「スペインの食文化やワインを、もっと日本に届けたいんです。」AITANA株式会社・三島社長が語る”好き”を届ける楽しさ

働くって、どこかで我慢するものだと思っていませんか?でも世の中には、好きになったものを仕事にして、活き活きと働いている人がいます。
AITANA株式会社の三島里佳(みしま りか)社長は「スペインの食文化を、日本に届けたい」と考え、神戸からスペインワインを全国の飲食店やご家庭に届けています。大学時代の短期留学でスペインに魅了され、この世界に入って12年目になりました。
スペインの何が、そこまで人を惹きつけるのか。そして、ワインの知識がまったくない人でも、この仕事はできるのか。詳しくお話を伺いました。読み終わる頃には、好きなものを届ける仕事って、こんなに楽しいんだと思えてくるはずです。
AITANA株式会社
代表取締役 三島 理香
大学在学中にスペインへ短期留学し、現地の食文化と暮らしに魅了される。卒業後はブライダル業界でウェディングドレスのコーディネーターを務めたのち、スペイン料理店での勤務を経て、スペインワインの輸入商社へ。独立し、現在は神戸・三宮でスペインワインと厳選食材の店「AITANA WINE HOUSE」を運営。全国の飲食店や酒販店への卸売と、店舗・オンラインショップでの小売を手がけている。
大学の時に、スペインに魅了されてしまって
編集部三島社長とスペインとの出会いは、いつだったんですか?



大学の時に、スペインへ少し留学したのがきっかけですね。食文化とか、雰囲気とか、日本とはまた全然違った感じなので、そこで魅了されてしまったんですよね。



どんなところに、いちばん惹かれたんでしょう?



気軽で密なコミュニティっていうんですかね。まず、カフェ文化がすごくあって、朝から晩までおじいちゃんもおばあちゃんも、子どもも若い方も、みんなカフェに集まってよく喋るんですよ。昼間は暑いので「シエスタ」といって一度お店が閉まるんですが、夜はまた長くて、今度はバルでみんなゆっくり楽しむ、というスタイルなんです。



日本だと、とくに都会ではなかなか見ない光景ですね。



日本だと、カフェでワイワイやっていたら苦情が出てしまうかもしれないですよね。でも、ああやって明るくみんなでお話しするのって、実は社会にとって、とてもいいことなんじゃないかなとずっと思っていて。



たしかに、オープンにコミュニケーションができる環境って貴重ですし、楽しさだけでなく安心感もありそうです。



本当にそうなんですよ。実は、大学を出てからはブライダル業界に入って、ウェディングドレスのコーディネーターの仕事を数年させてもらったんです。ブライダルの仕事も好きでしたが、やっぱり、スペインの文化に携わりたい、広めていきたいなという思いが止められなかったんです。



スペインの魅力に、とことん取りつかれたんですね。それで、転職を?



はい。まずスペインレストランさんでアルバイトをさせていただき、そこでスペインワイン輸入会社の社長と出会う機会がありました。そのご縁で輸入会社で働くようになり、その後独立させていただきました。現在もパートナー会社としてお付き合いを続けながら、今年で12周年を迎えます。
水よりワインが安かったりするんです





アルバイトから、いまは輸入まで。主に取り扱ってらっしゃるのが、ワインということですよね。



そうですね。スペインは農業大国なので、ワインが欠かせないんですね。それで、かなりコストパフォーマンスもいいのが特徴なんですよ。それを伝えていきたいな、という気持ちがあって。



なるほど。スペインでは、やはり日本と同じように、ワインは晩酌として飲むのが一般的なんでしょうか?



晩酌というよりは、もう日常で飲まれているので、みなさん全然好きな時に飲まれてますね。田舎だと、水よりもワインが安かったりもするので。



水より安い…! それは驚きです。



食文化も、日本と同じくらい何でもあるんですよ。お魚、お肉、お野菜。エリアごとに、それぞれ料理が違います。



スペイン料理というと、もっとスパイスの効いたものを想像していました。



食はすごく日本人の感覚に合うと思っていて、食べ物とワインという組み合わせは、すごく日本に合うと思って紹介しています。



味付けは、どんなものになるんですか?



ニンニクとオリーブオイルは絶対に使いますね。あとはパプリカパウダーとか。豆もすごく食べます。ただ、レストランに行くと、ざっくりしたサラダにオリーブオイルとビネガーだけ、という一品が出てくることも多いんですよ。パエリアやお肉料理、お魚を焼いたものも、結構シンプルです。でも、とっても美味しいですよ。



さっぱりしたものと、しっかりしたものと。たしかに、日本の食卓にも近い気がします。
赤と白は、ぶどうも作り方も違うんですよ



お恥ずかしいのですが、私は赤ワインと白ワインの違いもよくわかっておらずでして…。教えていただきたいのですが、ワインの色が違うのは、使っているぶどうが違うからでしょうか?



