仕事を辞めたい…強いストレス。自分でできるストレス診断と段階的な対処法

仕事を辞めたいと感じるほどの強いストレスは、職場で働く労働者の82.7%が抱えると報告されているごく一般的な反応です(厚生労働省 令和5年労働安全衛生調査)。「自分が弱いから」「甘えている」と自己否定する必要はなく、ストレス反応は脳と身体の正常な防御機能として現れています。
本記事では、厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」をベースにした15項目セルフ診断、ストレス段階別の対処法、衝動的な退職を避ける段階的な手順、医療機関と公的相談窓口の具体的なリストを解説します。受診が必要なサイン、休職制度の使い方、退職を選ぶ場合の安全な進め方まで、判断材料を提示します。
この記事は、転職エージェント「ノビルキャリア」を運営する私たちが、メンタル不調をきっかけに転職を検討する20代の支援に数多く関わってきた経験をもとに執筆しています。本記事は医療行為に代わるものではなく、医療判断は必ず医師にご相談ください。
株式会社MEDISITE キャリアアドバイザー
阿部 翔大

「仕事を辞めたい」と感じるストレスは異常ではなく防御反応
厚生労働省 令和5年労働安全衛生調査によれば、現在の仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある労働者は82.7%に達しています。
ストレス要因の上位3つは「仕事の失敗・責任の発生」(39.7%)、「仕事の量」(39.4%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」(29.6%)で、前回調査と比較すると「顧客、取引先等からのクレーム」(26.6%)が4.7ポイント上昇し、上昇幅としては最も大きい変化となっています。労働者の8割超が抱えるストレスは、もはや個人差の問題ではなく職場構造に由来する課題です。
WHO(世界保健機関)の2022年ファクトシートでは、全世界の労働年齢人口の15%が2019年時点でメンタルヘルス障害を有すると推定されています。
同ファクトシートでは、抑うつ・不安障害により世界全体で年間約120億労働日が失われ、生産性損失は年間約1兆米ドルに上ると算出されています。仕事のストレスは個人の弱さではなく、世界規模で取り組まれている構造的課題として位置づけられています。
日本でも厚生労働省は2015年に労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度を義務化し、2025年5月の法改正で対象を労働者数50人未満の事業場にも拡大しました。職場のメンタルヘルス対策は、国レベルで強化が続いている領域です。
強いストレスを感じたとき、心拍数の上昇・胃の不調・睡眠の悪化・気分の落ち込みといった反応が起こるのは、脳と身体が危険を検知し回避行動を促すための正常な防御機能です。
これは「闘争・逃走反応(fight or flight response)」と呼ばれ、太古の昔から生命を守るために備わってきた仕組みです。野生動物に遭遇したときに心拍が上がり全身に血流が行きわたるのと同じ反応が、現代の職場では「過大な仕事量」「人間関係のプレッシャー」「ハラスメント」などに対して起きています。
つまり、ストレス反応が出るほどの環境にいること自体がリスクであり、反応を出している側に問題があるわけではありません。「自分が弱い」「他の人は耐えられている」という比較は、実態を反映しない自己評価につながります。
ストレスは見えにくい問題です。骨折のようにレントゲンに映るわけではなく、周囲から「がんばれば乗り越えられる」と言われやすい性質があります。だからこそ、客観的な指標(公的なセルフ診断・専門家の評価・公式統計)を使って自分の状態を「見える化」することに価値があります。次の見出しから、厚労省ベースの15項目セルフ診断で現状を把握していきましょう。
「辞めたい」という感情は、その防御機能が「現状を変える必要がある」と告げているサインの一つと考えられます。「自分が弱いから」「甘えている」と自己否定する必要はなく、ストレス反応の存在は、心と体が状況に対して正しく反応している証拠でもあります。
