外国人材とAI時代に向き合う働き方|株式会社ユナイテッドマインドジャパン 宮沢社長の人材論

AIの進化や少子高齢化の影響で、働き方はこれまでにないスピードで変わっています。外国人材の受け入れが進み、リモートワークが当たり前になり、AIツールも仕事に入り込みはじめました。20代の方からは、「何を基準にキャリアを考えればいいのかわからない」という声も多く届きます。

こうした変化の最前線に立ってきたのが、株式会社ユナイテッドマインドジャパンの宮沢社長です。外国人材の紹介を起点に、住宅・不動産業界の人材支援、フルリモート体制の組織づくり、そしてAI時代の働き方まで、現場で試行錯誤を重ねてきました。

今回は、その経験から見えてきた考え方と、今日から仕事で活かせるヒントを伺いました。

お話を伺った人

株式会社ユナイテッドマインドジャパン

宮沢 光平 代表取締役

外国人材の紹介を起点に11年前にユナイテッドマインドジャパンを創業。ベトナム人材の受け入れ支援を経て、住宅・不動産業界に特化した日本人材紹介へと事業を拡大した。コロナ前からフルリモート体制を導入し、全国で働ける環境づくりを推進。AIやロボットなど技術の変化にも目を向けながら、多様な人材が活躍できる働き方を探求している。

目次

外国人材紹介から始まった起業ストーリー

編集部

宮沢社長は創業時から「外国人材」という難しい分野に挑戦されてきたそうですね。まずは、その最初の一歩について伺わせてください。

宮沢社長

ユナイテッドマインドジャパンを立ち上げたのは11年前です。最初は、日本企業にベトナムの方を中心とした外国人材を紹介するところから始めました。

編集部

11年前だと、今ほどインバウンドも盛んではない時期ですよね。かなり先駆けだったのではないでしょうか?

宮沢社長

そうですね。当時はベトナム人材自体が珍しかったようで、企業さんから本当によく電話がかかってきました。「ベトナム人材に興味があるけれど、何もわからないので教えてほしい」という相談が多かったです。

編集部

人件費を抑える目的もありつつ、とにかく人が足りないという背景も大きかったのでしょうか…?

宮沢社長

そこは正直あったと思いますが、一番は「日本人だけでは人が集まらない」という危機感ですね。少子高齢化の影響がはっきり出始めた頃で、世の中でも、外国人・女性・シニアという三つの軸をどう活かすかが人材戦略のテーマになっていました。

編集部

企業のニーズが高まる一方で、外国人材に対する理解はまだ追いついていなかったんですね。

宮沢社長

ええ、起業して7〜8年たっても、外国人材に対する日本企業の理解がなかなか進まなかったですね…。差別というわけではありませんが、「よくわからない存在」として見られている感覚が強くて、事業も思うように伸びていませんでした。そんな時に、ある住宅メーカーさんから「日本人も紹介してくれないか」と声をかけていただきました。

編集部

そこで、日本人材にも領域を広げる決断をされたと。

宮沢社長

そうです。日本人の人材紹介は、レッドオーシャンですし、誰もがやっている業態なので、正直、最初はあまり乗り気ではありませんでした。でも「次の時代を見据えて動くなら、ここにも挑戦すべきだ」と感じて、不動産・住宅業界に特化した日本人材紹介を始めました。

編集部

なるほど…。環境が変わる中でも、自分で「次のフィールド」に踏み出す経験は、20代でのキャリア選びにもつながりそうです。

日本企業の「外国人とのギャップ」で見えたこと

編集部

外国人材紹介の現場では、どんな課題が見えてきましたか?

宮沢社長

一番大きかったのは、企業側の「受け入れ準備」が整っていないことですね。社長や部長クラスは「これからの時代は外国人材も必要だ」と理解して旗を振るのですが、現場の上司は戸惑うわけです。「なぜ会話も十分にできない人を急に入れるんだ」と感じてしまうんですね。

編集部

現場の感情が追いついていない状態で、いきなり一緒に働くことになるわけですね。

宮沢社長

そうです。コンビニで外国人スタッフを見ることには慣れてきましたが、「隣の席の同僚」として働くとなると、途端に利害関係が生まれます。どこの国の人であっても、最初から完璧な即戦力ではないのに、そこを求めてしまう。ここに大きなギャップがありました。

編集部

そのギャップを埋めるために、どんな工夫をされたのでしょう?

