転職すべきか迷っているあなたへ|キャリアアドバイザーが教える判断基準

「転職すべきか、それとも今の会社に留まるべきか…。」

この問いに、明確な答えを出せずにいる人は少なくありません。月曜の朝、会社に向かう足が重い。上司の言動にモヤモヤする。給料明細を見るたびに「このままでいいのか」と不安になる。そんな日々を送っていませんか?

実は、年間約500万人もの人が転職という決断をしています(厚生労働省「令和4年雇用動向調査」より)。入職者全体で見ると約780万人ですが、その内訳は転職者約500万人と新卒入社等約280万人です。つまり、働く人の約10人に1人が毎年転職しているのです。

あなたが感じている「転職すべきか」という迷いは、決して特別なものではありません。

しかし、感情だけで動いて後悔する人がいる一方で、慎重になりすぎてチャンスを逃す人もいます。大切なのは、客観的なデータと明確な判断基準を持つことです。この記事では、数多くの転職相談に乗ってきたキャリアアドバイザーの視点から、「転職すべきか」を見極めるための具体的な方法をお伝えします。

この記事の監修者

株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント

阿部 翔大

目次

データで見る転職市場の現実

まずは主観的な悩みを一旦脇に置き、客観的なデータで転職市場の「今」を見てみましょう。世の中の動きを知ることで、自分の状況を相対化できます。

転職者数と入職率の実態

冒頭でも述べたとおり、厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、令和4年の1年間の入職者数は約780万人(7,798千人)にのぼり、その内訳は転職入職者が約500万人(4,969.9千人)、新卒入社等の未就業入職者が約280万人(2,828千人)となっています。転職入職率は9.7%で、働く人の約10人に1人が毎年転職している計算になります。また、入職率は15.2%、離職率は15.0%となっており、労働市場は活発に動いています。

阿部 翔大

このデータからわかるのは、転職はもはや特別なイベントではないということです。年間約500万人もの人が、より良い環境や条件を求めて転職という選択をしているのが現実です。あなたが「転職すべきか」と悩んでいるとしたら、それは全く普通のことなのです。

主な転職理由の傾向

同調査の「転職入職者が前職を辞めた理由」を見ると、「労働条件(賃金以外)がよくなかった」「賃金が低かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」といった理由が上位を占めています。あなたと同じような悩みを抱え、解決のために転職を選んだ人が大勢いるのです。

転職すべき人の7つの特徴

では、具体的にどのような状況であれば「転職すべき」と判断できるのでしょうか。以下の7つの特徴に当てはまる場合は、早急に行動を起こすことをおすすめします。

心身の健康に支障が出ている

過度な残業やストレスにより、不眠、食欲不振、動悸などの症状が出ている場合は、迷わず環境を変えるべきです。健康は一度損なうと回復に時間がかかります。仕事よりも自分の命と健康を優先してください。

阿部 翔大

こればかりは「頑張る」場面ではありません。体が悲鳴を上げているなら、それは「逃げろ」という緊急信号です。休職や退職は、自分を守るための立派な選択ですよ。

会社の将来性に対する不安がある

業界自体が衰退傾向にある、会社の業績が長期間悪化している、主力商品が売れていない、といった場合です。泥舟に乗ったままでは、あなたのキャリアも沈んでしまうリスクがあります。

阿部 翔大

業界が斜陽になると、スキルも古くなってしまい転職が難しくなります。自分は大丈夫と思っていても、気づいたら手遅れになっていることも。早めに決断することが重要ですよ。

正当な評価が得られない環境下にいる

どれだけ成果を出しても給与が上がらない、評価基準が曖昧、上司の好き嫌いで人事が決まる。こうした環境では、モチベーションを維持するのが難しく、キャリアの機会損失につながります。

阿部 翔大

頑張っても報われない環境にいると、自己肯定感がどんどん下がってしまいます。あなたの努力を正当に評価してくれる環境は必ずありますから、自分を安売りしないでくださいね。

労働条件の悪化している・契約違反がある

入社時の条件と話が違う、残業代が支払われない(サービス残業)、有給休暇が取れないなど、コンプライアンスに問題がある企業からは早めに離れるべきです。

阿部 翔大

労働基準法違反の企業は、残念ながら改善される可能性が低いです。自分が我慢すれば何とかなると思わず、労働基準監督署への相談も視野に入れながら、早めの転職をおすすめします。

ハラスメントや人間関係の深刻な問題がある

パワハラ、セクハラが横行している、あるいは修復不可能なレベルで人間関係が破綻している場合。環境を変える以外に解決策がないことが多い問題です。

阿部 翔大

ハラスメントは被害者が悪いわけでは絶対にありません。証拠を記録しつつ、人事や外部機関に相談するのも大切ですが、心身を守るために転職という選択肢も忘れないでくださいね。

