
事務に転職したいけど、未経験の自分にとって有利になる資格はあるのだろうか…?
事務は人気の職種で、資格を持っているかどうかが評価の分かれ目になるケースも少なくありません。もちろん、資格がなくても事務職に採用されることはあります。ただ、資格があることで応募書類や面接で「事務に必要な基礎を学んでいる」「意欲的に取り組める人」と受け取ってもらいやすく、結果として内定につながる可能性が高まります。
この記事では、未経験からの事務職転職に役立つ資格を幅広く紹介し、それぞれがどのように評価されるのかを解説します。さらに、資格取得とあわせて準備しておきたいスキルや、効率よく転職を成功させる方法についてもお伝えします。読み終えるころには「どの資格を選ぶべきか」「どう転職活動を進めるか」が明確になり、一歩を踏み出す自信が持てるはずです。
株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント
阿部 翔大


資格なし未経験でも事務への転職は可能だが、資格があると有利


事務職は応募者の多い人気の職種ですが、実際には資格がなくても未経験から採用されるケースは少なくありません。特に若手でポテンシャルを評価されやすい20代や、社会人経験のある人材であれば、応募書類や面接で意欲や人柄を伝えることで内定につながる可能性は十分にあります。
ただし、経験者と比べると即戦力性で劣るため、未経験者はどうしても採用担当に安心感を与える工夫が必要です。そこで強い武器になるのが資格です。資格を持っていることで「基本的なパソコン操作や事務処理はできる」「数字に強い」「社会人としての基礎を学んでいる」など、具体的なスキルを客観的に証明できます。
また、資格は単なる知識の証明だけでなく、事務職に就くために努力をしてきたという姿勢そのものを評価してもらえる点も大きなメリットです。経験の少なさをカバーしつつ、面接で資格を取得する過程で学んだことを語れば、採用担当に対して熱意と成長意欲を伝えられます。



つまり、未経験でも事務職に挑戦することは可能ですが、資格を持っていると採用担当の安心感につながり、他の応募者より一歩リードできるのです。


未経験からの事務職転職に有利な資格18選


事務職と一口にいっても、一般事務・経理・総務・医療・不動産などさまざまな分野があります。それぞれの分野で評価されやすい資格を知っておくことで、未経験でも転職活動を有利に進められます。この章では代表的な資格を分野ごとに紹介します。
一般事務・営業事務で有利な資格
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)|Word・Excelを客観的に証明できる


MOSは、WordやExcelなどMicrosoft Officeの操作スキルを国際的に証明できる資格です。事務職では見積書や請求書、会議資料の作成などでOfficeを使う場面が多く、特にExcelの表計算や関数、グラフ作成スキルは即戦力として高く評価されます。
未経験者が応募書類にMOSを記載していると、基本的なPC操作は問題ないと採用担当に安心感を与えられます。独学でも市販の教材や模擬試験で対策可能なため、社会人や学生にも人気があります。試験は随時開催されており、受験しやすさも魅力です。資格を持っていることで、未経験でも事務職に挑戦できる自信につながるでしょう。
- 合格難易度:★★★☆☆(独学でも3か月程度)
- 受験費用:10,780円(税込)/科目
- 公式URL:MOS公式サイト(オデッセイ)
ITパスポート|基礎的なITリテラシーを示せる


ITパスポートは、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格で、ITの基礎知識を幅広く学べる入門資格です。具体的には、コンピュータの仕組みやネットワーク、セキュリティ、経営や会計に関する基本知識までカバーしており、事務業務で必要な「ITリテラシー」を証明できます。
最近は業務システムやクラウドサービスを利用する企業が多いため、ITパスポートを取得していると「デジタル環境に適応できる人材」と見なされやすくなります。国家資格で知名度も高く、面接で話題になりやすいのもメリットです。難易度は低めで独学合格も可能なので、初めて資格取得に挑戦する人にもおすすめです。
- 合格難易度:★★☆☆☆(1〜2か月で合格可能)
- 受験費用:7,500円(税込)
- 公式URL:ITパスポート試験|IPA
秘書検定|マナーや事務処理能力をアピールできる