宮沢社長

受け入れ側への教育セミナーをやりました。テーマの一つが「優しい日本語」です。難しい熟語を避けて、口を大きく開けて、ゆっくり、わかりやすく話す。これだけでもコミュニケーションが全然変わります。

編集部

相手の立場に立った言葉選び、というわけですね。

宮沢社長

そうなんです。結局は思いやりです。「相手は違う環境で育ってきた人だ」と意識して接するだけで、働きやすさは大きく変わります。一緒に未来をつくるメンバーとして、優しく、でも対等に接する。そういうスタンスが大事だと現場で実感しました。

編集部

今のお話を聞くと、やっぱり“接し方の工夫”で仕事のしやすさって大きく変わるんですね。そのうえで、これから海外の人と働く機会が増える20代にとっても、「相手に合わせて伝え方を変える力」は、評価される大きな武器になりそうです。

住宅業界特化とフルリモートで見つけた打ち手

編集部

現場での工夫のお話、とても印象的でした。日本人材の紹介に領域を広げたときには、また別の壁もあったのではないでしょうか?

宮沢社長

そうですね…。日本人材紹介に入った瞬間に、世の中に同業があふれているわけです。外国人材紹介ではまだパイオニア的な位置づけがありましたが、日本人材紹介は珍しくもない。どう差別化するかが大きな課題でした。

編集部

そこで、働き方自体にも手を入れていかれたのですよね。

宮沢社長

はい。日本人材紹介を進めていくタイミングで、「うちは知名度も資本力も大きくない。採用に苦労する」と考えました。そこで思い切って、フルリモート体制に切り替えてみたんです。結果として、今ではメンバーの9割以上がリモートで働いています。

編集部

コロナ前からリモート導入というのは、かなり早い動きですね。

宮沢社長

全国から応募が集まるようになりましたし、子育てをしながらでも働きやすいという声をたくさんもらいました。これは私の経営者人生の中でも大きなトピックで、「住まい方・働き方・生き方を変えられる会社にしたい」という今のミッションにつながっています。

編集部

リモートだと、逆にコミュニケーションの難しさもあると思います。そこはどう設計されているのでしょうか?

宮沢社長

毎週「シャッフルミーティング」という雑談の時間をつくっています。オンラインで全員が集まり、その後はランダムに少人数の部屋に振り分けて、10分ずつ3回、いろいろなメンバーと話してもらうんです。仕事の話だけでなく、家庭や趣味、子どもの話をしてもいい時間です。

編集部

オフィスの「タバコ部屋」や「コーヒー前の立ち話」を、オンラインで再現しているイメージですね。

宮沢社長

まさにそうです。リモートだと、用件がないと話さなくなりがちですが、仕事の時間にあえて雑談を組み込むことで、部署をまたいだつながりが生まれます。結束力を高めるうえで、とても効果を感じています。

編集部

場所に縛られずに働けて、かつ人とのつながりも感じられる。こうした仕組みをうまく使える人は、どこで働いても成果を出せそうですね…!

AIとロボットが当たり前になる時代の働き方

編集部

働き方が大きく変わる中で、今はAIの存在も無視できなくなっていますよね。ここからはAIとの付き合い方についても伺いたいです。宮沢社長はもともとIT業界やロボットの分野にも関わってこられたそうですね。

宮沢社長

そうですね。もともとはロボットやITの世界にいた人間です。だからこそ、AIの進化の速さには本当に驚いています。インターネットも早かったですが、AIの変化は桁違いです。

編集部

このスピード感だと、ヒューマノイドロボットが街にいる未来も遠くない気がします。

宮沢社長

実際、AIを頭脳にしたヒューマノイドロボットの実験は始まっています。これは、パソコン上で動いていたAIが、世の中に人型で出てくるということです。中国やアメリカの主要自動車メーカーも、2030年代には、車の製造台数をヒューマノイドロボットの製造台数が越えるかもしれないというような発言もしています。私は、いずれうちの会社でも、働き手としてのヒューマノイドロボット関連の事業をやる可能性があると感じています。働き手を紹介することがこれまでの当社の仕事なわけですから。

編集部

シンギュラリティが起こるかもしれない、なんてことも言われていますよね。いやぁ、本当にすごい時代です…。そんな時代に、人間には一体何が求められるのでしょうか…?

