「綺麗でお金があっても、うまくいかない人はいるんですよ。」株式会社いろもの・山田社長が語る、”素直”じゃない、伸びる力

うまくいかないのは、自分のスペックが足りないからだと思ってしまう。そんなことは、ないでしょうか?

株式会社いろものの山田陵社長は「綺麗でお金があっても、うまくいかない人はいるんですよ」と話します。婚活を支援する会社を10年ほど経営していて、早く結婚できる方と、長引いてしまう方の両方を見てきました。いまは、相手を探す前に自分の希望を整理するところから伴走するサービスを展開しています。

では、早く結婚できる人と長引く人は、何が違うのか。そして、その違いは、仕事で結果が出る人と出ない人の差とも重なるのか。詳しくお話を伺いました。

読み終わる頃には、結果を分けているのはスペックではなく、受け止め方の柔らかさなのだと、気づきが一つ増えているはずです。

お話を伺った人

株式会社いろもの

代表取締役 山田 陵

会社員時代に参加した街コンをきっかけに、婚活の領域で起業。街コンの運営から婚活業界へと事業を移し、現在はオンラインで、相手探しから関係づくりまでを伴走する「パーソナル婚活」を提供。コーチングを使い、利用者一人ひとりが望む暮らしを整理するところから支援し、全社員がフルリモート・フルフレックスで働く体制をとっている。

目次

1万円で、紙コップの水とピーナッツでした

編集部

山田社長は婚活の会社を10年ほど続けてこられたとのことですが、一体どういうきっかけで始められたんですか?

山田社長

会社員をしていた頃に、友達と街コンに行ったんです。ファミレスのピッチャーみたいなものが真ん中に置いてあって、紙コップとピーナッツがある。それで料金が1万円だったんですよ

編集部

1万円で、その内容ですか…!

山田社長

いや、悪いとかいいとかというよりも、平成の後期に、まだこういうサービスが存在するのかと思ってしまって(笑)。これは、もうちょっと何とかならないかな、と。

編集部

そこで、自分でやろうと思われたんですね。

山田社長

ちょうど30歳手前で、今後は自分で事業もしたいな、という気持ちがあったんです。toB(企業向け)というよりは、自分みたいな一般の人が幸せになる事業がいいなとも思っていました。

編集部

その中でも、婚活を選ばれたのはなぜですか?

山田社長

どうせ起業するなら、日本の社会課題解決に寄与できるといいなと思っていて。少子化は当時も今も大きな課題ですし、日本は結婚しないと子どもが生まれにくい文化なので、マッチングの領域はいいんじゃないかと思ったんです。

編集部

そもそも、当時参加されていたその街コンでは、出会いはあったんですか?

山田社長

それが、結局出会えずでした。ただ、もしもいい人に出会えなくても、ご飯が美味しかったねとか、会場の雰囲気が良くてこの2時間はいい体験だったね、という結果にはできたほうがいいと思ったんですよ。できることは、まだたくさんあるなと。

編集部

その気づきが、そのまま事業になったんですね。

山田社長

そうですね。それで会社をつくって、街コンの運営から始めました。3年ぐらいは順調に伸びていたんです。

何回も来てくださるのが、嬉しいけど申し訳なかったんです

編集部

順調だったのに、その街コン事業はやめられたと伺いました。一体、何があったんですか?

山田社長

リピートしてくださるお客様が増えてきたんですよ。嬉しいんですけど、ちょっと申し訳ないな、と思ってしまって。恋人が欲しくて来てくださっているので、また来たということは、いちばん提供したいものが提供できていないということですから。そこは複雑でした。

編集部

満足はされているけれど、目的は果たせていないと。

山田社長

お客様が欲しいのは、出会いというより恋人で、恋人というより結婚で、結婚というより幸せになる人生だと思うんです。だとすると、恋愛の間だけをやっていてもな、と。

編集部

それで、結婚のほうに移られたんですか?