秘書検定は、社会人としての基本的なマナーやビジネススキルを証明できる資格です。試験内容は敬語の使い方や電話応対、来客対応、文書作成など、事務職に必須のスキルが中心で、一般事務や営業事務の採用担当から高く評価されやすい資格です。取得していると「社会人としての基礎力が身についている」「安心して任せられる」という印象を与えられ、未経験でも一歩リードできます。
また、学習過程で実際の職場で役立つマナーが自然と身につくため、転職後すぐに活かせる点もメリットです。2級は学生や社会人の基礎レベル、準1級以上はより高度な判断力が問われ、面接で「学んだことをどう活かしたか」を具体的に語れる材料になります。
- 合格難易度:★★★☆☆(2〜3か月程度)
- 受験費用:2級:4,100円/準1級:5,300円(税込)
- 公式URL:秘書検定|実務技能検定協会
経理事務で有利な資格
日商簿記(2級・3級)|数字に強く、経理・会計職の必須資格


日商簿記は、日本商工会議所が主催する最も知名度の高い簿記資格です。3級では仕訳や試算表など経理の基礎を学び、未経験でも「数字を正しく扱える」ことを証明できます。2級は商業簿記・工業簿記まで範囲が広がり、決算書作成や原価計算に踏み込むため、経理事務や会計職を目指す場合は強力な武器になります。
多くの企業で応募条件や歓迎資格に記載されており、持っているだけで書類選考の通過率が高まる傾向があります。独学でも合格可能ですが、学習範囲が広いため通信講座を利用する人も多いです。経理職への第一歩として、最もおすすめできる資格です。
- 合格難易度:3級★★★☆☆、2級★★★★☆
- 受験費用:3級:2,850円、2級:4,720円(税込)
- 公式URL:日本商工会議所 簿記検定
全経簿記|実務に直結するスキルを学べる


全国経理教育協会が主催する全経簿記は、実務に即した問題が多く、中小企業や会計事務所で評価されやすい資格です。日商簿記と比べると知名度はやや劣りますが、内容は実務寄りで「実際に仕事で役立つスキルを学べる」と評判です。たとえば、伝票起票や試算表の作成など、日々の経理業務で欠かせない力を身につけることができます。
日商簿記とダブル取得することで、基礎力+実務力を両立でき、未経験から経理事務を目指す際に大きなアピール材料になります。受験日程が比較的多く設定されている点も、転職活動と両立しやすいメリットといえるでしょう。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:1,570〜5,240円(税込、級による)
- 公式URL:全国経理教育協会 全経簿記
FASS検定|財務・経理のスキルを客観的に評価できる


FASS検定は、経済産業省が開発した経理・財務の実務能力を測る試験で、簿記が「知識の理解」を問うのに対し、FASSは「実務で使える力」を評価できるのが特徴です。試験範囲は資金調達・決算・税務・管理会計の4分野にわたり、合格者にはスコアとレベルが付与されるため、履歴書に具体的な数値でスキルを示すことができます。
大手企業の経理部門でも採用担当が重視することがあり、経理専門職を目指す人にとっては強力なアピール材料になります。難易度はやや高めですが、日商簿記との相性が良く、両方を持っていると知識と実務力を兼ね備えた人材として高く評価されます。
- 合格難易度:★★★★☆
- 受験費用:11,000円(税込)
- 公式URL:FASS検定公式サイト
人事・総務事務で有利な資格
社会保険労務士(社労士)|労務管理や社会保険のプロ


社会保険労務士は、人事・労務分野で唯一の国家資格であり、社会保険や労働法に関する高度な専門知識を証明できます。未経験で合格を目指すには難易度が高いものの、学習を通じて労務管理や給与計算、就業規則の作成といった総務業務に直結する知識が身につきます。
合格すれば独立開業も可能ですが、企業の人事・総務部門でも高く評価されるため、キャリアの選択肢を広げられる点が魅力です。転職市場では「人事労務のエキスパート」として強力なアピール材料となり、即戦力として見てもらえる可能性が高まります。
- 合格難易度:★★★★★
- 受験費用:15,000円(税込)
- 公式URL:社会保険労務士試験オフィシャルサイト
衛生管理者|大企業の総務で需要がある資格


