「一度、卓球しましょう」から始まった転職。P4match株式会社・市橋さんが語る、“好き”を仕事につなげるまで

美術大学で映像を学び、新卒では広告系の制作会社へ。

約6年間経験を積み、30歳を目前に「この先のキャリアをどうしよう」と考え始めていた市橋夢乃さんのもとに、ある日SNSを通じて一通のメッセージが届きました。

送り主は、卓球大会の運営をサポートするサービス「P4match」を手がけるP4match株式会社の代表・塚原さん。

「よかったら、うちで働きませんか?」

まだ一度も会ったことのない相手から届いた、突然の誘いでした。

そこから「一度、卓球をしましょう」という少し変わった顔合わせを経て、市橋さんはP4match株式会社へ入社。現在はプロデューサーとして、サービスを広めるための業務に幅広く携わっています。

広告業界から、卓球の世界へ。

一見すると大きく違う仕事に見えますが、その転職には、市橋さんがそれまで培ってきた経験と、長く続けてきた「好きなこと」が重なっていました。

今回は、P4matchとの出会いから現在の仕事、そして「好きなことを仕事にする」ことについて伺いました。

お話を伺った人

P4match株式会社

プロデューサー 市橋 夢乃

美術大学で映像を専攻し、新卒で広告系の制作会社へ入社。約6年間、映像制作をはじめとした実務経験を積む。30歳を目前に今後のキャリアを考え始めた頃、SNSを通じてP4match株式会社・塚原代表から声をかけられ、入社。現在はプロデューサーとして、問い合わせ対応、営業、広告、動画制作など、開発以外の幅広い業務に携わっている。中学生から卓球を続け、現在も競技を楽しんでいる。

目次

広告業界で6年。「この先どうしよう」と考えていた時に届いたDM

編集部

市橋さんはP4matchに入る前、どんなお仕事をされていたんですか?

市橋さん

美術大学で映像を専攻していたので、その経験を活かす形で、新卒では広告系の制作会社に入社して、6年ほど働いていました。

編集部

かなり長く広告業界にいらっしゃったんですね。

市橋さん

そうですね。そこで実務経験を積んで、30歳を目前にしたくらいで「この先のキャリアをどうしようかな」と考え始めたんです。ちょうどその頃、SNSにもそんなことを書いていたんですよ。

編集部

SNSに、今後のキャリアについて書いていたんですか?

市橋さん

はい。そうしたら、塚原さんから直接「よかったら、うちで働きませんか?」と連絡をいただいて。

編集部

え、まだその時点では会ったこともなかったんですよね?

市橋さん

まだ会ってないですね(笑)。塚原さんは私が卓球をやっていることと、広告系の仕事をしていることはSNSを通じて知っていたみたいで。当時、P4matchでも営業や広報など、サービスを広めていく人を探していたので、ちょうど条件が合ったんだと思います。それで、まず「一度、卓球をしましょうか」という話になりました。

編集部

転職のお誘いから、まず卓球なんですね(笑)。

市橋さん

そうなんです(笑)。一緒に卓球をして、その後にご飯を食べながら、P4matchがどういうサービスなのか、どういう思いで作られたのかを聞きました。

「卓球だったら、自分の経験を使えるかもしれない」

編集部

実際に話を聞いてみて、どんな印象でした?

市橋さん

P4matchは、その時点ですでに7年くらい続いているサービスでした。開発の経緯や塚原さんの思いを聞く中で、「ここだったら転職してもやっていけるかもしれない」と思いました。ただ、最初は少し不安もあったんです。

編集部

どんなところが不安だったんですか?

市橋さん

広告業界にいた時は、車だったり化粧品だったり、いろいろな商材に関われるところが好きだったんですね。なので、一つのものにずっと集中して仕事ができるのかな、という不安はありました。

編集部

確かに、広告とは仕事の幅もかなり変わりそうです。

市橋さん

そうなんです。でも、「卓球だったら好きなことだし、自分が今までやってきたことを使って、卓球を広めることに貢献できるかもしれない」と思ったんです。私は、商品を売ること自体はそこまで得意ではないと思っていたんですけど、何かを広めていく仕事なら自分の性格にも合っているんじゃないかなと。それが入社を決めた大きな理由でしたね。

編集部

ちなみに、市橋さんご自身は卓球をどのくらいやっていたんですか?

