「人生が豊かになるきっかけづくりを。」人材紹介×シニアダンスで挑む株式会社STORY plus 畑社長の”20代に伝えたい3つの選択”

言われたことはきちんとこなせる。でも、自分の野心や“らしさ”をどこかに置き忘れてきた気がしている20代の方も多いはずです。

周りからは「まじめで安定している」と見られていても、この先の10年を思うと、どこか物足りなさや不安が顔を出してきます。もっと成長したいし収入も上げたい、本当は挑戦してみたい仕事があるのに、一歩目の踏み出し方がわからない…。

そんな揺れの中で立ち止まっている人にとって、今回の取材内容は小さなヒントになるかもしれません。

一人でも多くの人の人生が豊かになるきっかけをつくりたい」と、人と組織に向き合い続けているのが、株式会社STORY plus 代表取締役社長・畑圭一郎さんです。

百貨店、人材・組織開発、経営幹部の転職支援を経て起業し、いまは人材紹介とシニア女性向けダンスコミュニティ「らくリズ(RAKURIZU)」を軸に事業を展開する畑社長に、働き方に悩む20代が、明日から一歩を踏み出すためのヒントを伺いました。

お話を伺った人

株式会社STORY plus

代表取締役社長 畑 圭一郎

1981年京都府生まれ。中京大学体育学部卒業後、株式会社三越(現・三越伊勢丹)で小売と「組織」のリアルを学ぶ。その後、人材・組織開発コンサルティング会社、経営幹部に特化したエグゼクティブサーチ会社で約3000名の経営者・ビジネスリーダーと向き合う。2020年に株式会社STORY plusを設立。「一人ひとりが想いを持ち、希望あふれる社会を実現する」を掲げ、人材紹介事業とシニア女性向けダンスコミュニティ事業を展開し、働く人の人生が豊かになるきっかけづくりに挑み続けている。

目次

野球少年から百貨店、そして「人と組織」の世界へ

編集部

畑社長は学生時代、ずっと野球に打ち込んでこられたと伺いました。当時の野球少年が企業の代表に至るまで、これまでの歩みを教えていただけますか?

畑社長

はい。おっしゃるように僕はずっと野球一筋で、野球の指導者になりたくて大学も体育学部に進んだんです。でも、大学で学んでいく中で自分も社会に出てステージに立ちたいと感じるようになって。そこでまずはビジネスの現場を知るために、卒業後は百貨店に就職しました。

編集部

最初の職場が百貨店だったんですね。実際に働いてみて、当時どんなことを一番強く感じましたか?

畑社長

小売の基本を一から学べたのはとても良かったです。ただ、一緒に働く人たちの表情があまり輝いていないように見えたんですよね。それと、のちに東京に転勤になったのですが、朝の通勤電車に乗ったときに疲れた表情の人が多いことに気づいて。「これは個人・組織・社会のいずれにとっても大きな問題ではないか」と強く感じたのを覚えています。

編集部

私も、ぐったりとしたサラリーマンの方を見て、似たような感覚を覚えたことがあります…。

畑社長

そうですよね。それで、人がいきいきと働ける状態をつくる仕事がしたくなって、人材開発・組織開発の会社に転職したんです。

編集部

業種がまったく異なるキャリアチェンジですね。そこでは、どんなクライアントを担当されていたんですか?

畑社長

主に大手企業ですね。人と組織の課題を一緒に考えて、人材開発・組織開発のお手伝いをしました。その中で、様々な企業組織の現状を見ていく中で、「教育も大事だけれど、誰がトップに立つかで組織は大きく変わる」ことを実感したんです。

編集部

トップ次第で会社の文化が変わる、ということですね。興味深いです。

畑社長

はい。実際に、適切な人材がトップに就いている企業は事業も成長していましたし、そうでない企業は組織の雰囲気もすごくよくなく、結果として事業も伸びていませんでした。そこから、「適切な人が適切な場所にいること」がいかに重要かを痛感しましたね。

編集部

組織において、「誰がどこに立つか」はすごく重要ですよね…。

畑社長

そうした経験もあって、「もっと経営の意思決定に近いところで、人と組織をつなぎたい」と思うようになりました。そこで三社目では、経営幹部の転職支援、企業側から見ると採用支援の世界に移りました。

編集部

現場の違いを、三社分体験されているわけですね。

畑社長

そうですね。一社目の百貨店では組織や現場のリアルを身をもって知りました。二社目の人材・組織開発では、仕事とは何かというその本質や、顧客に価値提供することの重要性を学びました。三社目では、経営の面白さに触れながら、その大変さも痛感しました。

編集部

20代で「どの業界に行くか」を迷う人も多いですが、畑社長のように一度現場に出てから、興味がある方向へ少しずつ寄せていくキャリアの作り方もあるんですね。

「自分らしく働けない大人が多すぎる」現場で見えた課題

編集部

複数の会社で人と組織を見てきて、「ここが一番の課題だな」と感じたのはどんな点でしたか?

