「進むのは、0.1歩でいいんです。」株式会社ROUGH LABO・山本宝社長が、会社を辞める前にやっていた”まずは、紙に書く”ということ

やりたいことがあっても、最初の一歩が重くて動けない。そんなことは、ないでしょうか?

株式会社ROUGH LABOの山本宝社長は、動けずにいる人に向けて「0.1歩でいいんです」と話します。会社員を辞めて独立して10年目となり、いまは神戸で、歴史的建造物のプロデュースと、真珠のブランドを手がけています。

では、その0.1歩とは何をすることなのか。そして、空き家再生事業や、真珠事業についても詳しくお話を伺いました。

読み終わる頃には、いきなり一歩でなくてもいいのだと、動き出し方の選択肢が一つ増えているはずです。

お話を伺った人

株式会社ROUGH LABO

代表取締役社長 山本 宝

学生時代は薬学系の課程に進み、就職活動を経て人材紹介会社へ入社。キャリアコンサルタントとして2年間勤務したのち、独立。コワーキングカフェの運営から始め、現在は神戸で、歴史的建造物のプロデュースと運営、真珠のブランド「宝パール」、教育事業の3つを手がけ、高校や大学での講演活動も行っている。

目次

スペインで、働くために生きているなと気づいたんです

編集部

宝社長は、もともとは薬剤師を目指されていたらしいですね。

山本宝社長

はい。学生時代は薬学系のコースに行ったので、そのつもりでいました。ただ、就職活動をする中で、人材紹介会社って自分の可能性、人の可能性を広げる仕事だし、すごく魅力的だなと思いまして。それで人材紹介会社に入って、2年間働きました。

編集部

そこから、独立されるわけですよね。何かきっかけがあったんですか?

山本宝社長

年に1回、海外に行く機会を作っていたんですけれども、社会人になってからスペインに行ったんですね。友人と毎日過ごす中で、生きる価値観が向こうの人と日本人とで異なるということを感じまして。

編集部

どんなところが、違ったんでしょう。

山本宝社長

スペインの人は、生きるために仕事をするんですよ。でも当時の私は、働くために生きているような。お金を稼ぐことに一生懸命で、働くことに一生懸命で。そもそも人生を楽しむために働くんだよね、ということを、スペインでふと感じたんです。

編集部

気づいてすぐ、動かれたんですか?

山本宝社長

いえ、社会人2年目のOLだった私は、どうしたらいいかがわからなかったので…、悩みを抱えながら、いろいろな方にアドバイスをもらう1年半が始まりました。

編集部

1年半、悩まれたと。

山本宝社長

その時にすごく自己分析して、気づいたことは、人生一度きりだし、失敗するなら早い方がいいということですね。成功する前にはうまくいかないことがたくさんあるわけで、そのうちに成功があるから、早めにたくさん失敗しようと思って。

編集部

そこから、退職までは早かったんですか?

山本宝社長

逆算した時に、私は何歳の時にやりたいことを実現していきたいかな、というのを紙に書いていったんですね。そうしたら、今すぐにでも会社に辞表を出して準備していかないと、という気持ちになっていきまして。それで退職して、自分で始めたという流れになります。

1番お金がかかったのは、Wi-Fiの設置でした

編集部

独立されて、最初に手がけられたのはどんな事業だったんですか?

山本宝社長

一言で言うと、もったいないなと思う場所を、人が集まるような魅力的な空間にリノベーションしていくという、場作りのプロデュース事業ですね。当時はコワーキングカフェという形で、起業とか、新しい一歩を踏み出したい若者たちの居場所を作って、それから5年間運営しました。

編集部

そこから、いまの歴史的建造物につながるんですね。

山本宝社長

空間をプロデュースするうちに、文化遺産が空き家になっているところに出会ったんです。この空き家はすごくもったいないなと思ったので、今度は神戸の歴史的建造物をプロデュースして、人が集まる場所に生まれ変わらせています。

編集部

そういう建物を扱うとなると、工事にお金がかかりそうです。

山本宝社長

それが、1番お金がかかったのはWi-Fiの設置でした。中がすごく綺麗な状態で、机とかは全く何もなかったんですが、その状態のまま空いていたんですよ。

編集部

Wi-Fiが1番…!?

山本宝社長

そうなんです。テーブルと椅子なんかは、それこそアンティークなので、中古のものをネットで探したりして。こんなにものが溢れ返っている時代なので、新しくものを買ったり作ったりするというよりかは、その空間にあったような家具をコストを抑えて集めていきました。

編集部

でも、コストは抑えられても、人が来ないと続かないですよね…。集客のための資金繰りは大変だったのでは?

山本宝社長

工夫した点は2つあります。1つは、クラウドファンディングで事業をスタートしたということですね。この事業への思いや、仲間集めをしたいという意思、そして、これからオープンするからねということを皆さんに知っていただけました。

編集部

もう1つは、何だったんですか?

山本宝社長

もう1つは、アフタヌーンティーがバズったことですね。私のコンセプトは女性たちを笑顔にすることなのですが、「この空間の中でお茶の時間を過ごしたら、女性たちが喜ぶんじゃないか」と思いまして。東京の企業さんとコラボさせていただいて打ち出したら、SNSでアフタヌーンティーがバズり、ブームが来まして。そのおかげもあり、開始3分で満席になるみたいな。
神戸は、真珠の加工で世界一の町なんです

編集部

建物の再生事業だけでなく、真珠のブランドも立ち上げられていますよね。

山本宝社長

はい。「宝パール」というブランドを立ち上げました。実はですね、神戸は真珠の加工の町として世界一で、私がいる北野のエリアには、真珠の業者が120社もあるんです。

編集部

そうなんですか?知らなかった…!

