「この会社を、ここで終わらせたくなかった。」 株式会社アルバトロス・浜田社長が、代表として歩き始めた理由とは

退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロス。

サービスの認知拡大とともに、メディアやSNSを通じて会社の姿を発信してきた一人が、浜田優花社長です。

2024年に同社へ入社。当初は退職代行の実務を覚えるところからスタートし、その後は広報を担当。SNS運用やYouTube、メディア対応などを通じて、会社の情報発信を支えてきました。

そして2026年、前代表をめぐる出来事を受け、浜田社長は会社の代表を引き受けることになります。

「私にはできるわけがない」

最初に話を受けたときは、一度断ったそうです。

経営者を目指して働いてきたわけでもない。会社を離れるという選択肢もあった。

それでも考え直した背景には、これまで会社で学んだことへの思いと、残って働き続ける社員の存在がありました。

現在は、新しいことを次々と始めるよりも、まず目の前の依頼者一人ひとりにしっかりサービスを届けることを優先し、信頼を積み重ね直すことに向き合っています。

「退職代行を、たくさんの人に使ってほしいわけではない」

そう話す浜田社長が考える、これからのモームリとは。

入社から代表就任までの経緯と、社員への思い、そして今後の会社について伺いました。

お話を伺った人

株式会社アルバトロス

代表取締役 浜田 優花

2024年6月頃に株式会社アルバトロスへ入社。退職代行業務を経験した後、広報を担当し、SNS運用、YouTube出演、取材対応などに携わる。前代表のもとで広報活動を担いながら会社の発信を支え、2026年に代表取締役へ就任。現在は退職代行サービス「モームリ」を中心に、既存事業の運営と信頼回復、採用などに取り組んでいる。

目次

「名前が面白い」で応募。退職代行の会社に入るつもりはなかった

編集部

浜田社長って、もともと退職代行の仕事に興味があってアルバトロスへ入社されたんですか?

浜田社長

それが全然違うんです。アルバトロスに入社したのは2024年の6月頃なんですけど、きっかけはテレビで「モームリ」が流れていたことでした。名前が面白いなと思って、それだけで応募してみたんです。

編集部

えっ、本当にそれだけだったんですか?

浜田社長

そうなんですよ。深夜にテレビを見ていて、その場で応募して、次の日か翌々日くらいには面接を受けて、その場で採用になりました。本当にトントン拍子でしたね。

編集部

入社後は、まず退職代行の実務から?

浜田社長

はい。最初は業務に慣れるところから始まりました。ある程度経った頃に、前代表から広報をやらないかと声をかけてもらって。広報をやるつもりで入ったわけではなかったので、「自分にできるのかな」と最初は思っていましたね。

編集部

でも、実際にはかなりメディアにも出られていましたよね。

浜田社長

そうですね。SNS運用やYouTube、取材対応などをやらせてもらいました。私はもともと人と話すことが好きだったので、意外とやりがいを感じたんです。前代表がSNSなどにすごく強かったので、近くで勉強させてもらいながらやっていました。

編集部

YouTubeを見ていても、前代表にかなりはっきり意見を言っている印象がありました。

浜田社長

そこは、そうかもしれないです(笑)。上司だからと遠慮するというより、言いたいことは結構はっきり言っていました。ぶつかることもかなりありましたし…、その結果、実は悔しくて泣いてしまったこともあるんです。

「私にはできるわけがない」。一度は代表就任を断った

編集部

その後、会社として大きな出来事があって、浜田社長に代表の話が来たわけですよね。最初に聞いたときは、どう思いましたか?

浜田社長

正直、冗談だと思いました。冗談を言える状況じゃないのはわかっていたんですけど、それでも「私にはできるわけがない」と思って、一度断りましたね。

編集部

それまで経営者を目指してきたわけでもないですもんね。

浜田社長

そうなんです。社長になりたいとか、経営者になりたいと思って働いてきたわけではないですから。経営の経験もないですし、最初はやっぱり無理だと思いました。

編集部

そこから考え直したのは、何が大きかったんでしょう。

浜田社長

一度話を置いて、自分でも考えたんです。私はこの会社で働く中で、大変だったことも、辛かったこともたくさんありました。でも、その中で「やるしかない」ということを覚えて、乗り越えてきた部分もあったんですね。そういう意味では、会社にも前代表にも、社会人としていろいろ学ばせてもらった恩があると思っていて。

編集部

それが「引き受けよう」に変わっていった。

浜田社長

そうですね。こういう形で終わるのは、すごくもったいないのかもしれないと思ったんです。私自身、会社に恩があったので、それが引き受けた理由としては大きかったですね。

「ついていきます」と言ってくれる社員がいた。今度は、自分が守る側へ

編集部

代表就任を決めた背景には、残っている社員の存在も大きかったですか?

