「外を伸ばすなら、中も伸ばさないと。」株式会社シンビシン・宇多社長が語る、売上21億円までの事業と組織づくり 

テレビ番組の裏方からキャリアを始め、広告代理店でマーケティングを経験。その後、美容業界へ入り、30歳で独立した株式会社シンビシンの宇多淳社長。

最初に立ち上げた美容商社を売上5億円まで成長させたのち、現在のシンビシンを設立しました。現在は約10万点の商品を扱い、前期の売上は21億円。美容室やエステサロンなどに、さまざまな美容商材を届けています。

一見すると順調に事業を伸ばしてきたように見えますが、その裏では、8,000万円分の商品が納品直前にキャンセルされたり、大型イベントの成功によって社内に負荷が集中し、一度に4人が退職したりしたこともあったそうです。

それでも宇多社長は、「常に前向き」と話します。

なぜ30歳で独立できたのか。売れる仕組みをどう作ってきたのか。そして、事業が大きくなる中で、組織や人材について何を学んできたのか。これまでの歩みと、シンビシンで働く面白さを伺いました。

お話を伺った人

株式会社シンビシン

代表取締役 宇多 淳

大学卒業後、テレビ番組の美術制作に携わり、その後、広告代理店で折込広告を中心としたマーケティングを経験。美容室向け顧客管理システムを扱う会社への転職をきっかけに美容業界へ入り、30歳で美容商社を設立。売上5億円まで成長させたのち事業を譲渡し、株式会社シンビシンを立ち上げる。現在も自ら美容室やエステサロンに足を運び、現場のニーズを聞きながら事業を展開。

目次

「自分のやりたいようにやりたかった」が、独立の一番の理由

編集部

まず、宇多社長が今のお仕事に至るまでの経歴から伺ってもいいですか?

宇多社長

大学を卒業して、最初に就いた仕事はテレビの裏側でした。テレビ番組を作る美術制作チームにいて、大阪の読売テレビさんで番組制作の裏方をやっていたんです。僕、なぜか学生の頃から「テレビの最後のクレジットに自分の名前を載せたい」と思っていたんですよ。それが2年くらいで叶ったんです。

編集部

かなり具体的な目標ですね…!しかもそれを叶えるまで、たった2年。すごいですね…!

宇多社長

マスコミだけじゃなくてマーケティングにも興味があって、その後は毎日新聞系の広告代理店に入りました。折込広告を入れるなら、どの地域が一番適しているのかを考えるような仕事ですね。そのときのお客様でもあった美容室のオーナーさんやスタッフさんと接したり、店舗で待っている間に店内を見たりしているうちに、「美容業界って気持ちのいい業界だな」と思うようになりました。お客様も笑顔ですし、面白いなと。

編集部

そこから、美容業界に興味を持たれたんですね。

宇多社長

はい。それで次に、美容室向けの顧客管理システムを売る会社に入ったんです。なんとかそのシステムを売るために、まず店舗の気持ちをつかもうと思って、美容商材のことだったり、お客様を増やす方法だったりを勉強しました。そうしているうちにメーカーさんから、「それだけ知識があるなら独立して商社をやったら」と言っていただくようになったんです。

編集部

それもあって、30歳で独立されたんですよね。

宇多社長

そうなんです。迷いがなかったわけではないですけど、当時は、一番は自分のやりたいようにやりたかったんですよね。お客様にも「宇多さんならやれるよ」と言っていただいて。自分では自信がなくても、周りがそう言ってくれるなら、自信を持って進もうと思いました。結婚したばかりでしたけど、妻も反対せず、僕を信じてくれましたね。

売りに行くのではなく、「欲しい」と言われる商品を先に押さえる

編集部

独立してからは、かなり早い段階で売上が立ったんですか?

宇多社長

そうですね。最初に立ち上げた会社は、1年目で1億円くらいまでいきました。当時、美容室ではまだ手軽にできるものではなかった育毛・発毛のメニューを提供できる商材が出てきて、それを全国にかなり販売しましたね。

編集部

1年目で1億円はすごいですね。どうやって販売を広げていったんですか?

