「過去の経歴も、学歴も見ていません。」株式会社アイティークロス・大塚社長がITエンジニア未経験者に求める“人間力”とは

ITエンジニアへの転職を考えたとき、「未経験でも本当に大丈夫なのか」「入社してからついていけるのか」と不安を感じる人は少なくないでしょう。
株式会社アイティークロスでは、未経験からエンジニアを目指す人も積極的に採用しています。ただし、大塚邦弘社長が見ているのは、経験の有無だけではありません。
「過去の経歴も、学歴も見ていません。人間力と本質を見ています。」
その言葉の背景には、技術だけを教えるのではなく、一人ひとりと向き合い、長く活躍できる人を育てたいという考えがあります。
未経験者をどのように育てているのか。採用では何を見ているのか。そして、AIが急速に広がるこれからのIT業界で、どんな人が求められるのか。大塚社長に伺いました。
株式会社アイティークロス
代表取締役 大塚 邦弘
株式会社アイティークロスの代表取締役。SES事業を中心に、未経験者を含むエンジニアの採用・育成に取り組む。技術力だけでなく、論理的思考やコミュニケーション力など「人間力」の成長を重視し、エンジニアとしての市場価値を高めるだけではない育成を進めている。
売上を伸ばすだけではなく、「一人ひとりを育てる」

編集部IT業界では経験者が優遇されるイメージがありますが、アイティークロスさんでは未経験者も採用しているんですよね。



そうですね。ただ、未経験なら誰でもいいというわけではありません。価値観がマッチするかだったり、こちらの本気度に応えられるかだったり、そういうところは見ています。



たしかに、そこは働くうえで重要なところですよね。



会社なので、もちろん売上を立てることは大前提です。ただ、目先の売上だけを考えて人を採用しても、その人が10年、20年先まで価値を発揮できるかはわからないですよね。だから弊社は、単純に人数を増やすこと以上に、一人ひとりにフォーカスして、人を育てることを大切にしています。



その人が長く活躍できる状態を作っていく、ということなんですね。



そうですね。それが結果的に、会社の安定した基盤にもつながると思っています。単純にエンジニアの人数を増やすのではなく、一人ひとりが長く価値を発揮できるように育てていく。そこは、弊社が大切にしているところですね。
わからないまま一人にしない。毎週振り返り、すぐ相談できる環境を作る





未経験から入社した場合、実際にはどのように仕事を覚えていくんでしょう?



OJTもありますし、基本的にはエンジニアの管理職がメンターにつきます。何かわからないことがあれば、チャットや電話で随時相談できます。未経験だと、自分だけでは解決できない課題にぶつかることも多いと思うので、そこでずっと足踏みしないようにしていますね。



わからないことを抱えたままにしない仕組みがあるんですね。



そうですね。毎週、自分が何を予定していて、実際に何をしたのか。そこから何を改善すべきだと考えたのか、次の一週間はどうするのか。そういった内容をレポートにまとめてもらって、上司やメンターからフィードバックを返しています。毎週振り返ることで、一歩ずつでも前に進んでいけるようにしています。



技術を教えてもらえるだけでなく、メンターによる精神面や考え方に関するサポートがあるのはありがたいです。



弊社では、誰かに物を教えられることはもちろんですけど、人を育てられることが管理職になるうえでも大切だと考えているんです。「こうするとお客様から信頼してもらえる」「こういう考え方をした方がいい」というところまで落とし込んでいく。単純にプログラムを書けるようになれば終わり、ではないんです。



なるほど。管理職になるうえでも、「自分ができる」だけではなくて、「人に教えられるか」が大事なんですね…!
人としての価値が上がる





未経験者にとって、御社で働く一番のメリットはどこにあると思いますか?



人としての価値が上がることだと思います。もちろん、技術を教えますし、勉強できる環境も用意しています。資格に関する制度などもあります。ただ、「会社が教えてくれるから、入社すればエンジニアになれる」という受け身の姿勢では難しい。用意されているものを使って、自分から学ぶ姿勢は持っていてほしいですね。



環境は用意するけれど、それをどう使うかは本人次第ということですね。ちなみに、その「人としての価値が上がる」というのは、エンジニアとしてのスキルとはまた別なんでしょうか?



