学歴中卒から美容師になるには?高認・通信制経由の現実的ルートとかかる費用

学歴が中卒のまま美容師免許を取得することは、美容師法上できません。美容師免許は厚生労働省指定の美容師養成施設(昼間2年・夜間2年・通信3年以上)を卒業し、国家試験に合格することが要件で、養成施設の入学資格として高校卒業またはこれと同等以上の学力が定められています。
本記事では、中卒から美容師を目指すための現実的な2つのルートと、それぞれの期間・費用・流れ・注意点を解説します。「中卒のまま美容師になれる」という情報は誤りで、必ず高卒同等の資格を取得する工程を経る必要があります。
参考にした公的データは、厚生労働省「美容師法」「美容師養成施設指定規則」、文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」の3つです。
この記事は、転職エージェント「当社」を運営する私たちが、中卒からの就職・進路支援を担当してきた実務経験をもとに編集部視点で解説しています。

中卒のまま美容師免許は取得できない|美容師法の規定
美容師は厚生労働大臣免許の国家資格で、免許取得には美容師法および学校教育法に基づく要件を満たす必要があります。法的根拠を最初に押さえておくと、進路の組み立てが誤りなく進められます。
美容師免許取得までの法的フロー(美容師法準拠)
※中卒のままで美容師養成施設に入学する経路は美容師法・学校教育法上ありません。
美容師法の規定
美容師免許は、都道府県知事の指定した美容師養成施設を卒業し、厚生労働大臣が行う美容師国家試験に合格した者に対して交付されます。養成施設の課程は昼間課程2年・夜間課程2年・通信課程3年以上のいずれかです。
【参考】厚生労働省|美容師法の概要
養成施設の入学資格|学校教育法第90条
美容師養成施設指定規則では、入学資格として学校教育法第90条に規定する者が要件とされています。学校教育法第90条は「高等学校を卒業した者又は通常の課程による12年の学校教育を修了した者及び文部科学大臣の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者」と定めており、高認合格者・通信制高校卒業者もこれに含まれます。
【参考】e-Gov法令検索|美容師養成施設指定規則
「中卒のまま美容師になれる」情報の誤り
インターネット上の一部に「中卒でも美容師になれる」と書かれた情報がありますが、美容師法・学校教育法・養成施設指定規則のいずれにも中卒のままで養成施設に入学できる規定はありません。中学卒業後に養成施設に入学するには、別途高卒同等の資格(高認・通信制高校卒業など)を取得する工程が必須です。
阿部 翔大ご相談の中で「中卒のまま美容師の専門学校に行けると聞いた」とおっしゃる方がいますが、これは情報源を誤って理解されている可能性が高いです。法律上の要件は明確で、高卒同等資格が前提になります。最初にこの事実を確認することが進路選びの起点になります。


中卒から美容師になる2つの現実的ルート
高卒同等資格の取得方法によって、中卒から美容師になるルートは大きく2つに分かれます。さらに各ルートの中で美容専門学校の課程(昼間・夜間・通信)の選び方で枝分かれします。
| ルート | 合計期間目安 | 合計費用目安 | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|---|---|
| A|高認→美容専門学校(昼間2年) | 2.5〜3年 | 200〜400万円台 | 高認は独学可・最短ルート | 短期で資格を取りたい方 |
| A’|高認→美容専門学校(通信3年) | 3.5〜4年 | 70〜150万円台 | 働きながら学べる・費用抑えめ | サロン勤務しながら学びたい方 |
| B|通信制高校→美容専門学校(昼間2年) | 5年 | 220〜500万円台 | 高卒資格と美容免許の両方を取得 | 高卒資格も欲しい方 |
| B’|美容専門学校の高等課程 | 3年 | 200〜400万円台 | 高卒資格と美容免許を同時に取得できる学校あり | 中学卒業直後の方 |
ルートA|高認取得→美容専門学校
高等学校卒業程度認定試験(高認)に合格して高卒同等資格を取得し、美容専門学校に進む最短ルートです。高認は文部科学省が年2回実施する国家試験で、独学・通信講座でも合格を狙えます。高認合格までの期間は早ければ半年〜1年で、その後美容専門学校に2〜3年通う流れになります。
ルートB|通信制高校卒業→美容専門学校
通信制高校に3年通って高卒資格を取得し、その後美容専門学校に進むルートです。高卒資格と美容師免許の両方を取得できる強みがあり、将来的に美容師以外の進路に切り替える可能性を残せます。通信制高校3年+美容専門学校2年で合計5年程度の時間軸になります。



