「頑張らなくていい。楽しんでいたら、勝手に頑張るから」18歳でイギリスへ渡った株式会社Dorset・福森社長が語る、自分らしい生き方

高校時代にプロのウェイクボーダーとして活動し、18歳でイギリスへ渡った株式会社Dorsetの福森滉大社長。
現地では英語が思うように通じず、慣れない生活に苦労しながらも、約2年間ホテルで働き、帰国前にはオーナーから正式な就職の誘いを受けるまでになりました。
その経験をきっかけに立ち上げたのが、留学・ワーキングホリデーのサポート事業です。現在は23歳にして同社の代表取締役を務め、渡航前の準備から現地での生活まで、海外に挑戦する人たちを支えています。
そんな福森社長が、仕事でも人生でも大切にしているのは「ワクワクし続けること」。
今回は、福森社長のこれまでの歩みから、海外挑戦を支える事業の特徴、そして将来の進路に悩む若い世代へ伝えたいことまで、詳しくお話を伺いました。
株式会社Dorset
代表取締役 福森 滉大
高校時代にプロのウェイクボーダーとして活動し、18歳でイギリスへ渡航。現地の語学学校に通った後、ホテルで約2年間勤務。帰国後は、自身の経験や現地で築いたつながりを生かし、留学・ワーキングホリデーのサポート事業を立ち上げる。現在は株式会社Dorsetの代表取締役として、海外挑戦に向けたコーチングや、コミュニティ機能を備えた「Nestory 留学エージェント」を展開。
プロのウェイクボーダーとして活躍した高校時代。18歳で海外へ渡った理由
編集部福森社長は現在、留学やワーキングホリデーを支援する会社を経営されているとのことですが、もともと海外で仕事をしたいという希望があったのでしょうか?



最初から今のような仕事を考えていたわけではないんですよね。というのも僕、高校生の頃はウェイクボードというスポーツをやっていて、プロとして活動していたんです。



ウェイクボードって、どんなスポーツなんでしょう?



船に引っ張ってもらいながら、水の上をボードで滑るスポーツですね。ジャンプしたり、空中で回転したりもするんですよ。高校生の頃は大会や練習で海外に行く機会もあって、そのときに外国の人と交流したり、英語で話したりするのがすごく面白かったんです。





高校生ですでにプロとして活動されていたって、すごいことですよね。そのまま競技を続ける道もあったのかなと思うのですが…。



高校3年生の春に、貧血で倒れたときに顎を骨折して、1か月くらい入院したんです。そのときに、これからどうしようかなっていろいろ考えました。ウェイクボードは好きだし、海外でも活動したい。ただ、かなりマイナーなスポーツなので、それだけで生きていくのは難しいなとか…。じゃあ大学に行こうかと考えても、あまり興味がなくて。高校時代はウェイクボードばかりやっていましたから、学校も出席日数がギリギリでしたしね(笑)。



大学進学はあまりしっくりこなかったんですね。それで、卒業後はどうしようと考えたんですか?



海外には行きたかったので、何か方法がないかなと探していたんですよ。そこで見つけたのが、ワーキングホリデーでした。現地で働けるし、大学に留学するより費用も抑えられる。これしかないなと思ったんです。最終的にはイギリスに行くことになったんですけどね。



行き先としては、最初からイギリスを希望されていたんですか?



いや、実はもともとオーストラリアのパースに行く予定だったんです。エージェントにもお願いして、1年くらい準備したんですけど、ちょうどコロナの影響で入国できなくなってしまって。どうしようかなと思っていたら、エージェントからイギリスのワーキングホリデーを紹介されたんですよ。当時は抽選制で、当たれば行けるという話でした。



それで、実際に応募されたんですね。



そうです。無料だったので、とりあえずやってみようと思ったら、まさかの当選で(笑)。当時は7〜8倍くらいの倍率だったんですよ。正直、イギリスには特に興味がなかったんですけど、周りの友達は大学に進学したり、就職したりしているわけじゃないですか。自分だけ日本でフリーターをしている時間が、なんだか悔しかったんですよね。それなら、今すぐ行けるイギリスに行こうと。それで渡航を決めました。
「英語を話せると思っていたのに、全然わからなかった」。イギリスでの経験が起業のきっかけに





イギリスでは、どんな生活を送っていたのでしょうか?



