50代から始めた、手に職をつける新しい挑戦。株式会社オナモ・川島京子さんが語る、タイマッサージとの出会いと第二のキャリア

約20年間の会社員生活を経て独立し、フリーランスとして約10年。アパレルや化粧品業界で長く働いてきた川島京子さんが、50代になって新たに挑戦したのは、それまでの仕事とはまったく異なるタイマッサージの世界でした。

「自分の腕ひとつで、何かできないかな」

そんな思いから技術を学び始め、現在は株式会社オナモが運営するサロンで、タイマッサージの施術やヨガの指導などに携わっています。

同サロンが大切にしているのは、お客様の体を施術でケアするだけでなく、自分自身でも体と向き合えるようになること。また、サロンとは別に、タイマッサージなどを学べるスクールも運営されています。現在は、技術を身につけた卒業生が、自信を持って施術できるようになるための支援も検討されています。 

長く続けてきた仕事から、なぜ新しい分野へ踏み出したのか。

川島さん自身のキャリアを振り返りながら、タイマッサージの魅力や日々の仕事のやりがい、そして新しい一歩を踏み出したい人への思いを伺いました。

お話を伺った人

株式会社オナモ

川島 京子

学校卒業後、婦人服のアパレル業界で約4年、化粧品業界で約16年勤務。その後独立し、ファッション・化粧品分野を中心にPRやマーケティングの仕事に約10年間携わる。50代でタイマッサージを学び始め、技術を習得したことをきっかけに現在のサロンで働くように。現在はタイマッサージの施術やヨガの指導、サロン運営に関わる業務などを担当。

目次

会社員20年、フリーランス10年。50代で考えた「これからの働き方」

編集部

まずは川島さんのこれまでのキャリアから伺いたいのですが、もともと美容やリラクゼーションに関わるお仕事をされていたんですか?

川島さん

いえ、もともとはまったく違う仕事をしていたんです。学校を卒業してから婦人服のアパレル業界に入って、そこで4年ぐらい働きました。その後、化粧品会社に移って16年ほど勤めたので、会社員として働いていた期間が全部で20年ぐらいありますね。

編集部

長くアパレルや化粧品のお仕事をされていたんですね。その後はどうされたんですか?

川島さん

会社を辞めて独立しました。それまでの経験を生かして、化粧品やファッション関係のPR、マーケティングのお手伝いをフリーランスで10年ぐらいやっていたんです。ただ、ずっと企業を相手に仕事をしてきたので、少し疲れていたところもあったんですよね。それで、自分の腕ひとつで何かできないかなと考えるようになったんです。

編集部

なるほど。それまでとは違う働き方をしてみたいという思いがあったんですね。

川島さん

そうですね。その頃は52歳ぐらいだったんですけど、新しい技術を覚えて仕事にするなら、そろそろ最後のチャンスかもしれないなと思ったんです。年齢を重ねると、新しいことを覚えたり身につけたりするのも、だんだん大変になってきますよね。だったら、今のうちに挑戦してみようと思いました。

編集部

そこで、どんな仕事が自分に合っているのかを考え始めたんですか?

川島さん

はい。まずは自分が好きなことや興味のあることを、いろいろ整理してみたんです。そうしたら、最後に残ったのがタイマッサージでした。私、20代の頃から肩こりがひどくて、いろいろなマッサージを受けに行っていたんですよ。会社員時代なんて、週末の土日のどちらかは必ずマッサージに行くような生活を何十年も続けていました。その中で、「もう少しこうしてくれたらいいのにな」と思うこともあったんです。

編集部

長年マッサージを受けてきたからこそ、気になるところもあったんですね。

川島さん

そうなんです。それに、もともとタイという国がすごく好きだったんですよ。10代の頃に初めて訪れてから、すっかり好きになってしまって。タイへ行くたびにタイマッサージを受けていました。だから、そんな興味がある分野を自分でもやってみたいなと思ったんです。

技術を学ぶことから始めた第二のキャリア。タイでの研修を経てセラピストへ

編集部

タイマッサージを仕事にしようと考えてからは、どのように勉強を始められたんですか?

川島さん

まずは、どこで習えるのかをいろいろ調べました。日本にもタイマッサージの学校はありますし、タイの学校とつながりのあるところもあるんです。それで調べていたら、三軒茶屋の学校が気になって。タイへの留学制度があるのも魅力的だったので、そこに通い始めました。

編集部

最初から、将来はセラピストとして働こうと決めていたんですか?