【参考】労働政策研究・研修機構(JILPT)|仕事上のストレスで、割合が最も上昇したのは「顧客、取引先等からのクレーム」(ビジネス・レーバー・トレンド 2024年10月号)
【参考】World Health Organization|Mental health at work(職場のメンタルヘルス)
阿部 翔大僕が面談でお話を聞いていても、ストレス反応が出ているご自身を「自分が弱いだけ」と感じてしまう方が多いんです。82.7%という数字は、ストレスは個人の弱さではなく職場の構造から起きていることを示しています。まずはご自身の状態を客観的に把握するところから始めてみてください。
ストレスは今どの段階?厚労省ベースの15項目セルフ診断
以下のセルフ診断は、厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」(57項目版)から、仕事のストレスと心身反応を測る代表的な15項目を抜粋・再構成したものです。
各項目について4段階で当てはまる度合いを選び、合計スコアで現状を把握できる仕組みです。3〜5分程度で完了します。本診断は医療機関の受診目安を把握するためのセルフチェックであり、医学的診断に代わるものではないこと、判定結果が高得点でも自己判断で病名を決めつけないことを前提に進めてください。
回答する際は、いまの自分の状態を否定せず、率直に答えることが大切です。スコアが高いほど「自分はダメだ」ということではなく、「いま打てる手が多い段階」と捉えてください。スコアの高さは現状把握の手がかりであり、対処の優先順位を決めるための情報です。
採点ルール|「そう思う=3点」「まあそう思う=2点」「ややちがう=1点」「ちがう=0点」。15項目の合計(0〜45点)で判定します。本診断は医学的診断に代わるものではなく、医療機関の受診目安を把握するためのセルフチェックです。
仕事ストレスセルフ診断15項目(厚労省ベース)
| No. | 質問項目(直近1か月) | 配点 |
|---|---|---|
| 1 | 仕事の量がとても多い | 0〜3 |
| 2 | 仕事の責任が重すぎる | 0〜3 |
| 3 | 仕事の量や進め方を自分で決められない | 0〜3 |
| 4 | 仕事中に集中できない・ミスが増えた | 0〜3 |
| 5 | 仕事のことを考えると寝つけない・眠りが浅い | 0〜3 |
| 6 | 朝、起き上がるのがつらい・体が動かない | 0〜3 |
| 7 | 動悸・息苦しさ・めまい・吐き気を感じることがある | 0〜3 |
| 8 | 食欲がない、または過食してしまう | 0〜3 |
| 9 | 何をしても楽しくない・興味がわかない | 0〜3 |
| 10 | ささいなことでイライラする・涙が出る | 0〜3 |
| 11 | 休んでも疲れがとれない | 0〜3 |
| 12 | 職場でセクハラ・パワハラ・無視等を受けている | 0〜3 |
| 13 | 職場で相談できる人がいない | 0〜3 |
| 14 | 家族や友人と話す気力もわかない | 0〜3 |
| 15 | 自分に価値がない、消えてしまいたいと感じることがある | 0〜3 |
合計スコアが高いほどストレス過多のサインです。判定基準は次の見出しで解説します。項目15で1点以上が当てはまる場合は、合計スコアにかかわらず医療機関や相談窓口への連絡を強く推奨します(記事末尾の窓口リスト参照)。
【参考】厚生労働省「こころの耳」|5分でできる職場のストレスセルフチェック(職業性ストレス簡易調査票57項目版)



セルフ診断はあくまで現状把握のためのツールで、医療診断ではないんです。僕がご相談に乗るときも「セルフチェックの結果どうでしたか?」とお聞きしますが、結果が高得点だからといって落ち込む必要はありません。むしろ早く気づけたチャンスとして、次の一歩を一緒に考えていきましょう。
セルフ診断の中で、特に注意して見てほしいのが項目15「消えてしまいたいと感じることがある」です。スコアの合計が低くても、この項目に1点でも該当する場合は緊急性の高いサインと判断し、ためらわずに医療機関または相談窓口へご連絡ください。次の見出しで具体的なサインと相談先を説明します。