面談で美容師希望の方には、年齢・働きながら学ぶか専念するか・費用負担の状況の3点を伺った上でルートを提案しています。18歳前後の方は中学卒業直後のBルート、20代以降の方はAルートを選ぶケースが多いです。
ルートA詳細|高認取得から美容専門学校への流れ・期間・費用
ルートAは高認取得(6か月〜1年)→ 美容専門学校(昼間2年・夜間2年・通信3年いずれか)→ 国家試験合格の3ステップです。期間と費用は専門学校の課程選択で大きく変わります。
ステップ1|高認の取得
高認は8月と11月の年2回実施されます。受験料は科目数に応じて4,500円〜8,500円程度(最大10科目)。独学で挑戦する場合、市販テキストや過去問集を使った1日90〜120分・6か月程度の学習で合格可能なケースがあります。サポート校・通信講座を利用する場合は別途学費(年10〜30万円程度)が発生します。
【参考】文部科学省|高等学校卒業程度認定試験
ステップ2|美容専門学校への入学
高認合格証明書を入学資格として、美容専門学校に出願します。入学時期は4月入学が一般的で、学校により10月入学・随時入学の枠もあります。学費は専門学校・課程により幅があり、目安は以下のとおりです。
- 昼間課程2年|200〜400万円台(学費+実習費+教材費の合計)
- 夜間課程2年|150〜300万円台
- 通信課程3年|50〜100万円台(働きながら学べる)
ステップ3|美容師国家試験の受験と合格
美容専門学校を卒業すると国家試験の受験資格が得られます。試験は年2回(春・秋)実施され、実技試験(カッティング・ワインディングなど)と筆記試験(関係法規・衛生管理・美容理論など)で構成されます。合格率はおおむね85〜90%で推移しています。
ルートAの期間と費用の目安
高認半年+専門学校昼間2年で最短2.5年、費用は200〜400万円台が目安です。専門学校通信課程を選ぶ場合は3.5〜4年+70〜150万円台になり、サロン勤務しながら学費を稼ぐ運用も可能です。



ルートAで一番ハードルが高いのは高認の独学です。1人で学習を続けるのが難しい方には、ハロートレーニング併設の高認対策コースを使うなど、公的支援との組み合わせも視野に入れて提案しています。


ルートB詳細|通信制高校から美容専門学校への流れ・期間・費用
ルートBは通信制高校3年 → 美容専門学校2〜3年 → 国家試験合格の流れです。高卒資格を確実に取得しつつ、長期で美容師免許を目指す堅実なルートになります。
ステップ1|通信制高校の選択と入学
通信制高校は全国に200校以上あり、学費と通学形態に幅があります。年学費の目安は以下のとおりです。
- 公立通信制高校|年5〜10万円程度(学費控除制度あり)
- 私立通信制高校|年20〜40万円程度(私立学校就学支援金で実質負担減)
- サポート校併用|年30〜100万円程度(学習サポートが充実)
ステップ2|通信制高校在学中の準備
通信制高校在学中に美容業界への興味を実務で確認する選択肢として、美容室でのアルバイト(アシスタント補助・受付など、美容師免許不要の業務)があります。在学中に業界の雰囲気を体験しておくと、専門学校選びと卒業後の就職の精度が上がります。
ステップ3|美容専門学校への進学
通信制高校卒業見込みまたは卒業後、美容専門学校に出願します。課程選択(昼間・夜間・通信)と費用の関係はルートAと同じです。通信制高校から専門学校への推薦枠を設けている学校もあるため、出願前に情報を集めます。
ステップ4|国家試験合格と免許取得
専門学校卒業後、美容師国家試験を受験して合格すれば免許交付に進みます。合格後はサロン勤務・独立開業・フリーランス活動など、複数のキャリアパスが選択可能になります。
ルートBの期間と費用の目安
通信制高校3年+専門学校昼間2年で合計5年、費用は通信制高校(公立10〜30万円・私立60〜120万円)+専門学校(200〜400万円台)で、220〜500万円台の幅です。学費負担を抑えたい場合は公立通信制高校+専門学校通信課程の組み合わせも検討対象になります。



