「自分はどう生きたいのか」を問い続けた先に見えた、100人の仲間との未来。株式会社IKIZAMA・笠松社長が語る、「理想を言葉にする」ということ

自分は何が得意で、何が苦手なのか。どんな時に喜びを感じ、これからどんな人生を送りたいのか。
そう聞かれても、すぐには答えられない人が多いかもしれません。
株式会社IKIZAMAの代表取締役CEO・笠松将志さんは、会社員時代から、自分自身の目標や価値観を何度も言葉にしてきました。
半年に一度、時には3か月に一度、自分の考えを書き出しては見直し、「自分はどう生きたいのか」という問いに向き合い続けてきたといいます。
そんな笠松社長ですが、実は自分のことを「結構、ビビりなんですよ」と話します。
新しいことへの挑戦も、人前で話すことも苦手。それでも準備を重ね、目の前の仕事に向き合いながら、少しずつできることを増やしてきました。
新卒で入社した会社では約15年間、営業、人事、商品企画、マネジメント、新規事業の立ち上げなどを経験。その後、40歳を迎える頃に独立し、現在は営業や採用、組織づくり、事業開発などを通じて企業を支援しています。
15年間勤めた会社に不満があったわけではありません。それでも独立を選んだ背景には、長年にわたって自分自身と向き合い、見つけ出した人生の理想がありました。その根底には、事業の規模や金額の大小にかかわらず、困っている人の力になりたいという思いもあります。
苦手なこととどう向き合い、自分の進む道をどう見つけてきたのか。そして、その理想をどのように仕事へつなげているのか。笠松社長に、これまでの歩みと、自分らしい生き方を見つけるための考え方を伺いました。
株式会社IKIZAMA
代表取締役CEO 笠松 将志
2007年に株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)へ新卒入社。営業、営業企画、商品企画、営業マネジメント、人事・採用支援など幅広い業務を経験。その後、パーソルイノベーション株式会社で新規事業の立ち上げにも携わり、2021年10月に独立。個人事業主として活動したのち、2022年9月に株式会社IKIZAMAを設立。現在は営業支援、採用支援、組織の仕組みづくり、事業開発などを通じて、企業の成長を支援している。
「僕って結構、ビビりなんですよ」怖さと向き合いながら積み重ねてきた15年間

編集部まずは笠松社長のこれまでのキャリアから伺いたいのですが、会社員として約15年間、営業や人事、企画など幅広いお仕事を経験されてきたんですよね。



そうですね。新卒でインテリジェンスという会社に入って、約15年間働きました。その中で営業や営業企画、商品企画、マネジメント、人事、新規事業の立ち上げまで、いろいろな経験をさせてもらいました。ただ、これだけいろいろな仕事を経験してきたからといって、もともと新しいことに積極的に挑戦できるタイプだったわけではないんです。むしろ、僕って結構、ビビりなんですよ(笑)。



…えっ?そうなんですか?



はい(笑)。見た目ではなかなかそう思われないんですけど、新しいことを始めたり、初めての人と会ったり、大勢の前で話したりするのが昔からすごく苦手で。緊張すると、頭が真っ白になってしまうこともあったんです。



今こうしてお話ししていると、あまりそんな印象はないですけど…。でもお仕事では、人前で話さなければならない場面も多かったんじゃないですか?



たくさんありましたね。だから、その分とにかく準備をしていました。誰に何を伝えたいのか、その場にいる人たちにどんな気持ちで帰ってもらいたいのか。そういうことを事前に考えて、できる限り準備してから臨むようにしていたんです。当日はもう「うわ、嫌だな」「緊張するな」と思っているんですけど、実際にやってみると、それなりにできるんですよ。それで、周りからも「よかったじゃん」と言ってもらえたりして。



怖い気持ちはあっても、準備をして一つずつ乗り越えてこられたんですね。



そうですね。それを繰り返しているうちに経験も増えて、少しずつアドリブにも対応できるようになりました。今でも緊張はしますけど、準備をして実際に経験することで、以前よりは対応できるようになったと思います。



なるほど…。人前で話すこと以外にも、仕事を通じて苦手意識が変わったことはありますか?



ありますね。昔は本当に、自分の考えを伝えて否定されることも怖かったんですよ。でも、仕事や周りの仲間との関わりを通じて、間違っていたら指摘してもらえばいいし、まずは言ってみないとわからないと思えるようになりました。もちろん、相手への伝え方には気をつけます。ただ、本当に相手のためになると思ったことなら、たとえ厳しい内容でも、きちんと伝えたいと思えるようになりましたね。
15年勤めた会社に不満はなかった。それでも、独立を選んだ



会社員として15年間経験を積まれて、その後、独立という道を選ばれたわけですが、そこに至るまでにはどんな経緯があったんでしょうか?



