「100人から1人選ぶより、10人から1人選んだ方が早いですよね。」株式会社ハッピーカムカム・峰尾社長がたどり着いた”時短婚活”の仕組みとは

条件が増えるほど、かえって決まらなくなる

株式会社ハッピーカムカムの峰尾晋一社長は、結婚相談所の現場をこう見ています。「婚活が難航している方って、意外に自分がどういう人が向いているのかは、わかっていないんですよ」。

同社は、初回のカウンセリングに2時間かけて、求める相手を徹底的に絞り込むところから始めます。その結果、業界では結婚成立までに1年半ほどかかると言われる中で、平均10ヶ月という驚異的な数字を叩き出しているそうです。

今回は、なぜ初めから相手を絞ると結婚成立までが早いのかや、その時短婚活を実現する仕組みについて、峰尾社長にじっくりお話を伺いました。

お話を伺った人

株式会社ハッピーカムカム

代表取締役 峰尾 晋一

大手IT企業に入社し、1年で退職。その後IT系の会社を立ち上げ、10年の経営を経て売却。創業から25年続いていた結婚相談所ハッピーカムカムを買い取り、現在12年目。初回のカウンセリングで求める相手を細かく言葉にし、交際中の会う頻度や場所まで逆算することで、結婚が決まるまでの期間を短くする運営に特化。データ分析と、恋愛の話を何時間でも続けられるスタッフの掛け算が強み。

目次

ベルサーチが着られないから、辞めました

編集部

峰尾社長は、いまは結婚相談所を経営されていますが、もともとは大手のIT企業にお勤めだったと伺いました。結婚相談所とIT企業では、まったく別のお仕事に見えます。最初の会社は、どんなきっかけで辞められたんですか?

峰尾社長

NTTデータという会社に入って、ここは1年で辞めちゃいました。理由としては、ベルサーチが着られないからです(笑)。

編集部

ベルサーチ…!?服を理由に辞めた方に、初めてお会いしました(笑)。

峰尾社長

NTTデータでは、一般的なスーツを着なければいけなかったんですよ。それが嫌で。だったら自分でやるか、とIT系の会社を立ち上げたんです。

編集部

着たい服のために、会社を立ち上げてしまう。よほど譲れないところだったんですね。IT系を選ばれたのは、やはりそこがお強かったからでしょうか。

峰尾社長

いえいえ、私は超がつくアナログなんですよ。初めてインターネットを使ったのが、NTTデータのエントリーシートを作る時だったぐらいですから(笑)。学生のころはずっと歴史を研究していて、ITには全く興味がなかったんです。

編集部

ずっと歴史を…!好きだから選んだ、というお話をよく聞くので、意外です。それでも、その会社は続けられたんですよね。

峰尾社長

10年やりましたね。そのあと売却して、さて次はどうしようかな、と考えていた時に、たまたま結婚相談所をやっている方とご縁があって。それで、いまのハッピーカムカムを引き継がせていただいたんです。

編集部

ITから、結婚相談所へ。ご自身で立ち上げられた会社ではないんですね。

峰尾社長

そうなんです。買い取った会社なんですよ。創業から25年、知名度もある会社でしたから、いい買い物ができたなという感じでしたね。私が入ってからは、12年目になります。

時間をお金で買うビジネスが伸びる、と思ったんです

編集部

25年続いた会社を、引き継ぐ。世の中にはいろいろな商売がある中で、なぜ結婚相談所だったんでしょう?

峰尾社長

これからは時間をお金で買うビジネスが伸びるだろう、という予測は立てていたんですね。その中でも、婚活はやっぱり有力候補だろうと。それで、ほとんどその場で決めてしまいました。

編集部

時間をお金で買う。いまでこそ当たり前の言い方ですが、当時からそこまで見えていたというのは驚きです。私だったら、伸びている業界だから、ぐらいで選んでしまいそうです。

峰尾社長

結婚相談所をご利用される方は、「1分でも早く結婚したい」という方が多いんですよ。だから、そこだけを磨いてきた、という感じですね。逆に言うと、それ以外はやっていないんですよ。

編集部

それ以外は捨てる…!私だったら、あれもこれもと足したくなってしまいます。買い取られた当時の見立てと、いま起きていることで、何かズレとかってなかったですか?

峰尾社長

SNSが広がったところは、ちょっと盲点でしたね。ただ、それも引っくるめて、やはり予想通りです。「タイパ」という言葉も出てきて、早く結婚したいという方は、むしろ多くなっている印象を受けています。

編集部

盲点だったものまで、結果としてはプラスに働いた、と。一般的には、婚活を始めてから結婚が成立するまでの時間ってどのくらいのものなんでしょう?

峰尾社長

業界の平均は正式には出ていないと思いますけど、多分1年半ぐらいじゃないですかね。弊社は平均で10ヶ月ですね。プロフィールを登録して、希望を伝えて、紹介を受けて。そこまでは他社さんと同じなんですよ。違うのは、そこから先の進め方です。

100人から1人選ぶより、10人から1人選んだ方が早いですよね

編集部

1年半が10ヶ月に?半年以上も違うんですね。その詰め方の違いは、どこから生まれるんですか?

峰尾社長

まず、結婚相手というのは1人しか選べないわけですよね。だったら、100人の中から1人選ぶより、10人から1人選んだ方が早いですよね。この方にはこういう人が合うだろうな、という研究を、弊社はずっと続けています。

編集部

言われてみれば、そのとおりです。その10人を、どうやって絞るんでしょう?

