け合うことを大事にしています。私が家庭の事情で急に休まないといけなくなったときも、「お客様のことは私に任せて、行ってきてください」とすぐに引き受けてくれるメンバーばかりで。「また休むの?」みたいな空気はまったくないですね。



助け合い、思いやりの精神があって、とっても働きやすそうですね!



一方で、藪田からもあったとおり「伝えるべきことはちゃんと伝える」という点も大事にしています。お客様の声をもとに改善案を検討している時などに「私は●●が良いと思います」という意見を、チーム内でしっかり出し合えるよう努めてますね。



その関係性をつくるうえで、なにか工夫していることはありますか?



「雑談」を大事にしています。Google Meetでの社内ミーティングでも、会議が始まる前の1〜2分で「髪切りました?」「その服いいですね」みたいな、ちょっとした話を自然にしたり…。バーチャルオフィス上でも、「ちょっといいですか」と気軽に声をかけて、ポンポン話せる雰囲気です。そういう空気をとがめるような文化はないので、チームにも「何でも気軽に話す」が自然と根づいているのかなと思います。



リモートでも、雑談ができる環境とその関係性があれば、「困ったときに助けを求めやすい」空気になりますよね。自宅で働く人にとって、こういう雰囲気づくりは大きな安心材料になりそうです。
未経験でも研究業界の営業・CSに飛び込むには





そんな営業部・CS部では、今まさに採用に注力されているとのことですが、ズバリ、どんな方と一緒に働きたいですか?



営業部に関しては、営業未経験でもいいので、いろんなことに興味を持って、仕事を進めたいと思ってくれる人です。経験というよりスタンスですね。私自身、入社したときはITの「あ」の字もわからないくらいの状態でしたが、それでも何とかやれているので(笑)。ITを勉強したことがないから無理、というのはあまり関係ないかなと感じています。あとは、誠実さ。お互いに「この人の言うことは信頼できる」と思える関係でいられるかどうかです。「今日はもう正直、しんどいです」と、本音で言い合えるくらいがちょうどいい。そういう関係の中で、一緒に成功体験を重ねていきたいです。



CSも、キャリアや業界経験は一切問いません。「研究職って何かわからない」という状態からでも、全然大丈夫です。重視したいのは、誠実さや素直さがあるかどうか。お客様や社内に対して、意見をぶつけるだけではなく、「まずはやってみます」と受け止める姿勢も大事だと思っています。それから、今の弊社は、創業10年が見えてきたくらいで、まだまだ土台づくりのタイミングです。決まった形に乗るというより、「これからの基盤を一緒につくる」フェーズを楽しめる人と働きたいですね。未知の世界が広がっても、「面白そう、やってやろう」と飛び込める方だと、すごく心強いです。



お二人とも、未経験者ウェルカムなんですね。とはいえ、弊社の転職エージェントに相談にこられる20代の求職者さんは「未経験の自分が採用してもらえるか・やっていけるのか不安」とお悩みの方が本当に多くて…。最後に、そういう方へのメッセージもお願いできますか?



まず、不安を持つこと自体は、悪いことではないと思っています。ただ、その不安を小さくできるかどうかは、仕事に対する熱量で決まる部分も大きいです。みんな、最初から経験者ではないですよね。仕事も同じで、「会社に入ったら終わり」ではなく、「入ってからどれだけ自分の時間やエネルギーをかけられるか」で、不安は自然と小さくなっていきます。今不安でも大丈夫なので、「入社したら、不安をひっくり返してやろう」という気持ちで来てほしいです。



私は、「不安な分だけ早く動いた方がいい」と思っています。どうしようかなと悩んでいる時間が、一番もったいない。自分の体験談なんですが、転職したてのときに半年くらい周りの様子を見ながら仕事していた時期があったんです。「失敗したくない」と思って、なかなかチャレンジしなかった。でも、半年経つと、周りからは「もうできるよね」と見られて。そのタイミングで失敗をするのが、すごく怖いんですよ。だから、早く動いて、早くミスをしたほうがいい。ミスするのは当たり前で、「そこからどうするか」を考える方が大事。「早く転んでおこう」くらいの気持ちで来てもらえたら嬉しいですね。



「最初は誰だって未経験」「不安だからこそ早く飛び込んで小さく失敗しておく」というお二人の言葉が印象的でした。こんなに快活なお二人が日本中の研究室を支え続けることで、新しい発見やノーベル賞が生まれ、日本の未来もさらに明るくなりそうだと感じました。お二人とも、今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。








