「未経験だから、いいと思ってるんです。」株式会社日生リビングシエスタ・下村社長が語る、経験がないほうが強い理由

「未経験の自分が、専門的な業界に入れるとは思えない…。」そんなふうに感じることは、ないでしょうか?
株式会社日生リビングシエスタの下村尊彦社長は「逆に、未経験だからいいと思ってるんです」と話します。同社では営業も事務も未経験から迎えていて、いま社員の方は14名。土地を仕入れて、設計して、建てて、入居者を募集して、管理までを自分たちだけでやっている会社です。
なぜ、経験がないほうがいいと言い切れるのか。そして、未経験で入った方は、どうやって仕事を覚えていくのか。詳しくお話を伺いました。読み終わる頃には、経験がないことは、これからむしろ武器になる、とわかるはずです。
株式会社日生リビングシエスタ
代表取締役 下村 尊彦
東京都東久留米市生まれ。大学卒業後、大手不動産企業に勤務したのち、祖父の代から続く家業へ。2013年に代表取締役に就任する。デザイン性の高い単身者向けアパート「シエスタシリーズ」を自社で企画・施工し、土地の仕入れから設計、建築、入居者募集、管理までを一貫して手がける。市の空き家対策の委員も務める。
不安になったことが、1回もないんです

編集部下村社長の歩みから伺いたいのですが、いまは家業を継がれて代表をされていますよね。新卒の時から、いつかは家業を継ぐつもりでいらしたんですか?



新卒では不動産業界を経験しました。元々家業がこの不動産業だったので、結果的には継いだという形になります。ただ、継ごう、みたいな意気込みは正直まったくなかったんですよ。



意気込みは、なかった。



もともと、建物とかものづくりがすごく好きだったんです。ものづくりの中でも身近なものとして建物があったので、結構現場に行ったりしていて。だから、継がなきゃいけないとか、そのためにやってきたというよりは、たまたま自分のやりたいことと合致していた、というところですかね。



ご家庭の事情がきっかけで、早めに戻られたとも伺いました。急に経営に携わることになって、戸惑いや不安はありませんでしたか?



それが、不安な気持ちになったことが、1回もないんですよ。





1回も…! それは、これまでの人生で、ということですか?



そうですね。よく「変わってる」と言われるんですけど、起こっちゃったことはしょうがない。起こるんだったら起こったで、なんとかなるでしょと。起こってもないことを心配しすぎても、仕方ないじゃないですか。もちろん、大変なことも辛いこともありますけど、それと不安は違うって感じですかね。僕はもう、やるしかないっていう。それだけですかね。



やるしかない。潔いですね…!
土地を買って、好きなものを建てて売っています





不動産や建築のことがわからない読者にも伝わるように、いまの御社の事業を教えていただけますか?



わかりやすく言うと、土地を買って、自分の好きなものを建てて売るという形です。それがたまたま、デザインのある賃貸の集合住宅と呼ばれるものだった、ということですね。



手がけられた建物を拝見しました。16平米のお部屋に、独立洗面台もシャワールームもあって…! 限られた面積の使い方が、すごく工夫されていますね。



うちの場合は、本当に空室自体が少なくて。受け入れられているんじゃないかな、という風には感じています。



空室が少ないというのが、いちばんの答えですね。



そうですね。住む方が選んでくださっている、ということだと思います。



空き家の再生にも取り組まれていますが、こちらは以前からのお考えだったんですか?



空き家に関しては、どっちかというと後付けに近いですかね。それを先駆けてやろうとすると、正直、事業は多分成り立たないので。結果的に、空き家を再生したり有効活用したりというところに繋がっている、という感じです。



誰も住んでいないだけなら、周りに影響はなさそうにも思えますが…。



維持管理がされていないと、植栽があれば繁茂しますし、動物が集まってしまったり、火災のリスクもある。そうなると当然、周りの環境が悪くなるんですよね。そこに住んでいる方たちが、影響を受けてしまう。だからなるべく再生をして、取り壊すんだったら取り壊す、使えるんだったらリノベーションをする、という形にしています。



1軒だけの話では終わらない、と。



会社が市の空き家対策の委員という形で、行政の仕事もやらせてもらっているので、そこからの依頼もありますね。
全部自分たちでやるから、責任を持てる





土地の調査から建築、入居者の募集、管理メンテナンスまで、全て自社でされていますよね。これは、不動産の会社では一般的なんでしょうか?



いえ、少ないと思います。



なるほど。私も、不動産会社さんにお願いして入居者を募集して、というイメージでした。



おっしゃる通りだと思います。うちは、そこを分けていないんです。



やはり、そうなんですね。全部を自社で持つ強みは、どこにあるんでしょう?



