一生フリーターでもなんとかなる?現役アドバイザーが「リアルと生存戦略」をデータで解説

「このまま一生フリーターでも、なんとかなるんじゃないか?」

満員電車に揺られる正社員を見て「あんなに苦しそうなら、今のままの方が幸せかも」と思うこともあるでしょう。

結論からお伝えすると、一生フリーターという生き方は「不可能」ではありません。実際に、ご自身の意志でフリーターを選択し、充実した生活を送っている方もいらっしゃいます。正社員だけが正解というわけではありませんし、多様な働き方が認められる時代になりつつあります。

しかし、一生フリーターとしてなんとかなるためには「なんとかなるための準備」が必要です。漠然とした楽観視はリスクですが、正しい知識を持ってリスクに備えれば、それは立派なライフプランになります。この記事では、現役キャリアアドバイザーの視点から、感情論抜きで「一生フリーターのリアル」をデータに基づいてお伝えします。

阿部 翔大

人生の主役はあなたです。周りが「正社員になれ」と言っても、最終的に決めるのはあなた自身ですよね。大切なのは、メリットもデメリットも全部知った上で、納得して選ぶことです。この記事が、その判断材料になれば嬉しいです。

この記事の監修者

株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント

阿部 翔大

目次

一生フリーターのリアル:客観的に見るメリット・デメリット

まずは、フリーターという働き方の良い面と難しい面を整理しましょう。これらは表裏一体の関係にあります。

メリット:自由度の高さとストレスの少なさ

最大のメリットは、やはり時間の融通が利くことです。シフト制であれば、趣味や習い事、家族との時間を優先しやすいでしょう。また、責任の重い業務を任されることが少ないため、仕事を持ち帰ったり、休日まで仕事の悩みを引きずったりするストレスは、正社員に比べて少ない傾向にあります。

「嫌なら辞めて次に行ける」という身軽さも、精神的な安定につながる場合があります。

データで見る非正規雇用を選んだ理由

労働政策研究・研修機構の調査(平成19年)によると、パートタイム労働者が現在の就業形態を選んだ理由の上位は以下の通りです。

若年者パート(15〜34歳・未婚)

  • 第1位:自分の都合のよい時間に働けるから(77.3%)
  • 第2位:自由に使えるお金を得たいから(32.8%)

女性既婚パート

  • 第1位:家計の補助、学費等を得るため(53.9%)
  • 第2位:自分の都合のよい時間に働けるから(53.1%)
  • 第3位:家庭生活や他の活動と両立しやすいから(40.1%)

このように、「時間の自由」と「両立のしやすさ」が、フリーターという働き方を積極的に選択する理由として挙げられています。

【参考】労働政策研究・研修機構|雇用の多様化の変遷Ⅱ 労働政策研究報告書 No.115、2010年

デメリット:収入と社会的信用の課題

一方で、デメリットは経済面に集中します。時給制であるため、病気や怪我で働けない期間は収入がゼロになります。ボーナス(賞与)や退職金がないケースがほとんどで、生涯賃金に大きな差が生まれます。

また、住宅ローンやクレジットカードの審査において、正社員に比べて不利になることは否めません。社会的信用という点では、まだ課題が残るのが現状です。

データで見る賃金格差

正社員・正職員の賃金は年齢とともに上昇する傾向にありますが、正社員・正職員以外の賃金は、年齢による上昇幅が小さい傾向にあります。

男性

  • 正社員:55〜59歳で賃金のピーク(431,000円/月)を迎える
  • 非正規:年齢による上昇は緩やかで、50〜54歳で241,000円/月
  • 雇用形態間賃金格差(55〜59歳):正社員を100とした場合、正社員以外は57.4

女性

正社員:55〜59歳で賃金のピーク(310,400円/月)を迎える
非正規:年齢による上昇はほぼ横ばいで、50〜54歳で200,000円/月
雇用形態間賃金格差(55〜59歳):正社員を100とした場合、正社員以外は64.4

このように、正社員と非正規では賃金のピーク年齢も金額も大きく異なり、格差は年齢とともに広がっていきます。生涯にわたる経済的な差は、決して小さくないことがわかります。

【参考】厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査

年代別に見るフリーターの実態と課題

「なんとかなる」の難易度は、年齢によって大きく変化します。年代ごとの課題を見ていきましょう。

20代:可能性の塊だが、迷いも多い

体力があり、求人も豊富です。「夢を追うためにフリーター」という選択も多く、周囲も比較的寛容です。しかし、同級生が正社員としてキャリアを積み始める時期でもあり、焦りを感じやすい年代です。未経験歓迎の求人も多く、正社員への転換チャンスは最も高い時期と言えます。この時期に「自分は何がしたいのか」「どう生きたいのか」をじっくり考える時間を持つことが、その後の人生を左右します。