衛生管理者は、常時50人以上の従業員が働く事業場で必ず選任が義務付けられている国家資格です。企業にとっては法律上必要な人材のため、資格保持者は採用や配置で重宝されます。仕事内容は労働安全や健康管理に関わるもので、労働環境の改善や従業員の健康診断管理などを担当します。
試験範囲は衛生工学や労働衛生関連法規が中心で、未経験からでも数か月の勉強で合格可能です。大手企業の総務部門を目指す人にとっては非常に実用的な資格であり、履歴書に記載するだけで企業側に即戦力と見なしてもらいやすくなります。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:6,800円(税込)
- 公式URL:衛生管理者試験|安全衛生技術試験協会
メンタルヘルス・マネジメント検定|従業員対応に活かせる


メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場におけるメンタルヘルス対策に関する知識を学べる資格で、従業員の心の健康を支える力を証明できます。ラインケア(上司が部下の健康管理を行う知識)やセルフケア(自分自身のメンタル管理)といった内容を体系的に学べるため、人事総務の役割に直結します。
働き方改革やメンタル不調者の増加が社会的課題となっている今、採用担当者からの注目度も高まっています。難易度は中程度で、独学でも合格可能。取得していれば「従業員を支える姿勢を持った人材」として評価され、採用面接でプラスに働きます。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:4,950〜6,600円(税込)
- 公式URL:メンタルヘルス・マネジメント検定試験
医療・福祉事務で有利な資格
医療事務(診療報酬請求事務能力認定試験など)|病院やクリニックで必須


医療事務の資格は、病院やクリニックで行う受付・会計・レセプト作成などの業務に直結するものです。特に「診療報酬請求事務能力認定試験」は医療事務資格の中でも最難関とされ、合格すれば全国の医療機関で即戦力として評価されます。
資格取得を通じて診療報酬制度や保険請求の仕組みを体系的に学べるため、未経験者でも安心して業務を始められるのが強みです。医療業界は安定した需要があり、正社員・パートを問わず求人が豊富な分野です。資格を持っていると採用の幅が広がり、長期的に働ける安心感にもつながります。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:7,000円(税込)
- 公式URL:日本医療事務協会


調剤事務管理士|調剤薬局で需要がある


調剤事務管理士は、調剤薬局で行う処方箋入力やレセプト作成を担う人材を育成する資格です。医師の処方を正しくシステムに入力し、保険請求を行う業務は専門性が高く、資格を持つことで未経験でも、基本的な知識を習得済みと判断してもらえます。
試験は在宅受験も可能で、独学でも十分に合格を狙える点も魅力です。薬局は全国どこにでもあるため、ライフスタイルに合わせて勤務先を選びやすく、女性からの人気が特に高い資格です。未経験から医療業界に入りたい人にとって、最も挑戦しやすい入門資格といえます。
- 合格難易度:★★☆☆☆
- 受験費用:7,500円(税込)
- 公式URL:調剤事務管理士|JSMA技能認定振興協会
介護事務管理士|介護施設での事務職に活かせる


介護事務管理士は、介護保険請求事務の専門知識を学べる資格で、介護施設や在宅介護サービスで必要とされるスキルを証明します。介護業界は高齢化の進行により需要が拡大し続けており、事務スタッフのニーズも年々増えています。資格を持つことで、介護報酬請求の仕組みや利用者対応に関する基本を理解していると評価され、未経験でも採用につながりやすくなります。
難易度は比較的低く、短期間の学習で取得可能なため、働きながらでも挑戦しやすい資格です。安定した業界で長く働きたい方にとって、大きな武器となるでしょう。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:7,500円(税込)
- 公式URL:介護事務管理士|JSMA技能認定振興協会
法律・不動産事務で有利な資格
宅地建物取引士(宅建)|不動産会社の事務で強力な武器


宅地建物取引士(宅建)は、不動産取引を行う際に必ず関与が必要な国家資格で、不動産業界の事務職では圧倒的な需要があります。資格者には資格手当が支給される企業も多く、収入面でも有利になる点が大きな魅力です。
試験では民法や宅建業法、不動産に関する税制など幅広い知識が求められるため、合格難易度は高めですが、未経験からでも数か月〜1年の学習で十分挑戦可能です。宅建を持っていると専門的な知識を持った即戦力と見なされるため、事務職として採用されやすく、将来的には営業や管理職などキャリアの幅を広げることも可能です。
- 合格難易度:★★★★☆
- 受験費用:8,200円(税込)
- 公式URL:宅建試験|不動産適正取引推進機構
行政書士補助員|法律事務所勤務を目指す場合に有効


