転職回数が多いのは不利?転職何回ならアウト?企業の評価基準と転職の成功戦略

「転職回数が多いと不利」「転職回数が3回を超えると書類で落とされる」「ジョブホッパーだと思われて採用されない」。そんな不安を抱えていませんか?確かに、一昔前までは「石の上にも三年」と言われ、転職回数が多いことはネガティブな要素とされてきました。しかし、現代のキャリア観は大きく変わりつつあります。
終身雇用の崩壊や働き方の多様化により、一つの会社で定年まで勤め上げる人は減少しています。マイナビの最新データでも、転職経験者は増加傾向にあり、回数そのものよりも「なぜ転職したのか」「そこで何を得たのか」という中身が重視されるようになっています。
この記事では、「転職回数が多いと不利なのか」とお悩みの方向けに、公的データに基づいて転職回数の実態を明らかにし、回数が多くても企業から評価されるための戦略などを解説します。回数を隠すのではなく、それを強みとして語れるようになりましょう。
阿部 翔大回数が多いことを恥じる必要はありません。それはあなたが多くの環境に適応し、挑戦してきた証拠でもあります。大切なのは、その経験をどう「ストーリー」として語るかですよ。
株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント
阿部 翔大


みんなの転職回数は多い?少ない?データで見る転職回数の実態
実際に、世の中のビジネスパーソンはどのくらい転職しているのでしょうか。感覚で語るのではなく、最新のデータを見てみましょう。
転職回数3回以上の人は珍しくない
マイナビの「転職動向調査2025年版(2024年実績)」によると、転職経験者のうち、転職回数が「1回」の人は32.7%、「2回」の人は23.3%です。そして注目すべきは、「3回以上」の人が全体の44.1%(3回16.3% + 4回8.8% + 5回8.8% + 6回以上10.2%)を占めているという事実です。




つまり、転職経験者の約半数は3回以上の転職を経験しており、あなたが特別多いわけではないことがわかります。



3回以上の転職経験者が4割もいるんです。これを見て安心しましたか?企業側もこの現状を知っているので、回数だけで門前払いすることは減ってきていますよ。
早期離職の実態
「すぐ辞めるのは根性がないからだ」と言われることがありますが、データはどう示しているでしょうか。厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、大学卒の就職後3年以内離職率は33.8%、高校卒では37.9%にのぼります。新卒の3人に1人が3年以内に辞めているのが日本の現状です。


早期離職は個人の問題だけでなく、マッチングの不全や労働環境の問題も大きく関わっています。



3人に1人が3年以内に辞める時代です。「すぐ辞めた自分はダメだ」なんて思う必要はありません。合わない場所に居続けるより、次を探す行動力のほうが評価されることもありますからね。
企業が気にする「転職回数が多い」の基準とは?


では、企業は具体的に何回から「多い」と感じるのでしょうか。これは年代によって基準が異なります。
20代なら「3回」がイエローカード
20代の場合、転職回数が3回を超えると「定着性に懸念あり」と見られる傾向があります。社会人経験が短い中で短期間の離職を繰り返していると、「飽きっぽいのではないか」「忍耐力がないのではないか」と判断されやすくなります。ただし、明確なキャリアアップや止むを得ない事情(倒産など)があれば考慮されます。



20代で3回以上は確かに目立ちます。でも、それが「逃げ」ではなく「挑戦」の連続だったと説明できれば、逆にポテンシャルとして評価されますよ。
30代なら「5回」が警戒ライン
30代になると、ある程度のキャリアチェンジは許容されますが、5回を超えると警戒されます。特に、一貫性のない転職(全く違う業種・職種への脈絡のない移動)を繰り返していると、「キャリアの軸がない」と見なされ、即戦力としての評価が下がります。



30代は回数よりも「一貫性」です。5回あっても、それが一つの専門性を高めるためのステップだったなら、むしろプラス評価になりますからね。
転職回数が多くても成功する人の5つの特徴