この時期の選択が今後の人生に大きく影響します。フリーターを続ける場合でも、漠然と働くのではなく「3年後にはこうなっていたい」という目標を持つことが大切です。スキルを磨く期間と決めて資格取得に挑戦したり、副業を始めて視野を広げたりするなど、20代のうちに何らかの武器を身につけておくことで、30代以降の選択肢が大きく変わってきます。

30代:分岐点となる重要な時期

実務経験を積んで現場の主力として活躍する方も多いですが、正社員への転換が徐々に難しくなってくる時期でもあります。結婚や出産といったライフイベントを考える際、収入の不安定さがネックになるケースが増えます。特に住宅ローンや保育料など、社会的信用や継続的な収入が求められる場面が増え、「このままでいいのか」という不安が具体的になってきます。一方で、これまで培ってきた実務スキルを武器に、正社員や契約社員への道を切り開く方もいる年代です。

30代は「このままでいいのか」と自問する機会が増える年代です。友人や家族から将来を心配されることも多くなるでしょう。しかし、焦って安易な選択をするのは禁物です。もし正社員を目指すなら、これまでの経験を武器にできる業界を選ぶことが重要です。フリーターを続ける場合は、社会保険への加入と貯蓄計画の見直しを真剣に行うタイミングと考えましょう。

40代・50代:体力面と親の介護問題

この年代になると、自身の健康問題や体力の低下が現実的になります。立ち仕事や力仕事が辛くなることもあります。また、親の介護が必要になった際、経済的な余裕がないと共倒れになるリスクも出てきます。求人の選択肢も、若年層に比べると狭くなる傾向があります。ただし、人手不足が深刻な介護・物流・警備などの業界では、年齢にかかわらず正社員募集が行われており、資格取得や経験次第では安定した雇用を得ることも可能です。また、これまでの人生経験や人間力が評価される職場もあるため、決して遅すぎることはありません。

一方で、40代・50代のフリーターには「経験の蓄積」という強みもあります。長年同じ職場で働き続けている方は、新人教育を任されるなど、職場にとって欠かせない存在になっているケースも少なくありません。ただし、老後資金の準備は待ったなしです。年金受給額の試算や、公的支援制度の確認など、具体的な生活設計を今すぐ始める必要があります。

データで検証!一生フリーターで本当になんとかなるのか?

感情論ではなく、数字で見てみましょう。生涯収入(一生で稼ぐお金)にはどれくらいの差があるのでしょうか。

生涯賃金の比較(推計値)

独立行政法人労働政策研究・研修機構の試算によると、正社員と非正社員の生涯賃金格差は以下のようになっています。

生涯賃金の格差(推計)

学歴別・雇用形態別の生涯賃金(男性、60歳まで)

  • 大学・大学院卒(正社員):約2億6,190万円
  • 高卒(正社員):約2億500万円
  • フルタイム非正社員:約1億〜1億6,000万円程度(大卒・男性の場合) ※高卒の場合は約1億2,610万円

正社員(高卒)との差は約6,500万円、正社員(大卒)との差は1億円以上になります。

【参考】労働政策研究・研修機構|ユースフル労働統計2022

阿部 翔大

この「1億円の差」という数字に驚かれる方も多いのですが、これは60歳までの累計金額です。1年あたりに直すと、月額で数万円〜十数万円の差になります。もちろん大きな差ですが、「だからすぐに正社員にならなければ」と焦る必要はありません。大切なのは、この差を理解した上で、自分がどう生きたいかを考えることです。お金がすべてではありませんが、お金の不安を減らすことは、心の余裕につながりますからね。

年金受給額の違い

老後の生活を支える年金にも差が出ます。正社員は「厚生年金」に加入し、会社が保険料を半分負担してくれますが、フリーターで国民年金のみの場合、受給額は少なくなります。

令和4年度の平均受給月額を見ると、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給者は約14.5万円(144,982円、老齢基礎年金を含む)ですが、国民年金のみの場合は約5.6万円(56,428円)です。老後に月5〜6万円で生活できるかどうかが、「なんとかなる」の分かれ目になります。

年金受給額の比較

令和4年度末の平均年金月額

  • 厚生年金保険(第1号)の老齢年金:144,982円(約14.5万円)※老齢基礎年金を含む金額
  • 国民年金の老齢年金:56,428円(約5.6万円)

月額で約8.9万円、年間で約106万円の差があります。

【参考】厚生労働省|令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

阿部 翔大

数字を見ると少し怖くなるかもしれませんが、これはあくまで平均値です。最近は社会保険の適用拡大が進んでおり、パート・アルバイトでも厚生年金に入れるケースが増えています。ご自身の勤務先が対象かどうか、一度確認してみるといいですよ。

