「自分の与えられた役割を超えた動きをすることが大切」株式会社Mentor For・池原代表が、200社に広げる中で見つけた”伸びる人の動き方”

指示された仕事を終えて、次の指示を待っている。手は空いているのに、何をすればいいのかがわからない。
待っていても、仕事は回ってこない。株式会社Mentor Forの池原真佐子代表が、0から始めた事業について最初に挙げたのは、知識でも経験でもありませんでした。「お客様を、口を開けて待つだけじゃ不十分なんですよ」。2018年に0から始めた事業をそうやって自分から取りに行った結果、同社の社外メンターの仕組みは、いまや多くの大企業に導入されているそうです。
今回は、伸びる営業は何をしているのかについて、池原代表にじっくりお話を伺いました。読み終わる頃には、次の指示を待たずに自分から始められることが、1つ見つかっているはずです。
株式会社Mentor For
代表取締役CEO 池原 真佐子
大学院を修了後、PR会社、NPO、コンサルティング会社を経験。在職中に海外の大学院へ進学。2014年に起業し、人材育成と組織のコンサルティングから事業をスタート。2018年に、社外メンターの育成とマッチングを行う現在の事業を開始。ドイツと日本の2拠点生活を経て、現在は日本を拠点に活動。導入企業は200社以上。
雪を見たことない人に、想像してみて、と言っても出てこない

編集部池原代表は、経験のある先輩と若手をつなぐ「メンター」の仕組みを、大企業に導入されていると伺いました。人を育てる仕組みそのものを商売にされている会社は、そう多くないと思います。もともとは、何がきっかけだったんですか?



元々コーチングに興味があったんですね。コーチングって、対話を通して相手の気づきを引き出すスキルなんですけど。よくコーチの方が「あなたの中に答えはあるから、ほら考えなさい」みたいなことを言ってくるじゃないですか。あれに、ずっと違和感がありました。



私も言われたことがあります。答えがあるはずだと言われるほど、出てこない自分のほうが悪いような気がしてくるんですよね。



自分の中にあるものは出てくるんですけど、人って、経験してないものは絶対出てこないじゃないですか。雪を見たことない人に、雪の冷たさを「ほら想像してみて」、みたいなことを言っても、感じることはできない。無理ですよね。



たしかに、それは想像しようがないです。



これだけ働き方やキャリアの先が見通せない時代ですから、誰も正解を持っていないんですよね。そうなった時、先を行って失敗したり成功したりしている人のノウハウが、すごく大事な価値を持つんじゃないかなと思っていて。そこを、やっぱり伝えたいんです。



教えてくれる人が、そばにいるかどうか。ただ、身近にそういう方がいない、という人も多いのではないでしょうか?



そうですよね。「目標になるリーダーを見たことがない」という方は、実はすごい多いんですよ。。たとえば育児と両立しながらその立場にいる人って、身近にはほとんどいなかったりするので。



見たことのないものには、なれない。



ただ、全国を探せば、多様な働き方や成果の出し方をしている方がいっぱいいます。私たちがその多様な方を集めてきて、ロールモデル、つまりお手本になる人として見えるようにする。そこに価値があるんじゃないかなと。
サービスを売るというよりも、ありたい姿を語ったんですよね



お手本を、外から連れてくる。その仕組みは、創業してすぐに形になったんでしょうか?



いえ、2014年に創業した当初は、人材育成や組織のコンサルティングを友人と一緒にやっていました。ただ、それが本当にやりたかったことかがわからず、「本当は何をしたいんだっけ」と4年ぐらい、事業を行いながら模索してました。



4年…!その先に、いまの事業があるんですね。



そして2018年に、色々な転機があり、この社外メンターの育成とマッチングサービスに辿り着きました。このサービスを始めて、その3ヶ月後に、家族の都合でドイツに移住することになったんです。そこから3年ぐらい、ドイツと日本の2拠点で、毎月日本に戻ってきて営業をしていました。1週間ぐらいの滞在で、朝から夜まで営業に明け暮れる。それが初期の頃です。



毎月、ドイツから…!しかも、当時はまだ誰も知らないサービスですよね。最初の1件が決まるまでは、相当かかったんじゃないですか?



それが、最初のお客様は3ヶ月で見つかったんです。私の考え方とかやりたいことに共感してくださった方が、それだったらこの人を紹介するよ、という形で大企業の人事の方を繋いでくださって。その方が、「やりましょうよ」と言ってくださったんです。



誰も知らないサービスが、3ヶ月で。何を話されたら、そこまでの反応が返ってくるんでしょう?



その際、サービスを売るというよりも、ありたい姿を語ったんですよね。こういうことを実現したくて、と話したら、「あ、それわかります、私もです」と仰っていただけて。そのために私はこういうサービスをやってるんです、と続けたら、「それやりたいです」みたいな。



売り込みではなく、同じ方向を向いているかどうか。そこが決め手だったんですね。



それって、私たちの今の営業で大事にしているものと一緒なんです。やり方を売り込んでも、あんまりしょうがなくって。何のためにやるのかが1番で、何をやるのかが次で、どうやってやるのかが最後。「何のために」「この先どんな姿になるか」が一番大事だということを私は何度も伝えています。メンターというのも、結局は手段の1つでしかないんです。
最初のコンタクトから受注まで、半年とか普通にかかるんですよ



何のために、が1番。その順番は、いまの営業チームにも引き継がれているんですね。営業の方は、何名いらっしゃるんですか?



