「転職は簡単」は本当?データで見る現実と正しい転職の進め方

「転職なんて簡単だよ」「すぐ内定が出た」といった声をよくネットやSNSで目にしませんか?

今の職場に不満を抱えている方にとって、そんな言葉はとても魅力的に響くはずです。しかし、キャリアアドバイザーとして現場を見ている私からすると、その言葉は「半分本当で、半分嘘」だと言わざるを得ません。

確かに、昔に比べれば求人情報は手に入りやすくなり、転職自体のハードルは下がっています。しかし、「内定をもらうこと」と「満足のいく転職ができること」は全く別の話です。安易な気持ちで転職活動を始めると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことも少なくありません。

この記事では、「転職は簡単」は本当なのか、プロの視点から転職市場のリアルな現状をお伝えします。甘い言葉だけでなく、厳しい現実も知った上で準備をすれば、あなたの転職活動は間違いなくスムーズに進みます。

転職は「逃げ」の手段として使うと難しくなりますが、「攻め」の手段として使えば意外とスムーズに進むものです。まずは自分の目的をはっきりさせることが、簡単への近道です。

この記事の監修者

株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント

阿部 翔大

目次

本当に転職は簡単?データで見る転職の現実

感覚的な話ではなく、まずは客観的なデータから「転職の難易度」を見ていきましょう。厚生労働省の公的データを確認することで、今の市場環境が自分にとって有利かどうかがわかります。

有効求人倍率の推移を確認する

厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、令和5年の平均有効求人倍率は1.31倍でした。これは求職者1人に対して、1.3件以上の求人があることを意味します。バブル期並みとは言えませんが、依然として「売り手市場(求職者が有利な状況)」が続いていることは間違いありません。

ただし、これは全職種の平均値です。職種によっては倍率が3倍を超えるものもあれば、1倍を切るものもあります。自分が希望する職種の倍率を知ることが重要です。

阿部 翔大

数字だけ見て安心するのは危険です。人気企業には応募が殺到するので、実質倍率は何十倍にもなります。全体が売り手市場でも、競争は常に起きているという意識を持ちましょう。

転職入職率の変化を理解する

同じく厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、転職入職率(常用労働者のうち転職して入ってきた人の割合)は全体で9.7%となっています。つまり、働く人の約10人に1人は1年以内に転職してきた人ということです。

このデータからも、転職が決して特別なことではなく、日常的に行われていることがわかります。「みんなやっているから自分もできる」と考えるのは、あながち間違いではありません。

阿部 翔大

転職者が多いということは、受け入れる企業側も中途採用に慣れているということです。過度なプレッシャーを感じる必要はありません。堂々と挑戦して大丈夫ですよ。

「転職は簡単」と言われる3つの理由

では、なぜ世間では「転職は簡単」と言われるのでしょうか。その背景には、転職活動を取り巻く環境の大きな変化があります。

人手不足による売り手市場であるから

少子高齢化の影響で、多くの企業が深刻な人手不足に悩んでいます。「選り好みしなければどこかには入れる」という状況は確かに存在します。特に若手層や、需要の高い職種においては、企業側が採用基準を緩和してでも人を欲しがる傾向があります。

阿部 翔大

企業からスカウトが来ることも増えましたね。向こうから声をかけてくれる環境は、昔の転職活動と比べれば天国のように感じるかもしれません。チャンスは広がっていますよ。

転職エージェントのサポートが手厚いから

かつては自分で求人誌を見て電話をかけ、履歴書を手書きで郵送するのが当たり前でした。今は転職エージェントに登録すれば、求人紹介から日程調整、年収交渉まで代行してくれます。面倒な手続きをプロに任せられる分、活動自体は非常にスムーズになっています。

阿部 翔大

私たちエージェントは、企業の裏事情や面接の攻略法を知っています。これを利用しない手はありません。孤独な戦いをしなくて済むのも、「簡単」と感じる要因の一つですね。

オンライン選考で効率化されているから

コロナ禍以降、一次面接をオンラインで行う企業が激増しました。現職の昼休みや終業後に自宅から面接を受けられるため、有給休暇を使って会社を休む必要が減りました。物理的な移動時間がなくなったことで、多くの企業に応募しやすくなったのは大きなメリットです。