ルートBは時間がかかりますが、高卒資格が確実に手元に残るのが強みです。「美容師になれなかった場合の保険」が欲しい方や、「美容師の道で詰まったときに別の進路に切り替えたい」と考える方には、Bの方が安心して動けると思います。
美容師の年収・キャリアパスの実態
美容師の年収・働き方は、役職段階・店舗形態・地域・独立有無で大きく変わります。資格取得後に長期で見据えるキャリアパスを、編集部視点でまとめます。
【参考】厚生労働省 jobtag|美容師(職業情報提供サイト)
役職段階別の年収目安
- アシスタント(入社1〜3年目)|年収240〜300万円台
- ジュニアスタイリスト(3〜5年目)|年収300〜380万円台
- スタイリスト(5年目以降)|年収380〜500万円台
- 店長・トップスタイリスト|年収500〜700万円台
- 独立オーナー|年収500〜1,000万円超(店舗運営により変動)
キャリアパスの選択肢
美容師免許取得後の進路はサロン勤務(雇用契約)、業務委託・面貸し(フリーランス)、独立開業の3方向に大別されます。フリーランスは集客力と顧客基盤の構築が前提、独立開業は資金(500万〜1,500万円規模)と経営知識が必要です。
美容師としての長期的な働き方
美容師は実技スキルと顧客対応スキルが評価軸になる職種で、学歴ではなく経験年数と指名顧客数が年収を決める業界です。中卒から美容師免許を取得した方も、業界内では学歴で評価されないケースが多数で、技術と顧客対応で正当に評価される業界文化があります。



美容師は学歴の差が表に出にくい業界の代表です。技術と顧客対応で評価されるので、中卒スタートでも長期で見ると周囲と同じ土俵で勝負できます。逆に技術と顧客対応で差が出るので、専門学校の学習と現場経験の質が将来を決めます。


美容師以外で中卒から目指せる美容業界の職種
美容師免許の取得まで2〜5年の時間と費用が必要なため、もっと短期で美容業界に入りたい場合や、美容師という職種にこだわらない場合の選択肢として、関連職種をまとめます。
アイリスト(まつ毛エクステ施術者)
まつ毛エクステの施術は美容師免許が必須となっています(2008年の通達で美容師業務に該当)。アイリスト単独の資格として目指す場合も、結果として美容師免許の取得が前提になるため、ルートA・Bと同じ工程が必要です。
ネイリスト
ネイリストは国家資格不要で、民間資格(JNECネイリスト技能検定、JNAジェルネイル技能検定など)が業界標準として運用されています。中卒からネイルスクール(3か月〜2年)に通い、資格取得後にネイルサロンに就職するルートが現実的です。
エステティシャン
エステティシャンも国家資格不要で、AJESTHE認定エステティシャン、CIDESCOディプロマなどの民間資格が業界標準です。エステスクール(3か月〜1年)受講後にエステサロン勤務に進むルートが一般的で、中卒からのスタートも可能です。
美容関連の他職種
- 美容部員(化粧品メーカー)|デパート・ドラッグストア勤務・学歴不問の枠あり
- ヘアメイクアシスタント|美容師免許なしでも始められる
- 美容室レセプション|受付業務・美容師免許不要
- 美容師アシスタント(美容師免許なし)|シャンプー・カラー塗布補助など補助業務



