フリーターから事務職(正社員)へ転職できる?狭き門を突破するための戦略

フリーターから事務職への転職は可能なのか?

「ずっとフリーターだったけど、安定した事務職に就きたい」「オフィスワークに憧れがある」と考えている方は多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、フリーターから事務職への転職は可能ですが、決して簡単ではありません

事務職は非常に人気が高く、ライバルが多い職種です。特に未経験からの正社員採用は、狭き門であるという現実を直視する必要があります。しかし、正しい戦略とルートを選べば、道は必ず開けます。

この記事では、現在フリーターで事務職への転職・就職を考えている方に向けて、現役のキャリアアドバイザーとして、耳触りの良い言葉だけでなく厳しいデータも包み隠さずお伝えした上で、あなたが事務職の内定を勝ち取るための具体的な方法を解説します。

阿部 翔大

事務職への転職活動は、長期戦になることも覚悟が必要です。でも、諦める必要はありません。大切なのは、正面突破だけが道ではないと知ることです。派遣から入る、少し違う職種を経由するなど、賢いルートを選べば、あなたの希望は十分に叶います。一緒に戦略を練っていきましょう。

この記事の監修者

株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント

阿部 翔大

目次

なぜ事務職は狭き門なのか?データで見てみよう

まずは現状を正しく理解するために、事務職の採用がいかに競争率が高いか、客観的なデータで確認しましょう。

衝撃的な有効求人倍率の低さ

有効求人倍率とは「求職者一人に対して、いくつの求人があるか」を示す指標です。1倍を下回ると、仕事を探している人の方が多く、就職が難しい状態であることを意味します。

事務職の有効求人倍率(令和7年5月)

厚生労働省のデータによると、職業別有効求人倍率は以下の通りです。

スクロールできます
職種分類有効求人倍率意味
一般事務0.30倍求職者10人に対して求人3件
事務従事者全体0.36倍求職者10人に対して求人3.6件
(参考)全職業平均0.99〜1.20倍ほぼ1対1、または求人がやや多い

つまり、一般事務の求人は求職者10人に対して3件しかないということです。残りの7人は不採用になる計算です。これが事務職転職の厳しい現実です。

【参考】厚生労働省 熊本労働局|職業別<中分類>常用計 有効求人・求職・求人倍率(令和7年5月)

阿部 翔大

0.3倍という数字を見てショックを受けたかもしれません。でも、これはあくまで「ハローワーク」の一般募集の数字です。実は、非公開求人や派遣求人など、このデータに出てこない市場も存在します。正面から「未経験・正社員・一般事務」だけを狙うとこの壁にぶつかりますが、少し視点をずらせばチャンスは広がりますよ。

なぜこれほど事務職は人気なのか

倍率0.3倍という数字の背景には、事務職への圧倒的な人気集中があります。その理由を理解しておくことで、競争の実態が見えてきます。

まず、事務職は定年まで働ける職種として認識されています。体力的な負担が少なく、年齢を重ねても続けられる安心感が、幅広い年齢層を惹きつけています。また、資格不要で始められるという誤解も根強く、未経験者が気軽に応募してしまうことで、さらに倍率が跳ね上がっています(実際には競争が激しく、PCスキルや経験が求められます)。

近年では、リモートワークの普及により事務職の魅力が再注目されています。在宅勤務がしやすい職種として、ワークライフバランスを重視する層からの応募が急増しました。加えて、女性の再就職先として圧倒的に人気である点も見逃せません。出産・育児でキャリアを一時中断した方が、子育てと両立しやすい事務職を希望するケースが非常に多く、この層が求人に集中する構図ができています。

つまり、「誰でもできそう」というイメージと、「長く安定して働ける」という実利が重なり、多様な背景を持つ求職者が殺到しているのが事務職市場の現実なのです。

阿部 翔大

私が面談でよく聞くのは、「事務職なら楽そう」「パソコン打てれば大丈夫でしょ」という声です。でも実際には、マルチタスクをこなし、急な依頼に対応し、ミスなく正確に仕事を進める能力が求められます。イメージと現実のギャップを理解せずに応募する人が多いからこそ、しっかり準備した人が際立つとも言えます。逆に言えば、ここがチャンスです。

それでも事務職を目指すメリット

これだけ競争率が高くても、なぜ多くの人が事務職を目指すのでしょうか。それには明確なメリットがあるからです。

1. 体力的な負担が少なく長く働ける

デスクワークが中心のため、立ち仕事や力仕事に比べて身体への負担が少ないです。年齢を重ねても無理なく働き続けられるため、長期的なキャリアを築きやすいのが特徴です。

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飲食や販売で働いてきた方からよく聞くのは、立ちっぱなしの足の痛みや腰痛の悩みです。事務職に転職した方の多くが、身体が楽になったことを実感しています。特に女性の場合、出産後も体力的に無理なく復帰できる点は大きなメリットですね。長く働けるということは、安定した収入を長期間得られるということでもあります。