峰尾社長

初回のカウンセリングを2時間ほどやるんですけど、その中で、どういう方を求めているのかを細かく言葉にしていくんですね。婚活が難航している方って、意外に自分がどういう人が向いているのかは、わかっていないんですよ。

編集部

身長や年収や学歴を、一通り聞いていくのかと思っていました。

峰尾社長

結局、条件2割、フィーリング8割なんです。例えば「優しい人がいい」と言われても、その定義は人によって全然違いますから。「最近どういう時にそう感じましたか」「何をされた時にそう思いましたか」「逆に、そうではないと感じるのはどんな時ですか」。そこまで1つずつ聞いていきます。

編集部

そこまで一緒に、言葉にしていくんですね。 仕事を選ぶ時も、条件なら言えますが、自分に何が向いているかまでは答えられる気がしません。ちなみに、デートのあとにも、何か聞かれるんでしょうか?

峰尾社長

はい、こちらで質問シートを用意しています。「どういう話をしましたか」「どこに行きましたか」「その時どう感じましたか」と、1回ごとに振り返っていただくんです。会う頻度や場所も、かなり見ていますよ。

編集部

1回ごとに、そこまで見てくださるんですね 。

峰尾社長

そうでもしないと、その方に1番合う相手が誰かはわからないですから。お客様はもう答えを持っていらっしゃるんですよ。それを、こちらが質問で引き出していく。そんなイメージですね。

知りすぎず、知らなさすぎず

編集部

相手が絞れたあとは、ご本人たちに任せる形になるんでしょうか?

峰尾社長

いえ、そこからも見ていきます。結婚を前提にしていても、タイミングってやっぱり大きいんですよ。男性がプロポーズするときは、知りすぎず、知らなさすぎず、というときがベストです。

編集部

うーん?知りすぎたら、だめなんですか?

峰尾社長

「この人をもっと知りたいな」と思うからプロポーズするわけであって、全部知ってしまったら、その必要がなくなるじゃないですか。同棲すると結婚が遠のく、とよく言われますけど、まさにその通りなんですよね。

編集部

たしかに、それは聞いたことがあります!

峰尾社長

あとは、男女の気持ちの高さが、ほぼ同じでないといけないんですね。この2つが重なるから、プロポーズに至るんじゃないかなと思っていて。

編集部

気持ちの高さまで揃える。それは、どうやって…?

峰尾社長

会う日、会う時間、会う場所を、ちゃんと逆算します。お相手の気持ちと、ご自身の気持ちが今どれぐらいなのかも見ながら、「今週はちょっと会いすぎです」「今月は会わなすぎかな」という風に調整していくんです。3ヶ月から半年ぐらいが1番プロポーズされる時期なので、そこに向けて持っていくんですね。

編集部

そこまで一緒に考えてくださるんですね…!

峰尾社長

あとは、合わないものは合わないので、そこは先にお伝えするようにしています 。1ヶ月の動きから、見えてくるものもありますので。

編集部

進めるだけでなく、止めることも。それを受け止められるかは、担当の方との関係にもよりそうです。

峰尾社長

そこは大事にしていますね。担当はメインの1人がいますけど、チームでも関わる形にしています。結婚相談所は個人経営が多いので、もしも「担当と合わない」と感じた時に、やめるしかなくなってしまうケースがありますが、それは避けたいです。それに、異性からのアドバイスを聞きたい方もいらっしゃいますよね。その場合は、チームの誰が何をいつ言うか、柔軟に対応できるようにしています。

まだお見合いやってるんですか、という時代が来ます

編集部

ここまで伺っていると、しっかりとそこにロジックがある結婚相談所、という印象を受けます。

峰尾社長

データ分析が得意なのは弊社の強みではありますが、恋愛の話を24時間でも続けられるスタッフが多いことも強みですね。この掛け算なので、同じ形でやっているところは、あまりないと思います。

編集部

データと、恋愛の話が尽きない人…!その組み合わせは意外です。

峰尾社長

データだけだと、頭でっかちになってしまうこともあるんですよね。人間は感情で動きますから、単純に数字を出してもうまくいくわけではないんです。「データ上はこのタイミングだからプロポーズしましょう」と言われて刺さるわけもなく。動かすのは感情なんです。

編集部

たしかに、正しいことを言われても、それだけでは動けないですもんね。

峰尾社長

ちなみに私自身は、数学大嫌いから人生がスタートしているんですけどね(笑)。経営者になると、まぁ数字とは向き合わざるを得ないんですけど。

編集部

感情×数字と。これから、御社としてはどこを目指していかれるんですか?

峰尾社長

今年のテーマはAIで、私自身は得意ではないんですが、そこを振り切っていくつもりです。将来的には、もうお見合いをなくしてもいいかなと。

編集部

お見合いをなくす…!?相手を絞るところまで、AIがやるということでしょうか?

峰尾社長

そうです。「あなたとの相性は98%です」といった形でAIが全部出して、確認作業だけ本人同士でお願いします、みたいな。まだお見合いやってるんですか、という時代が、きっとそのうち来ると思いますよ。

編集部

お見合いそのものが、なくなるかもしれない。選ぶ相手を絞る発想に至った峰尾社長らしい見立てです。そしてこれは、婚活に限った話ではないのかもしれません。例えば求人票をいくら並べても決まらないのは、条件が足りないからではなく、なぜその条件を望むのかを言葉にできていないから…。そこが言葉にできた時、選ぶべき1社が絞られ、”時短就活”が可能になるかもしれません。峰尾社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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