売上至上主義じゃない。「誰かのために」稼ぐ。株式会社タガタメ 酒井社長の”伴走型”マーケティング論

Webマーケティングの世界は、華やかに見える一方で、数字にも泥臭い努力にも向き合う必要があります。

広告文を何度も作り直し、数字が動かない日も原因を探し続ける…。そんな「積み重ねでしか結果が出ない仕事」でもあります。

2005年からインターネット業界に入り、2014年に株式会社タガタメを創業、今も最前線でクライアントと並走し続けるのが、代表の酒井大成さんです。

ノリで飛び込んだというSEO営業から、売上だけを追わない「伴走型コンサル」にたどり着くまでに、どんな決断と学びがあったのか。AI時代でも仕事を通じて成長し続けるための一歩について、今回はお話を伺いました。

お話を伺った人

株式会社タガタメ

代表取締役/CEO 酒井 大成(さかい ともしげ)

千葉県出身。高校卒業後にWebマーケティング会社へ入社し、SEO新規営業や自社メディア立ち上げを経験。リスティング運用やサイト制作など現場で腕を磨き、広告代理店勤務を経て2014年に株式会社タガタメを設立。現在もお客さまの数字と向き合いながら、売上と利益にこだわる伴走型コンサルティングを実践。AIなど新しいツールも取り入れつつ、「素直さと行動力」を武器にした人材育成にも力を入れている。

目次

ノリで入ったSEO会社から、タガタメ創業までの決断

編集部

酒井社長は、創業から10年以上にわたってクライアントの現場に立ち続けているとのことですが、あらためてこれまでのご経歴と、現在の事業に携わるようになったきっかけを教えていただけますか?

酒井社長

よろしくお願いします。株式会社タガタメの酒井大成といいます。2014年に会社を立ち上げて、代表を続ける今もお客さまの現場に立って、売上や利益を一緒に上げる仕事をしています。インターネット業界に入ったのは2005年で、正直いうと、最初はとくに深い理由もなくて…「おもしろそうだな」くらいの感覚で、SEOのベンダーと呼ばれる会社に、いわばノリで入ったんです。

編集部

SEOベンダーというのは、GoogleやYahoo!などの検索結果上で、上位表示対策をする会社ですね。

酒井社長

はい。僕はその会社の4人目の社員として入りました。そこから50人くらいまで一緒に経験して、営業やマネジメントを学ばせてもらいました。代表にはかなり近い距離で鍛えてもらいましたね。

編集部

ビジネスの基礎は、その会社で身についた感じでしょうか?

酒井社長

そうですね。営業のイロハやビジネスマンとしての基礎スキルも全部そこで学びました。ただ、20代後半になってきて、当時の売上至上主義みたいな空気がだんだん自分の肌に合わないと感じるようになってきたんです。

編集部

そこが転機だったんですね。

酒井社長

はい。「もっとお客さんと一緒に売上を上げたい」「一緒に成長できる会社で働きたい」と思うようになりました。それで転職して、SEO以外のマーケティングの手段として、リスティング広告やWebサイト制作も学びました。その延長線上で、2014年に独立してタガタメを立ち上げた、という流れです。

編集部

“ノリ”で始まったキャリアが、気づいたら今の軸になっているのがおもしろいです。

酒井社長

そうですね。20代後半のときに感じた「お客さんと一緒に成長したい」という気持ちは、今もほとんど変わっていません。

広告の成果だけを追わない「伴走型コンサル」の中身

編集部

タガタメさんのサイトを見ると、「伴走型のWebコンサルティング」と書かれています。この伴走型という言葉には、どんな思いがあるのでしょうか?

酒井社長

基本的には、広告予算をお預かりして、実際に運用する仕事をしています。いわゆる代理業もやっていますが、僕たちが一番追っているのはCPA(1人の顧客を獲得するためにかかった費用)だけではなく、お客さまの売上と利益です。

編集部

たしかに「CPAだけ良くても、売上は増えない」ということもありますよね。

酒井社長

そうなんです。だから広告運用だけではなくて、お預かりした予算の中でWeb制作をしたり、その後の改善提案をしたりもします。フォーム対応で困っていれば、「メールに来た問い合わせをスプレッドシートに書き出しましょうか」とか。必要であれば簡単な開発もやります。

編集部

かなり踏み込んでいますね…!