別ですね。技術はもちろん大事ですけど、それだけではなくて、人との接し方だったり、考え方だったり、仕事への向き合い方だったり、そういう部分も含めて人間力だと思っています。そこが身につけば、エンジニアという仕事だけに限定されないんですよね。



たとえ将来、別の道を選んだとしても残るものがある…。



そうです。仮に将来、エンジニアとは別の業種にキャリアチェンジしたとしても、人間力が上がっていれば、そこで絶対に生きてくると思うんです。だから、エンジニアとしてどうなりたいかだけではなくて、その人自身がどう成長していきたいのかというところを大事にしているんですよ。



職種を超えて、その先の成長まで見ているんですね。



そうですね。もちろん「エンジニアになりたい」という気持ちは大事です。ただ、それだけではなくて、人として成長したいと思っている方の方が、弊社には向いていると思います。
採用で見るのは、論理的思考・能動性・コミュニケーションと、今後どうなりたいか



人として成長したい意欲がある方以外だと、具体的にどんな人がアイティークロスさんにマッチするんでしょう?



論理的思考、能動的に考える力、コミュニケーション能力がある人。大きくはこのあたりですね。



スキルそのものより、やっぱり仕事の土台になる部分を見ているんですね。



そうですね。面接でも、用意された答えだけを聞いて終わりにはしません。「なぜそう思ったんですか」「そのとき、どうしてそう動いたんですか」と深掘りしていく。そうすると、その人の価値観や本質が見えてくるんです。



なるほど。そこから、さらに質問を重ねていくんですね。



採用ですから、良く見せようとして答えを準備してくること自体は普通だと思います。でも、そこを掘っていったときに話が破綻したなら、「なぜそうなったのか」「本当はどう考えているのか」と、さらに聞いていく。正しい答えを言えるかというより、その人がどう考えているのかを見ています。



過去に困難をどう乗り越えたか、というのも見ますか?



見ますね。どういう課題にぶつかって、そのときに何を考えて、どう行動したのか。どういう立ち回りを意識したのか。結局、私たちの仕事はお客様がいる仕事なので、どれだけ相手の目線に立って考えて、提案して、行動できるかは非常に大事です。それがお客様からの評価になって、最終的には本人の評価にもなりますからね。



大塚社長ご自身が面接を担当することもあるそうですね。



そうですね。私が面接するときは、過去の経歴や学歴は見ていません。その代わり、人間力と本質を見ています。過去にどんな苦労をしたのか、そのときどう改善したのかという質問もしますけど、それもいくつかある質問の一つです。もっと大事なのは、「結局、あなたはどうなりたいの?」というところですね。



将来像があるかどうか。



そうです。「やる気があります」「キャリアアップしたいです」と言っているのに、「じゃあ、どうなりたいの?」と聞いたときに具体的な答えが出てこないと、話がつながらないじゃないですか。「スキルをつけて食べていけるようになりたい」だけだと、まだ具体性がない。自分がどうなりたいのかを具体的に言えて、そのために今こういう努力をしています、と話せること。そこに本気度が出ると思います。



未経験かどうかよりも、「どこを目指して、今どう動いているのか」を見ているんですね。
AIが当たり前になるからこそ、「人」の価値を高めていく





今後は、AIを使った開発にも力を入れていくそうですね。



そうですね。今、IT業界にはAIがかなり入ってきています。「AIに仕事を奪われる」と言われることもありますけど、裏を返せば、AIを活用できる人の需要や価値は上がっていくと思っています。実際、簡単なものであれば、以前よりはるかに短い時間で作れるようになっていますからね。だからこそ、これからは単純にコードを書けるだけではなくて、AIをどう使うのか、どう仕事の生産性を高めるのかということも重要になってきます。



会社としても、これまでとは違う事業を作っていかれるんでしょうか?



今はSES事業が中心ですが、将来的にはSESだけで売上を立てる会社ではなくしたいと思っています。SESは、エンジニアが成長するための一つの場として残しながら、売上の50%をSES、もう50%を自社のパッケージなどから作る。そういう二つの軸を持った経営基盤を作っていきたいですね。



事業の形は変わっていっても、「人を育てる」という考え方は変わらないのでしょうか。



そこは変わらないですね。AIが進化すれば、技術そのものはこれからもどんどん変わっていくと思います。でも、論理的に考えること、自分から動くこと、お客様から信頼されることは、簡単にはなくならない。だからこそ、弊社ではエンジニアとしてのスキルだけではなく、どこへ行っても生きる「人間力」をこれからも伸ばしていきたいと思っています。



未経験からIT業界へ入るとき、最初からすべての知識や技術を持っている必要はありません。一方で、「教えてもらえるから大丈夫」と待っているだけでも成長は難しい。アイティークロスが重視しているのは、経験や学歴よりも、自分がどうなりたいのかを考え、そのために自ら動こうとする姿勢でした。AIによって技術や仕事の形が変わっても、人と向き合い、自分で考え、動く力は残る。大塚社長のお話からは、目の前の仕事だけではなく、その人の先のキャリアまで見据えて育てていきたいという考えが伝わってきます。大塚社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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