営業が数名います。営業は全員営業経験者ですが、ただ、扱っていた商材は異なっていました。ですので、求められるスキルは、共通部分もあれば、異なる部分も大きいと思っています。



同じ営業でも、求められるものが変わるんですね。どういうところが、いちばん違うんでしょう?



大企業の人事施策や経営課題を、先方の担当や管理職、CHRO(※)などと対等に話せるかどうかが重要です。人事の方々に提案営業ができる、というのがすごく大事だと考えています。
※…最高人事責任者。経営者の立場から、人材の採用や育成の戦略を決める役職



経営の話まで…!突き詰めると、キリがなさそうです。レクチャーの場は、社内にあるんですか?



今の営業の型を作るために、スクリプトを作って、マニュアルを作って、ロールプレイングや勉強会をやって、課題図書も指定して・・様々な試行錯誤はありました。



ロープレ…!そこまで用意されているんですね。新規のお客様は、どうやって見つけていらっしゃるんですか?



セミナーを開いてお問い合わせにつなげたり、フォームからご連絡をいただいたり、展示会に出たりというところがメインですね。3人のうち1人は、その入り口をつくるインサイドセールス、つまり見込みのお客様を見つける役割を担当しています。



飛び込むのではなく、来ていただく形をつくる。それでも、数字を追う仕事は楽な部分ばかりではないですよね。



やっぱり数字を追うって、結構苦しい局面がいっぱいあると思うんですよね。しかも、最初のコンタクトから受注までが長くて、半年とか普通にかかるんですよ。そこを諦めずに行くとか、一生懸命吸収するとか。そういうところが要る仕事です。
自分の与えられた役割を超えた動きをするんですよね



半年…!その間、目に見える成果がないまま進むことになりますよね。これまで接してきた営業の方の中で、伸びた、という方はいらっしゃいますか?



はい。いますね。



その方は、どこが優れていたんでしょう?



とにかくガッツがあって、折れないというメンタルの強さと、正しい行動量かなと思っています。



行動量、ですか。ただ、お問い合わせの数には限りがあると思います。そこで、何の量に差が出るんですか?



お客様を、口を開けて待つだけじゃないんですよ。自分からも取りに行くという姿勢がすごく優れていて。行けそうなところはどんどんアタックしますし、そこから案件を引っ張ってくることもあります。自分の与えられた役割を超えた動きをする、というところが秀でていますね。



与えられた分だけをやる、ではないんですね。



決まった商品があって、「この時計買えませんか?」みたいな話ではないので、お客様の課題を聞いて構造化できる頭の良さと、それを弊社のサービスと組み合わせて、3年後、5年後にどうなるかまで描く力が要るんです。



お客様の未来を、こちらから描く…。それは、簡単ではないですね。



お客様が出している対外資料や有価証券報告書などを読み込み、それ以外にも情報を拾いにいきます。そこに向けて、勉強とか頭の使い方が必要になってきますので。そこを一生懸命やれる方は、やはり営業職として向いていると思います。
前向きで素直で、ガッツがある。知識は、そのあとです





有価証券報告書まで…!求められるものの高さが、わかってきました。そこまでやる先には、どんな面白さがあるんでしょう?



日本の先を行く大企業に、社員のキャリアという入り口から関わることができるんですね。女性活躍だけじゃなくて、多様な人の全員活躍という文脈です。その施策で、大きな組織やそこで働く人が変わっていくのを、間近で見られるんです。大企業への営業ができると、今後のキャリアにとっても非常にいいんじゃないかなと思っています。



実際に、組織が変わる場面を見られたことはあるんでしょうか?



ある会社さんは長くお付き合いしていて、社内の人事施策としても、部署ごとにメンター制度が生まれているんですね。毎年、送る側と受ける側の交流イベントを社内で大々的にやって、私も呼んでもらうんですけど。そこで、「私、人生変わりました」とか、「私もメンターになりました」とか、「昇格に手を挙げました」という人がいっぱいいるんです。



その場に立ち会える…!



最近は、大企業の役員の方に人材戦略のワークショップをすることが多いんです。最初はすごく硬かった方々が、1年ぐらい一緒にやっていくと、表情も発言も、もう全然違うんですよね。そうすると、どんどん社内に新しい施策が生まれます。本当に変えていってるな、という最前線を味わうことができます。



最前線を味わう…!改めて、これから御社にはどんな方に来てほしいですか?



人と人との出会いの可能性を、すごく前向きに信じている人ですね。これはもう大前提です。人材育成に興味ないです、となったら、ちょっと困るかなと。



そこは、譲れないところなんですね。



あとは、自ら変えていこう、動こうとするところが本当に大事です。知識がどうこうよりも、前向きで素直で、ガッツがある。そして、苦しい局面でも諦めずに行けるか、というところですね。知識は、後からどうにでもついてくるので。まずは吸収する姿勢があり、というのは若手ならではの良さだと思います。



知識がどうこうよりも、前向きで素直で、ガッツがある。伸びたのは、与えられた分の外まで自分から取りに行った社員の方でした。次の指示を待たなくても、仕事は自分で見つけていいんですね。池原代表、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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