項目15は最も重要な質問です。「消えたい」「自分には価値がない」と感じることがあれば、僕たちキャリアの相談ではなく、まず医療機関や公的相談窓口にご連絡ください。記事末尾に「いのちの電話」「よりそいホットライン」「こころの健康相談統一ダイヤル」を掲載しています。
診断結果が示すストレスの3段階(軽度・中等度・重度)
15項目セルフ診断の合計スコアを軽度・中等度・高度・重度の4段階に分けて解説します。各段階で推奨される対処法は、軽度ほどセルフケア中心、重度ほど医療機関の受診を強く推奨する形に整理されています。スコアが「重度」に該当する場合は、辞めるかどうかの判断より先に医療機関の受診を優先してください。
スコア別判定ガイド
| 合計スコア | 段階 | 推奨される対処 |
|---|---|---|
| 0〜10点 | 軽度 | 現状の対処を継続。睡眠・運動・休息でセルフケア |
| 11〜25点 | 中等度 | ストレス対処の強化。産業医・上司への相談を検討 |
| 26〜35点 | 高度 | 医療機関の受診を推奨。心療内科・精神科を検討 |
| 36〜45点 | 重度 | 医療機関の早期受診を強く推奨。休職制度の活用検討 |
※本判定はセルフチェック用の目安であり、医学的診断ではありません。最終的な診断は医師の判断を仰いでください。
軽度ストレス(0〜10点)のサインと対処
軽度ストレス段階は、疲労感や軽いイライラはあるが日常生活には支障がない状態です。睡眠時間の確保(7時間程度)、適度な運動、休日に趣味の時間をとることで回復が見込めます。
有効な追加施策は、職場のストレス要因を紙に書き出して可視化することです。「何にどれくらい疲れているか」が見えると、次の行動(誰に相談するか・どこに調整を依頼するか)が決まりやすくなります。1週間ほど続けて改善が見られない場合は、中等度への移行を疑い対処を一段強化してください。
中等度ストレス(11〜25点)のサインと対処
中等度ストレス段階は、睡眠の質低下・食欲不振・集中力低下などの兆候が現れている状態です。セルフケアだけでは改善しにくいため、産業医・社内相談窓口・健康保険組合の相談窓口の利用を検討してください。
仕事量の調整や配置転換の打診も視野に入る段階です。労働安全衛生法に基づく「医師による面接指導」は、ストレスチェックで高ストレス者と判定された労働者が事業者に申し出れば受けられます。職場の窓口を経由したくない場合は、外部の産業保健総合支援センターの利用も選択肢です。
重度ストレス(26点以上)のサイン|医療機関受診の目安
重度ストレス段階は、2週間以上にわたって不眠・食欲不振・抑うつ気分・興味の喪失が続く状態です。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所「こころの情報サイト」では、こうした症状が現れた場合は自己判断せず、総合病院の精神科・心療内科・精神科クリニックなどへの相談を推奨しています。「自分でなんとかしよう」と無理を続けると症状が長期化しやすく、早期に医療機関を受診したほうが回復までの期間が短くなる傾向にあります。
受診の目安となる具体的なサインは以下の通りです。複数当てはまる場合は早期の受診をおすすめします。
特に、休日に休んでも回復しない・朝起き上がれない・出勤しようとすると体が動かなくなるといった行動レベルの支障が出ている場合は、自然回復を待つより医療機関を頼ったほうが、回復までの時間が短くなる傾向にあります。「もう少し頑張ってみる」という選択は、結果的に重症化と長期療養を招くリスクと隣り合わせです。
- 2週間以上、寝つけない・夜中に何度も目が覚める日が続く
- 食欲が極端に低下、または過食が止まらない状態が2週間以上続く
- 仕事の前夜から強い動悸・吐き気・腹痛が出る
- 家事・身支度・通勤などの日常動作が著しく困難になっている
- 気分の落ち込み・興味喪失が一日中続き、休日も回復しない
- 「消えてしまいたい」「自分には価値がない」という考えが浮かぶ
精神科・心療内科・カウンセリングの違いは以下の通りです。薬物治療を検討する場合は精神科または心療内科、話し合いによる心理療法を希望する場合はカウンセリングが選択肢になります。初診時は問診の準備として、症状の経過と仕事の状況をメモしておくと診察がスムーズです。
| 診療科目 | 特徴と対象 |
|---|---|
| 精神科 | 精神疾患(うつ病・適応障害・不安障害等)の診断と薬物治療を専門とする。重度の精神症状に対応 |
| 心療内科 | 心理的要因による身体症状(頭痛・腹痛・動悸等)を専門とする。比較的受診のハードルが低い |
| カウンセリング | 臨床心理士・公認心理師による話し合い中心の心理療法。薬物治療は行わない |



