転職が怖くて動けないのはなぜ?キャリアアドバイザーが教える不安解消法

「転職したいけれど、怖くて一歩が踏み出せない」「今の職場に不満はあるけれど、失敗して後悔するのが嫌だ」と悩んでいませんか?
これは決してあなただけではありません。私たちキャリアアドバイザーは、日々多くの転職相談を受けていますが、転職活動を始める前段階で「怖さ」や「不安」を感じている方は非常に多いのです。現状を変えることにはエネルギーが必要ですし、未知の環境に飛び込むことにリスクを感じるのは、人間の心理として自然な反応だと言えます。
この記事では、転職は怖いと感じ、動けないでいる方に向けて、プロのキャリアアドバイザーの視点から、公的なデータに基づいた転職市場の実態と、漠然とした恐怖を和らげて一歩を踏み出すための具体的な方法を解説します。無理に勇気を出す必要はありません。まずは現状を正しく理解することから始めましょう。
阿部 翔大怖いと感じるのは、あなたが自分のキャリアを真剣に考えている証拠です。どうでもいいことに対して恐怖は感じませんから、まずはそんな自分を認めてあげてくださいね。慎重さは転職活動において大きな武器にもなりますよ。
株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント
阿部 翔大


データで見る転職市場の実態


「転職して後悔したらどうしよう」「自分を受け入れてくれる会社なんてないのではないか」という不安は、情報の不足から来ていることが多いものです。まずは厚生労働省の公式データを見て、転職市場の「今」を知りましょう。
約10人に1人が転職している時代
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、令和4年の転職入職率(常用労働者数に対する転職入職者数の割合)は全体で9.7%です。これは単純計算で、働く人の約10人に1人が1年以内に転職していることを意味します。転職は特別なことではなく、多くの人にとって身近な選択肢になっていると言えます。



周りを見渡して誰も転職していないように見えても、データで見ると意外と多くの人が動いていることがわかります。今は終身雇用が当たり前だった時代とは違うので、転職を過度に恐れる必要はありませんよ。
転職理由は「不満の解消」が多い
「やりたいことがないと転職してはいけない」と思い込んでいませんか?同調査の「転職入職者が前職を辞めた理由」を見ると、20代〜40代の働き盛り世代では、定年や契約満了以外で「労働条件」「給料」「人間関係」「将来への不安」などが上位を占めています。


男性の主な転職理由
- 20〜24歳:定年・契約期間の満了(18.9%)、給料が少なかった(10.7%)、労働条件が悪かった(6.7%)
- 30〜34歳:定年・契約期間の満了(16.3%)、会社の将来が不安だった(14.9%)、労働条件が悪かった(12.1%)
- 40〜44歳:定年・契約期間の満了(16.2%)、労働条件が悪かった(14.6%)、会社の将来が不安だった(9.2%)
女性の主な転職理由
- 20〜24歳:定年・契約期間の満了(23.2%)、労働条件が悪かった(10.2%)、人間関係が好ましくなかった(8.5%)
- 30〜34歳:定年・契約期間の満了(25.7%)、労働条件が悪かった(11.1%)、人間関係が好ましくなかった(7.4%)
- 40〜44歳:定年・契約期間の満了(23.3%)、労働条件が悪かった(13.5%)、人間関係が好ましくなかった(11.1%)



みんな「給料が安い」「休みが取れない」といった現実的な理由で転職を決めているのが実態です。立派な志望動機がなくても、今の環境を変えたいという気持ちだけで動き出しても大丈夫ですよ。
求人は動いている
「自分を採用してくれる会社なんてない」という不安に対しては、求人倍率のデータが参考になります。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、令和5年の有効求人倍率は平均1.31倍でした。これは求職者1人に対して1.31件の求人がある状態を示しており、仕事を選ばなければ求人は存在していると言えます。



数字で見ると、求職者よりも求人数の方が多い状態が続いています。もちろん職種や条件によりますが、門前払いされることばかり想像して萎縮する必要はありません。自信を持って市場に出ていきましょう。
転職が怖いと感じる7つの根本原因