新築で建てたものであれば、建てた過程から間取り、設備まで全て把握していますよね。それが縦割りではなく横の繋がりなので、全ての対応が早くできる。作った人間がメンテナンスをしていたり、管理の担当者と全部話ができるので、情報の密度とクオリティが違うんです。



建てた人と、直す人と、貸す人が、同じ会社にいる。



所有者さんへの説得力も、自分たちがやったことなので、全てに責任を持てる。そこが自分たちの強みでもあり、提供するサービスの質にも繋がってくるんじゃないかなとは思っています。



もともとは日生販売株式会社という社名で、2016年に日生リビングシエスタに変更されたと伺いました。何か理由があったんですか?



祖父が作った会社で、昔の不動産業というのは、持ち家も賃貸も売買も全部やる会社だったんです。その中でも販売が強かったので、販売という名前だったんだと思います。ただ、僕が入って業態も結構変えたんですね。賃貸経営を始めたのも僕なので、もう販売会社という形ではないな、と。



売る会社から、つくって貸す会社へ。



会社名も重要なので、リビングというところで不動産と建築を残しながら、それが一貫してできるよ、と伝えられるような社名にした、という形ですね。
優しくはないと思います





いま、いちばん採用を強化されているのはどの職種になりますか?



現状で言うと営業ですね。建てた建物を売るほうと、あとは土地を仕入れるほうの営業です。



土地を仕入れる営業、というお仕事があるんですね。



そこがないと、そもそも建てられないので。会社としては、いちばん入口の仕事になります。



土地を仕入れるお仕事は、資格がないとできないのかと思っていました。



実は、仕入れることそのものに資格はいらないんです。宅地建物取引士という資格は、契約をする時に必要になったりしますけど、仕入れでは直接的には必要ありません。当然、持っていたほうがいいのは間違いないですけどね。



では、未経験で入られた方も、先輩に聞きながら覚えていける環境ということでしょうか?



揃ってるとは思うんですけど、優しくはないと思います。



優しくはない、と言いますと…?



1から教えて、ゆっくり覚えていこうね、という会社ではないということです。ただ、気合いとかでもないので、体育会系でゴリゴリいこうね、というところはないんですよ。仕事を1つずつ覚えていく。ただ、そのスピードが早いので、ゆっくり丁寧に、という言い方はうちには当てはまらないですね。



数字も、厳しく追いかけることになりそうです。



それが、うちの会社って数字目標がないんですよ。自分で目標を決めて、それをクリアしていくんです。この数字だったら成長の過程からするといけるよね、というところを、みんな自分自身で設定してもらっています。だからこそ、連携と、報告連絡相談というところはものすごく重要視していますね。
未経験だから、いいと思ってるんです





弊社には、住まいや建築に興味はあるけれど、未経験だから難しいだろうと諦めてしまう方からのご相談も多いんです。そういう方に、何か伝えられることはありますか?



僕は逆に、未経験だからいいと思ってるんですよ。真っ白なキャンバスとまでは言わないですけど、広い視点があるので。経験しているが故に視野が狭くなったり、昔の成功体験に縛られちゃう人って、やっぱり多いんです。



経験が、足かせになってしまうこともある。



いまは本当に、AIが経験値を超えてくると思っていて。これだけ変化の早い世の中で前に進むためには、むしろ未経験でいろんなことにチャレンジできる人のほうが、先人たちよりよっぽどいいというタイプなんです、僕は。だから不動産業界でも建設業界でも、未経験というものを武器にしてもらったほうが、全然面白いんじゃないかなと思っています。



実際に未経験で入られた方は、どう感じていらっしゃるんでしょう。今日は入社1年目の山下さんにも同席いただいているので、伺ってもいいですか?



私も未経験からの転職だったので、はじめは本当に、書いてある言葉もわからないし、電話でも何の話をしているのかわからなくて。多分、キョロキョロしていたと思うんですよね。そうしたら、私が声をかける前に、「大丈夫ですか?」と気を使ってくれる方が、最初からすごく多かったんです。



聞く前に、気づいてもらえる。



だから、序盤から電話も取り始めたんですけど、わからないことがあってもすぐ周りに聞けるから大丈夫だな、と思えました。年齢が近い方も多いので、そういうところも働きやすいポイントかなという風に思っています。



最後に、一歩を踏み出せずにいる方へ、下村社長から一言いただけますか?



経験に関わらず、飛び込んでみれば道はむしろ開けると思います。起こってもないことに不安を抱いても、大体のことは大丈夫です。それに、そうやって考えている時点で、その人はもう準備ができていると思うんですよ。僕なんて、準備なしで飛び込んでいますからね。それでも、なんとかなっています。



考えている時点で、もう準備はできている。不安になったことが1回もない方から言われると、不思議と信じられる気がします。起こってもいないことを心配するより、飛び込んでしまったほうが早いのかもしれません。下村社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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