山田社長

はい。ちょうどマッチングアプリが伸びていた頃で、使ってもうまくいかない方もたくさんいました。それなら、オンラインで婚活事業をやったらいいんじゃないか、という形で始めました。

編集部

そこからさらに、いまのパーソナル婚活の形になるわけですか?

山田社長

3、4年やっていると、結婚まで進む方は進むんですけれども、婚約破棄で戻ってこられる方もいるんですよ。ご結婚のあとに、うまくいっていないというお話も出てきます。

編集部

戻ってこられるのは、こたえますね…。

山田社長

正直、本当に力になれたとは言えないな、と思いました。

編集部

結婚したら終わり、ではないんですね。

山田社長

もう少し、関係のつくり方とか、その前の準備のところまでお手伝いできるといいんじゃないか、と。結婚のために結婚するのではなくて、自分の準備をして、相手を探して、関係をつくるところまでを一緒にやる。それがいまの形ですね。

あなたがどうしたいかを整理するところから始めます

編集部

そのパーソナル婚活は、結婚相談所とは何が違うんですか?

山田社長

イメージとしては、パーソナルジムのような形ですね。うちのサービスの中で絶対に探してください、というものではなくて、アプリで出会っていただいてもいいんです。そこは自由にしています。街コンも、結婚相談所も、形は変わってきましたけど、目の前の人にちゃんと良い結果を持ち帰ってもらいたい、という一点だけはずっと変わっていないんです。

編集部

相手を探す場所は、どこでもいいと。

山田社長

まず、あなたがどうしたいかを整理するところから始めます。将来どこで暮らしたいか、どんな生活をしたいか。そこから相手の条件を考えて、じゃあどこで、どんな方を探して、どんな行動をするといいんだろうね、というのを一緒にやっていく形です。

編集部

条件から入らないんですね。皆さん、最初は何とおっしゃるんですか?

山田社長

「優しい人がいいです」「毎日一緒にご飯が食べられたらいいです」と。嘘ではないんですけれども、それは漠然としたイメージで、本人もまだ言語化できていないだけのことが多いんです。

編集部

たしかにそうかもしれません。

山田社長

本当は何がしたいのか、日々何を見て生きていて、どういうものに心が動くのか。そういう話をしていくと、一般的にはこれがいいと言われているけれど、自分が本当にしたいのはこっちだ、とわかるようになってきます。

編集部

そこまで踏み込むとなると、担当の方も特別な訓練が要りそうです。

山田社長

うちではアドバイザーではなく、コーチと呼んでいます。認知科学コーチングという、人の認知や行動がどういう仕組みで起きるのかを理解した上でコーチする形ですね。最初の1ヶ月はみっちり研修をして、そのあとはお客様を担当しながら、3ヶ月ほどかけて覚えてもらいます。

編集部

それだけ研修をされるんですね…!

山田社長

そうですね。転職や結婚、住宅の購入みたいな、大きなライフイベントの意思決定に関わることになるので、涙を流しながらお客様と一緒にやっているスタッフもいますよ。

綺麗でお金があっても、うまくいかない人はいるんですよ

編集部

たくさんの方を見てこられて、早く結婚が決まる人と長引く人の違いは、どこにあるんでしょうか?

山田社長

うちはコーチングを使っているので、「コーチャビリティが高いかどうか」という言い方をするんですが、大前提、コーチングを受けることに向いている人と、そうでない人がいるんですよ。

編集部

素直な方、ということですか?