2. ワークライフバランスが整いやすい

カレンダー通りの休み(土日祝休み)である場合が多く、残業も比較的少ない傾向にあります。プライベートの時間を確保しやすく、子育てや趣味との両立がしやすい職種です。

阿部 翔大

私が担当した元アパレル販売員の方は、土日に休めるようになって、友人の結婚式に参加できるのが本当に嬉しいと話していました。シフト制の仕事だと、友人や家族と予定が合わせにくくて孤独を感じることもありますよね。カレンダー通りの休みは、生活リズムが整うだけでなく、人間関係の充実にもつながります。精神的な余裕が生まれるのも事務職の大きな魅力です。

3. 汎用性の高いスキルが身につく

PCスキル(Word, Excel, PowerPoint)、ビジネスマナー、文書作成能力などは、どの業界・企業でも通用するポータブルスキルです。一度身につければ、ライフステージが変わって再就職する際も有利になります。

阿部 翔大

接客業で得たスキルは素晴らしいものですが、正直なところ業種や店舗が変わると通用しづらい面もあります。一方で、ExcelやWordなどのPCスキル、正確な文書作成力、ビジネスメールの書き方といった事務スキルは、どの会社に行っても使えます。結婚や引っ越しで環境が変わっても再就職しやすいという安心感は、人生設計において大きな武器になりますよ。

フリーターから事務職への現実的な3つのルート

0.3倍の壁を突破し、事務職に就くためには「ルート選び」が重要です。いきなり正社員を目指すだけが正解ではありません。

ルート1:紹介予定派遣から正社員を目指す

最も現実的でおすすめなのがこのルートです。「紹介予定派遣」とは、最長6ヶ月派遣社員として働いた後、あなたと企業の合意があれば直接雇用(正社員や契約社員)に切り替わる制度です。

  • メリット:未経験でも採用されやすい。実際に働いてみて職場環境を確認できる。
  • デメリット:必ず正社員になれるとは限らない(双方の合意が必要)。
阿部 翔大

紹介予定派遣は試用期間のようなものです。企業側もあなたを見ていますが、あなたも企業を見ることができます。人間関係、残業の実態、業務量など、求人票では分からないリアルな職場環境を確認してから決められるのは大きな安心材料ですよね。派遣期間中に一生懸命働いて信頼を得れば、正社員登用される確率はぐっと高まります。スタッフサービスやテンプスタッフなど、大手派遣会社に複数登録しておくと、選択肢が広がりますよ。

ルート2:人材不足の業界の事務職を狙う

「人気の業界(メーカー、商社など)」の事務は激戦ですが、「人手不足の業界(建設、介護、運輸など)」の事務は比較的狙い目です。

  • 建設事務・現場事務:建設現場の事務所での事務作業。
  • 医療・介護事務:レセプト作成や受付業務。資格があると有利。
  • 物流事務:倉庫や配送センターでの伝票処理など。
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イメージだけで業界を選ばないのがコツです。建設業界と聞くと現場仕事をイメージするかもしれませんが、事務所勤務なら完全デスクワークですし、最近はホワイト化が進んでいる企業も多いです。医療事務や介護事務は資格取得が必要ですが、通信講座で3〜6ヶ月程度で取れますし、未経験歓迎の求人がとても多いです。物流業界もEC拡大で事務ニーズが増えています。穴場業界を狙えば、あなたの市場価値が一気に高まりますよ。

ルート3:事務+αの職種(営業事務など)から入る

純粋な「一般事務」ではなく、他の業務を兼務する職種は倍率が下がります

  • 営業事務:営業担当のサポート(見積書作成、電話対応など)。コミュニケーション能力が活かせる。
  • 総務・経理アシスタント:専門的な知識が必要だが、未経験可の求人も存在する。
阿部 翔大

「絶対に正社員じゃないと嫌だ」とこだわって何十社も落ち続けるより、まずは派遣で実務経験を積む方が、長い目で見れば近道だったりします。事務職は「経験」が何よりの武器になります。半年でも実務経験があれば、次の転職活動での評価は劇的に変わりますよ。

フリーターから事務職への転職・就職成功率を上げる具体的な戦略

ただ応募するだけでは、0.3倍の競争には勝てません。戦略が必要です。

1. アルバイト経験を「事務スキル」に変換してアピールする

事務経験がなくても、これまでのバイト経験の中に事務的要素はありませんでしたか?

