「1回、自分の限界を見てみようと思ったんです。」テソーラスハウス株式会社・勝尾代表が8年ぶりに戻った学校の代表取締役を引き受けた理由

できる自信がないから、やめておく。そんな断り方を、したことはありませんか?

テソーラスハウス株式会社の勝尾優大代表が、8年ぶりに戻った英語スクールの代表取締役を引き受けたのは、”自信があったから”ではありません。「興味があるなら思い切ってやってみる、というのは自分が大事にしているところなんですよ」と言い、いまは代表として学校の舵取りをしています。

今回は、8年ぶりに戻った学校をどう立て直してきたのか、そして英語を学ぶことがいまなぜ必要なのかについて、勝尾代表にじっくりお話を伺いました。

読み終わる頃には、自信は引き受けたあとからついてくるものだと思えているはずです。 

お話を伺った人

テソーラスハウス株式会社

代表取締役 勝尾 優大

幼稚園から小学校までを海外で過ごす。通信の会社、動画サービスの会社でマーケティングを担当したのち、学生時代にアルバイトをしていた英語スクールへ8年ぶりに戻り、代表取締役に就任。英検1級の対策を専門とするスクールとして、対面とオンラインの両方でレッスンを提供する。2026年9月には、1級合格者を対象とした英語ディスカッションコース「Beyond」を開講予定。

目次

8年ぶりに、この学校に戻ってきました

編集部

勝尾代表は、いまは英検1級に特化した英語スクールを経営されていますが、もともとは、教育のお仕事をされていたんでしょうか?私は、教育の仕事は先生の経験がないとできないものだと思っていました。

勝尾代表

いえ、教育全体としては経験がなかったんです。前職で少しだけ、高校や大学受験の塾の支援をしていたので、ざっくりと業界の知識があったぐらいですね。

編集部

その前は、どんなお仕事をされていたんですか?

勝尾代表

通信の会社にいて、そのあとは動画のサービスをやっている会社にいました。業務としては、マーケティング・セールスをずっとやっていましたね。

編集部

通信、動画、そして教育。まったく違う業界に見えますが、どういうつながりだったんでしょう?

勝尾代表

実は私、学生の頃にこの学校でインターンというか、アルバイトをしていたんです。それがもう8年ぐらい前になるんですけど。戻ってきて、いま代表をやっているような形になっています。

編集部

8年ぶりに、同じ場所へ。学生の頃に働いた場所に戻るというのは、なかなかない話だと思います。

勝尾代表

私自身、幼稚園から小学校まで海外生活だったんですね。なので英語は、自分が持っている強みのひとつではあります。ただ、教える側としては初めてでしたから、基本的には手探りでした。

編集部

たしかに、英語が話せることと、それを上手に教えられることは、また別ですもんね。しかも今度は、経営を引き受ける側として戻られたわけですよね。戻ると決めたとき、どこに勝算を見ていらっしゃったんですか?

勝尾代表

中身は、もう出来上がっている学校だったんです。学生の頃に働いていたので、レッスンの質の高さも、生徒さんからの評判も知っていました。35年で、累計5,000名以上を送り出してきた実績もあります。だからこそ、経営の面さえ整えれば、必ずもっと右肩上がりにできると思えたんですね。

編集部

中身は出来上がっていて、あとは経営。そこがご自身の担当になった、と。

勝尾代表

校長にはまだ残っていただいているのですが、会社としての代表は私がやっている、という状況ですね。

1回、自分の限界を見てみようと思ったんです

編集部

引き継がれて、最初に決められたのは何でしたか?

勝尾代表

まず、コスト削減も踏まえつつ、何を守るかを決めました。レッスンの質と、対面とオンラインの両方をやれる…ここは絶対に守ると。それこそがうちの売りですし、中身を削ってしまったら、何のための学校かわからなくなってしまいます。

編集部

削るところを探す前に、触らない線を決める。そこから、数字を見ていかれたわけですね。

勝尾代表

そうですね。そのうえで全体の数字を見て、どこに力を寄せるかを整理していきました。それが最初の3ヶ月です。

編集部

レッスンの中身が良くても、会社の経営ができるかどうかは、また別の話だと思うのですが、正直…投げ出したくなる場面もあったんじゃないですか?

勝尾代表

そうですね。ただ、基本的にもう、失敗してもいい、という感覚でやっていました。学校のほうは大丈夫だとわかっていましたから。あとは、やり切れるかどうかだけだと。時間とか負担とか関係なく、1回、自分の限界を見てみようというのはありました。そこは腹をくくった部分です。

編集部

どうせ倒れるなら前に倒れる、という感覚に近いでしょうか。

勝尾代表

まさに、そうですね。しんどいことは多いですけど、全部やり切って終わる方が、後悔は少ないと思うんですよね。そこは今も変わっていません。

編集部

はじめから引き受けない、という道もあったのでは…?

勝尾代表

やるやらないの選択肢は、みんな持っていますよね。ただ、「興味があるなら思い切ってやってみる」というのは自分が大事にしているところなんですよ。足を入れてみたら、思っていたよりしんどかった、というのはあるんですけど。それでもやり切ろうと思えたところが、自分の意思というか。

まず50点で出す、というのをやっています

編集部

手探りの中で経営を変化させていく。その進め方は、どこで身についたものなんでしょう?

勝尾代表

前職の会社ですね。普通の会社が1ヶ月かけるようなことを、3日とかでやっていたんです。しかも、それが普通だと思っている人が周りに多くて。当然のようにやっている人が多かったので、そこの影響は大きかったかなと、振り返ると思います。

編集部

1ヶ月を、3日で? それって具体的には、どう進めるんですか?