最初の3か月は語学学校に通って、その後はホテルで2年近く働きました。ただ、行ってみたら想像と全然違いましたね。



何が一番大変だったんですか?



英語ですね。ウェイクボードで海外に行っていたので、自分ではわりと話せると思っていたんですよ(笑)。でも実際は全然通じなくて。言葉も文化も違いますし、精神的にきつい時期もありました。



途中で帰国しようとは思わなかったんですか?



英語を話せないまま帰るのは嫌でしたね。もう、プライドです(笑)。それで何とか続けていたら、帰国前にはホテルのオーナーから正式に就職しないかと誘っていただけたんです。すごくうれしかったですね。



そこまで信頼されるようになったんですね。ちなみに、そのホテルの仕事はどうやって見つけたのでしょう?



僕がいたボーンマスは、イギリスのドーセットという地域にあるんです。そこに、ワーキングホリデーで来た人へ仕事を紹介するプログラムがあって、僕も利用した形ですね。ただ、帰国する頃にそのプログラムが終了することになってしまって。



ご自身も利用していたプログラムが、なくなることになったんですね。



そうなんです。もったいないと思って、現地の語学学校のオーナーに「学校で引き継いでみませんか?」と提案したら、賛成してくれたんです。そこで、英語だけでなく、現地の仕事に必要な知識も学べるプログラムをつくることになりました。でも、日本にいる人に知ってもらわないと利用してもらえませんよね。それで僕が留学エージェントを始めることになったんです。



今度は福森社長ご自身が、現地の語学学校と一緒に事業を始めることになったってことですよね? もともとは紹介してもらう側だったのに、すごい展開ですね。それに、ドーセットという地名は、現在の株式会社Dorsetという社名の由来にもなっているんですね。



そうですね。僕自身、渡航前に現地の手続きや生活について十分に知らなくて、いろいろ苦労したんですよ。だから、語学学校やビザの案内だけではなく、海外で自分の力で生活できるようになるところまで支えたいと思ったんです。
英語力だけじゃない。海外で働くために大切な準備とは





現在は、具体的にどんなサポートをされているのでしょうか?



留学やワーキングホリデーに向けたコーチングですね。最初はイギリスのボーンマスから始まって、ロンドンにも広がり、今は10か国ほどを対象にしています。



先ほど、最初の3か月は語学学校に通っていたとおっしゃっていましたが、それくらい勉強すれば現地で働けるほど英語が上達するものなんですか?



いえ、誰しも3か月でそこまで上達するわけではないですよ。ただ、仕事を見つけるときって、英語力だけじゃないんです。僕はパーソナリティがすごく大事だと思っています。



パーソナリティというと、人柄やコミュニケーションの部分ですか?



そうです。例えば、日本語がすごく上手な外国人の方と、日本語はまだつたないけど、明るくて一緒に働くと楽しそうな方がいたら、どうでしょう? 僕は後者のような人も十分に選ばれると思うんです。海外では、そういう部分を見てもらえることが多いと感じましたね。



なるほど。では、英語を勉強する以外に、渡航前から準備しておいた方がいいことはありますか?



まず、仕事で必要になる英語表現は日本にいるうちから学べますよね。それから、現地に着いたらすぐ働こうとするのではなく、最初の3か月くらいは生活に慣れる期間として考えてほしいんです。家を探したり、銀行口座を開設したり、SIMカードを用意したり。知らない国で生活を始めるだけでも、やることがたくさんありますから。



その間に語学学校へ通いながら、仕事探しも進めていくんですね。



そうです。それと、語学学校には英語を学ぶ以外にも大切な役割があるんですよ。現地で友達をつくったり、困ったときに相談できる人と出会ったりすることです。僕自身、周りの人に助けてもらったので、最初のうちにそういうつながりをつくっておくことをおすすめしていますね。
海外での経験を、次の誰かへ。コミュニティ「Nestory」に込めた思い





そうした人とのつながりを大切にしたいという思いから、新しいサービスも始められたそうですね。



海外に挑戦する人たちが交流できる「Nestory」というアプリです。もともと「F planning」という名前で留学エージェントをやっていたんですけど、そこにコミュニティの仕組みを加えたんですよ。



具体的には、どんなことができるんですか?