  • 飲食店:売上集計、発注業務、予約管理、メニュー作成
  • 販売店:在庫管理、日報作成、POP作成、顧客データ入力
  • コールセンター:電話対応、履歴入力、クレーム対応

これらを「PCを使った業務経験」「正確なデータ入力経験」「電話対応スキル」として職務経歴書に具体的に記載しましょう。

2. パソコンスキルを証明する

未経験の場合、「PC使えます」という自己申告だけでは説得力が弱いです。MOS(Microsoft Office Specialist)などの資格を取得するか、具体的なレベル(ExcelでVLOOKUP関数が使える、ピボットテーブルが組める等)を提示できるように準備しましょう。

3. コミュニケーション能力を強調する

事務職は「黙々と作業する仕事」と思われがちですが、実は周囲との連携が不可欠です。営業担当からの依頼を受けたり、電話で顧客対応をしたりします。フリーター経験で培った「接客スキル」や「臨機応変な対応力」は、事務職でも大きな強みになります。

面接で「正確さ」をアピールするのも効果的です。事務職で一番嫌われるのはミスです。「バイトではレジ締めを任されていましたが、一度も過不足を出したことがありません」といったエピソードは、地味ですが採用担当者にはすごく響きます。

事務職に必要なスキルと資格

事務職への転職を有利にするために、最低限身につけておきたいスキルと資格を紹介します。

必須スキル

  • PCスキル(基本)タッチタイピング、Word(文書作成)、Excel(表計算、四則演算)
  • ビジネスマナー電話対応、メール作成、挨拶、身だしなみ
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タッチタイピングは、できて当たり前と思われがちですが、意外とできない人も多いです。求人票に書かれていなくても、面接や適性検査で実際にパソコンを使う場合があります。そのとき、キーボードを見ながら人差し指で打っていると、それだけで印象が悪くなります。無料のタイピング練習サイトで毎日10分でも練習しておくと、自信を持って面接に臨めますよ。Excelは最低でもSUM関数、平均、並べ替え、フィルタくらいは使えるようにしておきましょう。

あると有利な資格

  • MOS(Microsoft Office Specialist)Excel、Wordのスキル証明に最適。知名度が高い。
  • 日商簿記3級経理事務を目指すなら必須級。数字に強いことをアピールできる。
  • 秘書検定2級・3級ビジネスマナーや一般常識の証明になる。
阿部 翔大

資格はあくまで「意欲の証明」です。資格を持っているから採用されるわけではありませんが、「未経験だからこそ勉強してカバーしようという姿勢」は評価されます。特に簿記3級は、経理以外の事務でも「会社の数字が分かる人」として好印象を持たれやすいですね。

事務職に向いている人・向いていない人

ミスマッチを防ぐために、適性を確認しておきましょう。

向いている人

  • サポート役が好きな人誰かの役に立つことに喜びを感じられる人。
  • コツコツと正確な作業ができる人地味な作業でもミスなく続けられる人。
  • 臨機応変に対応できる人急な依頼や割り込み業務にも柔軟に対応できる人。
  • 整理整頓が得意な人書類やデータの管理が苦にならない人。

事務職は地味に見えますが、会社を陰で支える重要な仕事です。営業が契約を取ってきても、事務が請求書を出さなければお金は入りません。私が担当した方で、コンビニのバイトで在庫管理や発注を丁寧にやっていた方がいました。その几帳面さをアピールしたところ、面接官に好印象で採用されました。派手な実績がなくても、コツコツと丁寧に仕事をしてきた経験は必ず評価されます。

向いていない可能性がある人

  • 自分が主役で成果を出したい人事務はあくまで裏方です。
  • じっとしているのが苦手な人一日中デスクに座っているのが苦痛な人。
  • 大雑把な人細かい数字や文字のチェックが苦手な人。

「細かい作業は苦手だけど事務になりたい」という方は、営業事務が向いているかもしれません。営業事務はスピード感やコミュニケーションが重視されるので、正確さ一辺倒の経理や総務とは少し毛色が違います。自分の性格に合った「事務」を見つけるのも大切です。

フリーターが事務職を目指す上で知っておくべき現実と注意点

ここまで事務職のメリットや転職ルートをお伝えしてきましたが、同時に知っておくべき厳しい現実もあります。キャリア選択は長期的な視点が大切ですから、良い面だけでなく、将来直面する可能性のある課題も正直にお伝えします。

AI・RPA導入による業務削減リスク

近年、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の普及により、定型的な事務作業が自動化される動きが加速しています。データ入力、請求書処理、経費精算といった単純作業は、すでに多くの企業でシステム化が進んでおり、人の手を必要としなくなりつつあります