勝尾代表

例えば新規のPRイベントをやる時に、初めは自分で案を作って、上司に見せたりするじゃないですか。そのベースを作るのが、まず早いんですね。1日かけて作って翌日に見せるようなものを、10分で全体の大枠だけ作ってしまって、そこで壁打ち(※)をする。そういうことが起きるんです。

※…作りかけの案を人に見せて意見をもらい、考えを整えていく進め方

編集部

10分…!完成度は一旦は、二の次ということですね。

勝尾代表

自分でボールを持ち続けない、というところが強いと思うんです。自分で抱えるとパンクしてしまうので、来たものはすぐ出す。そうすると、全体の速度が上がるんですよね。

編集部

いまの会社でも、同じように進めていらっしゃるんでしょうか。

勝尾代表

そうですね。社内での企画や意思決定をするときは、全員”まず50点で出す”ということを意識してやっています。自分で満足しなくても、周りの意見が入ると勝手に点数が上がったりするので。もちろん、生徒さんに出すレッスンは別です。そこは、100点でなければ意味がないと思っています。それも前職で培った考え方かなとは思います。

喋れれば受かる、と思っている人が多いんです

編集部

事業のお話も伺わせてください。英検1級に特化した専門塾とのことですが、合格率が85%超、というのが驚きです。私は受けたことないですが、1級はすごく難しいと聞いたことがあります。

勝尾代表

そうですね、英検は1級が最難関で、級別の合格率は2016年度以降、公表されていないんですが、最後に出た数値で約12%とか、そのくらいの世界です。ただ、難しい理由として、学習の基本がわかっていないからなのかなと。

編集部

基本、というのは。

勝尾代表

どの分野をどう伸ばしたら受かるか、というのは実はもう筋道が見えているんです。人によって弱点は変わってくるので、弊社では1対1で見る中で、ここが課題です、こう伸ばしましょう、というロードマップを引いてあげるんですね。

編集部

例えば、どんなパーツですか?

勝尾代表

最近だと英作文ですね。1級って、4択などの選択式の問題が多いんですよ。ただ英作文は0から自分で書く必要があるので、そこは難しい。とはいえ、どう書けば受かるかというのは、みんな実はわからないんですよね。書いた経験もないので、そこは仕方がない。

編集部

受かる型がある、ということですか?

勝尾代表

あります。そこを教えてあげると、一気に点数が上がるというのは最近特に多いですね。面接も同じで、初めはみんな一言も出ないんです。それを10回、15回と受けてもらうと、自分の意見を英語で言えるようになっているんです。

編集部

うーん、単純に英語が話せれば受かる、というものではないんですね。

勝尾代表

うちは普通の英会話学校ではないんです。1級の試験って、スピーチの後のロジックをすごく追求されるんですよ。だから英語だけできてもだめですし、ロジックがないと通らない。喋れれば受かる、と思っている方が多いので、そこに気づかれない人は多いですね。

編集部

オンラインも、早くから始められていますよね。

勝尾代表

10年ほど前に追加しました。地方だと、1級を教えられる講師がなかなかいないんですよね。学校の先生でも、2級くらいまでは教えられるけれど1級は難しい。それでも英語をすごくやりたい人はたくさんいるので、そこにサービスを提供したいという意思がありました。いまは地方だけでなく、海外からも受講される方がいます。

受かるだけで、終わってほしくない

編集部

2026年9月には、新しいコースも始まるそうですね。

勝尾代表

「Beyond」という、1級の合格者限定のコースですね。すごくハイレベルな、英語のディスカッションコースになっています。

編集部

なぜ、合格された方に向けたコースを作られたんですか?

勝尾代表

1級はすごく難しい試験なんですけど、逆に受かった後に迷われるんですよね。次のゴールがない、と。そういう声を、本当に毎回、試験が終わった後にもらっていまして。もちろん受かってもらうことが大きなミッションなんですけど、受かるだけで終わってほしくないな、という思いで立ち上げました。

編集部

どんな授業になるんですか?

勝尾代表

各授業の前に、「根拠を持って自分の意見を準備しておいてください」という課題を出していて、それを授業では講師と生徒複数名で議論していくので、ディベートに近いです。少しでも穴があると他の生徒が突いてくるので、準備は大変なんですけど。

編集部

そういったことを教えていく中で、やりがいと感じるのはどんな時ですか?

勝尾代表

「この学校と講師のおかげで受かりました」と言ってもらえるのが1番嬉しいですし、やりがいに感じますね。最近だと、「国際情勢についての知識が深まりました」という声もいただきました。「街で外国人の方に会って、自分からサポートすることができた」とも。生徒のポジティブさや積極性が変わっている気がしています。

編集部

いまはAIが翻訳も同時通訳もしてくれますよね。それでも英語を学ぶ意味は、どこにあると思いますか?

勝尾代表

AIの翻訳や同時通訳ができても、実際に人と人の心を通わせるということはできないと思っているんです。渋谷にいる外国人観光客と喋る時も、翻訳を使えば話はできる。でも、それ以上の関係になるには、多分言語なんですよね。それに、英語の需要はどんどん高まっていて、就職でも使いますし、入社の条件になっている企業も増えています。習得するまでには時間がかかるので、継続が大事です。

編集部

心を通わせるところでは、英語は必須。そう言い切る方が、自信がそろうのを待たずに、この学校の経営を引き受けました。やってみたいと思ったなら、限界は引き受けてから見に行けばいい。そういうことなのかもしれませんね。勝尾代表、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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