「転職できる気がしない」は思い込み?うまくいかない理由と自信を取り戻す方法

「転職したいできる気がしない」…そんな悩みを抱えていませんか?
求人サイトを開いても応募ボタンが押せない。履歴書を書こうとしても手が止まる。面接を想像すると不安で押しつぶされそうになる。こうした感情は、決してあなただけのものではありません。転職を考える多くの人が、同じ壁にぶつかっています。
でも、安心してください。「転職できる気がしない」と感じるのは、あなたの能力が低いからではありません。むしろ、慎重で真面目な性格だからこそ生まれる、自然な心理反応なのです。
本記事では、心理学とデータに基づいて、この「見えない壁」の正体を解説します。そして、自信を取り戻すための7つの具体的なステップを、実践的にお伝えします。読み終える頃には、「転職、やってみてもいいかも」と思えるはずです。
株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント
阿部 翔大

なぜ「転職できる気がしない」と感じるのか?その心理とは

転職に対して消極的になってしまう原因を理解することは、問題解決の第一歩です。多くの場合、この感情は以下の心理的要因によって生じています。
自分の能力を過小評価する心理
インポスター症候群とは、客観的には成果を出しているにもかかわらず、「自分は周りの人ほど優秀ではない」「たまたまうまくいっただけ」と自分の能力を過小評価してしまう心理状態を指します。この状態に陥ると、転職市場での自分の価値を正当に評価できなくなります。
例えば、あなたが職場で「プロジェクトをうまく進めた」と上司から評価されたとします。しかし、インポスター症候群に陥っている人は「チームメンバーが優秀だっただけ」「運が良かっただけ」と考え、自分の貢献を認められません。この思考パターンが続くと、「自分には転職できるほどのスキルがない」という誤った結論に至ってしまうのです。
心理学者のポーリン・クランスとスザンヌ・アイムズによる1978年の研究では、成功している人ほどインポスター症候群に陥りやすいことが示されています。つまり、「転職できる気がしない」と感じているあなたは、実は十分な能力を持っている可能性が高いのです。
阿部 翔大インポスター症候群は、実は能力の高い人ほどなりやすいんです。謙虚で向上心があるからこそ、自分を厳しく評価しすぎてしまうんですね…。でも、その謙虚さ自体が転職市場では非常に価値のある特徴なんですよ。
不採用という拒絶への恐怖
転職活動では、どれだけ優秀な人でも「不採用」という結果を経験する可能性があります。しかし、多くの人がこの拒絶を「能力の否定」と捉えてしまい、挑戦すること自体を避けようとする心理が働きます。
具体例を挙げましょう。ある企業に応募して書類選考で落ちたとします。この時、「自分のスキルが足りなかったのだ」「やはり転職なんて無理だったんだ」と解釈してしまう人がいます。しかし実際には、その企業が「即戦力として経験5年以上の人材を求めていた」だけかもしれませんし、「たまたま社内異動で人員が埋まった」だけかもしれません。つまり、不採用=あなたに価値がない、ではないのです。
心理学における「拒絶感受性理論」によれば、過去に拒絶された経験がある人ほど、新たな拒絶を過度に恐れる傾向があります。この恐怖が、「最初から挑戦しない」という回避行動につながるのです。



不採用は、あなたが悪いではなく、その企業とのタイミングや条件が合わなかっただけです。実際、同じ方が別の企業では高評価を得ることも珍しくありません。転職活動は「ご縁探し」なんですよ。
現状を変えることへの本能的な抵抗
人間は本能的に変化を避け、現状を維持しようとする傾向があります。これを「現状維持バイアス」と呼びます。たとえ現在の状況に不満があったとしても、「今のままでも何とかなるかもしれない」「変化にはリスクがある」という気持ちが行動を妨げるのです。
例えば、今の職場で残業が多く、給与にも不満があるとしましょう。しかし「通勤時間は短いし」「人間関係は悪くないし」「新しい職場でうまくいく保証もないし」と考え始めると、転職に踏み出せなくなります。これは、既に慣れ親しんだ環境を失うことへの不安が、新しい環境で得られる可能性のあるメリットを上回ってしまうからです。
行動経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーの「プロスペクト理論」によれば、人間は「得をする喜び」よりも「損をする痛み」を約2倍強く感じることが実証されています。転職における「今の安定を失う痛み」が、「新しい可能性を得る喜び」を上回ってしまうため、行動に移せないのです。