宇多社長

もともと顧客管理システムを売っていたときに、「売れない」「新規が取れない」「飛び込みをしたくない」という経験をかなりしていたんです。だから、なんで売りに行かないといけないんだろう。だったら、相手が欲しいものを持って待っている状態を作ろうと考えました。もともとマーケティングをやっていたので、当時まだ今ほど一般的ではなかったSEOにも力を入れました。扱っている商品を検索したときに、メーカーより上に出るようにしたり。それから、一歩先のトレンド商品を見つけて、先に権利を押さえるというやり方もしてきました。

編集部

なるほど。自分たちが売りたいものを持っていくというより、「これから求められそうなもの」を先に見つけておくんですね。

宇多社長

そうですね。今のシンビシンでも、扱っている商品は10万アイテムくらいありますけど、その大半は店舗さんから「こういう商品ありませんか?」と問い合わせをいただいたものなんです。海外で流行っているものだったり、「あのサロンで見た商品はないですか?」だったり。そういう声をずっと聞いていると、「これは広がりそうだな」「これは難しそうだな」というのも、ある程度見えてくるようになります。

編集部

そういう情報って、普段どこから集めているんですか?

宇多社長

美容室でもエステでも、店舗のお客様のところにも自分で足を運んでいます。商材を提案したり、「今はどんなものが欲しいですか」と聞いたり。現場から上がってくるニーズは、やっぱりすごく大事です。

編集部

実際にお客様のところへ行って、直接聞いているんですね。

宇多社長

そうですね。そういう声を聞いているからこそ、次に求められるものも見えやすくなるんだと思います。

8,000万円の在庫と、4人の退職。「外を伸ばすなら、中も伸ばさないと」

編集部

ここまでのお話だと、かなり順調に伸びてきたようにも見えます。逆に、「これはまずかった」という経験もありましたか?

宇多社長

もちろんあります。シンビシンを立ち上げて3年目くらいの頃ですね。中国から日本に来て、ドラッグストアなどで商品を大量に買う動きがすごく盛んだった時期がありました。それで、ある商品を「大量に欲しい」という話があって、8,000万円分仕入れたんです。

編集部

8,000万円分……!

宇多社長

それが、納品直前に「いらない」と言われたんですよ。会社にプールしていたお金が、全部その商品の在庫に変わってしまいました。でも、ほかの商品も仕入れ続けないと、普段取引してくださっているサロンさんの信用を失ってしまう。だから母親にお金を借りたり、半分くらいは値段を下げたりしながら、最終的にはなんとか現金化しました。

編集部

えっと、その取引先とは、当然そこで関係は断ち切られたんですよね…?

宇多社長

それが、今も取引させていただいてるんです。契約書はありましたけど、うまくいっているときの人間関係を信じて、先にお金をもらわなかったのは自分ですから。だから、そうなったことも全部、自分の責任だと思ったんです。お互いに言い合っていると悪い縁も生まれるし、悪い噂も立つ。美容業界って狭いので、僕はこの業界でずっと仕事をしていきたかったんですよね。

編集部

かなり大きな出来事なのに、その後も付き合いを続けられるのはすごいです。

宇多社長

性格的に前向きなんでしょうね。「よくそんなに前向きでいられますね」と言われます。悪く言えば、楽観的すぎるのかもしれないですけど(笑)。

編集部

ほかにも、今振り返って印象に残っている出来事はありますか?

宇多社長

ありますね。弊社は2021年頃から、ライブコマースにかなり早く入っていたんです。2022年には「BAコレクション」というライブコマースの日本一決定戦を、僕らがメインスポンサーとして開催しました。当時はまだライブコマース自体、それほど知られていなかったんですけど、結果的に2,600件くらいの注文が入って、売上が1,500万円くらいになったんです。

編集部

おぉ…!大成功じゃないですか。

宇多社長

売上だけを見るとそうなんです。でも、そのしわ寄せが購買部に全部いってしまいまして。大量の注文が一気に入って、対応が大変すぎて、スタッフが4人辞めてしまったんですよ。そこで反省しましたね。いくら売上が立っても、内部がしっかりしていなかったらダメなんだと。外を伸ばすなら、中も伸ばさないといけない。

編集部

売れなかったことで苦しんだ経験もあれば、今度は売れたことで会社の中に負荷がかかってしまったんですね。

宇多社長

そうですね。人がいなかったので、しばらく僕自身が購買部をやりましたね。でも、だからこそ改善できるところにたくさん気づけたんですよ。手作業でやっていたものを仕組みに変えたりして。その結果、今は以前より多くの注文に対応できるようになっています。