阿部 翔大

1日に3社面接を受けることも物理的に可能になりました。効率よく動ける分、短期間で結果を出しやすくなっています。スケジュール管理さえできれば最強の環境ですよ。

実際には「転職は簡単ではない」5つの現実

ここまで良い面ばかりを見てきましたが、この章では「簡単だと思って飛び込むと痛い目を見る」現実的なリスクについて解説します。

ミスマッチのリスクがある

採用のハードルが極端に低い企業の中には、労働環境や待遇に問題があるケースも存在します。「誰でもいいから来てほしい」という企業に安易に入ってしまうと、入社後に「話が違う」「激務すぎる」と後悔する可能性があります。内定を得るのは簡単でも、自分に合う会社を見つけるのは難しいのです。

阿部 翔大

「内定ゴール」になってはいけません。入社してからが本番です。簡単に入れる会社ほど、入ってからが大変かもしれないと疑う目を持つことも、身を守るためには大切ですよ。

スキル要件が厳格化しているケースもある

人手不足の一方で、人気企業や好条件の求人では「即戦力」を求める傾向が強まっています。ジョブ型雇用の浸透により、「何ができるか」を厳しく問われるようになりました。スキルがない状態での好条件転職は、以前よりも難易度が上がっています。

阿部 翔大

「やる気はあります」だけでは通じない場面も増えています。自分の経験をどう活かせるか、論理的に説明できないと、書類選考で落とされ続けることになりますよ。

ブラック企業もゼロではない

「未経験歓迎」「アットホームな職場」「夢を応援」といった甘い言葉で募集している企業の中には、労働環境が劣悪なケースも混ざっています。情報収集を怠り、簡単に内定が出たからと飛びつくと、早期離職につながります。

阿部 翔大

求人票の条件が良すぎる場合は要注意です。口コミサイトを確認したり、エージェントに評判を聞いたりと、裏取りを欠かさない慎重さが必要ですね。

年収ダウンの可能性がある

異業種・異職種への転職(キャリアチェンジ)の場合、年収が下がるケースが一般的です。「仕事は簡単に見つかったけど、生活水準が下がって苦しい」という事態は避けたいものです。簡単な転職が、豊かな生活を約束するわけではありません

阿部 翔大

目先の年収だけにとらわれるのも良くないですが、生活防衛資金は確保しておくべきです。長期的なキャリアプランとセットで考えないと、後で後悔することになりますよ。

選考期間が長期化することもある

簡単に決まる人もいれば、半年以上決まらない人もいます。特に30代後半や40代、または希望条件に固執しすぎる場合、活動が長期化し、精神的に追い詰められることがあります。「すぐ決まるはず」という過信は禁物です。

阿部 翔大

不採用通知が続くと、誰でも自信をなくします。最初から「3ヶ月はかかるもの」と長期戦を覚悟して臨めば、精神的な余裕が生まれて良い結果につながりやすいですよ。

転職を「簡単」にするための5つの準備

転職活動を難易度ハードモードにするか、イージーモードにするかは、事前の準備で9割決まります。ここをサボらないことが、結果的に一番の近道です。

徹底的な自己分析を行う

「何がしたいか」「何ができるか」「何を大切にしたいか」を言語化します。ここがブレていると、応募する企業に一貫性がなくなり、面接でも説得力が生まれません。

阿部 翔大

自己分析は一人でやると行き詰まります。友人やエージェントに壁打ち相手になってもらうのがおすすめです。自分では気づかない強みが見つかることも多いですよ。

キャリアの棚卸しを済ませる

これまでの業務内容、実績、工夫した点を書き出します。数字で表現できるものは全て数値化しましょう。「頑張りました」ではなく「売上を120%にしました」と言えるように準備します。

阿部 翔大

些細な業務でも構いません。書き出すことで「自分にはこれだけの経験があるんだ」と自信を持つことができます。その自信は面接での堂々とした態度に表れますよ。

応募書類の完成度を高める

履歴書と職務経歴書は、あなたの分身です。読み手が知りたい情報を、読みやすいレイアウトで記載します。誤字脱字がないのは当然として、結論ファーストで書くことが鉄則です。