一生フリーターを続ける場合の賢い生存戦略

「それでも私はフリーターとして生きていく」と決めた方へ。なんとかなる確率を上げるための、具体的な戦略をご提案します。

① 社会保険完備の職場で働く

先ほど触れた通り、厚生年金と健康保険(社会保険)への加入は必須レベルで重要です。将来の年金受給額が増えるだけでなく、病気や怪我で休んだ時に「傷病手当金」が出るなど、セーフティネットが強化されます。

求人を探す際は「社保完備」を絶対条件にしましょう。

② 「手に職」となるスキルを磨く

誰でもできる仕事は、景気変動の影響を受けやすく、時給も上がりくいです。ITスキル、介護資格、語学、専門的な接客スキルなど、市場価値のあるスキルを身につけましょう。

「あなたにお願いしたい」と言われるフリーターになれば、時給交渉もしやすくなります。

③ 副業で収入源を分散させる

一つのバイト先だけに依存するのはリスクが高いです。シフトが減らされたり、店舗が閉店したりする可能性があるからです。

Webライティング、動画編集、配送業など、種類の違う仕事を組み合わせることで、リスクを分散させることができます。

④ 貯蓄を徹底する

ボーナスがない分、毎月の給与から計画的に貯蓄する必要があります。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを活用しましょう。

老後資金を早いうちから準備することが、「なんとかなる」ための生命線です。

正社員以外の選択肢もある|契約社員・派遣・フリーランスという働き方

働き方は「正社員かフリーターか」の二択ではありません。中間的な選択肢も含めて検討してみましょう。

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契約社員【特徴】雇用期間が決まっている直接雇用。
【メリット】正社員に近い待遇(ボ-ナス等)がある場合も。正社員登用のチャンスあり。
【デメリット】契約更新されないリスクがある。
派遣社員【特徴】派遣会社と雇用契約を結び、派遣先で働く。
【メリット】時給が高め。大手企業で働ける可能性がある。相談担当者がつく。
【デメリット】契約期間(最長3年)の制限がある。交通費が出ない場合もある(法改正で改善傾向)。
フリーランス(業務委託)【特徴】企業と雇用関係を結ばず、成果物や業務に対して報酬をもらう。
【メリット】実力次第で高収入が可能。時間と場所の自由度が高い。
【デメリット】収入が不安定。確定申告などの事務処理が必要。労働法の保護がない。
阿部 翔大

相談に来られる方の中には、「正社員になれないなら、人生終わりだ」と思い詰めている方もいます。でも、そんなことはありません。働き方は本当に多様化しています。契約社員で専門スキルを磨きながら正社員登用を目指す方、派遣で大手企業の経験を積んでキャリアアップする方、フリーランスとして自分の得意分野で活躍する方。どれも立派なキャリアです。「自分に合った働き方」を見つけることが、何より大切ですよ。

もし正社員を目指すなら?年齢別の現実的なルート

「一生フリーターも悪くないけど、やっぱり正社員の安定も捨てがたい」と思った時のために、年齢別のルートも知っておいて損はありません。

20代:ポテンシャル採用のゴールデンタイム

未経験でも「意欲」と「人柄」で採用してくれる企業が多数あります。就職エージェントやハローワークの「若年者通年雇用企業」などを活用すれば、比較的スムーズに正社員になれる可能性が高いです。

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20代の方は「自分には何もスキルがない」と心配される方が多いのですが、企業が20代に求めているのは完成されたスキルではなく、素直さや成長意欲です。アルバイトで学んだ接客力や時間管理能力も立派なスキルですよ。自信を持って一歩を踏み出してください。

30代:経験と即戦力性が鍵

未経験募集は減りますが、これまでのアルバイト経験(リーダー経験や専門スキル)をアピールすれば十分にチャンスはあります。「紹介予定派遣」(一定期間派遣で働き、双方合意すれば正社員になる制度)も有効なルートです。

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30代の方には、職務経歴書に具体的な数字を入れることをおすすめしています。例えば、売上目標達成率、在庫管理の正確性、新人教育の人数など、客観的な実績を示すと説得力が増します。紹介予定派遣は、お互いをじっくり見極められるので、ミスマッチを防ぎやすい良い制度ですよ。

40代以降:資格と人脈の活用

介護、ドライバー、警備、建設など、人手不足が深刻な業界では、年齢を問わず正社員募集が多いです。資格取得(介護職員初任者研修など)とセットで活動すると、採用率はぐっと上がります。