漠然とした恐怖の正体を突き止めることで、対策が立てやすくなります。多くの相談者が抱えている「怖さ」の原因は、主に以下の7つに分類されます。
環境変化へのストレスがあるから
人間には現状維持バイアスという心理傾向があり、変化そのものをストレスと感じます。新しい通勤経路、新しいデスク、新しいシステムなど、些細な変化でも積み重なると大きな負荷になります。



変化が怖いのは本能的な防衛反応です。慣れ親しんだ環境を離れるのですから、不安になるのは当たり前だと割り切ることが大切ですよ。
人間関係に対する不安があるから
「今の職場の上司は嫌だけど、同僚とは仲が良い」「新しい職場でいじめられたらどうしよう」といった、人間関係に関する不安です。どんなに条件が良くても、人が合わないと辛いものです。



人間関係は入ってみないとわからない部分が大きいので、一番の不安要素になりがちですね。ただ、面接で社員の雰囲気を見ることはできますし、合わない人がいない職場の方が珍しいと割り切る心構えも時には必要です。
年収や待遇が下がるリスクがあるから
転職して給料が下がったら生活できない、という経済的な不安です。特に未経験職種への転職を考えている場合、一時的な年収ダウンは避けられないこともあります。



お金の不安は具体的な数字でシミュレーションすることで解消できます。最低限いくらあれば生活できるのかを計算しておくと、漠然とした恐怖が消えますよ。
「自分には価値がない」という思い込みがあるから
自信がないために、「どこの会社も自分なんて欲しくないだろう」とネガティブに考えてしまうケースです。現職で正当に評価されていない人に多く見られます。



自己評価が低くなっているときは、プロに相談して客観的な市場価値を聞いてみるのが一番です。自分では当たり前だと思っていたスキルが、他社では高く評価されることもよくありますよ。
転職活動自体への疲労感があるから
働きながら書類作成や面接日程の調整をするのは大変です。「忙しくて倒れてしまうのではないか」「断られるのが辛い」という活動そのものへの不安です。



最初から全力でやろうとすると疲れてしまいます。まずは週に1回サイトを見るだけ、などペースを落として始めるのがコツですね。
「また失敗するかもしれない」というトラウマがあるから
過去の転職で失敗した経験がある場合、「次もブラック企業だったらどうしよう」と慎重になりすぎて動けなくなることがあります。



一度失敗した経験は、次は見る目が養われているということでもあります。失敗を学びに変えて、次は譲れない条件をしっかり決めておけば大丈夫ですよ。
周囲の反対や世間体を気にするから
家族に反対されたり、「すぐ辞める根性なし」と思われるのではないかと世間体を気にしたりして動けなくなるパターンです。



あなたの人生の責任を取れるのはあなただけです。周りの意見は参考程度に聞きつつ、最終的には自分がどうしたいかを優先してくださいね。


恐怖を乗り越えた人の共通点


不安を抱えながらも転職に成功した人たちには、いくつかの共通点があります。マインドセットを少し変えるだけで、行動へのハードルは下がります。
最悪のケースを想定できている
「もし転職に失敗したらどうなるか」を具体的にシミュレーションしています。「前の会社に戻るわけにはいかないけれど、アルバイトで食いつなぐことはできる」「実家に一時的に戻ることも可能」など、セーフティネットを確認することで、未知の恐怖を既知のリスクに変えています。
人はわからないことを一番怖がります。最悪どうなるかを書き出して、それなら何とかなると思えれば、一気に気持ちが楽になりますよ。
転職を「実験」と捉えている
「一生の仕事を見つけなければ」と気負わず、「まずは話を聞いてみて、良さそうなら受けてみる」「合わなければ辞退すればいい」と、試しに行動してみるスタンスを持っています。
転職活動をしたからといって、必ず転職しなければならないわけではありません。今の会社に残るという選択肢を持ったまま、外の世界を覗きに行く感覚で大丈夫です。
逃げることを肯定している
「今の環境が辛いから逃げる」という動機を恥じていません。自分を守るための戦略的撤退だと捉え、自分を責めずに次の環境を探しています。
逃げるのは悪いことではありません。沈みそうな船から脱出するのは賢明な判断です。自分の心身を守ることを最優先に考えてください。
転職の怖さを和らげる準備法