スキルアップに限界を感じている

今の職場で学べることは全て学びきった、ルーチンワークばかりで新しいスキルが身につかない、尊敬できる上司や先輩がいない。成長が止まっていると感じたら、次のステージへ進む合図です。

阿部 翔大

「今の仕事は楽だけど、このままでいいのかな」と感じたら要注意です。20代、30代の貴重な時間を『現状維持』だけで消費するのは、将来的に大きなリスクになりますよ。

明確なキャリアビジョンがあるが今の状況では実現できない

「やりたいこと」が明確にあり、それが今の会社では実現できない場合。これは非常にポジティブな転職理由であり、成功する可能性が高いパターンです。

阿部 翔大

明確な目標がある人は、面接でも説得力があり、企業側も採用しやすいんです。「○○がしたいから御社を志望しました」という前向きな動機は、転職成功の最強の武器ですよ。

一旦留まるべき人の特徴

一方で、勢いで転職して後悔するケースもあります。「転職すべきか」と悩んでいる時こそ、以下のような場合に当てはまらないか冷静に確認しましょう。

阿部 翔大

いわゆる「隣の芝生は青い」状態になっていませんか?外に出て初めて「前の会社、意外と恵まれてたんだな」と気づくことも多いんです。今の環境のメリットも書き出してみましょう。

一時的な感情による衝動で転職すべきか悩んでいる

「今日上司に怒られたから」「なんとなく嫌だから」といった一時的な感情で動くと、転職先でも同じ壁にぶつかります。その不満が一過性のものか、構造的なものかを見極める必要があります。

現職での努力不足や逃げの姿勢がある

今の仕事でまだ成果を出していない、人間関係を改善する努力をしていない場合。「場所を変えればうまくいく」というのは幻想かもしれません。まずは現職でやり切ったという実績を作ってからでも遅くはありません。

転職目的が曖昧である

「今の会社が嫌」という理由だけで、「次に何をしたいか」が決まっていない状態。「転職すべきか」と悩む前に、まず「何のために転職するのか」を明確にしましょう。ネガティブな理由だけの転職は、面接でも見抜かれやすく、条件の悪い企業を選んでしまうリスクが高まります。

決断前に実践すべき5つのアクション

転職すべきかどうか迷っている段階でこそ、やるべきことがあります。いきなり退職届を出すのではなく、以下のステップを踏んで準備を進めましょう。

阿部 翔大

実は、「今は転職すべきではない」とアドバイスすることもよくあるんです。エージェントを壁打ち相手として使って、転職すべきかどうかの考えを整理するだけでも十分価値がありますよ。

徹底的な自己分析

なぜ転職したいのか、何が不満なのか、次はどうなりたいのか。自分の価値観や強みを言語化します。紙に書き出すことで、頭の中のモヤモヤが整理されます。

市場価値の客観的な把握

自分のスキルや経験が、社外でどれくらい評価されるのかを知る必要があります。転職サイトの診断ツールを使ったり、求人情報を検索して自分の経歴で応募できる企業の条件を確認したりしましょう。

譲れない条件の明確化

転職で解決したい優先順位を決めます。「年収アップ」なのか「時間のゆとり」なのか「やりがい」なのか。全てを叶える転職は稀ですので、軸を定めることが重要です。

副業や社外活動での可能性模索

いきなり会社を辞めなくても、副業やプロボノ活動を通じて「他の世界」を体験することは可能です。そこで適性を確認してから、本格的な転職に踏み切るというリスクヘッジも有効な戦略です。

転職エージェントでの情報収集

転職エージェントに登録し、キャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの手です。相談したからといって必ず転職しなければならないわけではありません。プロの視点から「今のあなたの市場価値」や「今が転職すべきタイミングか」のアドバイスをもらえます。

年代別に見る転職判断のポイント

年代によって、転職市場で求められる要素や判断基準は異なります。

20代:ポテンシャルと適性の見極め

20代は「ポテンシャル(将来性)」が評価される時期です。未経験職種へのキャリアチェンジもしやすいため、「今の仕事が合わない」と感じたら「転職すべきか」を早めに検討するのが吉です。ただし、短期離職を繰り返すと評価が下がるため注意が必要です。

30代:即戦力性とキャリアの一貫性

30代は「即戦力」としてのスキルや実績が求められます。異業種への転職はハードルが上がります。これまでの経験を活かしつつ、キャリアアップや年収アップを狙う戦略が基本となります。ライフイベントとのバランスも考慮すべき時期です。