浜田社長

大きかったですね。当時、辞める選択をした社員も正直いましたし、私自身も、そうしていたかもしれません。

編集部

それでも残った人がいた。

浜田社長

そうなんです。今も残って頑張ってくれている社員や、「ついていきます」と言ってくれた社員がいたことは、本当に嬉しかったです。それで私自身も頑張ろうと思えました。

編集部

広報時代は前代表を支える側だったと思いますけど、今度は会社全体を支える側になったんですね。

浜田社長

そうですね。前に出ること自体は、実はそんなに得意ではないんです。広報をしていたときも、「自分を見てほしい」というより、代表がうまく見えるようにサポートしたいという気持ちの方が強かったです。

編集部

でも今は、自分が前に立たなければいけない…。

浜田社長

そうですね。今残ってくれている社員が働いてくれるだけでも、本当にありがたいと思っています。毎日出勤してくれるだけでありがたいです。社員には家族がいる人もいますし、その人たちの生活も守らないといけないという責任を感じるようになりました。代表になってからは、より身が引き締まる思いですね。

退職代行を「たくさん使ってほしい」とは思っていない

編集部

代表になって、これから会社を立て直していく中で、新しい事業をどんどん始めるような考えもあるんでしょうか。

浜田社長

今は、特に新しいことを始めようとは考えていません。まずは退職代行「モームリ」で、目の前の依頼者の方にしっかりとサービスを提供する。その積み重ねで、信頼を回復していく段階だと思っています。

編集部

以前は、1日にかなり多くの依頼が入っていた時期もありましたよね。そんな全盛期の件数に回復させることが、今の目標というわけではないんですね。

浜田社長

そうではないですね。そもそも私たちも、たくさんの方に退職代行を使ってもらいたいと思っているわけではないんです。

編集部

サービスを提供している会社なのに、「たくさん使ってほしいわけではない」というのは、少し不思議にも聞こえます…。

浜田社長

退職代行って、できれば使わずに済む方がいいものだと思うんですよ。自分で会社と話ができて、問題なく退職できるのであれば、それが一番です。でも、どうしても自分では言えない、会社と直接やり取りできないという方もいる。そういう方にとって、退職するための最終手段の一つとして選んでいただけるのであれば、私たちは力になりたいと思っています。

編集部

利用件数を増やすこと自体がゴールではないということですね。

浜田社長

そうですね。今はまず、一件一件きちんと対応していくことの方が大事です。これまで広報をしていたときは、前代表の考えをメディアに伝える役割でした。でも今は、私自身が代表なので、これからは自分が考えていることを、ありのままに話していこうと思っています。

「今できることを、一つずつ」。信頼を積み重ねるところから始めたい

編集部

退職代行以外にも、これまで蓄積してきた退職理由などのデータを活用する事業がありますよね。そこは今後も続けていきたいですか?

浜田社長

そうですね。今は転職支援の事業もありますし、「モームリプラス」のように、これまでのデータを労働者の方や企業側に役立てる取り組みもしています。たとえば、これから入社したい会社について、どんな退職理由が多いのか、どういう傾向があるのか。そういった情報は、働く側の方にも役立てられると思います。

編集部

退職する人を支えるだけではなく、その前の段階にも使える情報がある。

浜田社長

そうですね。ただ、まずはやはり、今あるサービスをきちんとやることが一番だと思っています。経営者としてはまだスタートしたばかりなので、わからないこともたくさんあります。今まで会社を支えてきてくれた社員にも助けてもらいながら、一緒に勉強しているところです。

編集部

現在は採用も再開されているんですよね。

浜田社長

はい。学歴などは特に問っていませんし、未経験でも大丈夫です。そもそも退職代行の経験者自体、ほとんどいないと思うので(笑)。私自身もまだ経営者として勉強している途中ですし、会社としても、一つひとつ信頼を積み重ねているところです。そんな今の私たちと一緒に働いてみたいと思ってくださる方がもしもいたら、ありがたいですね。

編集部

入社した当時は、自分が広報になることも、その先で代表になることも想像していなかったという浜田社長。一度は「自分にはできない」と断った代表の役割を引き受けた背景には、会社への恩と、今も残って働く社員の存在がありました。今目指しているのは、急いで過去の数字を取り戻すことではなく、目の前の依頼者に向き合い、一つひとつ信頼を積み重ねていくこと。「こういう形で終わるのは、もったいないと思った」その思いから始まった新しい一歩が、これからどんな会社をつくっていくのか。今後の歩みにも注目です。 浜田社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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