市橋さん

中学校の部活から始めました。大学には卓球部がなかったので、自分たちで作りましたね(笑)。実力というより、モチベーションが高いタイプで、社会人になってからも続けていました。仕事が忙しかったのもあって、毎日というわけではないですけどね。コロナ禍の頃に、申し込んだ大会が定員割れして全国大会に出ることになってしまったこともあります(笑)。

編集部

全国大会……!?

市橋さん

「これはまずいぞ」と思って本気で練習を始めたら、「やっぱりもう一回卓球をやりたいな」と思うようになったんですよ。そのタイミングと、転職を考えていたタイミングが重なった感じですね。

編集部

P4matchには、何人目の社員として入ったんですか?

市橋さん

社員としては私が一人目でした。それまでは基本的に塚原さん一人でやっていた会社だったんです。

編集部

一人目だったんですか。それは入ってからやることも多そうですね。

市橋さん

多かったです(笑)。ただ、広告業界で働いていたので、数字を見た時に「これはすごいかもしれない」という感覚はありました。P4matchのユーザー登録者は、すでに1.6万人くらいいたんです。しかも、大きな営業活動をしていたわけではなくて、地道な活動と口コミでそこまで増えていました。

編集部

代表一人の活動で、そこまで広がっていたんですね。

市橋さん

そうなんです。そうして私が入社してから、今は3.2万人くらいまで増えました。ちなみに、私はプロデューサーという肩書なんですけど、簡単に言えば「P4matchを広めるための活動をする人」です。問い合わせ窓口だったり、営業だったり、広告だったり、タイアップ動画を作ったり。開発以外は、かなり幅広く関わっています。

P4matchが広げる競技と大会の可能性

編集部

改めて、P4matchってどんなサービスなんですか?

市橋さん

基本的には、スポーツ大会の運営をサポートするツールです。例えば大会を開きたい人が、日時や体育館などの必要情報を登録すると、ユーザーさんがP4match上で大会を探して、そのまま申し込みができます。私たち自身が大会を運営するというより、皆さんが大会を開催するための仕組みを提供しているイメージですね。休日だと、1日に20大会以上開かれていることもあります。

編集部

そんなに開催されているんですね。試合の組み合わせもシステムで決まるんですか?

市橋さん

はい。P4matchには「レーティングポイント」という数字があって、それぞれの選手に目安となる数字がついています。例えば私なら1400くらいで、プロ選手なら2000くらいというようなイメージです。大会でも、その数字をもとに極端に実力差のある人同士が当たりにくいようになっています。

編集部

それなら、初心者の人も参加しやすそうですね。

市橋さん

そこはすごく大きいと思います。普通の大会だと、初心者の方がすごく強い人と当たって、ずっと負け続けてしまうこともありますよね。特に中学生くらいの子がそれを何度も経験すると、卓球自体をやめてしまうこともあります。P4matchでは、なるべく近いレベルの人と試合ができて、勝っても負けても試合が続いていきます。そんな中で、「P4matchで初めて試合に勝てた」「初めて大会で優勝できた」という方も結構いるんですよ。それで「試合って楽しいな」「また頑張ろう」と思ってもらえたら卓球を続ける人も増えると思っていて、部活動で無料の大会を開催する場合は、P4matchの利用料も無料にしています。中学校や高校で卓球をやめてしまう人を少しでも減らして、ゆくゆくは競技人口自体を増やしていけたらいいですね。

編集部

今は卓球で使うのが中心なんですか?ほかの競技でも横展開できそうですよね。

市橋さん

卓球が中心ではありますが、ほかの競技にも少しずつ広がっています。ラージボール、バドミントン、ソフトテニス、空手、最近では将棋も増えました。ピックルボールも使える準備はできています。基本的には、一対一やダブルスのような競技であれば横展開しやすいですね。

編集部

競技が変わると、使い方も変わりますか?

