グラフィックデザイナーは未経験だと厳しい?その理由と採用されるルート

グラフィックデザイナーの仕事に興味はあるものの、「未経験だと厳しい」という声を目にして踏み出せなくなっていませんか?実際、厚生労働省のデータでは、グラフィックデザイナーの有効求人倍率は0.15(令和6年度)と、求人数より応募が多い状態が続いています。
ただ、この数字は「未経験なら諦めるべき」を意味するものではありません。実際に未経験からグラフィックデザイナーになれた人もいますし、厳しさの中身を分けて見れば、乗り越え方も見えてきます。そもそも、誰しもが未経験からキャリアをスタートするものです。
この記事では「未経験でグラフィックデザイナーを目指したいが厳しいのかもしれない」と不安な方向けに、なぜ厳しいと言われるのか、その理由や未経験でも目指せるルートなどについて、現役キャリアアドバイザー監修のもと解説します。

グラフィックデザイナーは未経験でも目指せるが、正直に言えば厳しい
結論から言うと、未経験からグラフィックデザイナーを目指すことはできます。ただし「気軽に」ではなく、時間と作品づくりの準備を含めた本気の話。事実として厳しいと言われる場面は多く、そこを飛ばして「大丈夫です」と背中を押すのは無責任です。
ここで一度、厳しいと言われる中身を3つに分けてみます。求人の中身、スキルの習得時間、そして若手のうちの年収。この3つは、それぞれ別の話です。全部を一気に越える必要はなく、順に一つずつ潰していくイメージです。
この記事の結論
- 未経験からのグラフィックデザイナーは、確かに厳しい。ただし目指せないわけではない
- 厳しさの中身は「求人の少なさ」「スキル習得の長さ」「若手の年収の低さ」の3つ
- 3つは同時に越える話ではなく、順番に潰していけばよい
- 越え方の中心は、作品を先に作ってから応募する準備の順番
阿部 翔大僕の相談現場でも、「未経験だと厳しいですか」という質問はよく届きます。正直に言うと、簡単な道ではありません。ただ、無理な話でもありません。厳しさの中身を分けずに「厳しい」の一言で見てしまうと、行動が止まってしまいます。まずは事実を数字で見てから、次の一歩を決めましょう。
未経験でグラフィックデザイナーを目指すのはなぜ「厳しい」と言われるのか、5つの現実
厳しさの中身は感覚だけの話ではなく、公表データからも読み取れます。ここでは公的機関と大手求人サイトのデータをもとに、5つの現実を順に見ていきましょう。


有効求人倍率が0.15と、他職種と比べて低い
厚生労働省の職業情報サイトjobtagによると、グラフィックデザイナーの有効求人倍率は0.15(令和6年度・ハローワーク求人統計データ/2026年7月6日確認)。経験者を含む数字で、未経験の応募だけに絞れば、実際にはさらに厳しい水準になる可能性があります。この数字はグラフィックデザイナー職業全体を対象にしたものです。この数字の意味を平たく言えば、求職者100人に対して求人が15件しかない、ということ。数字上、求人より応募が多い状態が続いているわけです。
ただし、これはハローワーク経由の求人統計であり、民間の求人サイトの求人数は含まれません。求人ボックスで「グラフィックデザイナー 未経験」を検索すると、33,833件の求人がヒットします(2026年7月6日時点)。つまり応募先の絶対数はゼロではありません。数字を見て諦めるのではなく、応募母数が限られている前提で動く、と考えるほうが現実的です。
【参考】厚生労働省|jobtag グラフィックデザイナー
【参考】求人ボックス|グラフィックデザイナーの年収・時給(給料ナビ)
求人条件にポートフォリオと実務経験を求めるものが多い
グラフィックデザイナー求人の応募条件を見ていくと、ポートフォリオ提出と実務経験を求めるものが目立ちます。これは「作品を通して実力を確認したい」という業界の性質そのもの。書類選考の時点で作品の完成品が見られている、という前提で応募準備が必要になります。IllustratorやPhotoshopで作った作品を提出できる状態を目指します。
実務経験のない未経験者にとって、この「作品で示す」の壁は大きいポイント。学歴や職歴の書類ではなく、作品ファイルで自分を証明する必要があるからです。裏を返せば、経歴に不安があっても作品次第で挽回できる仕事、とも言えます。
Illustrator・Photoshopの習得に時間がかかる
グラフィックデザイナーの実務では、Adobe IllustratorとPhotoshopが必須ツール。加えて、印刷物ではInDesign、Web案件が絡めばFigmaも触ります。ソフトの操作習得だけなら数か月で最低限は届きますが、実務で使えるレベルには半年から1年ほどの継続的な練習が必要になります。
また、ツールの操作以上に難しいのが配色・タイポグラフィ・レイアウトといったデザインの基礎。ここは独学だと迷子になりやすく、学び方の選択が結果を左右するポイントです。
若手のうちは年収が伸びづらい
グラフィックデザイナーの平均年収について、公表されているデータを並べてみます。
| 出典 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| jobtag(令和7年賃金構造基本統計調査) | 平均年収539.6万円 | 全世代の平均。平均年齢39.1歳 |
| 求人ボックス給料ナビ(2026年6月更新) | 平均年収478万円 | 正社員の給与幅は317〜878万円 |
| 求人ボックス給料ナビ(20代年収) | 300万円前後 | 20代の年収推移目安 |
出典:jobtag グラフィックデザイナー/求人ボックス 給料ナビ/2026年7月6日確認
全世代の平均は500万円前後ある一方、20代の年収は300万円前後にとどまるのがグラフィックデザイナー職の相場。未経験からスタートする場合、最初の年収は決して高いほうではありません。「年収を先に上げたい」という動機だけで転職を決めると、入社後の落差でつまずきやすいので、覚悟しておきたいポイントです。
30代・40代の未経験は求人母数がさらに減る
年齢が上がるほど、未経験可の求人は減っていきます。特にグラフィックデザイナー職の場合、育成前提のポテンシャル採用は20代までに集中する傾向です。30代・40代で未経験から目指す場合、応募先が絞られる前提で動く必要があります。
ただし、30代以上の未経験がゼロというわけでもありません。前職の業界知識と組み合わせて売り込む道、事業会社のインハウスデザイナーとして採用される道、副業から実績を積む道など、20代とは違うルートも存在します。年齢の壁が高いのは事実、ただし全滅ではない、というのが実態に近い話です。