40代以降:マネジメント能力と専門性

40代以降は、専門的なスキルに加え、マネジメント経験や問題解決能力が問われます。求人数自体は減少傾向にあるため、「転職すべきか」の判断はより慎重に行う必要があります。確実なオファーを獲得してからの退職をおすすめします。

転職判断のためのセルフチェックシート

「転職すべきか」を客観的に判断するためのチェックシートを作成しました。当てはまる項目の数を数えてみてください。

スクロールできます
カテゴリチェック項目
健康□ 朝起きるのが辛く、出社前に吐き気や腹痛がする
健康□ 休日は疲れて寝ているだけで終わってしまう
将来性□ 3年後、5年後の自分の姿を想像すると暗い気持ちになる
将来性□ 会社や業界の業績が明らかに傾いている
待遇□ 成果を出しても正当に評価されず、給与も上がらない
環境□ パワハラやセクハラが日常的に行われている
成長□ この1年間で新しいスキルや知識が身についていない
意欲□ 他にどうしてもやりたい仕事や挑戦したいことがある

【判定結果】
0〜2個:今の職場で改善できる余地があります。まずは社内での解決を模索してみましょう。
3〜5個:転職準備を始めるべき段階です。情報収集をスタートしましょう。
6個以上:危険信号です。早急に転職活動を本格化させ、環境を変える準備を進めてください。

転職の悩みに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 「とりあえず3年」は守るべきですか?

A. 必ずしも守る必要はありません。心身に影響が出ている場合や、成長が見込めない環境であれば、3年未満でも転職すべきです。ただし、早期離職の場合は「なぜ辞めたのか」「次はどうしたいのか」を論理的に説明できる準備が必要です。

Q2. 転職活動が会社にバレませんか?

A. 業務時間外に活動し、社用PCや社用メールを使わなければ基本的にはバレません。面接の日程調整なども、エージェントを使えば配慮してもらえます。同僚にうっかり話してしまうのが一番のリスクなので、内定が出るまでは秘密にしておきましょう。

Q3. 資格を取ってから転職した方がいいですか?

A. 必須ではありません。資格よりも実務経験の方が高く評価される傾向にあります。資格取得に時間をかけすぎて年齢が上がってしまう方がリスクになることもあります。転職活動と並行して勉強する、または実務の中で取得することをおすすめします。

Q4. 転職して給料が下がりませんか?

A. 未経験職種への転職では、一時的に給与が下がることはよくあります。しかし、長期的に見てキャリアアップにつながるなら投資と考えることもできます。また、同業種であれば交渉次第で維持・アップも可能です。自分の譲れるラインを決めておくことが大切です。

Q5. 良い求人は本当に見つかりますか?

A. 公開されている求人は氷山の一角です。多くの優良企業は、競合に知られないように非公開で求人を出しています。転職サイトだけでなく、エージェントを活用して非公開求人にアクセスすることで、選択肢は大きく広がります。

まとめ|後悔しない決断への道しるべ

「転職すべきか」という悩みに対する唯一の正解はありません。しかし、判断を先送りにし続けること自体が、最大のリスクになることもあります。

この記事でご紹介した「7つの特徴」や「チェックシート」を参考に、まずは自分の現状を客観視することから始めてみてください。そして、少しでも「動くべきだ」と感じたら、小さな一歩を踏み出してみましょう。

この記事のポイント総まとめ

  • 転職は特別なことではない。働く人の約10人に1人が職場を変えている。
  • 転職すべき人の7つの特徴。心身の健康問題、会社の将来性への不安、正当な評価が得られない、労働条件違反、ハラスメント、スキルアップの限界、明確なキャリアビジョン。
  • 一旦留まるべき人の特徴。一時的な感情、現職での努力不足、転職目的が曖昧な場合は冷静に。
  • 決断前に5つのアクションを実践。自己分析、市場価値の把握、条件の明確化、エージェント相談、副業での可能性模索。
  • 年代別に判断基準は異なる。20代はポテンシャル、30代は即戦力性、40代以降はマネジメント能力と専門性が鍵。
  • チェックシートで客観視。6個以上当てはまれば早急な行動が必要。
  • 小さな一歩から始める。情報収集だけでもノーリスクで開始できる。
阿部 翔大

転職サイトを見る、職務経歴書の下書きを作ってみる、エージェントに話を聞きに行く。どれもノーリスクで始められることです。行動することで初めて見えてくる景色が必ずあります。あなたのキャリアが、より良い方向へ進むことを心から応援しています。

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この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

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