行政書士補助員は、行政書士の事務所で契約書や申請書類の作成補助を行うための立場です。正式な国家資格ではありませんが、各地の行政書士会が定める研修や認定を受けることで名乗れる場合があり、法律事務所や行政書士事務所で働きたい人にとっては有利に働きます。
業務内容は、書類作成、役所への提出手続き、顧客対応など幅広く、事務職としてのスキルを磨きながら専門知識を学べる点が強みです。資格として履歴書に記載することで、法務関連業務に興味を持ち、学習している姿勢を示せるため、法律分野でのキャリアを目指す未経験者にとっては強力なアピール材料となります。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:地域や団体による(数千円〜)
- 公式URL:日本行政書士会連合会
司法書士補助者認定|登記関連事務に活かせる


司法書士補助者認定は、司法書士の事務所で登記や法律書類の作成をサポートするために必要な資格です。司法書士が扱う不動産登記や商業登記は専門性が高く、未経験では知識不足と見なされがちですが、この資格を持っていると「業務に必要な基礎知識を習得済み」と評価され、採用時に有利になります。
仕事内容は不動産売買に伴う登記書類の準備や会社設立時の登記申請など多岐にわたり、専門性の高い事務スキルが身につきます。合格難易度は中程度で、実務を通じて理解を深めやすい点も魅力です。法律関連の安定した職場で働きたい人におすすめの資格です。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:地域による(数千円〜)
- 公式URL:日本司法書士会連合会
外資・グローバル企業で有利な資格
TOEIC|英語を使う企業で差別化できる


TOEICは、英語によるコミュニケーション能力を測定する世界的に認知度の高い試験で、特に外資系企業や海外取引のある会社では採用基準の一つとして用いられることも多いです。事務職であっても、英文メールのやり取りや海外からの資料対応を任される場合があり、TOEIC600点以上を取得していれば「基礎的な実務英語ができる」と評価されやすくなります。
さらに730点以上であれば高度なビジネス英語力を示せるため、総合職や海外部門の事務に携わるチャンスも広がります。定期的に全国で実施されているため受験しやすく、履歴書にも明記できるスコア制の資格は、未経験からの差別化に効果的です。
- 合格難易度:★★★☆☆(600点目標)〜★★★★☆(800点以上)
- 受験費用:7,810円(税込)
- 公式URL:TOEIC公式サイト
英検|基礎的な英語力を示す資格


実用英語技能検定(英検)は、国内で最も認知度の高い英語資格で、学生から社会人まで幅広く活用されています。外資系に限らず、観光業や商社、貿易関連企業などで「基礎的な英語力を持つ人材」として評価されやすい点が強みです。2級で高校卒業程度、準1級以上で大学中級程度の英語力を証明でき、面接を含む試験形式は、実際に会話ができる力を示せるのもメリットです。
特に事務職では、外国人顧客対応や英文資料作成の補助に活かせるため、スコアだけのTOEICと差別化しやすい資格といえます。就活や転職活動において英語を本気で学んできた証拠として、面接官への印象アップにつながります。
- 合格難易度:★★★☆☆(2級)、★★★★☆(準1級)
- 受験費用:8,400円(2級・税込)
- 公式URL:英検|日本英語検定協会
ビジネス英語検定(BULATSなど)|外資系での評価につながる


ビジネス英語検定(BULATSやケンブリッジ英語検定の一部)は、国際的なビジネスシーンで必要な英語力を測定する試験です。一般的な英語試験と異なり、電話会議での会話やビジネスメール、商談の進行など、実務を想定した内容が多いのが特徴です。特に外資系企業やグローバル展開している企業では、スコアを持っていることで「即戦力として海外とのやり取りを任せられる人材」と見なされやすくなります。
国内では知名度はTOEICや英検ほど高くありませんが、国際基準で英語力を証明できる点が強みです。外資志望の事務職希望者にとって、差別化の武器となる資格です。
- 合格難易度:★★★☆☆
- 受験費用:受験方式により異なる(約10,000円〜)
- 公式URL:BULATS|ケンブリッジ英語検定
資格を持っていると採用担当にどうアピールできる?