酒井社長

はい。そういう意味で、お客さんのすぐ横にいて、一緒に成長していく意図を込めて「伴走型」と書いています。「それ担当に聞いておきますね」だけだと、ちょっと頼りないじゃないですか。

編集部

たしかに…。

酒井社長

なので、お客さまとやりとりするフロントは、なるべくその場で答えられるようにしています。そのうえで、裏側にサポートメンバーがつくイメージです。責任の所在と権限が同じ方向を向いている状態が理想かなと思います。

編集部

素敵な考えですね…!ちなみに、成功事例でとくに印象に残っているものはありますか?

酒井社長

創業当時からお付き合いしていた会社さんで、最初の広告予算は10万円くらいだったのが、最後のほうは月に200万〜300万円まで使えるようになったことですかね。

編集部

すごい伸び方ですね…!

酒井社長

新しい事業をやるときには、一緒に事業計画を作ったり、シミュレーションをしたりしました。利益のシートも共有して、「このくらい出ているから、来月はここまで投資できますね」と確認しながら進めていきました。

編集部

委託先、というよりほぼ社内メンバーですよね。

酒井社長

そうですね。その会社の一員みたいな気持ちで関わっていました。小さいところから大きく育てていけた経験は、今でも大きな財産です。

編集部

お話を聞いていると、「お客さんと同じ数字を見る」感覚を持てるビジネスパーソンは、どんな職場でも頼りにされそうだと思いました。

うまくいかないときこそ「点ではなく線」で見る

編集部

とはいえ、すべての施策がうまくいくわけではないと思います。成果が落ちたとき、酒井社長はどう考えて行動しますか?

酒井社長

マーケティングやプロモーションは、なるべく「点ではなく線」で考えるようにしています。たとえばリスティングの広告文を変えるのは、あくまで一つの点です。

編集部

その先にユーザーの行動が続いていきますよね。

酒井社長

そうです。検索結果を見て、広告をクリックして、ランディングページに来て、フォームから問い合わせる。その一連の流れを、ユーザーと同じようにたどってみます。その中で、どこにボトルネックがありそうか、どこで離脱していそうかを洗い直します。

編集部

検索キーワードから見直すこともありますか?

酒井社長

あります。「本当にこのキーワードでいいのか」「このキーワードに対して、この広告文でいいのか」と、考え直していきます。直感ではなく、ちゃんと仮説とロジックを通して見るイメージですね。

編集部

マーケティングって、数字とロジックの世界ですもんね…。ちなみに、普段は経営と現場の仕事はどのくらいの割合なんでしょう?

酒井社長

現場が半分くらいですね。もう半分は、自社のプロモーションやマーケティング、経理・財務、採用や総務的なこともやっています。コラムも、僕の名前が入っているものは、自分で書いています。

編集部

あれ、ご自身で書かれているんですね…!

酒井社長

はい。もちろんチームメンバーが書いてくれている記事もありますが、名前を出す以上は自分で手を入れるようにしています。最近はAIも活用して効率化している部分もありますね。

編集部

便利なところはAIに助けてもらいつつ、最後は自分で責任を持つ、という感じですね。

酒井社長

そうですね。勉強して、試して、結果を見て、直していく。この繰り返しです。勉強しただけで満足して、アウトプットしないのが一番よくないと思っています。

AIが進んでも、感情の矛盾を扱うのは人の仕事

編集部

さきほどAIのお話が出ましたが、Webマーケティングの仕事はAIで置き換わってしまうのでは…と不安に思う若い方も多いです。この点は率直に、どう感じていますか?

酒井社長

もちろん、仕事の量自体は減る部分もあると思います。でも、最適解を見つけて選ぶのは、最後は人間かなと思っています。

編集部

というと…?

酒井社長

人って、頭では納得しても、感情で行動することが多いじゃないですか。「お金がない」と言いながら、ついポチッと買ってしまったり。

編集部

はい…耳が痛いです(笑)。

酒井社長

リスティングでも同じです。コンバージョンを増やしたいけれど、CPAも上がってしまう。その矛盾をどう調整するか。「数字はいいけど、本当に売上につながっているのか」を考える必要がありますよね。

編集部

たしかに、そこはAIだけでは決めきれない部分ですね。

酒井社長

そうなんです。そういった矛盾やズレの穴を埋めていくのは、人の仕事だと思っています。AIはこれからも、僕たちの生活の中に当たり前に入ってきます。でも、パソコンが出てきたときと同じで、「AIが入った後の世界で、自分はどう働くか」を考えることが大事かなと。