もともと、いつかは自分で会社をやってみたいという気持ちはあったんです。自分の性格を考えても、会社を経営する方が合っているんじゃないかと思っていました。でも、実際に独立するとなると、やっぱり怖いじゃないですか。しかも、15年間勤めた会社に不満があったわけでもないので、最後まで迷っていましたね。



不満のない会社を辞めるとなると、確かに迷いますよね。



そうなんです。それで、独立した場合と会社員のままでいた場合を、お金や自由な時間、社会的な立場なんかで比較してみたんですよ。でも、何を重視するかによって答えが変わるので、なかなか決められなくて…。結局、自分自身が納得できる理由を見つけるしかないと思ったんです。



その答えを見つけるために、何をされたんですか?



僕、もともと会社員時代から、自分の目標や考えを言葉にして整理する習慣があったんです。会社には定期的に目標を振り返る仕組みがあったんですが、僕は仕事の目標だけでなく、人生で何をしたいのかも考えていました。それで半年に一度、時には3か月に一度ぐらいのペースで、書いた内容を見直していたんですよ。独立を考えた時も、それまで書いてきたものを読み返して、自分がどんな人間で、どう生きたいのかを整理しました。



以前から続けていた振り返りが、独立を考える時にも役立ったんですね。



そうですね。自分は何が得意で、何が苦手なのか。どんな時にうれしいと感じて、何を大切にしているのか。そういうことを一つずつ言葉にしていくうちに、自分が本当に目指したい姿が見えてきました。そのイメージがはっきりした時に、「あ、これならいけるかもしれない」と思えたんですよね。それで、当時の上司に退職することを伝えました。
「夕暮れ時の浜辺で、100人の仲間と」自分自身と向き合って見つけた人生の理想



その時に見えてきた「目指したい姿」というのは、どんなものだったんですか?



僕が大切にしている言葉に、「夕暮れ時の浜辺で100人の仲間と真剣に語り、真剣にバカをやる」というものがあるんです。自分の人生について考え続けて、最後にたどり着いたイメージですね。今でも名刺に書いています。



素敵ですね。どうして「100人の仲間」だったんでしょう?



100という数字自体に、絶対的な意味があるわけではないんです。ただ、僕の中では、一人ひとりの顔が見えて、その人が元気なのか、何か困っているのかもわかるぐらいの人数が、100人くらいだったんですよ。1000人になると、なかなか全員を見ることはできないじゃないですか。だから、お互いの存在をちゃんと感じられる関係でいたいという思いから、その数字になりました。



なるほど。単に大勢の人に囲まれたいということではなく、一人ひとりと深く関わっていたいんですね。



そうですね。誰と一緒にいるのか、どんな関係を築けているのかが、僕にとってはすごく大事なんです。例えば、目の前にものすごく大きな金額の仕事があっても、自分がまったく納得できない内容だったら、本当にそれをやりたいのか。反対に、金額はそれほど大きくなくても、心から応援したい人と取り組める仕事だったらどうなのか。実際にその場になってみないとわからない部分もありますけど、僕は中身を大切にして判断できる人でありたいと思っています。



とはいえ、目の前の状況によって判断が揺らぐこともありそうですよね。そういう時は、どうされているんですか?



僕は、自分がどういう人間でありたいのかを、できるだけ言葉にして残すようにしています。5年後、10年後に何かにつまずいた時にも、見返せるようにしておきたいんですよ。それに、これを実際に人に伝えることも大事だと思っています。自分はこういう生き方がしたいと周りに言っていれば、もし違うことをしていた時に「言っていることと違うじゃないか」と指摘してもらえますよね。そうやって、自分が大切にしたい考えからぶれないようにしているんです。



自分の考えを言葉にすることが、将来の自分への約束にもなっているんですね。



そうかもしれないですね。それと、もう一つ大切にしているのが、何かを人のせいにしないことです。うまくいかない時に、環境や誰かのせいにしていても、そこから前には進めないと思うんですよ。自分に何ができるのかを考えて、行動する。そういう姿勢は、昔から大切にしてきました。
「ずっとそばにいる家族のような存在に」IKIZAMAが事業を限定しない理由



そうした生き方への思いが、現在の株式会社IKIZAMAにもつながっているんですね。改めて、今はどのような事業をされているんですか?



大きく分けると、営業支援、採用支援、組織の仕組みづくり、事業開発の4つですね。例えば、新しい事業を始めた会社があったとして、まずはお客様を増やすために営業が必要になりますよね。仕事が増えてきたら、今度は一緒に働く人を採用しなければいけない。さらに人数が増えれば、評価制度をつくったり、仕事の進め方を整えたりする必要が出てきます。そして事業が成長したら、次の新しい事業にも挑戦したくなる。そういう会社の成長に合わせて、必要になることを支援しているんです。



なるほど。会社が成長する中で出てくる、いろいろな困りごとに対応されているんですね。ちなみに、最初から今のように幅広い事業を手がけようと考えていたんですか?