未経験から事務職を目指す際、資格は知識やスキルの証明以上の意味を持ちます。応募者がどのような姿勢で転職活動に臨んでいるか、どのくらい事務職に本気なのかを伝える強力な武器になるのです。この章では、資格を取得していることで採用担当に具体的にどんなアピールができるのかを見ていきましょう。
応募書類で「学習意欲・努力」をアピールできる
資格は、履歴書や職務経歴書に書ける明確な成果物です。未経験の応募者にとっては、業務経験が不足している分、書類でどれだけ事務職に向けて努力してきたかを示すことが重要になります。資格があれば「ただ事務に応募したい人」ではなく「事務の仕事に就くために具体的な準備をしてきた人」と印象づけられるのです。
例えばMOSや簿記3級を記載していれば、「PCスキルや数字に強い人材」という具体的な強みを伝えられます。応募書類で採用担当に基礎力+努力の姿勢を感じてもらえれば、書類選考通過率をぐっと高められるでしょう。
面接で「事務職への本気度」をアピールできる
資格は面接の場でも有効なアピール材料になります。なぜ事務職を希望したのかという質問に対して、「資格取得を通じてPC操作や会計の基礎を学び、事務の仕事に生かしたい」と具体的に語れると、説得力が大きく増します。未経験の転職では「なぜこの職種なのか」「どれだけ本気なのか」が重要視されるため、資格取得という努力の事実は何よりの根拠になります。
また、学習の過程で得た知識や工夫をエピソードとして語れば、面接官に前向きに学び続ける人材という印象を与えられます。資格を軸に志望動機を展開すれば、面接で差をつけやすくなるでしょう。
入社後の教育コスト削減につながる、即戦力だとアピールできる
採用担当者にとって、未経験者を採用する際の大きな懸念は「どのくらい教育に時間がかかるか」という点です。資格を持っていれば、基礎的なスキルや知識はすでに習得済みであり、研修コストを抑えられる人材だと判断されます。
例えばMOSを取得していればWordやExcelの初歩的な研修は不要、簿記3級を持っていれば伝票処理や仕訳の基礎を理解している、と具体的に即戦力性を示せます。採用側からするとすぐに現場で使える人材と映るため、未経験でも採用につながりやすいのです。資格は単なる学歴の補完ではなく、企業にとってもメリットのある存在だと強調できます。
資格取得と同時にやっておきたい!事務職への転職準備


資格を持っていることは大きな強みですが、それだけでは十分とはいえません。採用担当者は、この人が現場で実際に活躍できるかを見ています。そのため、資格取得と並行して、事務職として即戦力に近づく準備を進めておくことが重要です。この章では、未経験からでも今日から取り組める転職準備のポイントを紹介します。
資格がなくても有利に働けるスキルを勉強しておく
資格は強い武器になりますが、事務職で実際に求められるのは日々の業務で役立つ実務スキルです。資格取得の勉強と並行して、Excelやビジネスマナー、タイピングなどを磨いておくと、未経験でも採用担当に「すぐに活躍できそう」と思ってもらえます。


Excel関数やピボットテーブルの操作
事務職の実務で最も活用されるのがExcelです。関数(SUM、IF、VLOOKUPなど)やピボットテーブルを使えると、単純な入力作業だけでなく、データ集計や分析まで対応できる人材として評価されます。



これらのスキルは独学でも習得可能で、YouTubeや無料学習サイトを活用すれば短期間で身につけられます。資格がなくても、Excel操作を具体的にアピールできれば「実務で役立つスキルを持っている」と採用担当に好印象を与えられるでしょう。
ビジネスメール・チャットのマナー
最近はメールだけでなく、SlackやTeamsなどのチャットツールを使う企業が増えています。正しい敬語の使い方、件名や署名の書き方、簡潔でわかりやすい文章作成力は、即戦力の評価につながります。



特に未経験者の場合、「社会人としての基本ができているか」は大きな判断基準です。資格取得の勉強と並行して、日常的に正しいビジネス文書の書き方を意識して学んでおくことで、採用担当に「安心して任せられる人材」と思ってもらえるでしょう。
タッチタイピング・基本的なITリテラシー
事務職は入力業務が多いため、タイピングの速さ・正確さは大きな武器になります。タイピング練習サイトを使えば、毎日の積み重ねで確実にスピードアップが可能です。また、クラウドストレージ(Google DriveやDropbox)、オンライン会議ツール(Zoom、Teams)などの基本操作を理解していることも、現場で役立ちます。