これから海外に行く人も、現地にいる人も、帰国した人も、チャットや投稿を通じて情報交換できるんです。ほかにも、仕事で使える英語教材やレッスン、交流イベントなどを用意しています。



なるほど。ただ、海外では日本人同士で集まらない方が英語の勉強になる、という話も聞きますよね。



そうですね。でも、日本人と一切関わらずに生活するのも現実的ではないと思うんです。もちろん、英語を使う機会は大切です。ただ、海外で困ったときに、同じ経験をしている仲間に相談できたら心強いじゃないですか。そういう助け合いができる場所にしたいんですよ。



確かに、慣れない海外生活では、相談できる相手がいるだけでも安心できそうですね。



実は…、サポート生に対してちょっと寂しかったというのもあるんですよ(笑)。渡航までサポートした方たちは、僕にとってファミリーみたいな存在だったんです。でも、海外に行った途端、連絡が少なくなっちゃって。



あら、それはちょっと寂しいですね(笑)。



そうなんですよ(笑)。でも、連絡してみたら、みんな現地で楽しく過ごしていて。それはもちろんうれしかったんですけど、せっかくなら渡航後もつながっていたいなと思ったんです。それに、僕がサポートした方同士も、それぞれの経験を共有できたらいいなって。だったら、みんなが集まれる場所をつくろうと考えました。



そういうきっかけだったんですね。ちなみに「Nestory」という名前には、どんな意味があるのでしょうか?



「ネスト」は英語で鳥の巣という意味で、そこに「ストーリー」を組み合わせました。みんなが集まれる場所があって、そこからそれぞれ海外へ飛び立っていく。そして、現地での経験を持ち帰り、次に挑戦する人へつないでいく。そんな場所にしたいんです。
「頑張らなくていい。楽しんでいたら勝手に頑張るから」。自分らしい人生の選び方



ここまでお話を伺っていると、福森社長はそのときどきで興味を持ったことに挑戦してこられたんですね。そうした中で、人生や仕事を選ぶときに大切にしていることはありますか?



僕がずっと大切にしているのは、ワクワクし続けることなんです。何者かになりたいと思って行動したこともないですし、起業したかったわけでもない。ただ、できるだけストレスを少なくして、人生を振り返ったときに「楽しかったな」と思えるようにしたいんですよ。だから、就職でも起業でも、本人が幸せならどんな生き方でもいいと思っています。



ただ、自分が何をしたいのかわからないという方もいますよね。そういう場合はどうすればいいのでしょうか?



僕たちのサポートでは、最初に「ウィッシュリスト」を書いてもらうんです。人生でやってみたいことを、最低100個くらい。



100個ですか! 例えば、どんなことでもいいんでしょうか?



何でもいいですよ。行きたい国でも、気になるお店でも、読んでみたい本でも。僕も小学生の頃から続けていますけど、書き出すことで自分の興味が見えてくるんです。実際に、行きたい国や将来の目標が変わる方もいますね。



自分のやりたいことが見つかったら、次はどうすればいいんでしょうか?



僕は「頑張らなくていいよ」って言っているんです。楽しんでいたら、勝手に頑張るから。本当に好きなことなら夢中になれるじゃないですか。だから、無理に誰かの真似をする必要もないと思っています。



とはいえ、失敗が怖くて、なかなか一歩を踏み出せない方もいると思うんです。



最初から考えすぎなくてもいいんじゃないかな。まずは当たって砕けるくらいの気持ちで、やってみればいいと思います。それでもし合わなければ、次の道を選べばいい。ただ、ちょっとやっただけで諦めてしまうのはもったいないので、挑戦したからには、まずはしっかり向き合ってみてほしいですけどね。



今日のお話を伺って、福森社長が大切にされている「ワクワクし続けること」の意味が伝わってきました。最初から将来の目標が決まっていなくても、自分の興味をきっかけに行動してみる。福森社長も、思いがけず渡ったイギリスでの経験が、今の仕事へとつながっていきました。もちろん、好きなことを選んだからといって、苦労がなくなるわけではありません。それでも、心から面白いと思えることなら、困難にぶつかっても夢中になれるのかもしれませんね。「頑張らなくていい。楽しんでいたら、勝手に頑張るから」この言葉には、無理に誰かの理想を追いかけるのではなく、自分が楽しめる道を見つけてほしいという思いが込められているように感じました。今はまだ、やりたいことがわからなくても、まずは小さな興味から一歩踏み出してみる。その先に、想像もしていなかった未来が待っているかもしれません。福森社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。

