「学歴が高卒では、限界があると思っていた」。つながるネット株式会社・森社長が語る、実力主義の会社でキャリアを切り拓くまで

高校卒業後、実家が飲食店を営んでいたこともあり、レストランを運営する企業に就職した、つながるネット株式会社の森修社長。

入社当初からメニュー開発や接客の改善に積極的に取り組んでいましたが、大卒の社員が重要な仕事を任されていく姿を目にし、自身のキャリアに限界を感じるようになったそうです。

転機となったのは、コンビニエンスストアを展開する株式会社ポプラへの転職でした。

学歴に関係なく実力を評価する環境で、森社長は店長からスーパーバイザー、エリアマネージャー、本社の商品部門へと仕事の幅を広げていきます。さらに、働きながら大学院に進学し、MBA(経営学修士)も取得しました。

その後、約19年半勤めた会社を退職。取引先から仕事を依頼されたことをきっかけに、コンサルティングの世界へ進みます。現在は、つながるネット株式会社の代表取締役として、中小企業の売上改善や人材育成などを支援しています。

学歴に壁を感じていた若手社員が、どのように仕事の幅を広げ、経営者として企業を支える立場になったのか。これまでの歩みと、仕事に向き合ううえで大切にしている考え方について、森社長にお話を伺いました。

お話を伺った人

つながるネット株式会社

代表取締役 森 修

高校卒業後、レストラン運営企業に約5年間勤務。その後、株式会社ポプラに転職し、店長、スーパーバイザー、エリアマネージャー、商品部門などを経験する。約19年半にわたりコンビニエンスストア業界に携わり、在職中に大学院でMBAを取得。退職後、取引先からの依頼をきっかけにコンサルティング事業を開始。現在は、つながるネット株式会社の代表取締役として、中小企業の売上改善や人材育成などに取り組んでいる。

目次

メニュー開発にも積極的に挑戦。それでも感じた「高卒」という学歴の壁

編集部

まずは、森社長のこれまでのご経歴から伺いたいと思います。高校卒業後は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?

森社長

最初は、レストランを運営する会社に就職しました。もともと実家が飲食店だったので、飲食業界に進んだんです。そこで5年ほど働いたんですが、当時は本当に生意気な若者でしたね(笑)。18歳、19歳くらいの頃から、料理長に向かって「メニュー開発に自分も参加させてほしい」と言ったりしていました。

編集部

入社して間もない頃から、積極的に意見を出されていたんですね。

森社長

そうですね。メニュー開発だけでなく、制服や接客マナーの改善にも取り組んでいました。本を読んで勉強したり、ほかの業界の方から話を聞いたりしながら、「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」と提案していたんです。

編集部

そうしたお仕事を経験されるなかで、転職を考えるようになったのはなぜだったのでしょうか?

森社長

やっぱり、学歴の壁を感じたことが大きかったですね。当時は同期も多かったんですが、大卒の社員が自分よりも重要な仕事を任されていく姿を見たんです。上司や役職に就いている方もほとんどが大卒でしたし、出身大学による派閥のようなものもあって。高卒の自分がこの先キャリアアップしていくのは難しいんじゃないかと感じるようになったんです。

編集部

その状況について、上司に相談することはなかったのでしょうか…?

森社長

それはしなかったですね。基本的には、実績を出せば認めてもらえると思って仕事をしていましたから。実際、最後の頃には三越の外商部の方と一緒に営業活動をする機会もあって、1回で100万円近い売上になる仕事を取ってくることもありました。そういう仕事は楽しかったですよ。ただ、将来のキャリアを考えると、このままでは難しいのかなと思って退職しました。

編集部

仕事そのものにはやりがいを感じていたんですね。その後は、どのような業界に進まれたのでしょうか?