「美容業界で働きたい」が目的なら、美容師免許にこだわらず、ネイル・エステ・美容部員も視野に入れると選択肢が増えます。逆に「カットやスタイル提案がしたい」が中心なら、時間がかかっても美容師免許取得が王道です。
中卒から美容師を目指す方からキャリアアドバイザーへのよくある質問
面談で受けることが多い質問を、回答とあわせてまとめました。進路を選ぶ判断材料として活用してください。
Q. 中学卒業直後すぐに美容師を目指したい場合、最短ルートはどれですか
A. 美容専門学校の高等課程(B’ルート)が最短です。高校卒業資格と美容師免許を同時に取得できる3年制の課程で、中学卒業直後に入学できます。ただし高等課程を設置している専門学校は限られるため、住んでいる地域から通える学校があるかを最初に確認します。
Q. 働きながら美容師を目指すことは可能ですか
A. 可能です。美容専門学校の通信課程(3年)や夜間課程(2年)を選ぶと、昼間にサロンで働きながら学費を稼げます。サロン側も「免許取得を目指すアシスタント」を採用する仕組みがある店舗が多く、業務と学習の両立は業界文化として成立しています。
Q. 高認は本当に独学で取れますか
A. 科目によります。国語・社会・英語など暗記中心の科目は独学で対応しやすい一方、数学・理科は基礎が抜けていると独学が難しい場合があります。1〜2科目だけ通信講座やサポート校を併用する組み合わせが、費用と学習効率のバランスが取りやすい運用です。
Q. 美容師の国家試験の合格率はどれくらいですか
A. 国家試験の合格率は実技・筆記合わせておおむね85〜90%で推移しています。専門学校で正規のカリキュラムを修了した方の合格率は高く、合格率の高さに比べて受験のハードルは小さい試験です。
Q. 美容師免許を取った後に他業種に転職することは可能ですか
A. 可能です。美容師免許は終身有効で、一度取得すると失効しません。サロン勤務後に化粧品メーカーの美容部員、美容系商品企画、ブライダルヘアメイクなどに転職する事例も業界内では珍しくありません。長期のキャリアの中で職種を変えていく選択肢が残されます。
Q. 美容師にならない選択肢を含めて相談したいです
A. 美容業界の他職種(ネイリスト・エステティシャン・美容部員)や、中卒から目指せる他業界の選択肢も含めて相談できます。中卒から正社員を目指す全体像は、別記事「中卒におすすめの転職エージェント7選」で詳しく解説しています。





FAQで多いのは「働きながら美容師になれるか」と「他業種に転職できるか」の2問です。両方とも答えはYesで、業界の働き方と転職市場の両面で柔軟性が確保されている職業です。


まとめ|中卒からの美容師は高卒同等資格+専門学校が必須ルート
中卒のまま美容師免許は取得できません。高認取得または通信制高校卒業で高卒同等資格を得たうえで、美容師養成施設(昼間2年・夜間2年・通信3年)を卒業し、国家試験に合格する工程が法的に定められています。
現実的なルートはA 高認→美容専門学校とB 通信制高校→美容専門学校の2つで、期間と費用と将来の柔軟性が異なります。中学卒業直後ならB’(美容専門学校の高等課程)、20代以降の方なら最短のAルート、保険として高卒資格も欲しい方はBルートを選ぶ順序が現実的です。
美容師にこだわらず美容業界で働く選択肢としてネイリスト・エステティシャン・美容部員・美容室アシスタントなどがあります。中卒から正社員を目指す全体像は、別記事「中卒におすすめの転職エージェント7選」で詳しく解説しています。



進路選びは「美容師になりたい意志の強さ」と「使える時間と費用」の組み合わせで決まります。両方を一緒に整理したい方はLINEでご連絡ください。法律の話と現場の話の両方を踏まえて、ルートをご一緒に検討しましょう。


運営者情報
| メディア名 | ビギナーズリンク |
| 運営会社 | 株式会社MEDISITE |
| 代表者 | 竹田津 惇 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目5-4 STビル701 |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | HRメディア事業・SNSマーケティング事業・営業支援事業 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業(13-ユ-316383) |
運営者情報
| メディア名 | ビギナーズリンク |
| 運営会社 | 株式会社MEDISITE |
| 代表者 | 竹田津 惇 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目5-4 STビル701 |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | HRメディア事業・SNSマーケティング事業・営業支援事業 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業(13-ユ-316383) |