川島さん

実は当時、その先のことまではあまり考えていなくて、まずは一通りの技術を身につけようと思っていました。割とのんびり勉強していたので、習い終えるまでに1年ぐらいかかりましたけど(笑)。その間にはタイのチェンマイにも1週間ほど行って、現地で研修を受けたりしましたね。日本でアドバンスのクラスまで勉強して、ようやく一通り学び終えたという感じです。

編集部

へえ、日本だけでなく、本場のタイでも勉強されたんですね。それからお仕事を探し始めたんですか?

川島さん

そうなんです。一通り習い終えた頃に、学校のオーナーでもある先生と「これからどうするの?」という話になったんですよ。それで、「せっかく技術を身につけたので、どこかで仕事をしたいと思っています」と話したら、「じゃあ、うちで働かない?」と言ってくださって。それが、今の仕事を始めるきっかけでした。

編集部

そんなご縁があったんですね。それで今のお仕事を始めて、どのくらいになるんですか?

川島さん

タイマッサージを習い始めたのが11年ぐらい前で、働き始めたのが10年ぐらい前ですね。いつの間にか、ずいぶん長くなりました(笑)。

編集部

現在は、どんなお仕事を担当されているんでしょう?

川島さん

タイマッサージの施術と、ヨガを教える仕事ですね。サロン自体は小さなところで、オーナーの石田と私が中心になって運営しています。なので、施術やヨガだけではなく、事務仕事をしたり、ワークショップを考えてお客様に案内したりと、いろいろなことをしていますよ。

タイマッサージは、ただ押すだけではない。セルフケアも大切に

編集部

タイマッサージについても詳しく伺いたいです。ほかのマッサージと比べると、どんな特徴があるんでしょうか?

川島さん

大きな特徴の一つは、ストレッチが入ることですね。凝っているところに圧をかけてほぐすだけではなく、体を伸ばす動きも取り入れています。筋肉って、日常の動きや疲れによって硬くなってしまうことがありますよね。そこをストレッチで少しずつ伸ばして、柔らかくしていくという考え方なんです。ただ、タイマッサージといっても、施術の仕方はサロンやセラピストによって違います。強めに押したり、ぐっと引っ張ったりするやり方もありますし、ほかにもいろいろなアプローチがあるんですよ。弊社では、ハーブボールというものも使っています。

編集部

ハーブボール…? それはどんなものなんでしょう?

川島さん

布の中にいろいろなハーブを詰めたもので、蒸して温めてから体に当てるんです。凝っているところを温めながら圧をかけたり、温めて筋肉が緩んできたところでマッサージをしたり。蒸した直後はかなり熱いので、施術する側が温度をきちんと調整しながら使うんですよ。

編集部

タイマッサージにそういった施術があることを初めて知りました…!

川島さん

特に冷えが気になるお客様だと、夏でもハーブボールを希望される方がいらっしゃいますね。夏は冷房で肩などが冷えることもありますから。弊社では、そうしたお客様一人ひとりのご要望や体の状態に合わせて、施術の仕方も変えているんです。

編集部

サロンでは、セルフケアも大切にされているそうですが、どんな考えからなんでしょうか?

川島さん

それは、オーナーの石田がもともと大切にしている考え方なんです。施術する側が一方的に体をほぐすだけではなくて、お客様自身にも自分の体と向き合ってもらいたいんですよ。だから、サロンでもセルフケアを重視しています。例えば、凝っているところを施術で楽にするだけではなくて、普段の生活の中で自分でもできるケアをお伝えしたり。お客様と一緒に体について学んでいこう、という姿勢なんです。

編集部

サロンで施術を受ける時だけではなく、普段から自分の体をケアできるようになることも大切なんですね。

川島さん

そうなんです。その考え方は、私たちスタッフにも自然と伝わっています。私自身も体のことで相談すると、石田が「こういうことをやった方がいいよ」と教えてくれるんですよ。誰かに任せきりにするのではなく、自分で考えて、自分の体をケアする。そういうことを大切にしているサロンですね。

お客様とは対等な関係で。「人と接することが本当に楽しい」

編集部

実際にサロンで働かれていて、川島さんはどんなところに仕事の面白さを感じていますか?

川島さん

まず、お客様と接することが本当に楽しいですね。以前は企業を相手に仕事をしていたので、クライアントの立場になったこともあれば、仕事を請け負う側になったこともあります。企業同士の仕事って、どうしても発注する側と受ける側という関係があるじゃないですか。でも、今のお客様との関係は、また少し違うんですよね。

編集部

というと、どんな違いがあるんでしょう?