森社長

コンビニエンスストア業界です。ちょうど会社を辞めた頃にバブルが崩壊して、転職活動でもいろいろ悩んだんですけど、「これからはコンビニの時代が来るんじゃないか」という考えがあったんです。それで何社か受けたなかで、採用してもらえたのが株式会社ポプラでした。ポプラに一番惹かれたのは、実力主義というところですね。高卒でも大卒でも関係なく、実力で評価するという考え方だったので、そこがすごく魅力的でした。

店長から本社の商品部門へ。実力主義の環境で広がった仕事の幅

編集部

ポプラに入社してからは、どのようなお仕事を担当されたのでしょうか?

森社長

最初は店舗の店長からスタートしました。その後、6店舗くらいを担当するスーパーバイザー、エリアマネージャーを経て、MDという仕事も経験しました。MDは商品の仕入れや品ぞろえを考える仕事で、バイヤーに近いですね。例えば、同じコンビニでも地域によって売れる商品は違いますよね。全国共通で扱う商品を基本にしながら、その地域のお客様に合った商品を加えていく。そういった仕事をしていました。

編集部

店舗運営だけでなく、商品の仕入れにも携わっていたんですね。その後は、さらに役職が上がっていったのでしょうか?

森社長

そうですね。その後はブロック長という、今でいう本部長のような立場も経験しました。東京から九州までを5つくらいのブロックに分けて管理していたんですが、私が担当していたブロックは、業績で1番か2番くらいだったんです。その後、あるとき副社長から電話があって、「2か月後に本社へ異動してもらう」という話になりました。当時の社長が商品部門を改革したいと考えていて、私を本社に呼んでくれたんですね。

編集部

社長が直接、本社への異動を希望されたんですね。以前から森社長の仕事ぶりをご存じだったのでしょうか?

森社長

そうですね。その社長は、私がエリアマネージャーだった頃からの上司でもあったんです。実力主義の考え方を持っている方で、私の仕事を評価してくれていました。失敗したときにもいろいろカバーしていただきましたし、本当にお世話になりましたね。

編集部

本社に移られてからは、どのような仕事を任されたのでしょう?

森社長

商品本部では、最初は加工食品を担当していました。そこから雑貨やタバコ、お弁当に使うお米の仕入れまで任されるようになったんです。それ以外にも、商品本部の業務改革や、会社全体のエリア戦略を考える会議にも参加していました。社長、副社長、私の3人で話し合うこともあったんですよ。本当に何でもありでしたね(笑)。

編集部

かなり幅広いお仕事をされていたんですね。

森社長

だいぶ成長させてもらいましたね。ただ、副社長はかなり厳しい方でしたよ。夜の11時や12時に連絡が来て、翌朝6時までに資料を作るように言われることもありました。仕事についていけず辞めていく人もいましたけど、私は何とか食らいついていった方でした。その副社長は、「辞めたい人は辞めてもらって、もっと優秀な人を採用すればいい」という考え方だったんですけど、私が退職するときには引き止めてくれたんですよ。周りからも「なんでお前だけ引き止められるんだ」と言われましたね(笑)。

編集部

そんな環境で働きながら、大学院にも進学されたと伺いました。大学院で学ぼうと思ったのは、どのような理由からだったのでしょうか?

森社長

仕事をしているうちに、もっと専門的な知識を学びたいという気持ちが強くなったんです。ただ、今から普通に大学へ行くのもなと思って。それなら大学院で経営を学んで、MBAを取ろうと考えました。それで、働きながら大学院に通ってMBAを取得したんです。大学院に入るときには、社長が推薦状を書いてくれましたね。本当にいろいろな経験をさせてもらいましたし、仕事もすごく充実していました。

約19年半勤めた会社を退職。独立のきっかけは取引先からの声

編集部

そこまで充実した環境で働かれていたなかで、最終的に退職を決断されたのはなぜだったのでしょうか?

森社長

一番大きかったのは、家庭の事情ですね。私は結婚してから、ずっと単身赴任だったんです。全国に店舗がある会社なので、定期的に転勤がありました。役職によって違いますけど、2年くらいで異動することもあったんですよ。

編集部

ご結婚されてから、ずっと単身赴任だったんですか?