編集部

事業を伸ばすだけではなく、それを支えられる組織まで一緒に作ってこられたんですね。

宇多社長

そうですね。いろいろありましたけど、そういう経験も含めて、僕は恵まれていると思っています。常に、前向きですね。

営業未経験でもいい。「なぜ必要なのか」から教える

編集部

今は採用もかなり強化されているんですよね。

宇多社長

そうですね。EC事業部で人が欲しいですし、営業も各拠点で採用したいと思っています。それから、新しく販売戦略のような部署も作りたくて、マーケティングができる方も欲しいですね。

編集部

中でも営業職は経験がなくてもチャレンジさせてもらいやすいイメージがありますが、実際のところどうなんでしょうか。

宇多社長

美容に興味があって、明るく楽しくやってみたいという気持ちがあるなら、営業経験がなくても採用していますよ。実際に、未経験で入っている人もいますね。

編集部

でも、扱う商品が10万点もあると、覚えるだけでも大変そうです…。

宇多社長

全部の商品を一個ずつ覚えようとすると、確かに大変です。だから未経験の方には、まず人間の身体の構造から教えています。例えば皮膚がどういう構造になっていて、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンがどう関わっているのか。それがわかれば、「この成分が入っている商品は何のために使うものなのか」が理解できます。メーカーごとの違いは、その上にある付加価値として覚えていってもらえたら。

編集部

商品名を丸暗記するのではなく、まず仕組みから理解するんですね。

宇多社長

そうです。「なぜこれが必要なのか」を教えると、割と早く成長してくれます。営業もノルマは設けていませんし、むしろ「物を売らなくていい」と言っています。何のために使う商材なのかをきちんと説明して、必要としている方に提案できれば、無理なく買っていただけますから。

編集部

宇多社長が見ていて、営業として実際に活躍している方には、どんな共通点がありますか?

宇多社長

自分に自信があるところですね。「この商品はいい」と自分でも使って確かめた上で、はっきり言える人。それから、積極性がある人です。営業は、待っているだけではなかなか売れません。「いい商品があるので、時間があったらどうですか」「ぜひ来てください。いろいろ見られますよ」と、自分からお客様をリードできる人の方が合っていると思いますし、結局、物だけで売れているわけではないんですよ。人が話して、人が売っている。美容業界は特に人に依存する仕事だと思っています。

編集部

ちなみに、美容業界だからこそ、身だしなみも重視されてたりするんでしょうか。

宇多社長

見た目がかっこいいとか、体型がどうとかは関係ないです。僕が見るのは清潔感ですね。美容業界に関わる以上、自分をきちんと整えようとしているか。それは大事だと思っています。

「美容で日本を盛り上げよう」。美容を、もっと広い場所へ届けたい

編集部

最後に、これからシンビシンをどんな会社にしていきたいですか?

宇多社長

前提として、僕らは「美容で日本を盛り上げよう」という言葉を持って仕事をしているんですね。

編集部

美容で日本を盛り上げる、ですか?

宇多社長

はい。例えば、美容商材を使うことで、自分に自信が持てる人っていると思うんですよ。それから、せっかく美容業界でキャリアを身につけても、結婚や出産などで一度離れざるを得ない方もいる。そういう人が、もう一度働ける環境も作っていきたいです。40代、50代になって「もう美容は卒業した」と自分で決めてしまう人にも、美容商材を通じてもう一度自信を持ってもらいたいですね。

編集部

美容業界の中だけではなく、美容を必要とする人そのものを広げていきたいということですね。

宇多社長

そうですね。いま美容業界にいる人だけをお客様にするのではなくて、もっといろいろな業界に飛び込んで、美容の知識を活かせる場所を増やしていきたいと思っています。ライブコマースも、その一つでした。メーカーさんが持っているいい商品や情報を、僕たちがもっと広いところへ届けていく。その役割は、これからもっと大きくしていきたいですね。

編集部

テレビの裏方から始まり、マーケティングを経て美容業界へ。現場の声を聞きながら事業を伸ばす一方で、8,000万円分の在庫を抱えた経験と、売上が急増したことで組織に負荷をかけた経験、その両方をしてきた宇多社長。 そこで生まれた「外を伸ばすなら、中も伸ばさないと」という言葉は、今のシンビシンの人材育成や、これからの組織づくりにもつながっています。商品を届けるだけではなく、人を育て、美容の知識が活かされる場所そのものを広げていく。「美容で日本を盛り上げよう」という言葉には、そんな宇多社長のこれからの構想が込められているように感じました。宇多社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。

株式会社シンビシン_採用情報

目次