そうですね。もともと僕は、関わった人や会社にとって、家族のような存在でありたいと思っているんです。何か困ったことがあった時に、気づいたらいつもそばにいてくれる。役割はその時々で違っても、「お前らがいてくれたから、楽しかったし、うまくいったよね」と言ってもらえるような存在ですね。



家族のような存在、ですか。



そうです。でも、会社が成長していくと、必要な支援も変わっていくじゃないですか。営業だけを支援していたら、採用で困った時には別の会社へ相談することになるかもしれない。それだったら、営業も採用も組織づくりも事業開発も、僕たちが一緒に取り組めるようにしたいんです。そうすれば、会社の成長に合わせて役割を変えながら、長く関わっていけますから。



だから、特定のサービスだけに絞らず、幅広い支援をされているんですね。



はい。それに、営業や人事、新規事業の立ち上げは、僕自身が会社員時代に経験してきたことでもあるんです。だから、考え方をお伝えするだけではなくて、必要なら実際の仕事も一緒にできます。もちろん、気持ちがあるだけでは駄目ですよ。相手が何に困っているのかを理解して、きちんと成果を出さなければ意味がありません。そこは、事業としてしっかり向き合っていきたいと思っています。
「何をするかより、誰とやるか」100人の仲間と実現したい未来



今後についても伺いたいのですが、具体的にこれからはどんなことに挑戦していきたいと考えていますか?



そうですね。事業としては、売上1億円規模の事業を100個つくりたいという考えがあります。大きな一つの組織をつくるというより、少人数で動ける組織をたくさんつくるイメージですね。少人数の方が意思決定も早いですし、仕事をしていて楽しいと思うんですよ。新しい事業のアイデアもいろいろ考えていますし、実際に試しているものもあります。もちろん、全部がうまくいっているわけではないですけどね。



100個ですか! それだけ多くの事業をつくりたいと思うのは、どうしてなんでしょう?



僕は、一緒にいる仲間と、できるだけ長く仕事をしていきたいんです。みんなが同じ仕事をする必要はないし、それぞれ得意なことも違いますよね。だったら、いろいろな事業があった方が、一人ひとりが力を発揮できる場所も増やせると思うんです。だから、新しい事業を考える時も、何をやるかということだけではなくて、誰とやるか、誰のためになるかを大事にしています。



それぞれの得意なことを生かせる場所を増やしていくために、100個の事業という構想があるんですね。



そうですね。僕は、別に同じ会社で働いている人だけが仲間だとは思っていないんです。お客様も、取引先の方も、僕にとっては大切な仲間です。もちろん仕事なので、きちんと成果をお返しすることは前提ですけど、そのうえで長く付き合っていきたいと思える関係が理想ですね。



それでは最後に、これから自分のキャリアを考えていく若い方々へ、笠松社長が伝えたいことを伺えますか?



僕自身、もともとは本当に怖がりでしたし、今でも新しいことに挑戦する時は緊張します。だから、最初から自信がなくてもいいと思うんですよ。ただ、自分がどうなりたいのか、何を大切にしたいのかは、一度ちゃんと考えてみてほしいですね。それがわかったら、できることから行動してみる。やってみないとわからないことも多いですし、できないことがあれば、できる人に教えてもらえばいいんです。一人で全部できる必要なんてないと思っています。僕も、これまでいろいろな人に助けてもらってきました。自分にできることが増えたら、今度は誰かのためにその力を使えばいい。そうやってお互いに支え合える仲間が増えたら、人生も仕事ももっと楽しくなると思うんです。これからも、自分が大切にしたい生き方からぶれずに、仲間と一緒にいろいろなことへ挑戦していきたいですね。



笠松社長のお話で特に印象に残ったのは、自分自身と何度も向き合い、目標や価値観を言葉にしてきたことです。苦手なことに対しては、準備を重ねて挑戦する。そして、人生の大きな選択に迷った時には、自分が何を大切にしたいのかを改めて考える。その積み重ねが、15年間勤めた会社を離れ、独立するという決断にもつながっていました。そして、笠松社長自身が大切にしてきた、自分の望む姿を明確にすることは、IKIZAMAが掲げる「人の生き様を解放する」という理念とも重なります。自分の理想を見つけるだけでなく、今度はほかの人や企業が目指す未来の実現にも力を注いでいることが印象的でした。自分が何をしたいのかわからない時や、将来の選択に迷った時。まずは自分の得意なことや苦手なこと、心から大切にしたいものを言葉にしてみる。そこから、自分が進みたい道が少しずつ見えてくるのかもしれません。笠松社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。
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