僕がご相談に乗るとき、「どこに行けばいいかわからなくて受診を先延ばしにしている」という声をよくいただきます。心療内科は身体症状(眠れない・食欲がない・動悸が止まらない等)を入り口にできるので、精神科に抵抗がある場合の最初の受診先として選ばれることが多いです。
【参考】国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所|こころの情報サイト「うつ病」
【参考】日本うつ病学会|うつ病診療ガイドライン2025・うつ病Q&A



受診はキャリア相談ではなく医療判断の領域です。僕は転職のサポートはできますが、症状の診断や治療方針は医師の専門領域です。スコアが高い場合は転職活動より先に受診を検討してください。


「仕事を辞めたい=必ず辞めるべき」ではない|判断の優先順位
「辞めれば全部解決する」と感じてしまうほどストレスが高まったときこそ、衝動的な意思決定を避けることが大切です。受診→休職→配置転換→退職の順で検討していくと、収入や転職活動への影響を最小化しやすくなります。
判断の優先順位フロー
多くの会社員は健康保険組合に加入しており、業務外の病気・ケガで連続4日以上働けない場合は傷病手当金(標準報酬日額の3分の2相当が最長1年6か月支給)を申請できます。
退職前から休職を活用することで、収入を維持しながら治療と次のキャリアの準備を進められます。健康保険組合に申請書を提出し、医師の意見書を添付する流れになります。会社の人事担当者か健康保険組合の窓口に問い合わせると、書類フォーマットを取得できます。
衝動的に退職してしまうと、傷病手当金が受給できなかったり、自己都合退職扱いで失業給付の待機期間が発生したりするケースがあります。「もう限界」という瞬間にこそ、いったん休職という選択肢で時間を確保し、判断材料を増やしてから決めるのが現実的です。



僕の支援した方で、退職してから後悔されたケースを思い出すと、ほぼ全員が「衝動的に辞めた」とおっしゃっていました。逆に、休職→治療→転職という流れで動かれた方は、ブランクへの説明もしやすく、転職後の定着率も高い傾向にあります。順番、すごく大事なんです。
ストレス過多時に絶対やってはいけない3つのこと
ストレスが高まっている時期は、判断力・記憶力・衝動制御力が一時的に低下します。この時期に行うと取り返しがつきにくい行動を3つ挙げます。スコアが中等度以上の場合は、特に意識してください。
- 重要な意思決定(退職・離婚・引っ越し等)を最低1〜2週間先送りする
- 市販薬・アルコール・カフェイン大量摂取での自己療法を避ける
- 最低1つの相談先(産業医・公的窓口・家族等)をいま決めておく
①重要な意思決定をしない(退職・離婚・引っ越し等)
強いストレス下では、前頭前野(理性的判断を担う脳部位)の機能が低下することが知られています。退職届の即日提出、衝動的な引っ越し、人間関係の決定的な切断などは、回復後に「なぜあのとき」と後悔につながりやすい行動です。
最低でも1〜2週間しっかり休んでから判断する習慣をつけてください。会社の有給休暇が残っていれば連続取得を申請する、難しければ医師の診断書をもとに療養休暇を取得するなど、判断を遅らせる方法は複数あります。判断を遅らせることはネガティブな選択ではなく、より良い結論にたどり着くための戦略的なステップです。
②自己判断で薬・アルコールに頼らない
市販の睡眠改善薬・アルコール・カフェイン大量摂取での自己療法は、短期的な効果と引き換えに依存・睡眠の質悪化・症状の長期化を招くリスクがあります。
眠れない・気分の落ち込みが2週間以上続く場合は、自己流ではなく医療機関での処方を検討してください。心療内科で処方される睡眠導入薬や抗不安薬は、市販薬よりも効果と副作用がコントロールされており、医師の管理下で適切に使えば安全性が高い治療選択肢です。「薬には頼りたくない」と感じる場合も、まず受診して相談だけしてみることをおすすめします。
③一人で抱え込まない(相談先を持つ)
強いストレス状態では「誰にも迷惑をかけたくない」「相談しても理解されない」と感じやすくなりますが、これ自体が症状の一部です。産業医・健康保険組合の相談窓口・公的相談窓口・家族・友人のうち、最低1つの相談先をいま決めておくことが、状況悪化を防ぐ最も効果的な行動です。



