「組織の歯車になりたくない、と強く思っていました。」株式会社イーソーコ総合研究所・出村代表が、29歳の転職でたどり着いた”喜びもお叱りも、ダイレクトに感じられる”仕事

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株式会社イーソーコ総合研究所の出村亜希子代表は、新卒で入った建設会社で、現場を支えるバックオフィス部門を担当していました。「私のこの仕事が、最終的にお施主様の喜びと社会貢献につながっているんだ!というやりがいは感じつつも、次第に自分自身でも直接お施主様と接してみたい、という想いが広がってきて」。
今は、使われなくなった倉庫をオフィスやスタジオに作り替える会社の代表として、建物のオーナーと直接やり取りをしています。
今回は、バックオフィス部門だった出村代表に、倉庫の仕事にたどり着くまでと、今そこでしていることを、じっくり伺いました。読み終わる頃には、次が決まっていなくても、動いてみていいと思えているはずです。
株式会社イーソーコ総合研究所
代表取締役 出村 亜希子
大学・大学院で住環境を学び、新卒で建設会社に4年あまり勤務。29歳でイーソーコグループに入社し、使われなくなった倉庫をオフィスやスタジオへ作り替える事業を担当。2015年に株式会社イーソーコ総合研究所の代表取締役に就任。現在は建物のオーナーに寄り添う”倉庫ドクター”として、建物の診断から改修、借り手探しまでを支援。
自分自身で実感することは、少なかったんです

編集部今は倉庫を作り替えるお仕事をされている出村代表ですが、新卒で入られたのは、建設会社だったと伺いました。そこではどんなことをされていたんですか?



大学で住環境を学んでいたので、建築の分野ですね。そこに4年あまり勤めました。1つの職種に固定されない会社で、経理から、広報、秘書、不動産企画までいろんな経験をさせてもらえたんです。



1つの職種に固定されない会社。面白いですね。でも、そこから離れることを選ばれました。何が引っかかっていたんでしょうか?



実際のところ何が理由か、当時、自分でもよく分からなかったんですよね。サービスの社会的役割には誇りを感じていて、やりがいは大きかったんですが…。ただ、今から思えば、自分自身でお施主様のお声を伺うことはほとんどなかったんですね。後付けですが、私はそういうのを求めていたのかもしれない。



何でしょう。30才を前にした焦りというのもあったんでしょうか?



そうですね。29歳の“あるある”ではないかと思うんですけど、人生に悩んでいましたね。次を決めずに出てしまったので、そこから転職期間が半年以上あったんです。



半年以上…!次が決まらないまま、というのは不安が大きそうです。その間は、どう過ごされていたんですか?



花屋さんで母の日のフラワーアレンジメントをつくるアルバイトをしたり、合宿で運転免許を取ったりしながら、「自分は何が好きなんだろう」と自分探しをしていました。「住環境を学んできたから建築系だろうと思っていたけど、本当に好きなのかな。まだいろんな可能性が開かれているはず。完全にフラットな状態だったら、私は何をしたいだろう。自分の力をしっかり発揮できて、人に喜ばれるもの=“天職”を見つけたい!」という気持ちで。ですが、意外に自分のことは分からないもので、いくら考えても納得する答えには辿り着かなかったんですよね。そうそう、この期間には、登録派遣で倉庫でのアルバイトも経験したんです。倉庫って、それまでは、田舎の家にある納屋みたいなイメージしかなかったんですけど、初めてこういうものなのかと知りましたね。
ついでに受けた、みたいな感じでした



何がしたいんだろう、と考えながらの半年。そこから、東京に出られたんですよね。何か当てがあってのことだったんですか?



先に東京に出ていた友人がいたんです。ずっと誘われていたので、とりあえず私も東京に行こうと思って。



まずは、場所を決めた…。思い切った順番ですね。



はい。細かいことは考えていませんでしたね。自分探しの期間が長くて、貯金も減っていたので。東京で働く会社を決めて、家の礼金や敷金を払ったら、ぴったり一文なし。間一髪でした(笑)。



仕事のほうは、どうやって探されたんですか?