いきなり応募するのではなく、準備段階を踏むことで恐怖心を減らすことができます。


自分の市場価値を客観的に知る
転職サイトの「スカウト機能」に登録してみましょう。匿名で経歴を登録しておくと、企業からオファーが届きます。「自分を求めてくれる会社がある」と知るだけで、自信につながります。



スカウトメールが来ると、自分の経歴が世の中でどう評価されるかが分かります。面接確約などのオファーが来れば、転職活動へのモチベーションも上がりますよ。
貯金をして経済的な不安を消す
「半年間は無収入でも生活できる」という状態を作れば、精神的な余裕が生まれます。ボーナスをもらってから辞めるなど、資金計画を立ててみましょう。



お金の余裕は心の余裕に直結します。もし貯金が少ないなら、まずは副業などで少し資金を貯めてから動くのも一つの手ですね。
相談相手を見つける
一人で抱え込まず、友人や家族、あるいはキャリアアドバイザーに話を聞いてもらいましょう。言葉にすることで頭の中が整理され、漠然とした不安が具体的になります。



利害関係のない第三者に話すのがおすすめです。エージェントなら無料で相談に乗れますし、秘密厳守なので安心して本音を話してくださいね。


小さな一歩から始める転職活動


「転職活動」と大げさに捉えず、できることから小さく始めてみましょう。
転職サイトを眺めるだけにする
登録しなくても見られる求人サイトを、通勤電車の中で眺めてみます。「こんな仕事があるんだ」「これくらいの給料が相場なんだ」と知るだけで十分な第一歩です。
最初はウインドウショッピング感覚でOKです。世の中にどんな仕事があるのかを知るだけで、今の会社が全てではないと思えるようになります。
職務経歴書を書き出してみる
誰に見せるわけでもなく、自分の棚卸しとしてこれまでの仕事を書き出してみます。意外と多くのことをやってきた自分に気づくはずです。
書き出してみると、自分では大したことないと思っていた業務が、実は立派なスキルだったと気づくことがあります。自信を取り戻す良いきっかけになります。
興味のある業界の本を読む
業界地図やビジネス書を読んで、興味のある分野の知識を入れます。知識が増えれば不安は減ります。
本を読むのはリスクゼロでできる情報収集です。その業界の動向や課題を知っておくと、面接での受け答えにも役立ちます。
情報収集で不安を解消する方法
未知への恐怖は、知ることで解消できます。
口コミサイトを活用する
「OpenWork」や「転職会議」などで、実際の社員の口コミを確認します。良い面だけでなく悪い面も知ることで、入社後のギャップを減らせます。ただし、ネガティブな意見に偏りやすい点には注意が必要です。



口コミは退職者の意見が多いので、割り引いて見る必要はありますが、残業時間や有給消化率などは参考になります。あくまで判断材料の一つとして活用しましょう。
カジュアル面談を申し込む
選考ではなく、お互いを知るための「カジュアル面談」を実施している企業が増えています。履歴書なしで話を聞けるので、雰囲気を知るのに最適です。



選考ではないので、リラックスして質問できます。現場の社員と話せるチャンスがあれば、リアルな働き方を聞いてみてくださいね。
企業のSNSやブログを見る
「Wantedly」や「note」などで、社員が発信している情報を見ます。日常の様子や価値観がわかるので、自分に合いそうかどうかの判断材料になります。



最近はSNSで社内の雰囲気を発信している企業も多いです。写真や文章のトーンから、その会社のカルチャーを感じ取ることができますよ。
転職が怖くて動けない人でも大丈夫!エージェント活用で恐怖を軽減


一人で活動するのが怖い場合は、伴走してくれるプロを頼りましょう。


非公開求人を紹介してもらおう
一般には公開されていない、条件の良い求人を紹介してもらえる可能性があります。選択肢が広がれば、希望が見えてきます。



ネットに出ていない優良求人はたくさんあります。自分一人では出会えない企業との出会いがあるのが、エージェントを使う最大のメリットですね。
書類添削と面接対策をしよう
プロが書類を添削し、模擬面接をしてくれるので、選考通過率が上がります。「これで大丈夫」というお墨付きをもらえれば、自信を持って臨めます。