森社長

そうなんです。その間に子どもが生まれたんですが、子育てが大変で妻が精神的にもつらい状態になっていたので、このまま単身赴任を続けるのは難しいなと思ったんです。それで、会社を辞めることにしました。

編集部

そうだったんですね。ポプラには、最終的にどのくらい勤められたのでしょうか?

森社長

19年と6か月くらいですね。ただ、会社を辞めるときに、独立しようとは考えていなかったんです。特に次にやりたい仕事が決まっていたわけでもなくて、実家の近くに戻って、そこで就職活動をしようと思っていました。

編集部

そうだったんですね。では、そこからどのようにコンサルティングの仕事を始められたのでしょうか?

森社長

退職するときに、お世話になった取引先の企業へ挨拶回りをしたんです。「家庭の事情で退職することになりました」「次の担当者はこちらです」といった話をしていたんですね。そうしたら、何社もの企業から「うちの仕事を手伝ってほしい」と声をかけていただいたんですよ。それがコンサルティングを始めるきっかけでした。

編集部

ご自身で仕事を探す前に、取引先から依頼があったんですね。実際にコンサルティングを始めてみて、いかがでしたか?

森社長

最初は結構大変でしたよ。それまで商品開発や仕入れ、店舗運営などは経験していましたけど、コンサルティングの営業なんてやったことがなかったですし、形のないサービスを売るという経験もありませんでした。しかも、途中で新型コロナウイルスの感染拡大があって、仕事を進めるのが難しい時期もありました。

編集部

それまでの仕事とは、かなり違う部分もあったんですね。

森社長

そうですね。最初は取引先の会社に入って、一緒に商品開発をしたり、営業に回ったりしていたんです。どちらかというと、その会社の契約社員のような働き方に近かったと思います。もちろん、それも仕事ではあるんですけど、「そもそもコンサルティングって何なんだろう」と考えるようになったんですね。それで、ちょうどその頃に出会ったのが、Bizモデルという中小企業の支援の仕組みでした。最初は、その仕組みを立ち上げた方の講演を聞いたんです。その後、本も読んで勉強しまして、香川県坂出市でそのモデルを取り入れた支援拠点のセンター長の募集に応募したんです。そこで2年半くらいセンター長を務めました。

編集部

センター長としては、具体的にどのような仕事をされていたのでしょうか?

森社長

相談件数が非常に多くて、月に100件くらいの相談が来ていたんです。その相談を、まずセンター長が受けるんですね。相談者の話を聞いて、何が課題なのか、どこに強みがあるのかを整理する。そこから、どうやって商品やサービスを売っていくかを考えるんです。例えば、情報発信が必要ならSNSを活用したり、Instagramの使い方を専門家に教えてもらったりします。必要に応じて専門家につなぎながら、売れるところまで支援するんですね。

編集部

月に100件も相談があるんですか…!かなり忙しそうですね。

森社長

そうなんです。しかも、その支援拠点は行政の事業でありながら、成果主義だったんですよ。相談者にアンケートなどを行って、売上が上がっていなければ契約を解除されるという仕組みでした。だから、ただ相談に乗るだけでは駄目なんです。最初に話を聞いて、事業の強みを見つけ、売れる仕組みを考えて、実際に売上につなげる。その一連の流れを、そこで初めて本格的に学びました。私にとって、本当の意味でのコンサルティングを学んだ場所だったと思います。

「絶対に強みのない人なんかいない」。経営者の思いを売上につなげる仕事

編集部

その経験は、現在のつながるネット株式会社の事業にも生かされているのでしょうか?

森社長

そうですね。私がコンサルティングで大切にしているのは、経営者や個人事業主の方が何をしたいのか、その思いを引き出して具体的な形にしていくことなんです。最終的には売上を上げることが目的になりますけど、まずは相手が何を考えているのかを知る必要があります。

編集部

経営者の思いを、実際の事業につなげていくということでしょうか?