転職サイトで探すんですが、どのカテゴリでもピンとこなくて。雑誌でも商品・サービスでも、日々の生活の中で心が動くものを提供している会社を調べたりしました。単純にお花が好きだから花屋さんがいいかなとか、企画が好きだから福利厚生の企画会社はどうかなとか。半年で5社くらいの応募だったと思います。時間かかりすぎですよね。



結構なこだわりですね。今の会社とはどう出会ったんですか?



イーソーコは転職サイトでたまたま見つけたのですが、“倉庫”という切り口が変わっていたので、面白そうだなと。ついでに受けた、みたいな感じでした。あと、最後は勢いです(笑)。



ついでに…!そこが、今の会社なんですね。



たまたま建築士を取っていたので、それで会社の方の目に留まって、ご縁があったという形です。建築から離れてもいいと思っていたのに、グインと曲がって建築に戻ってきた感じでした。



入られてみて、倉庫の仕事はどう見えましたか?



新しい世界で新鮮でしたね。物流の変化で使いづらくなった倉庫を、オフィスやスタジオに作り替えるという事業なんですが、倉庫の空間は、天井が高くて広い。とっても魅力的なんです。長く物流で使われてきた倉庫のインダストリアルな雰囲気も、味があってかっこいいんですよ。建物のこれまでの役割や歴史を踏まえて、どう活用されたら良いだろう、と考えを巡らすことは本当に楽しいですね。
内装がない、がらんどう



ただ、倉庫と聞くと、わーっとただ広い空間に荷物が積んである一般的な倉庫しか思い浮かびません…。



まさにその、内装がない、がらんどう。それこそが、どのような内装にも作り替えられる土台が整っている、という意味では大きな特徴だと思います。高く積んで保管している倉庫だと天井が高いですし、ほかの建物よりも広い。コンクリートの打ちっぱなしの場合は、その仕上げがない分、自由に中を作り込むことができるんです。





なるほど、内装がない分、どんな空間にもできる。それは面白いですね。普通のビルだと、そうはいかないんですか?



ビルのルールが細かく決まっていたりして、できることが限られるんです。凝ったオフィスにしたいという要望をいただいた時に、がらんどうだからこそ、というところを喜んでいただくことは多いですね。



それは面白い…!ブランコやモニュメントを置きたい、凝ったオフィスにしたい、というご要望は、私も聞いたことがあります。それだけ自由なら、何でも入りそうですもんね。



そうなんです。フットサルやバスケットのコートに改修した事例もあります。コートの大きさや天井の高さがルールで決まっているので、結構な広さが要るんですけどね。最近だと、冷凍冷蔵の倉庫に作り替えたいというご相談も増えていますね。



冷凍冷蔵の倉庫というと、またイメージが違いますね!普通の倉庫とは、結構作りが違うのでは…?



最近は、建築費がすごく高くなっているので、新築で建てても収支が合わないということがあるんです。ただ、常温の倉庫でも要件を満たしているものであれば、費用を抑えながら冷凍冷蔵に改修できる場合があるので。冷凍食品の品質も良くなっていますし、需要は高まっていますよ。


組織の歯車になりたくない、と強く思っていました



オフィスにも、スポーツ施設にも、冷凍冷蔵倉庫にも変わる。持ち主の方には、どういう思いで関わっていらっしゃるんですか?



弊社では“倉庫ドクター”と呼んでいますが、これは借りる側ではなく、オーナー様に向けた言葉なんです。弊社は老舗の倉庫会社にルーツがあって、全国の同業の方々とのつながりを持たせていただいています。物件が老朽化したり、以前のような形では使われないことも増えてきた中で、オーナー様に寄り添ってアドバイスできる立場でいたい、と思っています。



作り替えることだけをすすめる会社ではないということですね。



そのままの使い方で、良い借り手がついて安定的な収益が得られるなら、それが一番なんです。建物の診断や修繕、改修工事のお手伝いもしますし、借り手を探すところでお役に立つこともあります。



そうやって関わっていく中で、出村代表が「嬉しい」と感じるのはどんなところですか?



