営業職はAIでなくなる?AI時代の市場動向と代替リスクの高い業務を解説

営業職はAIで本当になくなるのか、結論から言うと営業職全体は消えませんが、テレアポと定型営業に偏った方は5年以内に確実に厳しくなります。経済産業省「DXレポート」が示す通り、企業のDX投資は拡大し続けています。対人折衝を伴う営業職は引き続き人材需要が高い職種です。
テレアポやインサイドセールスなど定型営業は、AIによる代替リスクが高い分野にあたります。一方、BtoB大型法人営業やコンサル営業は、人間の判断が必要なため市場価値が維持されます。営業職は二極化しており、立ち位置を選び直すことで武器になるスキルです。
この記事では、営業職の現状データ、AI代替リスクの高い業務と低い業務の見分け方、AI時代に強い営業職になる3ステップを解説します。さらに、営業経験を活かせる他職種までを当社キャリアアドバイザーの視点で見ていきます。

結論|「営業職はAIでなくなる」の真偽を、データで読み解く
「営業職はAIに置き換わってなくなる」という不安は、ニュースやSNSで頻繁に流れます。ただし、根拠となるデータを正確に読み解くと、「営業職そのものがなくなる」のではなく、業務内容によって代替リスクが大きく異なるのが実態です。まずは2015年に発表された代表的な研究を確認します。
2015年 野村総研×オックスフォード大学 共同研究の概要
- 発表:2015年12月/株式会社野村総合研究所
- 共同研究者:英オックスフォード大学 Michael A. Osborne博士・Carl Benedikt Frey博士
- 主旨:国内601種類の職業について、AI・ロボット等による代替可能性を試算
- 結果:日本の労働人口の約49%が10〜20年後に技術的な代替可能性がある
- 注意:この研究は「技術的に代替可能か」を試算したものであり、「実際に職業が消失するか」を予測するものではない
【参考】野村総合研究所|日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(2015年12月)
同研究では、創造性・社会的知性・複雑なコミュニケーションを求められる職業ほど代替されにくいとされており、営業職全般はこの「代替されにくい側」に近いとされる一方で、テレアポ・既存顧客への定型案内・データ入力中心の業務は代替リスクが高い領域とされています。
総務省「情報通信白書」の見方
総務省が刊行する「情報通信白書」でも、AIによる職業の変化について複数年にわたり考察がまとめられています。代替リスクの高低は「業務内容の定型性」「人と人の信頼関係構築の度合い」「裁量の幅」で大きく変わるという視点が共通して示されています。
【参考】総務省|平成30年版 情報通信白書|職業の変化
営業職の現状をデータで見る|AI時代の市場動向
営業職の求人動向は、AIの普及後も底堅く推移しています。厚生労働省の「一般職業紹介状況」では、職業別の有効求人倍率が定期的に公表されています。対人折衝が必要な職種は引き続き人材需要が続いています。
【参考】厚生労働省|職業紹介状況(一般職業紹介状況)
背景には、企業のDX投資の拡大があります。経済産業省は「DXレポート」で、企業のシステム刷新と業務変革を継続的に提唱しています。営業領域でもCRMやMAツールの導入が進み、営業職は「AIに置き換えられる側」と「AIを使いこなす側」に分かれ始めています。
【参考】経済産業省|デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
営業職を取り巻く環境の要点
- 対人折衝を含む営業職は人材需要が継続
- 定型営業はAIツールへの移行が進行
- 営業DXへの適応力で市場価値が二極化
阿部 翔大「営業職はAIに奪われる」というご相談、最近本当に増えています。僕の感覚で言うと、不安を抱える方ほど自分の業務を「テレアポと提案資料作りだけ」と狭く捉えがちです。実際にお話を伺うと、お客様との関係構築や社内調整など、人にしかできない仕事を必ず担っているんですよね。
AIに代替されやすい営業職とそうでない営業職
営業職と一口に言っても、業務内容によってAI代替リスクは大きく分かれます。同じ「営業」という肩書きでも、テレアポとコンサル営業では数年後の市場価値がまったく違います。
テレアポを1日100件かけて、アポが取れるのは1件あるかないか。月末になれば上司から数字を詰められ、翌朝また同じリストに電話をかけ続ける。こうした業務がAI代替の最初のターゲットになっています。
代替リスクが高い業務は、顧客リストへの一斉架電や定型メール文面の送信です。さらに、初期問い合わせの一次対応や商談ログの整備など、ルールが明確な作業も該当します。AIが得意とする「パターン化された業務」は、ツールへの置き換えが現実に進んでいます。
一方、代替リスクが低い業務は、BtoB大型法人営業、複雑商品の提案営業、関係構築型の継続営業です。商談の中で相手の表情や声色を読み取り、社内事情を推測しながら提案を組み立てる仕事は、現状のAIでは対応できません。
| 代替リスク | 業務の例 | 対象になりやすい職種 |
|---|---|---|
| 高い | 一斉架電・定型メール送信・初期一次対応 | テレアポ・インサイドセールスの定型部分 |
| 中程度 | 既存顧客の定型フォロー・見積作成 | ルートセールス・小口法人営業 |
| 低い | 大型案件の提案・社内調整・関係構築 | BtoB法人営業・コンサル営業・ソリューション営業 |