僕が現場で伝えているのは、「数字はそのまま受け止めていい」ということ。0.15という有効求人倍率は事実ですし、20代の年収300万円前後も事実。ただ、この数字を見て「じゃあ諦める」ではなく、「じゃあどう準備するか」を考えるのが次の一歩です。数字は動かせなくても、応募までの準備は自分で動かせます。


それでも未経験からグラフィックデザイナーになれる人にある3つの共通点
厳しいと言われる中でも、未経験からグラフィックデザイナーの道に入っていく人はいます。共通しているのは、才能や学歴ではなく、行動の中身。相談の場で見えてくる3つの共通点を並べます。
完成度より、まず着手数が多い
未経験から採用される人ほど、作品を最後まで仕上げた本数が多い傾向。1枚の完璧な作品を目指して悩み続けるより、7〜8割の完成度で数を出していく人のほうが結果を出しています。理由はシンプルで、面接や書類選考では、着手数がそのままポートフォリオの厚みになるから。
「なぜ作ったか」を自分の言葉で説明できる
もう一つの共通点が、作品の意図を言葉にできること。「なんとなくかっこよく作りました」ではなく、「このターゲットに向けて、こういう理由でこの配色にしました」と話せる状態。面接ではポートフォリオを見せるだけで終わらず、必ずと言っていいほど作品の背景を聞かれます。
締切と自己管理ができる
意外に効いてくるのが、締切を守る力と自己管理の力。グラフィックデザイナーの実務は、常に納期と一緒。派手なセンスより、締切を守ってきちんと納品できる人のほうが、現場で長く続きます。



採用側が本当に見ているのは、才能というより「仕上げきる力」だと僕は感じています。半分できたものを100個持ってきても評価はしにくいですが、7割の完成品を10個持ってきてくれると、話が広がるんですよね。ポートフォリオは「作った量の証明」でもあると、覚えておいてください。
厳しさを越えるための3つの方向性
ここまで見てきた厳しさに対して、越え方の方向は大きく3つあります。順番に見ていきましょう。


ポートフォリオを応募より先に作る
1つ目は、応募活動を始める前にポートフォリオを準備すること。求人条件でポートフォリオ提出を求められる以上、これがない状態での応募は勝負にならない話。目安として、自主制作の作品を最低3〜5点、できれば10点前後まで積んでから応募をスタートするのがおすすめです。
作品の中身は、名刺・チラシ・ロゴ・Webバナーなど、実際の案件で使いそうなカテゴリを混ぜておくと汎用性が上がります。
学び方を選ぶ(独学/職業訓練/スクール)
2つ目は、デザインの学び方を選ぶこと。大きく分けて独学・職業訓練・スクールの3ルートがあり、それぞれ向き不向きがあります。
| 学び方 | 費用の目安 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 独学 | 書籍・Adobe利用料など数万円〜 | 継続的に自分で計画を立てられる人 | 迷子になったときに聞ける人が近くにいない |
| 職業訓練 | 受講料無料が中心(要件あり) | 離職中・時間を平日日中に確保できる人 | 開講時期・地域・定員に制限がある |
| 民間スクール | 数十万円〜(コースにより差あり) | 短期で就転職まで並走してほしい人 | 費用がかかる。就職支援の中身に差がある |
どのルートが正解、というものはありません。大事なのは、自分の生活スタイルと予算で続けられるかどうか。逆に言うと、選ぶ前に「何時間を毎週使えるか」「予算はいくらまでか」を決めておくと迷いにくくなります。