阿部 翔大

書類通過率が悪いなら、内容を見直すサインです。プロに添削してもらうだけで、通過率が倍になることも珍しくありません。ここは手を抜かずに作り込みましょう。

業界・企業研究を深める

応募する企業の競合他社や、業界のトレンドを調べます。「なぜその会社でなければならないのか」を語れるようになれば、志望動機に深みが出ます。

阿部 翔大

ホームページを見るのは当たり前です。社長のインタビュー記事や、最近のニュースリリースまでチェックしておくと、面接での逆質問で差がつきますよ。

面接対策を万全にする

頻出質問(自己紹介、転職理由、志望動機、自己PR)の回答を準備し、実際に声に出して練習します。スマホで録画して自分の話し方を確認するのも効果的です。

阿部 翔大

面接は会話のキャッチボールです。丸暗記したセリフを棒読みするのではなく、相手の目を見て自分の言葉で伝える練習をしましょう。模擬面接は必須ですよ。

本当に簡単に転職できる人の3つの特徴

私の経験上、スムーズに内定を獲得していく人には共通点があります。特別なスキルがあるかどうかよりも、スタンスの問題が大きいのです。

自分の市場価値を客観視できる

「自分のスキルなら年収〇〇万円くらいが妥当」という相場観を正しく持っている人は、高望みをして落ち続けることがありません。現実的な目標設定ができるため、マッチする企業と出会いやすくなります。

阿部 翔大

自分の価値を高く見積もりすぎると苦戦しますし、低く見積もりすぎると損をします。市場価値診断サイトなどを活用して、現在地を知ることから始めましょう。

変化に対して柔軟に対応できる

「絶対にこの職種じゃなきゃ嫌だ」「勤務地はここ以外無理」と条件を固めすぎない人は強いです。アドバイスを素直に聞き入れ、視野を広げて応募先を変えられる柔軟性がある人は、結果が出るのも早いです。

阿部 翔大

こだわりを持つのは大切ですが、選択肢を狭めすぎると自分の首を絞めます。「これだけは譲れない」という軸を1つか2つに絞ると、動きやすくなりますよ。

スピード感を持って行動できる

求人は生ものです。良い求人が出たらすぐに応募し、面接日程も最速で調整する。このスピード感がある人は、企業からも「意欲が高い」と評価され、トントン拍子で進んでいきます。

阿部 翔大

考えている間に募集が終了してしまうことはよくあります。「とりあえず応募してみよう」という軽快なフットワークが、チャンスを掴む秘訣ですよ。

比較的簡単に転職できる職種

「とにかく早く転職先を決めたい」という場合、有効求人倍率が高く、未経験歓迎の求人が多い職種を狙うのが近道です。ただし、適性があるかはしっかり見極めてください。

未経験歓迎が多い営業職を狙う

営業職はどの業界でも常に募集があり、ポテンシャル採用が活発です。特に不動産、保険、人材業界などは間口が広いです。成果を出せばインセンティブで年収アップも狙えます。

コミュニケーション能力に自信があるなら最適です。きついイメージもありますが、最近はオンライン商談メインのインサイドセールスなど、働きやすい環境も増えています。

需要が高いITエンジニアを目指す

IT業界の人手不足は深刻で、研修制度を整えて未経験者を採用する企業が増えています。手に職をつけられるため、将来的なキャリアアップもしやすい職種です。

最初は勉強が大変ですが、スキルさえ身につけば食いっぱぐれることはありません。論理的思考が得意な方には、ぜひ挑戦してほしい分野です。

人手不足の介護・福祉職を検討する

高齢化社会において需要が絶えない業界です。資格取得支援制度がある施設が多く、働きながら国家資格を目指せます。社会貢献性が高く、安定して働けるのが魅力です。

「ありがとう」と直接言われるやりがいのある仕事です。体力は必要ですが、景気に左右されにくい安定性は、今の時代大きなメリットです。

研修制度が整った施工管理職を選ぶ

建設業界のプロジェクトマネージャーです。大規模な工事を取り仕切るやりがいがあり、給与水準も高めです。未経験からプロを育てる土壌がある会社が多いのが特徴です。

地図に残る仕事ができるスケールの大きさは魅力です。調整業務がメインなので、リーダーシップを発揮したい方にはぴったりの職種です。

接客スキルを活かせるサービス・販売職に就く

飲食や小売などのサービス業は、人柄重視の採用が多いです。お客様と接するのが好きな人にとっては、自分の強みをすぐに発揮できるフィールドです。

店長やエリアマネージャーへのキャリアパスもあります。現場経験を積んで、将来的には本部の企画職を目指す道もあります。

転職活動をスムーズに進める7つのステップ

最後に、転職活動の全体像を確認しておきましょう。この流れを頭に入れておくだけで、無駄な迷いがなくなります。

STEP
事前準備(2週間)