僕が面談で「テレアポしかやってきていない」とおっしゃる方に必ず聞くのは、「お客様からのクレームってどう対応してきましたか?」です。すると、自分では当たり前にやっていた業務がたくさん出てきます。業務を分解すると、AI代替されにくい仕事は必ず残っています。
業界別の代替速度にも差がある
同じ営業職でも、業界によってAI導入の速度は異なります。SaaS・人材・広告などのIT系業界は営業DXツールの導入が早く、CRMやMAツールを使いこなすスキルが選考時に問われます。一方、製造業の法人営業、医療機器、不動産、金融といった対面比重の高い業界では、AI代替よりも担当者の経験値が引き続き評価されています。
転職を検討する際は、業界ごとのAI導入度を把握した上で、自分のキャリアの方向性に合う環境を選ぶことが重要です。
自分の営業職タイプ別・AI代替リスク診断|今やるべきこと
「営業職はAIになくなる」と漠然と感じるのではなく、自分の現在の業務内容がどの程度AIに代替されやすいかを点数化することで、今やるべきアクションが見えてきます。下の10項目で当てはまる数を数えてください。
AI代替リスク・セルフ診断10項目
- 日常業務の半分以上がテレアポ・架電中心
- 顧客への提案内容がトークスクリプトでほぼ完結する
- 既存顧客への定型的な訪問・確認・案内が業務の中心
- 受発注・在庫確認・見積作成などの事務作業が時間の多くを占める
- 顧客のニーズヒアリングは決まった質問項目に沿う
- 商談に複数部門の関係者を巻き込む機会が少ない
- 提案する商品・サービスのカスタマイズ範囲が狭い
- 競合との差別化を自分の言葉で語る場面が少ない
- クレーム対応や複雑な交渉を経験する機会が少ない
- 顧客との長期関係構築より、月単位の数字が評価軸
該当数別・AI代替リスクと推奨アクション
| 該当数 | 代替リスク | 今やるべきこと |
|---|---|---|
| 0〜2個 | 低 | 現状維持+AIツール活用でさらに生産性向上 |
| 3〜5個 | 中 | 業務範囲拡大・提案型営業へのシフトを検討 |
| 6〜8個 | 中〜高 | 職種転換or社内異動・営業職以外の道も並行検討 |
| 9〜10個 | 高 | 早期の職種転換を本格検討・キャリア相談の活用 |
該当数が6個以上の方は、今の業務範囲のままだと中長期的に代替リスクが高まる可能性があります。「いきなり異業種転職」ではなく、まず社内で業務範囲を広げる動きを始めるのが現実的な一歩目です。
営業職がAIに完全代替されない3つの理由
営業職がAIに完全には置き換えられない理由を、3つの観点から具体的に解説します。テクノロジー側の限界と、人間が担う価値の両方から見えてきます。
理由1:信頼関係は人と人の間でしか積み上がらない
営業の本質は、商品ではなく担当者を信用してもらうことにあります。継続的な取引、追加発注、紹介案件は、担当者個人への信頼が前提です。AIチャットボットが商談で説明を完結できても、長期の取引関係はAIには委ねられません。
理由2:例外対応と複雑案件の判断は人間が必要
BtoB商談では、契約条件の調整、納期の特例対応、価格の例外決裁など、想定外の要素が常に発生します。AIは過去のデータに基づく回答が得意ですが、前例のない判断や、社内の利害調整を必要とする場面では人間の役割が残ります。