転職回数が多くても、希望の企業に採用され、年収を上げている(39.0%の人が賃金増)人は何が違うのでしょうか。
キャリアに一貫した「軸」がある
成功する人は、転職理由に一本の筋が通っています。「営業スキルを磨くために、より難易度の高い商材を扱う会社へ」「マネジメント経験を積むために、裁量権のあるベンチャーへ」。全ての転職がキャリアのゴールに向かっていると説明できる人は強いです。
点と点を線で結ぶのがあなたの仕事です。バラバラに見える経歴も、「顧客の課題解決」という軸で繋げれば、立派なキャリアストーリーになります。
退職理由を他責にしていない
「給与が低かったから」「人間関係が悪かったから」。これらは事実かもしれませんが(マイナビのデータでも上位の理由ですが)、面接でそのまま伝えるとマイナスです。成功する人は、「もっと成果を正当に評価される環境を求めて」「チームワークを発揮できる環境で貢献したくて」と、自責の念を持ちつつポジティブに変換しています。
会社のせいにした瞬間、面接官の心は離れます。「環境のせいにせず、自ら環境を変えようと動いた」というスタンスを見せることが大切です。
どの職場でも実績を残している
在籍期間が短くても、「〇〇プロジェクトを完遂した」「売上を前年比120%にした」という具体的な実績があれば、企業は納得します。短期間でも結果を出せる人材=即戦力性が高い人材と評価されるからです。
「3ヶ月で辞めました」でも、「その3ヶ月で業務マニュアルを整備しました」と言えれば勝ちです。期間の長さより、密度の濃さをアピールしましょう。
スキルアップが明確である
転職するたびに新しいスキル(資格、ツール操作、言語など)を習得している人は評価されます。転職が単なる環境の変化ではなく、自己成長のための手段であったことが客観的に証明できるからです。
職務経歴書には「習得スキル」の欄を必ず作りましょう。会社が変わるたびに武器が増えていることを見せれば、ジョブホッパーとは呼ばれません。
柔軟性と適応力が高い
多くの職場を経験していることは、多様な文化やシステムに適応できるという強みでもあります。マイナビの調査で「カルチャーフィット」に苦労する人が29.0%いる中、すぐに馴染める能力は貴重です。
「どんな環境でもやっていける」というのは最強のスキルです。複数の会社を見てきたからこそ持てる、広い視野と柔軟性をアピールしてください。


転職回数が多いと不利になる3つのケース
逆に、以下のようなケースでは転職回数が致命的なネガティブ要素となります。
一貫性がなく、行き当たりばったり
「営業→事務→飲食→IT」。業種も職種もバラバラで、理由も「なんとなく」「給与が良かったから」という場合、スキルが積み上がっておらず、年齢相応の能力がないと判断されます。



迷走しているように見える経歴は危険です。もしバラバラなら、共通する「ポータブルスキル(対人能力など)」を見つけ出して、無理にでも軸を作りましょう。
毎回同じ理由で辞めている
「どの会社でも人間関係で揉めている」「毎回残業が嫌で辞めている」。同じ理由での退職が続くと、学習能力がない、または本人に問題があると見なされます。厚生労働省のデータで「人間関係」が離職理由の上位(23.0%)ですが、それを繰り返すのはリスクです。



「また同じ理由か」と思われたら不採用の可能性が高まります。今回は違う、今回は前向きな理由だということを、明確に伝える必要がありますよ。
在籍期間が極端に短い
試用期間での退職や、半年未満の退職が連続していると、「採用してもコストを回収できない」と判断されます。採用には多額のコスト(数十万〜数百万)がかかるため、企業は早期離職を最も恐れます。



超短期間の離職は、理由付けが命です。「入社前に聞いていた条件と違った(労働基準法違反など)」といった、やむを得ない事情を客観的に伝えましょう。


面接で転職回数を説明する5つのテクニック


面接官の「なぜこんなに転職しているの?」という質問に対する、効果的な切り返し方です。
「ポジティブな理由」に変換する
「飽きたから」は「新しい領域に挑戦したかったから」へ。「人間関係が悪かった」は「チームワークを重視する環境を求めて」へ。事実は変えられませんが、解釈と言い方は変えられます。



嘘をつくのではありません。光の当て方を変えるんです。ネガティブな側面ではなく、ポジティブな側面にスポットライトを当てて話してくださいね。
「一貫性」をストーリーで語る
過去の全ての転職が、現在の応募企業にたどり着くための必然的なステップだったと語ります。「A社で基礎を学び、B社で応用力をつけ、C社でマネジメントを経験しました。そして、それら全てを活かせるのが御社です」という構成です。



面接官は納得したいだけなんです。「なるほど、だから今ここにいるんですね」と言わせれば勝ちですよ。
反省と改善を示す
失敗した転職があるなら、素直に認めつつ、そこから何を学んだかを伝えます。「前回は条件面だけで選んで失敗しました。だから今回は企業風土を重視し、OB訪問もして慎重に選びました」。失敗を糧に成長している姿勢は好印象です。



失敗を隠そうとすると言い訳がましくなります。「若さゆえの過ちでした」と認めて、今は違うということをアピールした方が潔くて信頼されますよ。
「定着する意思」を明確にする
企業が一番知りたいのは「うちはすぐ辞めないか?」です。「これまでの経験で自分の進むべき道が明確になりました。御社で腰を据えて長く貢献したいと考えています」と、最後の転職にする覚悟を伝えます。



「骨を埋める覚悟」とまでは言わなくていいですが、「もう迷いはありません」という姿勢は見せましょう。安心感を与えることが重要ですからね。
第三者の評価(推薦)を活用する
転職エージェント経由で応募する場合、エージェントから「回数は多いですが、スキルは本物です」「非常に真面目な方です」と推薦してもらうのも手です。第三者の客観的な評価は、企業の不安を払拭する強力な材料になります。