川島さん

もちろん、私たちはお客様からお金をいただいて施術をする立場です。でも、お客様から体の悩みを相談されて、こちらがお伝えできることもありますし、反対に、お客様からいろいろなお話を聞かせていただくこともあるんです。年齢も、私よりずっと上の方から若い方まで、本当に幅広いですね。そういう方々と、お互いにいろいろなものを与え合いながら、対等な関係でお付き合いできるところが面白いなと思っています。

編集部

たしかにそれは、これまでの企業相手のお仕事とは、また違った人との関わり方ですよね。

川島さん

それに、弊社のサロンには定期的に通ってくださるお客様が多いんです。もちろん、会員ではない方も利用できますけど、気に入ってくださった方は会員になって、毎月ヨガやマッサージに来てくださることもあります。例えば、月に3回ヨガに通われる方もいらっしゃいますし、ヨガとマッサージの両方を利用される方もいます。そうすると、毎月、場合によっては毎週のように顔を合わせることになるんですよ。

編集部

それだけ頻繁にお会いしていると、自然と親しくなりそうですね。

川島さん

そうなんです。長く通ってくださっている方が多いので、お互いのことも少しずつわかってきます。接客をしていて大変なことがまったくないわけではないですけど、そういうお客様たちに支えられている部分が大きいですね。オーナーの石田とも話すんですけど、きっと相性のいい方たちが残ってくださっているんだと思います。これからも、無理をしてお店をどんどん大きくするというより、今のお客様と長くお付き合いしていけたらいいですね。

技術を学んだ、その先まで。新しい一歩を踏み出したい人へ

編集部

サロンでのお仕事について伺ってきましたが、オナモではタイマッサージを学べるスクールも運営されているんですよね。

川島さん

そうなんです。サロンとは別に、オーナーの石田が運営しているスクールがあって、タイマッサージなどを学ぶことができます。将来、タイマッサージを仕事にしたい方にも、新しい技術を身につけたい方にも、興味を持っていただけたらうれしいですね。

編集部

スクールで学んだ技術を実際にお客様への施術に生かしていくには、どんなことが大切になるんでしょうか?

川島さん

技術を覚えることと、それをお客様に提供できることは別なんです。例えば、90分の施術をお願いされたら、お客様の体の状態を見ながら、何をどんな順番で行うか、自分で考えなければいけません。習った技術をすべて使えばいいというわけではないんですよ。だから、スクールを卒業しても「本当に自分がお客様に施術していいのかな」「お金をいただけるのかな」と不安に思う方もいらっしゃいます。

編集部

確かに、学んだ技術を実際にお客様に提供するとなると、不安もありますよね。そうした方を支えるために、何か考えていることがあったりするんですか?

川島さん

今後は、サロンの場所を使って勉強会などを充実させていこうという話をしています。卒業生の方が自信を持って施術できるようになるまで、もう少しお手伝いできたらいいなと。まだ具体的に始まっているわけではないんですけどね。スクールを卒業したからといって、必ずオナモで働くわけではありません。自分のサロンを持ちたい方もいますし、それぞれが目指す道へ進めるように応援できたらと思っています。

編集部

卒業後も、自分の目標に向かって進めるように支えていきたいんですね。最後に、これから新しい仕事に挑戦したいと考えている方へ、メッセージをいただけますか?

川島さん

私自身、50代になってからこの業界に入りましたけど、今振り返ると、もっと若い時に始めてもよかったなと思うんです。大きな会社や有名な組織で働くことにも、もちろん意味はあります。でも、それだけではなく、自分自身に何ができるのかを考えてみることも大切なんじゃないかなと思います。例えば、「何か一つ、自分の技術を身につけてみようかな」と考えてみるのもいいですよね。私自身、新しい仕事を始めたのは決して早い時期ではありませんでしたから。若い方には、今の仕事や環境だけにとらわれず、これから自分が何をしたいのか、何ができるようになりたいのかを考えてみてほしいですね。

編集部

20年以上続けてきた仕事から、50代で新しい業界に飛び込んだ川島さん。これまでとは違う仕事に挑戦し、今はお客様と接することにやりがいを感じているというお話が印象的でした。何歳からでも、新しい技術を学び、仕事の選択肢を広げていくことはできる。川島さんのお話は、これからの働き方を考えている方にとっても、一つのヒントになるのではないでしょうか。川島さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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