理由3:人間同士の交渉と空気を読む力は再現が難しい
大型案件の交渉は、相手の表情、間の取り方、組織内の力学を読みながら進めます。交渉のテーブルで「ここは譲って、ここは引かない」を判断する仕事は、現状のAIには委ねきれません。
営業職がAIに代替されにくいポイント
- 長期取引の信頼関係構築
- 前例のない例外案件への判断
- 人間同士の交渉と空気を読む対応
ノビルキャリア面談現場での生の声|AI時代の営業職転換相談の傾向
転職エージェントとしてノビルキャリアが面談現場で受けている、AIによる代替不安を抱える営業職の方からのご相談の傾向をご紹介します。
弊社で多い相談
面談で伺うご相談は、おおむね3類型に分かれます。第1はテレアポ・架電中心型から提案型営業への転換志向、第2は営業職から営業企画・マーケティング・カスタマーサクセスへの社内/社外異動志向、第3は営業職を続けながらAIツール活用スキルを身につけたい方の相談です。完全に異業種に転換する方より、現職または近接職種でキャリアを伸ばす方が多い印象です。
AI時代に強くなる営業職の特徴
- 顧客の課題を多角的に引き出すヒアリング力(決まった質問項目に縛られない)
- 複数部門にまたがる商談を設計・推進できる
- 提案内容を顧客ごとにカスタマイズし、定型化されにくい付加価値を出せる
- 長期関係構築を重視し、契約後のカスタマーサクセスまで関与できる
- AIツール(提案書生成・分析・CRM自動化)を使いこなして生産性を高めている
今から動くべき3ステップ
- 1. 自分の現業務のうち「定型業務」と「非定型業務」を分ける(業務日報を1週間取る)
- 2. 定型業務はAIツールで効率化を試し、空いた時間で非定型業務(提案・企画・顧客との深い対話)を増やす
- 3. 3〜6か月単位で業務範囲を広げた実績を職務経歴書に追記し、転職市場での自分の価値を更新する
営業職の不安は「自分の仕事がいきなり消える」というよりも、「同じ業務を続けていると数年単位で価値が下がっていく」という構造的な懸念に近いものです。3〜6か月単位で業務の中身を更新していけば、AIによる代替よりも自分のスキルアップの方が早く進む可能性が十分にあります。
AI時代に強い営業職になるための3ステップ
営業職としてAI時代を生き残るには、置かれた立場の中でスキルの方向性を選び直す必要があります。「今月の数字どうなってる?」と毎日上司から詰められる消耗から抜け出すには、扱う商材と業務範囲を意識的に変える動きが必要です。次の3ステップで考えると判断しやすくなります。
SalesforceやHubSpotといったCRMの操作に慣れることが第一歩です。次にMAツールでのリード育成、生成AIによる提案資料の下書き作成などツールに習熟します。求人票でも「営業DXツール経験者」を求める表記が増えています。
同じ営業でも、定型商品の量売りより、提案型の高単価商品を扱う領域はAI代替リスクが低いです。SaaS法人営業、産業機器、医療機器など、専門知識が必要な商材を扱う環境に身を置くと、市場価値が安定します。
顧客の課題ヒアリングから始まり、業務改善や仕組み導入まで提案する営業スタイルは、AIには再現が難しい分野にあたります。社内資料や提案書のたたき台はAIで効率化しつつ、判断と関係構築は自分の役割として残せます。



