「自分にしか出せないものを、人に提供したい」3BlicK株式会社・山口社長が、整骨院勤務から独立して運動の苦手な女性が通える場所をつくるまで

まわりと同じことをしていて、自分は何になれるんだろう。20代のうちは、そんな焦りを感じることがあるかもしれません。
3BlicK株式会社の山口傑社長も「自分にしか出せないものを人に提供できるのが、仕事の一番のやりがい」と考え、熊本市で体質改善サロン「CORUNDUM(コランダム)」を営んでいます。
もとは、整骨院に勤める柔道整復師でした。保険の中ではやりたい治療ができないと、9年ほど前に1人で開業した山口社長が、いまは誰に何を届けているのか。そして、どんな方と働きたいと思っているのか。詳しくお話を伺いました。
読み終わる頃には、自分にしかできないことは、あとからでもつくれるんだと思えているはずです。
3BlicK株式会社
山口 傑 代表取締役社長
高校の野球部で股関節を痛め、通った整骨院をきっかけに治療の道へ進む。専門学校で3年学んで柔道整復師の資格を取得し、整骨院のほかスポーツクラブや部活動の現場、整形外科なども経験する。保険の枠の外で治療がしたいと考え、地元の熊本で整体院を開業。お客様の声から整体とパーソナルトレーニングを2本の柱にし、体質改善サロン「CORUNDUM(コランダム)」を運営。
怪我をして通った整骨院が、入口でした

編集部山口社長は今でこそ熊本で体質改善のサロンを運営されていますが、もとは整骨院で働かれていたと伺いました。この仕事に入られたきっかけから伺えますか?



元々スポーツをやっていまして、その際に怪我をしてしまって。そこから整骨院に治療で通ったのがきっかけで、自分もこういう治療の業界に行ってみたいと思ったんです。それで柔道整復師という資格を取って、整骨院に勤めた、という流れになりますね。



スポーツは何をされていたんですか?



野球です。中学、高校と本格的にやっていました。それで、高校の野球部にいたときに股関節を痛めてしまいまして。



股関節、ですか。野球で痛めるのは、あまり聞かない場所のように思いますが…。



そうですね。あまり痛めるところではないので、結構珍しいと思います。



野球はどこまで続けられたんですか?



本格的にやっていたのは高校までですね。そのあとは草野球を続けていました。



野球からは離れて、今度は治療する側に回られたんですね。資格はどちらで取られたんですか?



専門学校に3年通って取りました。そのあとは整骨院だけでなく、スポーツクラブや部活動のスポーツ現場、整形外科といった現場も一通り踏んでいます。スポーツの現場にもすごく興味があったので。
保険の中では、やりたい治療ができませんでした





いろいろな現場を踏まれてから、独立されたんですよね。勤めながら、どんなことを考えていらっしゃったんですか?



整骨院は保険を使う業態なので、業務の範囲が限られるんです。たとえば慢性の腰痛の治療は、基本的に保険ではできないようになっています。やりたいことができなかったので、だったらもう完全に保険を使わない治療をしたいな、と。それが開業しようと思ったきっかけになりますね。



目の前の方の腰痛を診たくても、保険の中では手が出せない。それで保険を使わない整体として、独立されたんですね。場所は熊本ですか?



地元の熊本です。最初は整体院として、1人で開業しました。



お1人で…! 集客も施術も、全部ということですよね。



そうですね。準備も完璧にできていたわけではなかったので、やりながら修正していく、というのが大変でした。あとは、勤めているのと自分でやるのとの違いを、最初の2、3年で学んだというか。仕事はやってくるものじゃないので、自分で作っていかないといけない。そこはだいぶ、いい経験になったなと今になって思います。



仕事は、自分で作りにいくもの…。なかなか刺さる言葉です。ちなみに、最初のお客様は、どうやって集められたんですか?



集客はホットペッパー1択だったんですよね。9年前くらいなので、当時はホットペッパーの集客に今ほど競合がいなかったんです。ありがたいことに、それだけでかなり集客できまして、その状況が2年くらい続きました。そのあとから、リスティング広告などをやり始めた形です。



いまは同じようにはいかない、という話も聞きます。



弊社のエリアでも、今はかなり難しいと聞きますね。当時はかなり良かったのですが…。



お客様と向き合うなかで、メニューも変わっていったんですか?



治療していく中で、綺麗になりたいとか痩せたいというニーズがありまして。それで整体プラス、パーソナルトレーニングという2つを大きな柱のメニューにしました。今は整体とパーソナルトレーニングができるジム、という形で打ち出しています。
短期で痩せても、また戻ってしまう



いまはどんな方が通われているんですか?



女性が8割くらいで、多い層でいうと40代、50代ですね。ただ痩せたいという方が来るジムではなくて、痛みとか、どこに行っても良くならない体の不調を持って来られるパターンが多いです。



どこに行っても良くならない、ということは、すでにいくつも試してこられた方ですよね…。



そうですね。ジムでいうと、短期ダイエットですごく痩せたけれど、また数年後にリバウンドしてしまった、という方が圧倒的に多くて。あとは痛みを持っていて、治療院に行ったけれど変わらなかった、という方もいらっしゃいます。



ジムでも治療院でも、一度うまくいかなかった経験がある。そういう方に、最初に何をお伝えするんですか?