これらは資格では証明できませんが、実際の業務では欠かせないスキルです。面接で「普段からタイピング練習やITツールの活用をしている」と伝えれば、積極的な姿勢をアピールできます。
志望動機は「資格」+「将来像」で構成する
志望動機を作るとき、資格だけを前面に出すと「資格を取ったから応募しました」と受け身に聞こえてしまいます。大切なのは、資格取得を事務職を志望する強い理由の一部として語り、その先にある将来像を具体的に示すことです。
例えば「MOSを学んだことでExcelを活用したデータ分析に興味を持ち、将来的には営業部門をサポートできる事務職を目指したい」というように、資格→興味関心→キャリア展望へとつなげるのが効果的です。



採用担当は「どんな将来像を描いているか」を重視するため、資格を根拠にキャリアの方向性を語れると強い説得力になります。




これまでの経験を「事務スキル」に置き換えて職務経歴書に書く
未経験者にとって職務経歴書は最大のアピールの場です。接客業や販売職など一見事務と関係なさそうな経験でも、工夫次第で「事務スキル」として置き換えられます。
例えば「レジ締め業務で金銭管理を正確に行っていた」は経理事務に通じるスキル、「顧客対応でクレーム処理を経験した」は総務や人事の適性を示す材料になります。



重要なのは「事務に直結する能力」として翻訳して書くことです。資格取得の努力と合わせて、これまでの経験を整理すれば、未経験でも「事務職として採用する理由」をしっかり提示できる職務経歴書に仕上げられます。
未経験から事務職を目指すなら転職エージェント活用が近道


資格を取得しても、求人の探し方や書類・面接準備が不十分だと、なかなか内定にはつながりません。そんなときに強い味方になるのが転職エージェントです。とくに未経験向けの事務求人に強いエージェントを利用すれば、独学では得られない情報やサポートを受けながら効率よく転職活動を進められます。
未経験歓迎の求人を多数紹介してもらえる
転職サイトでは経験者向けの事務求人が多く、未経験者には不利に見えることがあります。しかし転職エージェントは、一般には公開されていない非公開求人を含め、未経験者を積極的に採用したい企業の情報を数多く持っています。
さらに、希望条件や適性に合わせて求人を絞って紹介してくれるため、自分一人で探すよりも効率的です。
「未経験OK」「研修制度あり」などの求人に出会えるチャンスも広がり、安心して応募に踏み出せます。
書類作成や面接準備を無料で支援してくれる
未経験の転職で大きな壁になるのが履歴書や職務経歴書の作成、面接対策です。エージェントを利用すれば、キャリアアドバイザーが一人ひとりに合わせて応募書類を添削してくれます。
さらに、よく聞かれる質問にどう答えるべきか、資格取得をどうアピールすればよいかなど、実践的なアドバイスを受けられるのも魅力です。
サポートはすべて無料で受けられるため、初めての転職活動でも不安を減らして挑戦できます。
資格取得中でも相談可能。転職活動と並行できる
「資格を勉強中だけど、転職活動はまだ早いのでは?」と不安に思う人も多いですが、エージェントは学習段階から相談できます。資格を目指している姿勢自体が強みになるため、勉強中であることを伝えれば「前向きに努力している人材」と評価されやすいのです。
エージェントは転職市場の最新動向を把握しているので、資格取得のタイミングや最適な応募時期についてもアドバイスしてもらえます。
資格取得と並行して活動を進めることで、チャンスを逃さずに転職成功へ近づけます。
一般事務未経験者の転職・就職に強い転職エージェント


ノビルキャリア|事務職未経験の20代に寄り添う「可能性重視」の転職・就活サポート


運営会社 | 株式会社MEDISITE |
公開求人数 | 45,000件~ |
対応地域 | 全国 |
対象年齢 | 18~29歳 |
研修制度 | あり |
「ノビルキャリア」の特徴は、これまでに培った経験を強みとして言語化し、未経験OKの事務職などへの転職成功率が高い点にあります。実際に、ノビルキャリアのサポートを受けた事務職未経験者の多くが内定を獲得しています。
キャリアアドバイザーが一人ひとりの強みを引き出し、職務経歴書の添削から面接対策まで徹底サポート。これまでの仕事やアルバイトで培ったスキルを武器に、新しいキャリアへと一歩踏み出したい方に最適です。
- 未経験から一般事務への転職をポジティブに伝える面接対策
- 自己PRが苦手な人向けの模擬面接
- ブラック企業を排除した独自求人ネットワーク
- 事務職経験のあるアドバイザーが在籍しており、親身に対応してくれる
- 「人柄重視」「未経験OK」な求人を多く保有し、優先的に紹介してくれる
就職カレッジ|就職成功率80%以上!研修付きのため一般事務未経験の方でも安心