編集部

単にAIに置き換えられるかどうか、だけではない視点ですね。

酒井社長

はい。この業界って、外から見るとキラキラして見えるかもしれませんけど、実際は泥臭いところも多いです。僕はよく「IT土方」なんて言い方もしますけど、それくらい地道な仕事です。勉強し続けて、手を動かして、何度も直していく

編集部

勉強だけして満足、で終わらないのが大事ですね。

酒井社長

そうですね。AIは、そのプロセスを少し楽にしてくれる存在だと思っています。

編集部

今のお話を踏まえると、AIを味方にしつつ、人の気持ちのズレや矛盾を言葉にできる人は、これからの時代に強いんでしょうね、きっと。

キャリア迷子の20代へ。素直さと行動力の鍛え方

編集部

弊社でも若い方のキャリア相談を受けるのですが、「楽な仕事がしたい」「キラキラした業界に行きたい」など、自分のニーズだけで仕事を選んでしまう方も少なくありません。酒井社長は「働くとは何か」を、どんなふうに捉えていますか?

酒井社長

僕の場合は、働くこと自体がほぼ趣味みたいになっていて、逆に他の趣味がないのが悩みなんですけど(笑)。若い方に伝えるなら、「自己実現の場」であり、「自分の成長を感じられる場所」だと思っています。

編集部

成長、ですね。

酒井社長

はい。人間って、本能的にちょっとでも上手くなったり、学べたりすると、次に行きたくなる生き物だと思うんです。だから、目標を持って成長していくことは、やっぱり必要かなと。

編集部

「成長って本当に必要なんですか?」と聞かれることもあります。

酒井社長

そういうときは、逆に「成長も目標もない世界」を想像してみるといいと思います。ゲームで、ボスもいないしレベルも上がらないとしたら、あまり面白くないですよね。それと同じで、成長がない世界って、きっとどこか物足りないはずです。

編集部

たしかに、ワクワクしないですね。

酒井社長

僕も最初は、ノリで入った会社でテレアポをしていて、「これはつらいな、やめたいな」と思うこともありました。でも、成果が出るようになると、一気に楽しくなったんです。その経験から、「苦手って、やっていないだけかもしれない」と考えるようになりました。

編集部

やってみないと、自分の可能性もわからないですしね。

酒井社長

そうですね。だから、一緒に働きたい人の条件をシンプルに言うと、「素直で、行動力のある人」です。素直に学んで、まずは動いてみる。動いていれば、学ぶ力はあとからついてきます。

編集部

御社では、「誰かのために」という考え方も大事にされていると伺いました。

酒井社長

はい。うちの理念にも近いのですが、誰かのために頑張れるかどうかは、とても大事です。お客さまの売上や利益に貢献できたからこそ、お金という形で対価をいただける。その一部を、自分の給料として受け取っている、という感覚ですね。

編集部

自分の時間を売っている、というだけではない視点ですね。

酒井社長

そうですね。「自分はこういう仕事はしたくない」から入るのではなく、「誰のために働きたいのか」まで考えられると、キャリアは安定しやすいと思います。

編集部

お金の話でいうと、「年収〇〇万円になりたい」という声もよく聞きます。

酒井社長

僕も20代後半くらいのときに、「もし年収1,000万円もらえたらどうなるかな」と想像してみたことがあります。でも、よく考えると、もらっても生活はそんなに変わらないなと思ったんです。だから、「お金だけを目標にするのは危ないな」と感じました。

編集部

達成したあと、「で、どうする?」となってしまうイメージですね。

酒井社長

そうです。お金を目標にするのが悪いわけではありませんが、その先に「誰に何をしたいか」までセットで考えたほうがいいと思います。

編集部

今日は、「お客さんと同じ数字を見る」「点ではなく線で考える」「素直に学んでまず動く」というスタンスがとても印象的でした。今日会う誰か一人のために、自分ができることを一つやってみる…それを続けるだけでも働き方は変わっていくはずで、20代のうちにその感覚を体に入れておくと、長いキャリアの支えになりそうだと思いました。酒井社長、今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。キャリアの考え方だけでなく、マーケティングのお話も、とっても勉強になりました。

リンク:株式会社タガタメ_採用ページ

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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