僕の経験だと、ストレスが強いときほど「人に頼るのは申し訳ない」という気持ちが強くなる方が多いんです。でもそれは脳がエネルギー不足になっている状態で、物事を悪く見やすくなっているサインでもあります。一人で抱え込まないことだけは、最初の一歩として大切にしてみてください。
ストレスを感じたとき頼れる相談窓口・医療機関リスト
困ったときに連絡できる窓口をいま、メモしておくことが、いざというときの行動につながります。
以下は無料・匿名で利用可能な公的相談窓口のリストです。電話・チャット・SNSなど複数の方法に対応しているサービスもあるため、声を出すのがしんどいときはチャットを選ぶこともできます。「電話に出るのが怖い」と感じる方も、文字によるやり取りなら踏み出しやすいケースが多いです。
- いのちの電話|匿名・無料で死にたいほどつらい気持ちの相談
- よりそいホットライン|24時間対応・電話/FAX/チャット/SNS
- こころの健康相談統一ダイヤル|各都道府県の精神保健福祉センターに接続
- 産業保健総合支援センター|JOHAS運営の労働者向け相談窓口
公的・無料の相談窓口
| 相談窓口 | 連絡先 | 対応時間・特徴 |
|---|---|---|
| いのちの電話(フリーダイヤル) | 0120-783-556 | 毎日16:00〜21:00、毎月10日は8:00〜翌11日朝8:00。匿名・無料 |
| いのちの電話(ナビダイヤル) | 0570-783-556 | 10:00〜22:00 年中無休(通話料負担) |
| よりそいホットライン | 0120-279-338 | 24時間対応。電話・FAX・チャット・SNS。「死にたいほどつらい方」専用回線あり |
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556 | 各都道府県の精神保健福祉センター等に接続。対応時間は地域により異なる |
| 産業保健総合支援センター | 各都道府県に設置 | 労働者健康安全機構(JOHAS)が運営。労働者・産業医からの相談対応 |
【参考】一般社団法人 日本いのちの電話連盟|いのちの電話 公式サイト
【参考】一般社団法人社会的包摂サポートセンター|よりそいホットライン
【参考】独立行政法人労働者健康安全機構|メンタルヘルス登録相談機関
職場で利用できる窓口
勤務先によっては、産業医・社内カウンセラー・健康保険組合の相談サービスが利用できる場合があります。「健康保険組合 メンタルヘルス相談」で検索すると、加入先の制度が確認できます。
多くの大手健保組合は無料の電話・対面相談を提供しており、家族も対象に含まれている場合があります。社内のメンタルヘルス制度に抵抗がある場合は、外部の産業保健総合支援センターや医療機関の予約を直接行うルートも選択肢です。「相談したことが会社に伝わるか心配」というご質問もよくいただきますが、産業医・社内カウンセラーには守秘義務があり、本人の同意なく内容が伝わることはない仕組みになっています。
相談窓口に連絡するときは、「いつから・どんな症状が出ているか・睡眠時間はどれくらいか」をメモしてから電話すると、相手に状況を伝えやすくなります。話の途中で混乱しても、メモがあれば落ち着いて話を続けられます。
「ちゃんと話せる自信がない」と感じる場合は、まずチャット相談を選ぶと負担が小さくなります。よりそいホットラインのチャット・SNS相談は文字でのやり取りが可能で、声を出さなくても気持ちを伝えられます。
医療機関の探し方
厚生労働省「ストレスチェック制度」は、2015年に労働安全衛生法に基づき義務化され、2025年5月の法改正で労働者数50人未満の事業場にも実施が義務化されました。職場でストレスチェックを受けて高ストレス者と判定された場合、医師による面接指導の申出が可能です。
個人で精神科・心療内科を探す場合は、各都道府県の医師会サイトの「医療機関検索」、または「こころの耳」掲載の医療機関情報が参考になります。初回受診はオンライン予約に対応しているクリニックも増えており、初診で混雑する場合は2〜3週間先まで予約が埋まっていることがあります。早めに予約を入れておくことをおすすめします。
【参考】厚生労働省|労働安全衛生に関する制度(ストレスチェック制度)
仕事や生活全般のメンタル不調については以下の記事でも解説しています。