運営会社 | 株式会社ジェイック |
公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
対象年齢 | 18~29歳 |
研修制度 | あり |
「就職カレッジ」は、20代の若手・未経験者向けに特化した転職支援サービスで、スキルや実績はないがキャリアチェンジを目指したい方に非常に適しています。特徴は、転職サポートの前にビジネスマナーや職種理解を深める研修がある点。「PCスキルに自信がない」「事務って実際何するの?」といった不安を抱える方でも、基礎から学び直せるため安心です。
研修後は企業との集団面接会に参加でき、未経験歓迎の事務・営業・ITサポート職などに一気に内定が出ることも。実際、就職カレッジ経由の内定率は80%以上を誇り、アルバイトやフリーターからの脱却を目指す方にも心強い味方です。
- 就職講座(無料)を受講すれば、書類選考なしで20社以上と面接可能
- マナーや自己分析、面接練習まで徹底サポート
- 研修を通過した人材として企業からの信頼も高い
- 未経験職種への不安を研修で払拭できる
- 転職成功率が高く、集団面接会を通じてスピード内定が可能
ハタラクティブ|未経験転職に強い!豊富な求人と高い内定率


運営会社 | レバレジーズ株式会社 |
公開求人数 | 5,000件~ |
対応地域 | 全国 |
対象年齢 | 18~29歳 |
研修制度 | なし |
「ハタラクティブ」は、フリーターや無職の方など、正社員未経験の20代を中心に転職支援を行うエージェントです。特に一般事務職へのキャリアチェンジ支援に強く、未経験OKの求人が豊富に揃っています。キャリアアドバイザーは経験が浅い人向けの支援に慣れており、「自分の何が評価されるのか分からない」という不安に対して、職務経歴書や面接のアドバイスを丁寧に行ってくれます。
また、書類選考なしで面接に進める企業も多いため、「まずは話してみたい」という方にもおすすめです。これまでの経験やポテンシャルを武器に未経験職種への転職を目指す人にとって、非常に心強いパートナーです。
- 自己分析から求人紹介まで最短3日で内定が出るスピード感
- 書類添削や面接対策の質が高く、親身な対応が評判
- 都市部での就職を目指す方にとっては最有力候補
- 未経験歓迎の求人が豊富で、事務・営業・サポート職の紹介実績が多い
- 書類選考なしで面接に進める企業もあり、転職初心者でもスムーズに選考を進めやすい
まとめ|資格は未経験者の強い武器になる


資格は、事務未経験者にとって努力の証明であり即戦力のアピール材料となる心強い武器です。ただし、資格だけで採用が決まるわけではなく、実務スキルや志望動機、職務経歴書での工夫も同じくらい重要です。本記事で紹介した準備を並行して進めることで、未経験でも自信を持って事務職に挑戦できるでしょう。


この記事のポイント総まとめ(箇条書き)
- 事務職は未経験でも採用されるが、資格があると大きなアピール材料になる
- MOS・簿記・医療事務など、分野ごとに有利な資格を取得しておくと効果的
- 資格は「学習意欲・努力」「本気度」「即戦力性」を採用担当に示せる
- 資格取得と並行してExcel・ビジネスマナー・タイピングを学んでおくと安心
- 志望動機は「資格」+「将来像」で構成し、職務経歴は事務スキルに翻訳する
- 転職エージェントを活用すれば、求人紹介や面接対策を無料で受けられる
事務未経験で資格がある・ない場合でもまずはエージェントに相談してみよう



資格があれば転職活動を有利に進められますが、資格がなくても挑戦できるのが事務職の魅力です。大切なのは、一人で悩まず専門家の力を借りること。転職エージェントに相談すれば、自分に合った求人や応募戦略を提案してもらえます。資格がある人も、これから取ろうとしている人も、まずは一歩踏み出して相談することが成功への近道です。
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