学び方選びで多いつまずきは、「先に手段を決めてしまう」ケースです。スクールに通うことをゴールにしてしまうと、卒業後に作品が薄いまま応募して苦戦する、というパターンが起きがち。スクールも独学も、あくまで作品を仕上げるための手段。「作品を10点そろえる」を先に置くと、選び方が変わってきます。
入り口を柔軟に持つ
3つ目は、入り口を「正社員のグラフィックデザイナー求人」だけに絞らないこと。制作会社のアシスタント、事業会社のインハウス、派遣、副業案件など、実務経験を積む道は複数あります。1つ目の入り口で経験を作れば、次のステップで正社員デザイナー求人に応募する準備が整います。


30代・異業種からグラフィックデザイナーを目指す現実
30代・40代からのグラフィックデザイナー未経験挑戦は、20代よりも一段ハードルが上がります。育成前提のポテンシャル採用が20代までに集中する傾向があり、応募先の母数がそもそも減るからです。ここは事実として受け止めておきたいポイント。
ただし、全滅というわけでもありません。30代以上の場合、20代とは違う武器を持っています。それが前職の業界知識と社会人経験。飲食業界での勤務経験があるなら飲食店の販促物、営業経験があるならBtoBの提案資料など、前職を「素材」に変える発想が刺さります。
実際、事業会社のインハウスデザイナー求人では「業界理解のある人」を歓迎するケースがあり、前職と親和性のある業界を狙うと勝率が上がることがあります。「未経験でもデザイナー」ではなく「未経験でも◯◯業界に強いデザイナー」と自分を位置づけると、応募先の絞り込みがしやすくなります。



30代の未経験の方には、「応募する前に、前職の業界に関わる作品を1つは必ず作りましょう」と伝えることが多いです。たとえば元アパレル販売なら、架空のブランドのポップやSNSバナーを1点。元営業なら、実際に扱っていた業種を想定した提案資料をデザインで作り直す1点。これがあると、面接での話が具体になり、経験の橋渡しになります。
グラフィックデザイナー未経験でも狙える、デザイナーの入り口4パターン
ここでは、未経験からグラフィックデザイナーに近づくための入り口を4つ紹介します。それぞれ求人数・年収の目安・続けやすさが違います。
| 入り口 | 求人数 | 年収の目安 | 続けやすさ | 学べる幅 |
|---|---|---|---|---|
| 制作会社アシスタント | 多め | 低めから | やや厳しい(残業多め) | 広い |
| 事業会社インハウス | 少なめ | 中程度 | 続けやすい | 狭め(自社商材中心) |
| 派遣・契約社員 | 中程度 | 時給1,894円前後(求人ボックス) | 続けやすい | 配属先次第 |
| 副業・受注案件 | 豊富(クラウドソーシング) | 案件単価次第 | 在職中なら可 | 案件次第(自分で選べる) |
派遣時給は求人ボックス給料ナビ(2026年7月6日確認)。年収の傾向は求人票の一般的な水準を表現したもので、個別求人により差があります
制作会社のアシスタントデザイナー
1つ目は、広告代理店や制作会社のアシスタント職からの入り口。先輩デザイナーの補助として実務に入るため、案件の流れと現場のスピード感を短期間でつかめます。ただし年収は最初は低めからのスタートで、残業も多い傾向です。学びのスピードを優先したい人向きです。
事業会社のインハウスデザイナー
2つ目は、一般企業の広報やマーケティング部門でデザイン業務を担うインハウスの道。求人数は制作会社より少なめだが、業界知識と組み合わせて売り込める強みがあり、特に30代・異業種経験者にとって狙い目です。労働環境も制作会社より落ち着いている傾向です。
派遣・契約社員
3つ目は、派遣・契約社員で実務経験を作る道。求人ボックス給料ナビによると、グラフィックデザイナーの派遣時給は平均1,894円(2026年6月時点/2026年7月6日確認)と、アルバイト時給1,247円より高めです。正社員より応募のハードルが低いため、実務経験を最初の1〜2年で積んでから正社員に移る、という設計が現実的です。
副業・受注案件から始める
4つ目は、在職中に副業・クラウドソーシングで受注実績を作る道。単価は最初低めですが、実案件を経験したという事実がポートフォリオに載せられるようになり、応募時の説得力が変わります。会社を辞めずに済むため、リスクを抑えて挑戦したい人と相性が良い方法です。