客観的なアドバイスをもらうことで、独りよがりなアピールになるのを防げます。面接練習をしておけば、本番での緊張も和らぎますよ。
企業との交渉を代行してもらおう
年収交渉や入社日の調整など、自分では言い出しにくいことを代行してくれます。企業への聞きにくい質問も代わりに聞いてくれるので安心です。



給与の話などは直接しにくいものですが、私たちが間に入ることでスムーズに進められます。あなたの希望を叶えるために全力で交渉しますよ。


失敗しないための具体的ステップ
最後に、リスクを最小限に抑えるための手順を整理します。
在職中に活動する
最も重要なのは、辞めてから探すのではなく、在職中に活動することです。収入が途絶える不安がなく、「良いところがなければ今の会社に残る」という選択肢を持てるため、心に余裕が生まれます。
辞めてからの活動は焦りが生じ、妥協して就職先を決めてしまう原因になります。忙しくても、在職中に次の行き先を決めるのが鉄則です。
譲れない条件を3つ決める
全ての希望が叶う職場はありません。「年収」「残業時間」「勤務地」など、これだけは絶対に譲れないという条件を3つ決め、それ以外は妥協点を探ることで、ミスマッチを防げます。
優先順位をつけることが大切です。あれもこれもと求めすぎると動けなくなりますが、軸が定まっていれば迷わずに済みます。
内定をもらってから悩む
応募する前から「受かったらどうしよう」と悩むのは時間の無駄です。内定をもらって、労働条件通知書を見てから、「本当に入社するかどうか」を真剣に悩みましょう。内定辞退は可能です。
悩むのはオファーが出てからで遅くありません。具体的な条件が提示されていない段階で悩んでも答えは出ないので、まずは選択肢を手に入れることに集中しましょう。
転職活動に関するよくある質問(FAQ)


Q1. 30代・40代でも転職できますか?
A. 可能です。データで見ても30代以降の転職は一般的になっています。即戦力としてのスキルや経験が求められますが、マネジメント経験などが評価されるチャンスも増えます。



年齢を気にして諦めるのはもったいないです。経験豊富な人材を求めている企業は多いので、自分の経験をどう活かせるかをアピールしていきましょう。
Q2. 転職回数が多いと不利になりますか?
A. 回数が多いこと自体はネガティブに捉えられがちですが、それぞれの転職に一貫した理由やキャリアアップの目的があれば問題ありません。ポジティブなストーリーで説明できるかが鍵です。



回数よりも中身です。なぜ転職したのか、そこで何を得たのかをしっかり語れれば、逆に経験値の高さとして評価されることもありますよ。
Q3. 今の会社を辞めさせてくれない場合はどうすればいいですか?
A. 法律上、退職の意思表示から2週間が経過すれば退職は成立します。強い引き留めにあった場合は、退職代行サービスの利用なども検討しましょう。



退職は労働者の権利です。円満退社が理想ですが、どうしても難しい場合は専門家の力を借りてでも自分の人生を優先してくださいね。
まとめ|転職は怖くない!完璧を求めず、一歩ずつ前へ


「転職が怖い」という感情は、あなたが自分の人生を真剣に考えているからこそ生まれるものです。その恐怖を無理に消そうとする必要はありません。大切なのは、怖さを抱えたままでも、小さな一歩を踏み出すことです。
この記事のポイント総まとめ
- 転職への恐怖は本能的なものであり、10人に1人が転職する今は特別なことではない
- 多くの人が「不満解消」のために転職しており、それで成功している
- 最悪のケースを想定し、在職中に活動することでリスクを減らせる
- いきなり応募せず、まずはサイトを見るだけの「小さな一歩」から始める
- エージェントや口コミサイトを活用して情報を集め、不安を解消する



まずは情報収集から始めて、少しずつ外の世界に触れてみてください。動いてみれば、「案外なんとかなるかもしれない」と思える瞬間が必ず来ます。あなたのキャリアがより良いものになることを応援しています。