相談先を「メモしておくだけ」が、実は一番大事なんです。いざ動けないほど落ち込んでいるときに「電話番号を調べる気力」が残っていないことが多いので、元気な今のうちに、スマホのメモに上の窓口を保存しておくだけでも違ってきます。


退職を選択する場合|衝動退職を避ける段階的手順
受診・休職を経たうえで「やはり退職する」と判断した場合、収入と転職活動への影響を最小化するための段階的な手順を解説します。退職代行を利用するかどうかの判断軸も含めて、選択肢を提示します。
心療内科・精神科で診察を受け、必要に応じて診断書を取得します。診断書は休職申請・傷病手当金申請・退職時の事情説明・転職時の不利益回避(転職活動を開始する時期の検討材料)に使えます。
就業規則を確認し、休職期間(多くの会社で6か月〜1年6か月)と傷病手当金の申請手続きを進めます。健康保険組合に申請書を提出し、医師の意見書を添付します。退職前に申請を開始すれば、退職後も最長1年6か月の支給を受けられる場合があります。
休職中に医師・家族・キャリア相談先と話し合い、復職か退職かを判断します。会社との直接の連絡が困難な場合は退職代行サービスの利用も選択肢です。労働組合または弁護士運営の退職代行は、有給消化や未払い賃金の交渉が可能です。
体調が日常生活に支障のないレベルに戻った段階で、転職エージェントに相談を始めます。「相談だけ」「情報収集だけ」のスタンスで利用できるエージェントが多く、登録=必ず転職という関係ではありません。退職理由の伝え方も含めて、第三者と整理することで次の選択肢が具体化します。
転職エージェントへの相談は、転職を必ず決める前提でなくて構いません。「いまは情報収集だけ」というスタンスでも、市場価値の確認・退職理由の整理・面接練習などのサポートを受けられます。詳しくは以下の記事で解説しています。





休職→治療→転職という順番で進められた相談者の方は、面接で「ブランク期間に何をしていたか」を医師の指導下での療養期間として説明できるので、印象が悪くなりにくいんです。逆に診断書なしで衝動退職→ブランク化された場合は、説明に苦労される方が多い印象です。
退職代行を利用する場合、運営主体によってサービス範囲が大きく異なります。一般企業運営・労働組合運営・弁護士運営の3種類があり、有給消化の交渉や未払い賃金の請求など「会社との交渉」を行えるかは法律で運営主体ごとに決まっています。料金だけで選ばず、運営主体を必ず確認してください。



退職代行を選ぶ場合、僕からのアドバイスは「労働組合運営か弁護士運営の代行を選ぶ」ことです。一般企業運営の代行は会社との交渉ができず、有給消化や退職日の調整ができないケースがあります。料金よりも運営主体を確認してから契約してください。
退職を申し出るタイミングや法律上の期間について詳しくは以下の記事も参考にしてください。