市橋さん

変わりますね。例えば卓球の場合は、紙に結果を書いて運営席へ持っていく手間を減らせるんですけど、空手では審判の方がその場ですぐ結果を記録していたりするので、スマートフォンに入力する方が逆に遅いこともありました。実際に使ってもらうと、「この競技ではこういう使われ方をするんだ」とわかることが結構あります。

編集部

競技によって、運営の仕方も違うんですね。

市橋さん

そうですね。卓球連盟に登録している人だけでも30万人弱いて、登録していない愛好者まで含めれば、日本国内には100万人くらい選手がいると言われています。そう考えると、まだまだ認知を広げていかなければいけない段階だと思っています。

仕事を通じて、全国に友達が増えた

編集部

お話を聞いていると、今のお仕事をすごく楽しんでいらっしゃるのが伝わってきます。特にどんなところに充実感を感じていますか? 

市橋さん

全国に友達が増えたことですね。P4matchの仕事で北海道や北陸、東北など、いろいろな地域の大会へ行くことがあるんです。そこで会った人と、また別の場所で会えたり。

編集部

例えば、北海道で会った人と別の大会でまた会うような?

市橋さん

そうです。北海道で会った人が仙台の大会にいたり、東京へ遠征してきて一緒にご飯へ行ったり。P4matchに出会ったこと自体も運命的だったと思うんですけど、今度はP4matchを通じて、いろいろな人同士の出会いが生まれているんですよね。私が直接関わっていないところでも、P4matchの大会で知り合った人同士が仲良くなっているみたいなんです。そういう話を聞くこともあって、うれしいですね。 

編集部

大会を通じて、そんな交流も生まれているんですね。

市橋さん

そうですね。最近は、P4matchは全国にユーザーさんがいるので、「P4matchのあの人知ってる?」みたいな話も出てきているようです。私はもともと広告業界で完全に裏方だったんですけど、サービスをもっと広めるためには、自分も表に出ていかないといけないなと思っています(笑)。

「好きなスポーツに関わりたい」でもいい。これから一緒に働きたい人

編集部

御社はこれから採用の強化も考えているんですよね。市橋さんは、どんな方と一緒に働きたいですか?

市橋さん

できれば卓球経験がある方だとうれしいですね。新しい機能を考える時にも、競技のルールや卓球ならではの感覚を知っている方が、アイデアを出しやすいと思います。ただ、絶対に卓球経験者でなければいけないわけではありません。開発に関して一部の業務をお願いしている方の中にも、卓球経験がなくても、ご自身のスキルを活かして機能を作ってくださっている方がいます。

編集部

卓球以外のスポーツが好きな人でも可能性はありますか?

市橋さん

全然あると思います。例えば柔道をやっている方が、「P4matchで柔道のシステムを作りたい」と入ってくれるなら、それも面白いですよね。卓球に限らず、スポーツが好きな方でもいいと思っています。

編集部

実際に働く中では、どんなところに面白さを感じられそうでしょう?

市橋さん

P4matchでは年間3200大会くらい開かれているので、実際に大会へ行くとユーザーさんから直接「いつもありがとうございます」と声をかけていただくことがあります。エンジニアの仕事でも、自分が作ったものを使っている方の声を、そこまで直接聞ける環境ってなかなかないんじゃないかな。自分の仕事が誰に届いているのかがわかる。そこは、やりがいにつながると思いますね。

編集部

市橋さんのお話を伺って、好きで続けてきたことと、それまで仕事で培ってきた経験が、思いがけない形でつながることもあるんだなと感じました。最初から「卓球を仕事にしよう」と決めていたわけではなくても、卓球を続けてきたこと、広告業界で経験を積んできたこと、その両方があったからこそ、今回の転職につながったのかもしれません。「好きなことを仕事にする」というと、好きなことだけで仕事を選ぶイメージもありますが、自分がこれまで身につけてきたことを、好きな分野でどう生かせるかと考えてみるのも、一つの方法だと思います。今の仕事と好きなことが一見つながらなくても、その経験が役立つ場所は、意外なところにあるのかもしれませんね。市橋さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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