山本宝社長

三重の伊勢だったり、長崎とか愛媛とかで養殖されたものが、一旦神戸に集まってきて、職人さんが加工して、海外に輸出しているんですね。

編集部

大きな真珠産業が、神戸にあるということですね。

山本宝社長

はい。皆さんには、もっともっと神戸が真珠の町だということを知ってほしいですし、なんだか宝を見つけたような感覚で、いつか世界を舞台に活動するうえで、これしかないと思ったんですよ。

編集部

地元にあるものを、あえて選ばれたと。

山本宝社長

地域の特徴を掴むということが、これからの時代もすごく大切だと思ったんですよね。

編集部

「宝パール」は、これからどう広げていかれるんですか?

山本宝社長

たとえばアフタヌーンティーで真珠の加工体験ができるようなサービスを作ったりとか。日本だけではなく、海外にも展開していきたいですね。教育事業も、このブランドを通してできたら嬉しいです。

眠っている宝物を見つけて、磨いて、世に出すんです

編集部

空間と真珠。扱っているカテゴリは結構な違いがありますよね。

山本宝社長

一言で言うと、眠っている宝物を見つけて、磨いて、プロデュースして世に出すということですね。磨けば光るものを見つけたら、私はプロデュースして、その魅力をみんなに伝えていく。そういうことが好きなんです。

編集部

その宝物は、どうやって見つけられるんですか?

山本宝社長

私は流れに身を任せるタイプなので、こちらから探すということは実はあんまりしていなくて。人からいただいたお話だったり、巡ってきたものを大事にする感覚で動いています。もちろん、現場で、実際に自分の目で見るようにはしていますけどね。

編集部

巡ってくるには、人とのつながりが要りそうです。

山本宝社長

創業時に私の背中を押してくれた友達だったり、起業の仕方がわからなくなった時に教えてくれた先輩経営者が支えてくれました。やっぱり人との出会いで、人生って開かれていくと思うんですね。

編集部

なるほど。その出会いは、狙って作れるものなんでしょうか。

山本宝社長

計算された出会いではなくて、偶然の出会いで人生が大きく変わると、今までの経験を通じて感じています。だからこそ、建物の再生事業を通してそういう場を提供して、前向きに頑張ろうと思っている方の人生が、パッと開けたらいいなと思っています。

編集部

その場を一緒に作る方は、いま募集されていますか?

山本宝社長

いま求めているのは、数字に強い人ですね。データ分析をしたり、マーケットを見たり、ビジネスが好きなタイプの人たちです。どちらかというと現在は感性に強いクリエイターたちが集まっているので、そこを拡大していきたいフェーズなんです。

編集部

未経験からでも、入り口はありますか?

山本宝社長

営業のほうは、ガツガツ新規というわけではなくて、来たお客様の話を聞いてご提案する仕事なので、ホスピタリティがあれば未経験でもいいかもしれないです。ただ、急いではいないんですよ。まず私たちの会社とか事業を好きになってもらって、そこから仲間になってくれたら嬉しいなと思っています。

0.1歩は、紙に書くことです

編集部

ご著書である「夢を叶える!起業のノート ラフ描きで始まる、がんばりすぎないビジネスの作り方」の中に、「0.1歩でいい」といった言葉がありますよね。1歩ではないのが、いいなと思いました。

夢を叶える!起業のノート ラフ描きで始まる、がんばりすぎないビジネスの作り方

山本宝社長

起業する初めの一歩が難しいということは、私自身も24歳の時にめちゃくちゃ感じた経験だったので。そういう人たちを応援したいという気持ちで、その本を出版させていただいたんですね。書いていくうちに、0.1歩というワードが、ライターさんとの会話で出てきたんです。

編集部

小さくしたことで、何が変わるんでしょう。

山本宝社長

ちょっとだけ小さく始めることで、応援してくれる人がいたり、アイデアが新しく湧いたりするんですよ。

編集部

その0.1歩は、具体的には何をすればいいんでしょう?

山本宝社長

私なりの答えとしては、紙に書くことですね。今考えていることとか、悩んでいることを紙に書くことが、まず0.1歩だから。書いて、自分の欲求とか、求めていることとか、やりたくないこととかを出す。そこからどんどん人生が前に進んでいくよ、ということです。

編集部

書き出すだけで、進むものなんですね。

山本宝社長

私の考えですけど、本当は自分は何がしたいのか、その答えというのは内側にあると思っていて。一般的には、多くの情報をキャッチして、ご自身が心に響くものにピンと来るものに出会うと思うんですけど、そのためにはまず、内側としっかり向き合う時間がすごく大切で。

編集部

あ!それはなんだかわかる気がします。就職や転職活動をする際も、いきなり求人を探すのではなくて、まずはキャリアの棚卸しをしたり、自分自身の特徴としっかり向き合いましょうね、といったことはよく聞きます。

山本宝社長

それも含めて、ですよね。物理的に紙に書いて物事や感情を整理しながら、0.1歩、0.1歩とちょっとでも前に進んで、たくさん失敗もする。そうすることで、より有益な情報が集まると思うんですよ。

編集部

なるほど…。それを踏まえて、今の宝社長が当時悩まれていたご自身に何か声をかけるとしたら…?

山本宝社長

そうですね。「大丈夫だよ」と言ってあげたいですね。でも、悩んだ時期の、悩むということも大事だったなと思っているので、もしかしたら「もっと悩め」と言うかもしれないです(笑)。それらを足して、「自分を信じて、直感を信じて、しっかり悩んで、大丈夫だからね」と声をかけたいです。

編集部

しっかり悩んで、大丈夫だからね。その1年半のあいだに紙に書き出したことが、いまの事業につながっているんですね。いきなり一歩を踏み出さなくていい、まずは紙に書くところからでも動き出せるのだということがわかりました。宝社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

目次