畑社長

一言で言うと、「自分らしく働けていない人が多い」ということですね。年齢を重ねるほど周りの目を気にして、自分を押し殺してしまう大人がたくさんいました。

編集部

たしかに、「普通」「常識」という言葉に縛られてしまう感覚はあります…。ある意味、日本人らしいというか。

畑社長

僕は子どもの頃から、親に「お前はどうしたいのか?」とよく問いかけられて育ちました。また、自分自身も周囲の人が「普通」とか「常識」という言葉を使うたびに、「普通とか常識って何?」と疑問を持っていました。自分らしくあっていいはずなのに、社会に出るとそれがだんだん失われていく。その様子を、百貨店時代も、組織開発の仕事をしていたときも、ずっと見てきました。

編集部

そうした経験も踏まえて、経営幹部の採用支援ではどんなことを意識されていたのでしょうか?

畑社長

経営幹部の転職・採用で一番大事なのは、能力より「価値観や考え方が合うか」です。皆さん、これまでの会社で役員や上級管理職をされているので、仕事の能力は基本的に高いんです。

編集部

たしかに、そこはもう前提になっているんですね。

畑社長

そうです。だからこそ、「どんなフィールドでその力を使うか」が重要になります。企業には経営者の思想や価値観が色濃く反映されています。その部分とズレたまま入社すると、どれだけ優秀でもパフォーマンスが出ませんし、お互いに不幸になります。

編集部

まさに「人と会社の相性」ですね。

畑社長

はい。転職や採用は、結婚に近いと思っています。人生の大きなイベントですから、価値観のズレがあるとしんどい。それもあって、僕は「一人ひとりが自分らしくいられる場所で働けるようにしたい」と強く思うようにもなったんです。

編集部

「自分はどんな価値観を大事にしたいのか」を言葉にしておくと、会社選びや転職のときにブレない軸になりそうですね。

野球教室からシニア向けダンスへ。事業の失敗と新たな事業の誕生

編集部

三社を経験されて、最終的にご自身で起業することになった、そのきっかけは何だったのでしょう?

畑社長

そうですね。三社目で事業責任者をしている頃から、「いつかは自分で会社を起こしたい」と思っていました。あるとき経営者の方と飲んでいるときに、自分の思いをバーッと話したら、「じゃあやればいいじゃん」と言われて。

編集部

いいですね、その一言。

畑社長

僕としては、「子どもが3人いるので、これくらい貯金ができてから…」と、いろいろ理由を並べたんです。でもその社長が「なんでお金が貯まらないとダメなの?死ななきゃいいんじゃない?」と。最後に「それ、要はお前のプライドでしょ」と言われて、ハッとしました。

編集部

刺さる言葉ですね…。

畑社長

はい。「たしかにそうだな」と思って、一念発起して起業しました。

編集部

ここで、学生時代の野球の経験がまたつながってくるんですね。

畑社長

いや、違うんです。初めは人材紹介事業を中心に事業展開をしていました。しかし、人が豊かになることの支援を追求していくと子どもの教育をすることが重要だという考え方にいきつきまして、そこで野球チームを作ろう!と考えたんです。その時に高校時代の恩師が「一緒にやろう」と言ってくれて、恩師と奥さんが京都から引っ越してきて、本気で準備していました。野球の指導を通して、子どもたちがこれからの時代を幸せに生きる力を身につける。そんな場を作りたかったんです。

編集部

それでも、最終的に野球教室は一度ストップされたんですよね。

畑社長

はい。やってみようと具体的に計算すると、どうしても事業として成立しなかったんです。単価がそこまで高くないのに、人件費やブランディング費用、道具代など固定費が重くて。このままだとずっと赤字になるリスクが高いと判断しました。

編集部

思いはあっても、事業として続けるのは難しいこともありますよね…。

畑社長

そうですね。そうして悩んでいたときに、恩師の奥さんが「実は10年前から京都で、シニア女性向けのダンススクールをやっている」と話してくれたんです。青春時代の歌謡曲に合わせて踊るようなもので、「これがすごく楽しい」と。その話を聞いたときに、「これは社会的な意味も大きいし、やり方次第でちゃんと事業にもなる」と感じて、シニア女性向けダンスコミュニティ「らくリズ(RAKURIZU)」として注力することにしました。

編集部

歌謡ポップロックコースと、ソウルミュージックコースがあるんですね。通われている皆さん、とっても楽しそうです。

畑社長

シニアの女性はまだまだ元気なのに、社会との接点がどんどん薄くなっていきますよね。時間もお金も少し余裕はあるけれど、毎日が同じで張り合いがない。社会における自分自身の存在価値が見出しにくい。でも、同じ趣味の仲間と週に一度でも集まって踊ったり、おしゃべりしたりするだけで、自分の存在意義を感じられます。いま会員は約500名ですが、皆さん「ここがあるから毎日が楽しい」と言ってくださるんです。僕たちはダンスを教えているというより、「生きがい」を提供している感覚です。

編集部

事業の一つひとつが、「一人でも多くの人に豊かな人生を提供するきっかけをつくる」という理念につながっているんですね。野球教室を無理に続けなかった判断も含めて、「理想と経営のバランス」を考える視点は、会社員だけじゃなくてフリーランス志望の方にも役立ちそうだと思いました。

Will matchingとAI時代の採用。人が「見る・聞く・感じる」価値はなくならない

編集部

「らくリズ(RAKURIZU)」のほかに、いま注力されている人材紹介のほうでは、どんなコンセプトを大事にされているのでしょうか?