実際、一般事務の求人倍率が0.3倍という低水準である背景には、こうした技術革新による求人数の減少も影響しています。企業は人件費削減のため、真っ先に「代替可能な業務」としての事務職に目を向けることもあるでしょう。定型作業しかできない事務職は、今後ますます市場価値が下がる可能性があるのです。

給与水準の低さと昇給の難しさ

事務職は「コストセンター」に分類されます。つまり、営業職や開発職のように直接利益を生み出す仕事ではなく、会社を支える「間接部門」です。そのため、評価がしづらく、昇給やボーナスが営業職などに比べて控えめになりがちです。

また、事務職は成果を数値で示しにくいため、「どれだけ頑張っても給料が上がらない」と感じる方も少なくありません。10年勤めても基本給がほとんど変わらない、というケースも珍しくないのが実情です。将来的に収入アップを目指すなら、専門性(経理、人事など)を高めるか、管理職を目指すしかない、という現実があります。

キャリアの幅が限定される可能性

一般事務の経験は、他の専門職(営業、エンジニア、マーケティング等)へのキャリアチェンジが難しいという側面があります。事務職で身につくスキルは汎用的である反面、「何かの専門家」になるわけではないため、転職市場での評価が頭打ちになりやすいのです。

30代、40代になって「もっとやりがいのある仕事がしたい」「キャリアアップしたい」と思っても、事務経験しかないと選択肢が非常に限られます。長期的なキャリアビジョンを持たずに事務職に就くと、後悔する可能性があることも理解しておく必要があります。

転職前の不安を解消|年齢・未経験・派遣・給与のよくある質問

Q. 30代フリーターですが、事務職になれますか?

A. 正直にお伝えすると、20代に比べるとハードルは上がります。未経験採用ではポテンシャル(若さ)が重視される傾向があるからです。しかし、不可能ではありません。先ほど紹介した「紹介予定派遣」を活用したり、「建設事務」や「介護事務」など人手不足の業界を狙ったりすることで、採用の確率は上がります。PCスキルなどの即戦力性を高めることも重要です。

Q. 派遣から正社員になるのは難しいですか?

A. 「一般派遣」から正社員登用されるケースもありますが、確約はありません。正社員を目指すなら、最初から直接雇用を前提とした「紹介予定派遣」を選ぶのが確実です。派遣会社に登録する際に「将来的に正社員になりたい」という希望を明確に伝えておきましょう。

Q. 事務職は給料が安いと聞きましたが本当ですか?

A. 営業職や技術職に比べると、事務職の給与水準は低めである傾向があります。成果給(インセンティブ)がつかないことが多いためです。しかし、安定して長く働ける点や、残業が少ない点などを考慮すれば、時給換算や生涯年収でのメリットは十分にあります。収入アップを目指すなら、簿記などを取得して経理のスペシャリストを目指すキャリアパスもあります。

まとめ|現実やリスクも理解した上で、正しい戦略をとろう

フリーターから事務職への転職は、有効求人倍率0.3倍というデータが示す通り、決して楽な道のりではありません。しかし、「狭き門=通れない門」ではありません。

正面から突撃して玉砕するのではなく、自分の経験を棚卸しし、適切なルート(派遣、業界選び)を選び、必要な準備(PCスキル、資格)をすることで、壁を乗り越えることは可能です。

また、大切なのは、リスクを理解した上で、自分の価値を高め続ける意識を持つことです。

単純作業だけをこなす事務職ではなく、ExcelマクロやVBAを学んで業務効率化を提案できる人材、簿記や社労士の資格を取得して経理・人事のスペシャリストになる人材、あるいはコミュニケーション力を活かして営業事務やマネジメント職に進む人材は、AIに代替されません。

事務職は「ゴール」ではなく「スタート」です。入社後も学び続け、専門性や付加価値を高めていく姿勢があれば、長く安定して働ける素晴らしい職種になります。

この記事のポイント総まとめ

  • 事務職の有効求人倍率は0.3倍と非常に厳しく、戦略が必要
  • 「紹介予定派遣」や「人手不足業界の事務」が現実的な突破口
  • バイト経験(発注、管理、PC使用)を事務スキルとしてアピールする
  • MOSや簿記などの資格は、未経験の意欲証明として有効
  • PCスキルは必須。Excelの基本操作はマスターしておくべき
阿部 翔大

事務職になりたいという気持ちを諦めないでください。まずはPCスキルの勉強を始める、派遣会社に登録して相談してみるなど、できることから行動を起こしてみましょう。僕へのキャリア相談も、いつでもお待ちしています。戦略的に動けば、あなたのデスクは必ず見つかります。応援しています。

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