オーナー様と直接やり取りをさせていただいて、喜びもお叱りも、ダイレクトに感じられるところですね。あとは、案件の内容が全て異なるので、業務自体も全然違ったものになってくるんです。どれも大変ではあるんですけど、毎回面白いというのはあると思います。



喜びもお叱りも…!お叱りはできれば受けたくない気もしますが…。代表に就かれた時のことも、聞かせていただけますか?



当時の代表が別の事業に注力することになったり、上司も何かしら離れることになったりですとか…。その中で、たまたま声がかかった、というくらいじゃないかと思うんですけれど(笑)。



たまたま、とおっしゃいますが…。



代表になる直前には、実家に帰ってお墓参りにも行きましたね。やる気はあっても結果を出せるだろうか、と不安でしたし。そこで、覚悟を決めました。



お墓参りまで行かれたんですね。つかぬ質問ですが、代表になられてから、うまくいかないことや苦しい時期もなかったわけではないと思うんです。そんなとき「辞めたい」と考えたことってなかったですか?



それは、ないですね。新卒の就職活動の時から、組織の歯車にはなりたくない、と強く思っていました。全体の仕事の中で、自分が何のために何をしているんだか分からないような感じが、あまり好きではなかったんです。その意味では、今、まさにやりがいのある仕事をさせていただいていると実感しています。
無駄なことは、なかったんだなって



組織の歯車にはなりたくない、という気持ちが出発点。そういった働き方についての考え方は、何かグループ全体で共有されているものなんですか?



弊社では、“ワークライフハーモニー”という言葉を使っています。仕事とプライベートを区別するのではなく、調和・融合させていくことを目指す考え方です。



ワークライフバランス、ではなくワークライフハーモニーなんですね。



そうなんです。やはり好きなことを仕事にするのが一番幸せだと思うんですよね。お金を稼ぐために時間を切り売りするのでは人生勿体ないですから。私自身は、仕事を趣味のように楽しむタイプだったので、仕事を通して自己実現を図ってきたように思います。皆、会社の事業に共感するところは共通しつつ、多様な働き方が選択できる「5車線」の制度もあって、多様なメンバーがお互いに尊重しあって良い仕事ができたらと思っています。





入社した方は、どんなふうに力をつけていけるんでしょう?



グループには倉庫も、不動産も、建築も、管理の部門もあって、ジョブローテーションでさまざまな業務を経験できるんです。取った資格も、積んだ経験も、全部が自分の力になる。総合力を身につけた唯一無二の存在になれますよ。



ちなみに、新しく入った方でも、いろんな仕事を任せてもらえるものなんですか?



はい。例えば、インターンシップの企画運営やSNSの発信などは、若手メンバー中心でやっていて、裁量の大きなところはあると思いますね。



では、御社に来ていただきたいのは、どんな方でしょう?不動産や内装・建築の経験は、重視されていますか?



未経験でも全然大丈夫です。一番は、弊社のやっている倉庫の事業が面白いなと思えることが大事かなと。好奇心が旺盛で、担当部門以外の業務も今どんなことをしているか知りたい、と思える方ですね。



未経験でも入口があるんですね。最後に、今の経験が次につながるのか不安だと感じている方に、何か伝えたいことはありますか?



私自身、いろんな業務をやってきたんですけど、その時は遠回りしているような気もしたんです。でも、前職でやっていた仕事が、今の仕事にそのまま生きていたりする。全部が今につながっている、無駄なことはなかったんだなって思うんです。



遠回りに見えた道も、全部が手元に残っていた。”ついでに受けた会社”で、今は代表です。”喜びもお叱りもダイレクトに感じられる場所”は、そうやって見つかることもあるんですね…。出村代表、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。