リバウンドしない体づくりをやっていきましょうね、というところを打ち出しています。ただ、お客様のニーズとしては、やっぱり早く手っ取り早く痩せたい、なんですよね。それで失敗をされているので、今後は失敗しないように、という教育から入っていく形ですね。



望んでいることと、必要なことが違う。そこを説明するところから始まるんですね。



そうですね。悩みとしては、かなり深い方がいらっしゃるので。



かなり深い悩みを抱えて来られる。そういう方が変わっていったとき、山口社長はどんな気持ちになりますか?



その方をいい方向に持っていけた時に、喜んでくださるお顔を見られると、良かったなと思いますね。あとは、他のお店でできないことを提供できているんだ、という使命感のようなものもあります。やりがいと言いますか、そういうものは感じますね。
ジムに行きたいけど、雰囲気がちょっと



他のお店でできないこと、というのは、具体的にどのあたりなんでしょう?



一般的なジムって、がっつり大会に出ているゴリゴリのトレーナーが、コンクリート打ちっぱなしの空間で、大きなマシンをガシガシ使う。多分そういうイメージを持たれると思うんです。弊社はそうではなくて、運動したことがない女性が、行きやすそうな雰囲気と人だなと思ってもらえる空間と人づくりをやっています。



ジムに行きたいけれど、あの雰囲気はちょっと。そう思って足が止まっていた方が、来られるんですね。



そうですね。実際に来られた方からも、ジムは結構抵抗があって、という声を言われるので。意図したお客様を今は獲得できているのかな、という部分はそこかなと思います。



それは、パーソナルトレーニングを始められたときに決められたことなんですか?



もうポジショニング的に、最初からの狙いですね。熊本ではまだジムがそんなに多くなかったのと、実際にいらっしゃっていたジムに抵抗のあるお客様の層を、そのままペルソナにしたところもあります。



ポジショニング、ペルソナ…。 出てくる言葉が専門的なので、マーケティングを勉強されたのかなと思っていました。



多少は勉強しました。ただ根底にあるのは、誰でもやれることはあまりやりたくない、というか。自分にしか出せない価値を提供したいというのがそもそもの価値観としてあったので。それに沿っていったら、ポジショニングとか、競合と被らない強みが自然とできたと言いますか。そういう順番でしたね。



先に価値観があって、あとから言葉がついてきた。その価値観は、いつからのものなんですか?



昔からわりとありましたね。父が自営をしていたので、将来自分でもやりたいなというのは、小さい時から思っていました。ただ、経営して儲けたらいいという価値観はあまり持っていなくて。やっぱり、自分にしか出せないものを社会とか人に提供できるのが、仕事の一番のやりがいかなと、自分の中では思っています。
長い目で見たら、成長意欲がある方を取ります





いまは何名で運営されているんですか?



トレーナーが1人いるので、私を入れて2人体制ですね。過去には3人いた時期もあって、入れ替わって今のスタッフになっています。



山口社長は、人を採るときにどこを見られるんですか?



一番は、教育では変わらない部分があると思うんです。たとえばその方の性格だったり、価値観だったり。そこが弊社の雰囲気や価値観、方向性と合っているか、いかにマッチングできるかをポイントに採用基準を設けています。今のスタッフは、そこがすごく合うんじゃないかなと共感できたところですね。



教育で変わる部分と、変わらない部分を分けて見ていらっしゃるんですね。いまも募集はされているんですか?



一旦止めていますね。ただ、中長期で見るとまた再開するかもしれません。



再開されたとき、どんな方と働きたいですか?



この業界はずっと体の勉強をしていかないといけないので、成長意欲がないとかなり大変だと思うんです。なので、学ぶことが好き、成長することが好き、そういう好奇心がある方はいいなと思いますね。



ちょっと究極の質問なんですけど。成長意欲はあるけれどトレーナーとしての実績はゼロ、という方と、キャリアがあって優秀だけれど成長意欲はない、という方だと、どちらを取られますか?



長い目で見たら、成長意欲がある方を取ります。もちろん会社の状況にもよりますし、飲み込みが早いかどうかといった全体的な能力も見て判断はしていきますが、大まかに言うとそちらですね。



実績がゼロでも、成長意欲があるほうを取る。業界未経験からこの仕事を目指す方にとっては、心強い言葉です。最後に、これから御社としてはどんなことをやっていきたいと考えていらっしゃいますか?



健康と美容が弊社のテーマなので、既存のサービスや商品ではなくて、まだないサービスや商品を出していきたいです。どこでもできるものではなくて、弊社にしかできないもの。実は今月から、20分のフィットネスを始めた段階なんですよ。まだホームページには出していなくて、SNSと、来てくださっている方だけにお伝えしている状況です。



まだないものを出したいから、学ぶことが好きな方と組みたい。つながっているんですね。始まりは、高校の野球部で痛めた股関節…。そこから資格を取り、保険の枠でできないことに突き当たって、いまがあります。自分にしか出せないものの発見は、トラブルやできなかったことがきっかけになることもあるんですね。山口社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