森社長

そうです。例えば、商品やサービスをどう売っていくかを考えるときも、まず経営者の方が何をしたいのかを聞くことが大切なんです。そこから具体的な取り組みを考えて、実際の売上につなげていく。思いを聞くだけで終わってしまっては、コンサルティングとはいえないと思っています。

編集部

御社では、企業が持っている強みを見つけることも大切にされていますよね。自分たちには特別な強みがないと考えている企業に対しては、どのように向き合っているのでしょうか?

森社長

私がBizモデルを学んだときに、指導してくださった方がよく言っていた言葉があるんです。「絶対に強みのない人なんかいない」って。自分では弱みだと思っている部分が、見方を変えると強みになることもありますからね。だから、本人が気づいていない部分にも目を向けることが大切なんです。

編集部

自分たちでは気づいていない強みもあるんですね…。そうした強みを見つけることが、売上改善にもつながっていくのでしょうか?

森社長

そうですね。その会社の強みを考えながら、経営者の方がやりたいことをどう実現していくかを考えるんです。もちろん、最終的には売上につなげることが大切です。経営者の思いを引き出して、それを具体化する。私は、そこまでできて初めてコンサルティングだと思っています。

後継者不足の解決から人材育成へ。会社の成長を支えるのは「人」

編集部

現在は売上改善だけでなく、人材育成にも取り組まれていますよね。事業を広げたきっかけは何だったのでしょうか?

森社長

コンサルティングをしていく中で、後継者がいないという相談が多かったんです。これは地方だけの話ではなくて、関東でも同じですね。特に中小企業では、そういう悩みを抱えている会社が多いんですよ。

編集部

中小企業では、なぜ後継者不足が起きているのでしょうか?

森社長

創業当時から社長が何でも自分で決めて、仕事を進めてきた会社が結構あるんです。それで、ある程度の年齢になったときに、周りを見渡したら自分の後を継げる人がいない、ということになるんですね。ただ、社員がいないわけではないんですよ。営業ならこの人に任せておけば大丈夫、商品の製造や開発ならこの人に任せておけば大丈夫、という社員はいるんです。でも、会社全体の経営を任せられるかというと、そうではないんですね。だから、そういう人材をどうやって見つけて育てていくか、という問題が出てくるんです。

編集部

それぞれの仕事を任せられる社員はいても、経営を任せられる人がいないんですね…。

森社長

やっぱり、最終的には人なんですよ。コンサルティングをしていても、こちらが改善策を提案すると「人がいないからできない」と言われることがあります。それなら、人を育てるところからやろうという話になるんですね。最初は「人がいないなら育ててやるよ」という、売り言葉に買い言葉のようなところもあったんですけど(笑)。でも、冷静に考えてみても、やっぱり人が大切なんだと思います。

編集部

今後は、どのように事業を展開していきたいと考えていらっしゃいますか?

森社長

現在は関東を中心に、全国の企業を支援しています。遠いところだと秋田県の企業もありますね。ただ、できれば地元の香川県や四国でも、もっと仕事を増やしていきたいと思っています。つい最近まで行政の支援センターにいたので、その間は営業活動をほとんどしていなかったんです。これからは地元でも仕事を増やしていきたいですね。

編集部

事業を拡大するにあたって、社員数も増やしていく予定なのでしょうか?

森社長

売上を伸ばしていきたいという考えはあります。ただ、人をどんどん増やして会社を大きくしようとは思っていないんです。やっぱり重要なのは、お客様の課題にきちんと対応できるかどうかですから。それができる人が育たないうちは、無理に事業を広げるつもりはないですね。

編集部

高校卒業後、飲食業界からキャリアをスタートした森社長は、学歴による壁を感じながらも、実力主義のコンビニ業界でさまざまな仕事を経験してこられました。その後、取引先からの依頼をきっかけにコンサルティングを始め、現在は企業の売上改善だけでなく、後継者の育成にも取り組まれています。特に印象的だったのは、「絶対に強みのない人なんかいない」という言葉です。自分では当たり前だと思っていることや、弱みだと感じていることも、見方を変えれば強みになるかもしれない。学歴や経験に自信が持てない方にとっても、自分の可能性を考えるきっかけになるお話だったのではないでしょうか。森社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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