自分で「私は真面目です」と言うより、他人に言ってもらった方が100倍信じてもらえます。エージェントを味方につけて、推薦状を書いてもらいましょう。
転職回数の多さをカバーする職務経歴書の書き方


書類選考を突破するためのテクニックについて解説します。
編年体ではなく「キャリア式」で書く
時系列で羅列すると転職回数が目立ちます。職務能力(プロジェクトマネジメント、営業企画など)ごとにまとめて記述する「キャリア式(機能別)」フォーマットを使えば、回数よりもスキルを強調できます。
退職理由を簡潔に記載する
「会社都合により退職(事業撤退のため)」「キャリアアップのため(〇〇業務に挑戦するため)」など、納得感のある理由を一行添えるだけで、採用担当者の不信感は和らぎます。
年代別|転職回数が多い求職者へキャリアアドバイザーからアドバイス
20代:ポテンシャルと学習意欲をアピールしよう
20代はまだ実績が少なくても、「学ぶ意欲」と「素直さ」があればカバーできます。大卒3年以内の離職率が33.8%というデータもある通り、早期の試行錯誤は大目に見てもらえます。「いろいろ経験しましたが、御社のこの分野でプロになりたいです」という熱意を伝えましょう。



20代の武器は「これから」という未来です。過去の回数よりも、これからの成長性を売り込みましょう。
30代:即戦力性とマネジメント能力をアピールしよう
30代は実力がシビアに見られます。回数が多くても、それぞれの会社で何を残したかを数字で語ってください。また、後輩指導やリーダー経験があれば、それを強調することで「組織になじめる人材」であることをアピールできます。



30代は「何ができるか」が全てです。回数が多くても、それに見合うだけのスキルリストがあれば、企業は欲しがりますよ。
40代以降:専門性と人脈、適応力をアピールしよう
40代以降で回数が多い場合、専門性の高さはもちろん、豊富な人脈やトラブル対応能力が期待されます。また、年下の上司ともうまくやれる「謙虚さ」と「柔軟性」を強調することが、採用への鍵となります。賃金減少のリスクを避けるためにも、自分の強みを明確に提示しましょう。



40代はプライドを捨てられるかどうかが勝負です。「経験は豊富ですが、新人として学びます」と言えるベテランは、どこに行っても重宝されますよ。
転職活動中の方からのよくある質問(FAQ)
Q1. 転職回数は正直に書くべきですか?
A. はい、絶対に正直に書いてください。社会保険の加入履歴などでバレる可能性が高く、経歴詐称となれば解雇の理由になります。回数を隠すのではなく、伝え方を工夫することにエネルギーを使いましょう。
嘘はいつか必ずバレます。そしてバレた時の代償は大きすぎます。堂々と正直に書いて、それをプラスに見せる戦略を練りましょう。
Q2. 短期間(数ヶ月)の職歴も書く必要がありますか?
A. 原則として、雇用保険に加入していた職歴は全て書く必要があります。空白期間をごまかすために書かない人もいますが、発覚した際のリスクを考えるとおすすめできません。短期間で辞めた理由をしっかり説明する方が建設的です。
隠すと「空白期間は何をしていたの?」と逆に怪しまれます。「短期離職しましたが、反省して次は長く働きたい」と伝える方が誠実です。
Q3. 転職回数が多いと年収は下がりますか?
A. 必ずしもそうではありません。厚生労働省の「令和2年転職者実態調査」によれば、転職後に賃金が減少した人は40.1%ですが、増加した人も39.0%おり、ほぼ同数です。スキルアップに伴う転職であれば、回数が多くても年収は上がります。逆に、スキルなしで環境を変えるだけの転職を繰り返すと、年収は下がる傾向にあります。
キャリアアドバイザーのワンポイント
年収が上がるか下がるかは、回数ではなく「実力」で決まります。自信を持ってスキルをアピールすれば、回数が多くても年収アップは狙えます。
まとめ|転職回数が多くてもそれだけで不採用に直結しない


転職回数が多いことは、必ずしも「傷」ではありません。それはあなたが多くの環境を知り、適応し、挑戦してきた「勲章」にもなり得ます。データが示す通り、多くの人が複数回の転職を経験し、キャリアを築いています。
重要なのは、過去の回数を嘆くことではなく、その経験から何を学び、これからどう貢献できるかを自分の言葉で語ることです。一貫性のあるストーリーと、未来への明確な意志があれば、企業はあなたを評価します。
この記事のポイント総まとめ
- 転職回数3回以上の人は全体の約44%おり、決して珍しい存在ではない
- 20代で3回、30代で5回が企業が警戒する一つのラインである
- 回数が多くても「キャリアの一貫性」と「実績」があれば評価される
- 面接ではネガティブな理由をポジティブに変換し、定着の意思を示すことが重要
- 経歴詐称はリスクが高いため、正直に書きつつ「見せ方」を工夫すべき



あなたの多彩な経験を求めている企業は必ずあります。自信を持って、そのキャリアを強みとしてアピールしてください。