入り口選びで大切なのは、「続けられるか」の視点だと僕は思います。制作会社のアシスタントで一気に修行する道は成長速度が速い一方、体力面で辞めてしまう方も多いんですよね。逆に事業会社インハウスや派遣は、生活のリズムを保ちながら実務を積めるので、30代以降の方や異業種の方には相性が良い入り口です。年収の高さより、経験を積み切れる環境かどうかで選んでみてください。
未経験からグラフィックデザイナーを目指す人からよくある質問
Q1|何歳まで目指せますか?
A:明確な年齢制限はありません。ただし20代までがポテンシャル採用の中心で、30代以降は前職の業界知識との掛け合わせで応募先を絞る動き方に切り替わっていく形。40代未経験でも不可能ではありませんが、副業や派遣から入って実績を作るルートが現実的な選択肢になります。
Q2|資格は必要ですか?
A:必須の資格はありません。IllustratorやPhotoshopに関わるAdobe認定のクリエイター資格や色彩検定などは、あって困るものではありませんが、なくても応募・採用に届きます。採用側が見るのは資格より作品なので、資格取得より作品づくりを優先するのが基本の順番です。
Q3|独学だけで本当になれますか?
A:独学だけで実現している人はいます。ただし、独学は迷子になりやすく、続けられる人と続かない人の差が大きい方法。書籍と動画で走り切れるタイプの人には向いていますが、質問できる相手が近くにいない環境では長期戦になりがちです。無料の職業訓練で並走してもらう選択肢も検討する価値があります。
Q4|どのくらいの期間で目指せますか?
A:ツール操作の基本習得に3か月、ポートフォリオ制作込みで半年から1年ほどが一般的な目安。ここまでの期間を、仕事や家事と並行してどう捻出するかが実際の勝負どころ。1日30分〜1時間を毎日、または週末にまとめて数時間、というペースが続けやすい配分です。
Q5|ポートフォリオがない状態で応募してよいですか?
A:応募自体は可能ですが、書類選考で落ちる可能性が高くなります。作品ゼロの状態で応募するより、自主制作を3〜5点作ってからの応募のほうが結果が出やすい傾向。「作品がないから応募しない」でもなく「作品がないまま数打つ」でもなく、まずは最低ラインの作品数を用意してから動く、という順番がおすすめです。



相談で本当によく聞かれるのが「今から始めて間に合うのか」なんです。僕の答えは「間に合うかどうかは走り出さないと分からない」。半年やってみて、作品が10点そろわないなら向いていない可能性を検討する。そろえられたら次のステップに進む。まず動いて、動きながら判断する、が現実的な進め方です。
まとめ|グラフィックデザイナーは未経験だと厳しいが、目指せる
グラフィックデザイナーは、未経験からの挑戦だと確かに厳しい仕事です。有効求人倍率0.15、20代の年収は300万円前後、そして応募条件にポートフォリオを求める求人が多いという現実があります。ただ、この厳しさは「越えられない壁」ではありません。
- 作品を先に7〜8割の完成度で数を出す
- 学び方は自分の生活と予算で選ぶ(独学・職業訓練・スクール)
- 入り口を4パターンから選ぶ(制作会社アシスタント/インハウス/派遣/副業)
- 30代以上は前職の業界知識を武器に応募先を絞る
順番を守れば、未経験でも進めます。最初の一歩として、今週中にIllustratorかPhotoshopを起動し、名刺デザイン1枚を仕上げるところから始めてみましょう。手を動かした人だけが、次のステップに進んでいます。



一人で悩み続けるより、まず1点作ってみませんか。作品が1点でもあれば、次に何を積むべきかが自然と見えてきます。もし進む方向で迷ったら、キャリアアドバイザーへの相談も選択肢の1つ。僕たちは、途中で立ち止まっている人の背中を、そっと押す仕事をしています。




運営者情報
| メディア名 | ビギナーズリンク |
| 運営会社 | 株式会社MEDISITE |
| 代表者 | 竹田津 惇 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目5-4 STビル701 |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | HRメディア事業・SNSマーケティング事業・営業支援事業 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業(13-ユ-316383) |