自己分析、キャリアの棚卸し

STEP
情報収集(2週間)

求人サイト、エージェント登録

STEP
書類作成(1週間)

履歴書、職務経歴書の作成

STEP
応募・選考(1〜2ヶ月)
STEP
内定・条件交渉(1週間)

年収や入社日の調整

STEP
退職交渉(1〜2ヶ月)

現職への退職願提出、引き継ぎ

STEP
入社

新しいキャリアのスタート

年代別・状況別の転職難易度

20代の転職難易度を把握する

20代は「ポテンシャル採用」が中心のため、未経験職種への転職も比較的簡単です。スキルよりも「やる気」や「素直さ」が評価されます。第二新卒枠を活用すれば、大手企業への再挑戦も可能です。

阿部 翔大

一番動きやすい時期です。失敗してもやり直せる年齢なので、少し背伸びをしたチャレンジをしてみるのもおすすめですよ。

30代の転職難易度を把握する

即戦力が求められるため、同職種・同業界ならスムーズですが、未経験への挑戦は難易度が上がります。マネジメント経験があると市場価値が高まります。

阿部 翔大

自分の得意分野を明確にすることが鍵です。「これなら任せてください」と言える武器があれば、30代でも引く手あまたですよ。

40代の転職難易度を把握する

豊富な経験と専門性、そしてマネジメント能力が厳しく問われます。求人数自体は減りますが、ハイクラス求人など条件の良い案件も存在します。人脈(リファラル)を使った転職も有効です。

阿部 翔大

人間力や適応力も重要視されます。若い世代とうまくやれる柔軟性をアピールできれば、ベテランとしての価値を十分に発揮できますよ。

転職に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 在職中に転職活動すべきですか?退職後がいいですか?

A. 基本的には「在職中」をおすすめします。収入が途絶える不安がないため、妥協せずに企業を選べるからです。退職後だと「早く決めなきゃ」という焦りから、条件の悪い会社に入ってしまうリスクがあります。

Q2. 転職活動にかかる期間はどれくらいですか?

A. 一般的には「3〜6ヶ月」と言われています。準備に1ヶ月、応募・選考に2ヶ月、退職交渉に1〜2ヶ月というイメージです。余裕を持ってスケジュールを組みましょう。

Q3. 資格はあったほうが有利ですか?

A. 業務に直結する資格(経理なら簿記、不動産なら宅建など)は有利ですが、必須ではありません。資格取得に時間をかけるより、実務経験をアピールしたり、まずは応募して面接慣れしたりする方が、転職成功への近道です。

まとめ|準備をすれば転職は決して難しくない

「転職は簡単」という言葉は、準備をした人にとっては真実ですが、準備を怠った人にとっては甘い罠になります。しかし、過度に恐れる必要もありません。今の日本は確実に「働き手が選べる時代」になっています。正しい情報を持ち、自分の強みを理解し、適切なタイミングで行動すれば、あなたが望むキャリアを手に入れることは決して難しくありません。

この記事のポイント総まとめ

  • 令和5年の有効求人倍率は1.31倍で、売り手市場が続いている
  • 転職入職率は9.7%で、約10人に1人が転職している時代
  • 転職エージェントやオンライン選考で、活動環境は格段に改善した
  • 簡単に内定が出る会社ほど、ミスマッチのリスクが高い
  • 好条件求人ほど即戦力が求められ、スキル要件は厳格化している
  • 自己分析、キャリアの棚卸し、書類作成、企業研究、面接対策の5つの準備が必須
  • 市場価値を客観視し、柔軟に対応し、スピード感を持つ人が成功する
  • 営業、ITエンジニア、介護、施工管理、サービス職は比較的入りやすい
  • 転職活動の標準期間は3〜6ヶ月、在職中の活動が基本
  • 20代はポテンシャル、30代は即戦力、40代は専門性が求められる
阿部 翔大

動かない理由を探すのは簡単ですが、動いた人だけが見える景色があります。小さな一歩でも構いません。今日から自分の未来のために行動を開始しましょう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「ビギナーズリンク」の編集部です。【スキルの余白は、伸びしろだ。】をコンセプトに、キャリアアップやスキルアップを目指す若年層が「未経験」を「武器」に変えていけるよう、転職や就職に関する有益な情報を発信します。

目次