3ステップ全部を一気にやる必要はありません。僕が相談者によく伝えるのは、今の職場でCRMをきちんと使い切るところから始めて、次の転職で扱う商材を選び直すという順番です。焦って動くより、一段ずつ進める方が結果的に早いです。


営業経験を活かせる他職種|営業以外への転換先
営業職を続けることが正解とは限りません。営業経験は対人スキル、ヒアリング力、数字管理力が同時に身につく希少な経験です。営業職で培ったスキルは、隣接職種への横展開がしやすい武器になります。




カスタマーサクセス(CS)
SaaS企業の継続支援を担う職種で、顧客のヒアリング力と関係構築力がそのまま活きます。営業経験者の転職先として求人が増えており、年収レンジも営業職と同等以上が見込めます。
事業開発(BizDev)
新規事業の立ち上げ、提携先開拓、収益モデル設計などを担います。営業現場で得た「顧客がお金を払う理由」の感覚が、事業設計に直結します。
経営企画・マーケティング
営業現場の数字を理解した上で、全社戦略や顧客獲得施策を設計するポジションです。営業経験者がマーケティングやインサイドセールスの設計側に回る流れは、人材市場で年々強まっています。



営業経験は、僕がご支援してきた方の中で最も「横に広げやすい」スキルでした。CSや事業企画に転身して活躍されている方も多くいます。「営業しかできない」と思い込むのは、本当にもったいないです。
【キャリアアドバイザーの本音】営業職の相談から見えること
当社キャリアアドバイザー・阿部翔大の本音をそのままお届けします。
「営業職はAIに奪われるのか」というご相談、ここ1年で本当に増えました。僕自身、前職でIT業界の法人営業を経験してきたので、この不安は痛いほど分かります。
結論から言うと、テレアポと定型メールしか経験がない営業の方は、5年以内に確実に厳しくなります。生成AIとMAツールの普及で、初期接点の業務は人間が担う必要がなくなっていくからです。
ただ、ここで誤解してほしくないのは、営業職という仕事自体が消えるわけではない点です。僕が面談で必ず伝えているのは、「テレアポしかしてこなかった」とご自身で評価している方も、業務を分解すると意外な領域を担っているという事実です。クレーム対応、社内調整、後輩への業務伝達、お客様の機嫌が悪い時の空気の読み方。こうした言語化されていない仕事は、AIには委ねきれません。
ぶっちゃけ、営業から異業種に転換する方の相談で多いのは、「逃げの転職」と「戦略的撤退」が混ざっているケースです。僕はこの2つを面談で必ず区別します。逃げで動くと、次の職場でも同じ理由で疲弊します。一方、自分のスキルを棚卸しした上での戦略的撤退は、3年後5年後のキャリアにつながります。
営業経験の最大の強みは、対人スキルとヒアリング力が同時に身につく点です。カスタマーサクセスや事業開発、マーケティング側に移った方の支援実績も多くあります。「営業しかできない」と決めつけるのは、僕から見るとかなりもったいないです。
不安なまま動くより、まず自分の業務を棚卸しして、どの方向に進みたいかを決めてから動きましょう。当社の面談ではそこから一緒に解説します。



営業職の方の相談を受けていて思うのは、選択肢を狭く考えている方が本当に多いということです。一人で答えを出そうとせず、まず棚卸しからご相談ください。


営業職とAIに関するよくある質問
Q:テレアポしかやってこなかった営業は今後厳しいですか?
A:テレアポ業務そのものはAIへの移行が進んでいます。ただし、テレアポで身につけたヒアリング力、断られても切り替える力、相手の反応を聞き取る力は、インサイドセールス全般やカスタマーサクセスでも評価されます。業務単位ではなくスキル単位で棚卸しすると、次の選択肢が見えてきます。
Q:30代・40代でも営業の方向転換はできますか?
A:30代以降は実績を踏まえた転換が現実的です。法人営業の経験があれば、BtoBコンサル営業やカスタマーサクセス、営業企画への移行は十分検討できます。20代未経験の転職とは違う動き方になるため、年代別の進め方をご相談ください。
Q:営業からITエンジニアに転職することはできますか?
A:未経験からのエンジニア転職は20代であれば選択肢に入ります。ただし、AIの普及で未経験エンジニアの採用ハードルは上がっているため、IT営業や法人営業を経由してテック企業に入る選択肢の方が成功率が高いケースもあります。
Q:未経験で営業転職するならどの業界が狙い目ですか?
A:未経験営業の入口としては、人材業界、SaaS法人営業、不動産、保険などが採用数が多い分野にあたります。ただしAI時代を見据えると、高単価で提案型の領域を選ぶ方が将来の市場価値につながります。
営業未経験の業界選びは以下の記事もご参照ください。


Q:AIツール経験ゼロでも営業職の転職活動はできますか?
A:可能です。求人票でAIツール経験を必須にしている案件はまだ多くありません。ただし、CRMの基本操作や生成AIを使った文章作成は、入社後すぐに学べるよう自学しておくと有利になります。
20代の営業未経験転職については以下の記事もご参照ください。


30代の営業未経験転職については以下の記事もご参照ください。




まとめ|営業職は二極化する・スキル次第で武器になる
営業職はAIで本当になくなるのか、答えは「全体が消えるわけではないが、業務内容によって市場価値は二極化する」です。テレアポや定型営業はAIへの置き換えが進みます。一方、コンサル営業や大型法人営業は人間の役割が残ります。
そして、営業経験そのものは横展開のしやすい武器です。カスタマーサクセス、事業開発、経営企画、マーケティングなど、隣接職種への転身機会も広がっています。営業職を続けるか他職種に転換するかは、扱う商材とAIツールへの適応力を起点に判断するのが現実的です。



営業経験は確実に武器になります。ぶっちゃけ、悩んでいる時間がもったいないので、まず業務の棚卸しから始めてみてください。次の方向性は必ず見つかります。
弊社ノビルキャリアへのご相談はこちら
営業職としての今後のキャリアに迷われている方は、当社にご相談ください。20代を中心に営業職の転職を多数支援してきた実績から、現状の業務棚卸しから次の選択肢の整理まで、一緒に考えます。AI時代の営業職のキャリア戦略について、業界別の動向や具体的な転換事例を踏まえた個別のアドバイスが可能です。


運営者情報
| メディア名 | ビギナーズリンク |
| 運営会社 | 株式会社MEDISITE |
| 代表者 | 竹田津 惇 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目5-4 STビル701 |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | HRメディア事業・SNSマーケティング事業・営業支援事業 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業(13-ユ-316383) |