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相談に来られる方で「もう遅いですよね」と諦めている方がいますが、今日がこれからの人生で一番若い日です。40代で正社員になった方もたくさん見てきました。動き出すのに遅すぎるということはありませんよ。

 一生フリーターは不安という方は転職エージェントへ相談を

ここまで読んで、「やっぱり将来が不安だな」「一度誰かに相談してみようかな」と思った方へ。その気持ちを大切にしてください。不安を感じるということは、あなたが真剣に将来を考えている証拠です。

転職エージェントやハローワークは、「すぐに正社員になりたい人だけが行く場所」だと思っていませんか?そんなことはありません。「今のままでいいのか聞いてみたい」「自分に向いている仕事を知りたい」といった相談も大歓迎なのです。むしろ、そういう悩みを抱えている方にこそ、私たちキャリアアドバイザーは力になりたいと思っています。

相談に来られる方の中には、「こんなことで相談していいのかな」と遠慮される方もいます。でも、遠慮はいりません。人生の岐路に立っているとき、一人で抱え込む必要はないのです。私たちは、あなたの話をじっくり聞き、一緒に考え、必要な情報を提供することができます。正社員を無理に勧めることもありません。大切なのは、あなたが納得できる選択をすることだからです。

私がこの仕事をしていて一番嬉しい瞬間は、相談者の方の表情が変わる瞬間です。最初は不安そうだった顔が、話しているうちに少しずつ明るくなっていく。「そうか、こういう道もあるんだ」「自分にもできるかもしれない」。そんな希望の光が見えてくる瞬間に立ち会えることが、この仕事の何よりのやりがいです。

あなたは決して一人ではありません。同じように悩んでいる人、悩みながらも一歩を踏み出した人が、たくさんいます。今の状況がどんなに苦しくても、必ず道はあります。一緒に探しましょう。あなたの力になりたい。本気でそう思っています。

まずは相談してみてください。電話でも、メールでも、対面でも構いません。あなたのペースで大丈夫です。「ちょっと話を聞いてみたい」それだけで十分です。その一歩が、あなたの未来を変えるきっかけになるかもしれません。私たちは、いつでもあなたを待っています。 

by【ノビルキャリア】 キャリアアドバイザー 阿部 翔大

フリーターの方からよくある質問(FAQ)

フリーターのキャリアについて、よくいただく実務的な質問にお答えします。

Q1. アルバイトから正社員登用される確率はどれくらいですか?

A. 企業によりますが、決して高くはありません。厚生労働省の労働経済動向調査(令和6年2月)によると、正社員登用制度がある事業所は76%ですが、実際に過去1年間(令和5年2月〜令和6年1月)に登用実績がある事業所は50%でした。制度があっても実績がないケースも多いため、「登用あり」という言葉を鵜呑みにせず、実績を確認することが大切です。

Q2. 結婚したいですが、フリーターだと難しいですか?

A. パートナーの理解と協力があれば不可能ではありません。ただ、住宅ローンの審査や子育て費用などを考えると、共働きが前提になるケースが多いでしょう。お互いの価値観と経済状況をしっかり話し合うことが必要です。

Q3. フリーター期間が長いと、正社員面接で不利になりますか?

A. 期間が長くなるほどハードルは上がりますが、理由と意欲を説明できれば挽回可能です。「なぜフリーターだったのか」「そこで何を学んだか」「なぜ今、正社員になりたいのか」を一貫性を持って話せることが重要です。

まとめ|なんとかなる。ではなく、なんとかする。どの道を選ぶかは、あなた次第

「一生フリーター なんとかなる?」という問いへの答えは、「リスクに備えて戦略的に動けば、なんとかなる」です。

フリーターの自由さを選ぶのも、正社員の安定を選ぶのも、あなたの自由です。どちらにもメリットとデメリットがあり、正解はありません。大切なのは、流されるまま「なんとなく」フリーターを続けるのではなく、自分の意志で選択し、将来への備えをしておくことです。

この記事のポイント総まとめ

  • 一生フリーターは不可能ではないが、生涯賃金や年金格差のリスクへの備えが必要
  • 「社保完備」「スキルアップ」「貯蓄」がフリーター生存戦略の3本柱
  • 20代〜30代はキャリアの分岐点。正社員を目指すなら早いほど有利
  • 正社員以外にも、契約社員や派遣、フリーランスなど多様な選択肢がある
  • どの道を選ぶにせよ、納得して選び、戦略的に生きることが大切
阿部 翔大

もし、今後のキャリアに迷ったり、不安を感じたりした時は、いつでも相談に来てください。就職エージェントは、正社員を目指す人だけのものではありません。「今のままでいいのか確認したい」という相談も大歓迎です。あなたの人生が、あなたらしく輝く選択ができるよう、応援しています。

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