山田社長

いえ、素直というのとは、ちょっと違うんです。素直は、言われたことをそのままやる、という感じですよね。コーチャビリティが高いというのは、受け止められる、という感じです。

編集部

うーん、具体的にどう違うんでしょうか。

山田社長

たとえば、「あなたは冷たそうに見えますよ」と言われたとしますよね。素直な人は、「あ、冷たく見えるんだ」と受け取る。一方で素直じゃない人は、「俺は冷たくない」と反発する。その、中間なんですよ。「そう見えるのなら、自分はそう思わないけれど、なんでだろう」と考えられる人ですね。

編集部

反発でも、鵜呑みでもない、と…。

山田社長

綺麗で、背が高くてお金があっても、コーチャビリティが低いとあまりうまくいかないんですよ。デートで相手がお金を払ってくれなかった、というケースで、すごく怒る方がいます。事実=相手が払わなかった、感情=怒り。ここまでは、誰でも同じで。

編集部

その先が、分かれるんですね。

山田社長

受け止められる方は、「なぜその気持ちになったと思いますか?」と聞かれて考えて、「大事にされていないと思ったからかもしれません」という答えが一旦出てくる。そうでない方は、「だって男が払うのが当たり前じゃないですか」で終わり。これ以上の変化がないので、その先に進まないんです。 

編集部

仰っていることは、なんとなくわかります。でも、結婚の難易度に影響するのって、ぶっちゃけ年齢や見た目なんじゃないですか…?

山田社長

実は、年齢そのものが理由ではないんです。考え方や受け止め方が柔らかい方は、30代でも結婚までが早いですし、20代でも時間がかかる方はいます。

編集部

なんだか、キャリアにおいても同じことが言えるような…。素直で柔軟に考えられる人ほど、内定やキャリアアップが早いとよく聞きます。では、婚活が長引いて疲れてしまった方には、どう向き合われるんですか?

山田社長

まず、本当に結婚したいのかを改めて見ます。結婚したいという気持ちの奥に、将来への不安が隠れていることも少なくありません。それをはっきりさせないと、出すべきところでエネルギーが出せません。そのあとは、10件申し込んで10件断られた、というファクトをそのまま認められるか。認めないと、打ち手がずれてしまいます。思考停止でただ励ますといったことは、本質的ではないので、あまりしないですね。

むしろ未経験の方のほうがいいんです

編集部

その考え方でお客様に向き合う方を、いま募集されているんですよね。

山田社長

全ポジションでオープンにしています。コーチと、入会のご案内をするプランナー、それからマーケティングやエンジニア、カスタマーサポートも。1つ選んでくださいと言われたら、コーチですね。

編集部

それって、未経験でも大丈夫なんでしょうか?

山田社長

むしろ未経験の方のほうがいいですね。もともと結婚相談所でキャリアを積まれていた方は、あまり続かなかったケースもあります。コーチなので、先生をやられると困ってしまうんです。

編集部

経験があるほうが、かえって難しいと…!

山田社長

一般的な婚活のアドバイザーは、恋愛の先生なので、ああしなさい、こうしなさい、これが正解、というコミュニケーションになりがちなんですよね。うちはそれをやらないので、どうしても合わないケースが多いんです。

編集部

では、どんな方に来てほしいですか?

山田社長

人の幸せが自分の幸せ、という方ですね。面接では、働く根源的なやりがいは何か?という話をします。お金が欲しい、自由にリモートで働きたい、というのはみんなそうなので。それが全部満たされた時に、最後に残るものは何でしょうね、と。

編集部

そこで残るものが、人のため、だと。

山田社長

ありがとうと言われたい、人の人生をより良くすることで自分が満足できる、という方が実際に弊社には多いですね。

編集部

働き方のほうは、どうなっていますか?

山田社長

フルリモートのフルフレックスです。私が会ったことのない人が95%ぐらいで、5年働いていても一度も生で顔を見たことがない、という人のほうが多いですね。目指しているのは、結婚してよかったな、というご夫婦が増えることです。幸せな夫婦10万組を、1つの目標にしています。

編集部

幸せな夫婦10万組。1万円の街コンで、紙コップの水とピーナッツを前にしたところから、そこまで来たわけですね。スペックのせいにしている間は、打ち手が出てこない。言われたことを一度受け止めたところから、婚活も仕事も変わっていくんですね。山田社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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