基本、それで合ってます。あとは作り方も違うんですけど、白はさっぱりさせたいので、圧搾して皮とか種とかを全部取ってから発酵させるんですね。赤ワインは色をもっと濃くするために、皮や種を漬け込んだまま発酵させて、最後に圧搾する。そういう違いもあります。



なるほど。ちなみにロゼは、赤と白を混ぜたものですか?



それも、大体合ってはいますね。畑に生った赤と白のぶどうをガサッと取って造ったら、自然にピンク色になる…昔はそれがロゼと呼ばれていたらしいんです。いまはちゃんと製法があって、赤ぶどうを直接ギュッとして、色がほんのり出たところで造る直接圧搾法。あとは、セニエ法といって、発酵の過程で色がついた部分だけをキュッと抜き取るような方法もあるんです。



そのような方法だと、拭き取ったあとに残ったワインは処分するんですか…?それだと、なんだかもったいないような気も。



いえいえ、処分はしません(笑)。濃くなるんですよ。



あ!なるほど…、1回の仕込みから、2種類が生まれるんですね。ちなみに、ぶどうの品種によっても味は全然変わると聞いたことがあります。



変わりますね。白ならシャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、赤ならピノ・ノワールやカベルネ、スペインの品種だとガルナッチャとか。品種による違いと、醸造方法による違いと、そこにさらにワイナリーがこういう風に作ろうとした過程と、土地柄や気候も含めた全てが重なって1本ができるんです。お手軽なものから高級ワインまであるのは、そこの違いですね。



たしかに、千円のワインもあれば、ウン十万円するワインもありますもんね…。なんだか、無性にワインが飲みたくなってきました(笑)。
万博のスペイン館に、うちのワインが選ばれました



そういえば、万博にも出展されていましたよね。



ええ。当社が扱うテラス・ガウダというワインを、スペイン館のほうに選んでいただきました。白2種と赤3種を、万博のショップとスペイン館内のレストランでご利用いただきましたね。



自分から出したいと手を挙げられたわけではなく、選ばれた、と。



そうなんです。万博で扱う商品を決める、ご担当の方にですね。テラス・ガウダはいまスペインで人気のブランドなので、それもあって選んでいただいたのかもしれませんね。



すごいですね…!万博で飲んでくださった方が、実際にお店にいらっしゃることもありましたか?



ありましたね。スペイン館で気に入ってくださって、わざわざ神戸まで探しに来てくださった方がいて。本当に、ありがたいことです。



万博で出会って、神戸のお店まで。旅先で飲んだ一杯を、覚えていてくださったんですね。



すごく楽しかったですし、いい経験でしたね。
仕事が好きであれば、自然に頭に入ってくるんです





いまは、一緒に働く方を募集されていると伺いました。



絶賛募集中です。ただ、なかなか特殊な世界なので、興味がある方がいらっしゃれば、というところで…。



ワインの知識がないと、難しいようにも思えますが…。



仕事が好きであれば、覚えていけるというか、自然に頭に入ってくるので、未経験でもまったく構わないと思っているんです。もちろん、ワインの知識があったり、業界のことを知っているとなおいいんですけど。スタッフはみんな優しいので、教えながら、色々覚えていって楽しんでやってもらえればなと思っています。



入られたら、具体的にはどんなお仕事をお願いすることになりますか?



メインは営業ですね。全国のレストランさんや酒屋さん、ホテル、バーを回って、スペインワインの魅力を伝えていく。そこから配達もしますし、店舗にも立ちます。在庫の状況まで全部把握してもらって、トータルで動ける方に入ってきていただきたいですね。



トータルで動ける人材となると、やはりスペインの文化やスペイン産のワインに興味関心が高い方のほうがマッチしそうですよね。人間性の部分では、どんな方と一緒に働きたいですか?



前向きな人ですね。あとは、楽しんでほしいと思っています。いろんな人と接する仕事なので、お客様のサポートをしながら、自分も成長していくのを楽しんでもらえるような会社にできたらなと。



一緒に働く方にも、楽しんでほしい。その先で、お店をどんな場所にしていきたいですか?



そうですね。拠点を増やしたいなとは思っています。拡大というよりは、お客様に楽しんでもらえる場所を、もっと提供していきたいという感じで。イベントをやったり、ワイナリーさんが来てくれた時に何かできたり。お客様が北海道から沖縄までいらっしゃるので、違う土地でできたら面白いなとも思っています。



お客様に、楽しんでもらえる場所を。スペイン料理やワインの造り方について語る三島社長は、ずっとニコニコと楽しそうでした。好きなものが仕事になるまで時間がかかっても、その好きは持っていていいのかもしれません。三島社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