仕事のストレスと退職判断について寄せられるよくある質問
Q: ストレスチェックの結果は会社に見られますか?
A: 労働安全衛生法に基づくストレスチェックの個人結果は、本人の同意なく事業者に提供されないことが法律で定められています。実施者(医師・保健師等)が直接本人に通知し、本人が同意した場合のみ事業者へ提供されます。職場で結果を知られることを恐れて回答を歪める必要はありません。
Q: 心療内科の診断書はすぐ取れますか?
A: 多くの場合、初診当日でも診断書の発行が可能です。ただし発行料金(3,000〜5,000円程度)が別途必要なことが多く、症状によっては数日〜2週間ほどの観察期間を設けてから発行するケースもあります。休職目的の診断書を希望する場合は、初診時に医師にその旨を伝えると相談が円滑に進みます。
Q: 仕事を続けながら治療できますか?
A: 軽度〜中等度の段階であれば通院しながらの就労継続が可能なケースが多いです。重度の場合は休職が推奨されます。仕事の量を減らす配慮(時短勤務・配置転換)を会社に相談する際にも、医師の意見書が後押しになります。
Q: 傷病手当金はいくらもらえますか?
A: 標準報酬日額の3分の2相当が、最長1年6か月にわたって支給されます。たとえば月給30万円の場合、日額約6,667円が目安です。連続3日間の待機期間後、4日目から支給が始まります。詳細は加入する健康保険組合または協会けんぽにご確認ください。
Q: メンタル不調での退職は転職で不利になりますか?
A: 弊社の支援データでは、医師の指導下での療養期間として説明できれば転職活動の不利益は最小限に抑えられる傾向にあります。逆に診断書なしで衝動退職した場合、ブランク期間の説明に苦労するケースが多いです。退職前に医療機関の受診と休職制度の活用を検討する価値があります。
Q: 上司に退職を切り出すのが怖いときはどうすればよいですか?
A: 直属の上司に直接伝えるのが一般的ですが、ハラスメントが原因の場合は人事部・産業医・労働組合・労働基準監督署への相談が選択肢です。それでも難しい場合は、労働組合運営または弁護士運営の退職代行サービスを利用すると、本人が会社と直接やり取りせずに退職手続きを進められます。
Q: 休職中に転職活動を始めても問題ありませんか?
A: 休職中の転職活動は法律上の禁止事項ではありませんが、回復が不十分な状態で動くと再発リスクが高まります。日常生活に支障のないレベルに戻り、医師から「就労可能」と判断された段階で動き始めるのが現実的です。傷病手当金は「働けない状態」を前提に支給されるため、就労準備が整った段階で受給は終了します。給付の継続条件は健康保険組合に確認しておくと安心です。
Q: ストレスチェックで高ストレス者になった場合、社内で不利になりますか?
A: 労働安全衛生法は高ストレス者を理由とした不利益取扱い(解雇・降格・減給等)を禁止しています。事業者が結果を本人の同意なく入手することも禁じられているため、結果が職場で共有されて不利になる構造はありません。面接指導を申し出た事実を理由にした不利益取扱いも法律で禁止されています。安心して制度を利用してください。



上司に退職を切り出すのが怖い、というご相談は本当に多いんです。僕の経験上、ハラスメントが背景にあるケースでは無理に直接対話する必要はないと考えています。労働組合運営の退職代行や、弁護士の労働相談(30分5,000円程度)も検討材料になります。


まとめ|判断を急がず段階的に対処を
仕事を辞めたいほどのストレスは、職場で働く労働者の82.7%が抱える正常な防御反応です。辞めるか辞めないかの二択ではなく、受診→休職→配置転換→退職という段階的な選択肢を順に検討することが、収入・健康・キャリアへの影響を最小化する道筋です。
- 15項目セルフ診断で現状のストレスレベルを把握する
- 合計26点以上は医療機関の受診を強く推奨
- 強いストレス時は重要な意思決定を先送りする
- 受診→休職→配置転換→退職の順で検討する
- 項目15で1点以上の場合は相談窓口に連絡する



ご自身の状態を一人で判断する必要はありません。医療機関は医師に、転職の整理は僕たちキャリアアドバイザーに、お話を聞かせてください。「辞めるか・辞めないか」の判断より、「いま動ける小さな一歩」を一緒に決めるところから始めていきましょう。
【医療免責】本記事は医療行為に代わるものではなく、医療判断は必ず医師にご相談ください。本記事のセルフ診断は厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」を参考に作成した目安であり、医学的診断ではありません。症状に不安がある場合は早期に医療機関を受診してください。
運営者情報
| メディア名 | ビギナーズリンク |
| 運営会社 | 株式会社MEDISITE |
| 代表者 | 竹田津 惇 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目5-4 STビル701 |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | HRメディア事業・SNSマーケティング事業・営業支援事業 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業(13-ユ-316383) |