宮沢社長

私が大事にしているのは、「AIを遠ざけず、使い込んだうえで残るものは何か」を考え続けることです。

編集部

まずは現実を見て、AIもロボットも「当たり前の存在」として受け入れるところからですね。

宮沢社長

はい。そのうえで、人間に残るのは「心」だと思っています。私は昔、路上ライブや演劇、笑いの世界にもいたので、心を動かす仕事にずっと惹かれてきました。テクノロジー一辺倒でもなく、心だけでもない。その間をどうデザインするかが、これからの働き方だと感じています。

編集部

AIネイティブ世代の20代は、最初から「AIと一緒に働く」前提でキャリアを考える必要がありそうですね。

宮沢社長

そうですね。AIは遠ざけずに向き合っていくことが大事だと思います。実際に使い込んでみて、どこまで任せられて、どこが自分で考えるべきなのかを知る必要があります。そのうえで、昔の働き方の良さや、人との関わり方も学んでほしいですね。どちらも理解しておくことで、変化の大きい時代でも対応しやすくなるはずです。

若者が今日からできる「人間力×テクノロジー」の磨き方

編集部

これまでのお話を伺っていると、AIにもリアルにも向き合う姿勢が、20代の働き方にもつながりそうだと感じました。ここまでの経験をふまえて、あらためて若い方に伝えたいことはありますか?

宮沢社長

まず、異質なものから逃げないでほしいということですね。外国人材でもAIでも、最初はよくわからなくて怖く感じる時があります。でも、遠ざけてしまった瞬間に、その良さや可能性に触れることができなくなるんです。

編集部

確かに、知らないものを避けると、その先の学びも届きにくくなりますよね。

宮沢社長

そうなんです。私たちが外国人材の支援をしてきた時も、“差をどう埋めるか”が本当に大事でした。これはAIでも同じで、向き合い方の根っこは変わらないと考えています。実際、従業員にも「宇宙人材紹介でも同じだよ」という話をしたことがあるんです。心が読めるとか、手が三本あるとか、極端な設定にしても差を理解して埋めるという本質は変わらない。若い人にも、そういう視点を持ってもらえたらと思います。

編集部

お話を聞いていると、相手の違いを丁寧に受け止める姿勢が、これから働くうえでの土台になる気がします。そうした“違いに向き合う姿勢”を、人によっては“人間力”と表現することもありますよね。若い方の中にはこの人間力をどう伸ばせばいいのかわからないという声もあります。

宮沢社長

確かに、“人間力だけで勝負する”と言われると抽象的ですよね。でも私は、難しく考えなくても良いと思っています。AIを遠ざけないこと。相手の立場に立って話すこと。そして、昭和や平成の働き方にあった良さも知っておくこと。この三つは、若い人でも今日から意識できることじゃないでしょうか。過去には過去の良い部分がありますし、それを見つける目は持っておいてほしいですね。

編集部

たとえば、はじめはどんなところから始めればいいでしょうか?

宮沢社長

まずはAIを実際に使ってみて、どこまで任せられるのか・どこからは自分が考えるべきなのかを知ることです。避けずに触れてみないと、その線引きは見えてこないので。あとは、あえて価値観の違う人と話すことですね。世代が違う人や環境が違う人と話すと、自分の当たり前が揺れます。その揺れをそのままにせず、向き合ってみることが大事です。

編集部

AIも人も、“異物”ではなく向き合う対象として考える視点ですね。

宮沢社長

はい。AIも外国人材も、いろいろな価値観も、全部まとめて“向き合う姿勢”が問われていくと思います。そこに拒否反応を持たず、素直に向き合える人は、これからの変化にも強いはずです。

編集部

今日は、何にでもまっすぐ向き合う姿勢や、距離があっても人とのつながりを大切にしてきたお話がとても印象的でした。AIの進化や働き方の変化を前にしても、宮沢社長の言葉からは“どう関わるか”を考えるヒントを多く感じました。宮沢社長、本日はどうもありがとうございました。

リンク:株式会社ユナイテッドマインドジャパン_採用ページ

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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