今のままでいい、と思う気持ちは自然ですが、5年後も同じ状況で満足できるか考えてみてください。小さな不満が積み重なって後悔することもあります。変化を恐れず、未来の自分のために動くことも大切ですよ。
データで見る現実|転職成功率と市場動向


漠然とした不安を解消するためには、データに基づいた現実的な視点を持つことが重要です。転職市場の実態を正確に把握することで、過度な不安を和らげることができます。
転職市場の現状データ
厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、令和4年の入職者数は約780万人(7,798千人)、入職率は15.2%となっています。これは決して転職が珍しいことではなく、多くの人が新しい職場で活躍していることを示しています。



データを見ると、転職は特別なことではなく、むしろ一般的なキャリア形成の手段だということがわかります。自分だけができないのでは?という不安は、実は思い込みに過ぎないことが多いんですよ。


転職を妨げる3つの「思い込み」とその解消法
転職に踏み出せない理由の多くは、実際の障害ではなく、自分自身が作り出した「思い込み」によるものです。これらの誤解を一つずつ解いていきましょう。
「完璧でなければ転職してはいけない」という誤解
「全ての条件を満たすスキルを身につけてから」「完璧な準備ができてから」と考えていると、いつまでたっても転職活動を始められません。企業が求めているのは完璧な人材ではなく、成長意欲のある人材です。
求人票に書かれている「必須スキル」の70%程度を満たしていれば、応募する価値は十分にあります。残りの30%は入社後に学べば良いのです。完璧を求めすぎることが、かえってチャンスを逃す原因となります。
「年齢の壁」という固定観念
「もう30代だから」「40代で未経験は厳しい」といった年齢に関する固定観念も、転職を妨げる大きな要因です。確かに、年齢によって求められる要素は変わりますが、それは「不可能」を意味するものではありません。
30代であれば、これまでの経験を活かした専門性やマネジメント能力が評価されます。40代であれば、豊富な経験と問題解決能力が武器になります。年齢はハンディキャップではなく、むしろ強みとして活かすことができるのです。
「経験不足」への過度な不安
「自分には大した経験がない」と感じている方も多いでしょう。しかし、日々の業務の中で培ってきたスキルは、あなたが思っている以上に価値があります。
例えば、事務職であれば正確性と効率性、接客業であればコミュニケーション能力と臨機応変な対応力、営業職であれば折衝力と目標達成への執着心など、職種を問わず活かせるポータブルスキルは必ず存在します。これらを言語化し、アピールすることが重要です。
「転職できる気がしない」はもう卒業!自信を取り戻す7つのステップ
具体的にどのようにして自信を取り戻し、転職活動を前に進めるのか、7つのステップで解説します。
ステップ1:現状の客観視と小さな成功体験の蓄積
やること:今の仕事での成果を書き出す
まずは、ノートやスマホのメモアプリに、これまでの仕事で達成したことや褒められたことを書き出してみましょう。どんなに小さなことでも構いません。「お客様から感謝された」「ミスなく業務を完了した」「後輩に教えた内容が役立った」など、具体的に記録します。
これを1週間続けるだけで、「自分にも価値がある」という実感が生まれます。この小さな成功体験の積み重ねが、自己効力感を高める第一歩となります。



小さな成果でも書き出すと、意外と「自分、頑張ってるな」と思えるものです。これは転職活動の履歴書作成でも役立ちますし、面接でのエピソード作りにも直結しますよ。
ステップ2:市場価値の把握
やること:転職サイトで自分の想定年収を調べる
多くの転職サイトには、年齢・職種・経験年数を入力すると想定年収が表示される機能があります。これを使って、自分の市場価値を客観的に把握しましょう。
想定年収が現在の年収よりも高ければ、それは転職によって収入アップの可能性があることを意味します。この事実を知るだけで、「転職してみてもいいかもしれない」という気持ちが芽生えます。



市場価値診断は、自分を客観視するための非常に有効なツールです。多くの方が「自分なんて」と思っていますが、診断結果を見て『意外と評価されるんだ』と驚かれることが多いんですよ。
ステップ3:スキルと経験の棚卸し
やること:職務経歴を時系列で整理する
これまでのキャリアを時系列で書き出し、それぞれの職場で「何をしたか」「どんな成果を出したか」「何を学んだか」を整理します。この作業を通じて、自分が思っている以上に多くの経験を積んできたことに気づくはずです。
整理する項目
- 担当業務の内容
- 使用したツールやシステム
- 数値で示せる成果(売上、処理件数、コスト削減額など)
- 工夫した点や改善した点
- 身につけたスキル