畑社長

人材紹介事業において、私たちが大事にしているのは「Will matching」という考え方です。スキルだけでなく、働く人の価値観やベクトルと、企業の向かう方向をそろえることを重視しています。

編集部

まさに、さきほど仰っていた「相性」の部分ですね。

畑社長

そうです。候補者の方と企業の経営者、それぞれがどんな人なのかをしっかり理解しないと、良いマッチングはできません。そのために、僕自身が学んできた心理学をベースに、人を見るときの物差しを整えているところです。

編集部

人柄や価値観は、数字だけではなかなか測れないですもんね。

畑社長

はい。だからこそ、コンサルタント一人ひとりの「観察力」「考察力」「共感力」が重要になります。ヒアリングの質を高める教育も含めて、人がちゃんと向き合うことを大事にしています。

編集部

最近はAIも発達していて、マッチングも自動化されつつありますが、その点はどう見ていますか?

畑社長

AIは積極的に使うべきだと思います。情報整理や効率化の面ではとても心強いです。ただ、AIだけでは拾えないニュアンスがたくさんあります。

編集部

なるほど…。

畑社長

候補者のちょっとした表情の変化や、経営者の一言に込められた本音などは、人が「見る・聞く・感じる」ことでしかわからない部分ですからね。

編集部

たしかに、画面越しでは伝わらない空気感ってありますよね。AIを「楽をするための道具」とだけ捉えるのではなく、「自分の人間力を発揮するための土台」にする発想は、キャリアを作っていくうえで、大きなヒントになりそうです。

20代のうちに意識したい「しんどい方を選ぶ」「大きく考える」「良い情報に触れる」

編集部

弊社のエージェントには、キャリアに悩む20代の方から「今の仕事がしんどいけれど、転職してもいいのか」「未経験の自分なんかが挑戦していいのか」と毎日のようにご相談をいただきます。もし、畑社長が百貨店時代の20代の自分にアドバイスするとしたら、何と声をかけますか?

畑社長

そうですね…。まずは「自分がどうなりたいのか」「何を得たいのか」を、ちゃんと考えようと言いたいです。20代だと、そこを深く考えずに流されてしまいがちですが、お金でも、成長でも、得たいものは必ずあるはずなので。

編集部

たしかに、「なんとなく」で働いてしまうことは多いかもしれません。

畑社長

そのうえで、ポイントは三つあると思っています。一つ目は、「しんどい方を選ぶ」ということ。多くの人は、答えがわかっていても「大変そうだから」と避けてしまう。でも、しんどい方に一歩踏み出した先にしか、成長はないんですよね。

編集部

耳が痛いですが、本当にそうですね…。

畑社長

ある懇意にさせていただいている経営者から「大変とは大きく変わると書く」と言われたことがあります。その通りだと思います。しんどいことを選んで、損得を考えずに一生懸命やっていると、少しずつ良い循環に入っていきますから。二つ目は、「物事を大きく考える」ことです。たとえば、月収を20万円から21万円に上げたいと考えるのと、100万円にしたいと考えるのでは、出てくるアイデアの質が全く違います。

編集部

たしかに、1万円アップの発想だと、残業を増やすとか、ちょっとした工夫にとどまりそうです。

畑社長

そうなんです。でも100万円を目指すとなると、「そもそも今の働き方でいいのか」「別のキャリアやビジネスに挑戦すべきか」など、思考の枠が一気に広がります。現実的かどうかは一旦置いておいて、大きく考えることで、選択肢が増えるんですよね。

編集部

目標の設定の仕方を変えるだけでも、キャリアの景色が変わりそうです。

畑社長

三つ目は、「良い情報に触れる」ということ。今は本やネット、動画など、情報が簡単に手に入りますが、だからこそ「どんな情報を選ぶか」が大事です。

編集部

たしかに、同じ時間を使うなら、質の良い情報に触れたいです。

畑社長

一番わかりやすいのは、人ですね。付き合いやすい人とだけ一緒にいると、自分の世界も広がっていきません。たとえば、毎日月収100万円を稼いでいる人と話していれば、自然と考え方や視点が変わります。最初は全然ついていけなくても、思考が少しずつ変わっていくんです。もちろん、いきなり高い世界に飛び込む必要はありません。ただ、「自分の今の延長線上だけ」で情報を選ばないこと。少し背伸びをして、尊敬できる人や刺激をくれる人の話を聞きに行く。その積み重ねが、これからのキャリアを大きく変えると思います。

編集部

今日からできることとしては、「楽な選択」と「しんどいけど成長できそうな選択」が目の前に並んだときに、ほんの少しだけ後者を選んでみる。そして、自分より少し先を走っている人の話を聞きに行く。これらを意識するだけでも、働き方の選択肢は確実に広がっていきそうですね。畑社長、今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。私自身も、自分らしさやこの先のキャリアを考えるきっかけになりました。

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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