棚卸しをしていると「あれ、自分って結構いろんなことやってたんだ」と気づく方が本当に多いです。経験を言語化することで、転職市場での価値が明確になりますよ。
ステップ4:転職活動のハードル軽減
やること:まずは「情報収集」だけ始める
いきなり「応募する」「面接を受ける」と考えると、ハードルが高く感じられます。最初は「求人を見るだけ」「転職サイトに登録するだけ」という小さな行動から始めましょう。
具体的なアクション
- 転職サイトに登録する(リクナビNEXT、doda、マイナビ転職など)
- 週に1回、10分だけ求人を眺める習慣をつける
- 気になる求人を「お気に入り」に保存する
- 「もし応募するなら」という前提で、志望動機を考えてみる
この段階では応募する必要はありません。「どんな求人があるのか」「自分に合いそうな企業はあるか」を知ることが目的です。情報に触れ続けることで、徐々に転職が身近なものになっていきます。



いきなり応募しなくて大丈夫です。まずは、こんな求人があるんだ!と眺めるだけでも十分。転職へのハードルが下がり、自然と次のステップに進みたくなりますよ。
ステップ5:サポート体制の構築
やること:転職エージェントに相談する
一人で抱え込まず、プロの力を借りることは非常に重要です。転職エージェントは無料で利用でき、以下のようなサポートを受けられます。
- キャリアカウンセリング(強みの発見)
- 非公開求人の紹介
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 模擬面接
- 企業との日程調整や年収交渉の代行
「自分なんかがエージェントを利用していいのだろうか」と躊躇する必要はありません。エージェントは、あらゆるレベルの求職者をサポートするプロフェッショナルです。



一人で悩んでいると視野が狭くなりがちです。エージェントに相談すると、自分では気づかなかった強みや適性を発見できることも多いんですよ。遠慮せず活用してください。
ステップ6:段階的な行動計画の作成
やること:3ヶ月の行動計画を立てる
漠然と「転職したい」と思うだけでは行動に移せません。具体的なスケジュールに落とし込むことで、何をすべきかが明確になります。
| 期間 | 目標 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 情報収集と自己分析 | 求人チェック、スキルの棚卸し、エージェント面談 |
| 2ヶ月目 | 書類作成と応募開始 | 履歴書・職務経歴書の作成、5社程度に応募 |
| 3ヶ月目 | 面接と内定獲得 | 面接対策、選考参加、条件交渉 |
この計画は柔軟に調整して構いません。重要なのは、「いつか」ではなく「いつまでに」という期限を設定することです。





計画を立てると行動が明確になります。予定通りに進まなくても大丈夫。大切なのは「いつかやろう」ではなく「今月はここまで」と具体的に決めることなんです。
ステップ7:継続的な振り返りと改善
やること:週に1回、10分間の振り返りをする
転職活動を進める中で、うまくいったことや課題を記録し、次に活かすことが重要です。
振り返りの項目
- 今週やったこと(応募数、面接回数など)
- うまくいったこと
- 改善が必要なこと
- 来週やること
書類選考で落ちたり、面接で不採用になったりすることもあるでしょう。しかし、それは「あなたに価値がない」ことを意味するのではなく、「その企業との相性が合わなかった」だけです。振り返りを通じて改善点を見つけ、次に活かしていきましょう。



振り返りは自分の成長を実感できる大切な時間です。不採用でも「この企業とは縁がなかっただけ」と捉え、次に活かす。このマインドセットが転職成功のカギですよ。


状況別|転職の不安を解消する具体的な対処法


ここでは、よくある不安のパターン別に、具体的な対処法を解説します。
年齢による不安への対処法
不安:「30代後半で転職は厳しいのでは」
対処法:年齢を強みに変える戦略を取る
30代後半以降の転職では、「即戦力性」と「マネジメント経験」が評価されます。以下の点をアピールしましょう。
- 専門スキルの深さ(〇〇分野で10年の経験)
- チームリーダーや後輩育成の経験
- 問題解決能力(具体的なエピソード)
- 業界知識やネットワーク
また、「管理職候補」や「マネージャー募集」といったポジションを狙うことで、年齢が逆に有利に働くケースもあります。
スキル不足への対処法
不安:「特別なスキルがない」
対処法:ポータブルスキルを洗い出す
専門的な資格やITスキルだけがスキルではありません。以下のようなポータブルスキル(どの職場でも活かせるスキル)は、十分に価値があります。
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- 時間管理能力
- チームワーク
- 柔軟性・適応力
- 顧客対応力
これらを具体的なエピソードとともに語れるよう準備しましょう。「〇〇のような状況で、△△という工夫をして、□□という成果を出した」というSTAR法(Situation, Task, Action, Result)を使うと効果的です。
経験不足への対処法
不安:「経験年数が短い」「未経験の職種に挑戦したい」
対処法:学習意欲と将来性をアピールする
経験年数が短い場合や未経験職種への転職では、「これまで何をしてきたか」よりも「これから何ができるか」が重視されます。以下の点を強調しましょう。
- その職種・業界を選んだ明確な理由
- 独学や資格取得など、自主的に学んでいる姿勢
- 前職で培った関連スキルの応用可能性
- 長期的なキャリアビジョン
また、「未経験歓迎」「ポテンシャル採用」と明記されている求人を優先的に狙うことで、選考通過率を高めることができます。
転職活動でよくある5つの疑問にキャリアアドバイザーが答えます


Q1. 転職活動は在職中と退職後、どちらが良いですか?



基本的には在職中の転職活動をおすすめします。収入が途絶えると焦りが生まれ、妥協した選択をしてしまうリスクがあります。ただし、心身の健康を害している場合は、まず体調回復を優先してください。
Q2. 何社くらい応募すれば内定がもらえますか?



一般的には、書類選考の通過率は30%程度、面接から内定までは30〜50%程度と言われています。つまり、10社応募して3社面接、そのうち1〜2社から内定が出る計算です。最低でも10社以上には応募する心構えが必要です。
Q3. 転職回数が多いと不利になりますか?



一概には言えませんが、短期間(1〜2年以内)での転職を繰り返している場合、「すぐに辞めてしまうのでは」という懸念を持たれる可能性があります。その場合は、各転職の理由を論理的に説明できるよう準備しましょう。キャリアアップや新しいスキル習得など、前向きな理由であれば問題ありません。
Q4. エージェントは本当に無料ですか?何か裏がありますか?



転職エージェントは、求職者を紹介した企業から報酬を受け取るビジネスモデルです。そのため、求職者側は完全無料で利用できます。ただし、エージェントによっては、成約しやすい求人を優先的に紹介することもあるため、複数のエージェントを併用し、自分の判断で最終決定することが大切です。
Q5. 面接で「転職理由」を聞かれたら、正直に答えるべきですか?



ネガティブな理由(人間関係、給与不満など)であっても、言い方を工夫することが重要です。「現職では〇〇の経験を積めないため、より成長できる環境を求めています」というように、前向きな表現に変換しましょう。嘘をつく必要はありませんが、ポジティブな面を強調することが大切です。
まとめ|「転職できる気がしない」のは今だけ。小さな一歩から始めよう
「転職できる気がしない」という気持ちは、決してあなただけのものではありません。多くの人が同じ不安を抱えながらも、一歩を踏み出し、新しいキャリアを手に入れています。
完璧な準備ができるまで待つ必要はありません。今日から、たった10分でもいいので、求人サイトを眺めてみる、エージェントに登録してみる、自分のスキルを書き出してみる。そんな小さな一歩から始めてみてください。
この記事のポイント総まとめ
- 「転職できる気がしない」は誰もが感じる自然な感情:能力不足ではなく、変化への慎重さの表れ。
- 心理的な壁の正体を理解する:インポスター症候群、拒絶への恐怖、現状維持バイアスが主な原因。
- データで見れば転職は特別なことではない:年間約520万人が転職し、入職超過の状態が続いている。
- 思い込みを解く:完璧である必要はない、年齢は障害ではない、経験不足も克服可能。
- 7つのステップで自信を取り戻す:小さな成功体験の積み重ね、市場価値の把握、段階的な行動計画。
- 一人で抱え込まない:転職エージェントなどプロのサポートを活用する。
- 完璧を目指さず、まずは行動:情報収集から始め、徐々にステップアップする。



今から踏み出す一歩が、あなたの未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。応援しています。




